焼肉倒産が日本全体に与える影響
帝国データバンクによると、焼肉屋の倒産件数が増えているのだそうです。円高には円高の、円安には円安の、それぞれメリット・デメリットがあるなかで、海外産の食材を使用していた業態が為替変動などにより仕入コストの上昇に直面しているというだけの話ではないかと思う次第です。
円安倒産や人手不足倒産の正体
最近、「人手不足倒産」、「円安倒産」といった具合に、「新手の倒産」が増えています。
この「人手不足倒産」や「円安倒産」、その名の通り、「人手不足を原因とした倒産」や「円高を原因とした倒産」のことだそうですが、べつにちゃんとした公的な統計に基づくものではありません。多くの場合、信用調査会社が勝手にそのような概念を定義したうえで、倒産の件数を分類しているだけに過ぎないようです。
じっさい、先日の『「人手不足倒産」の正体とは「労働条件の改善」では?』でも指摘したとおり、東京商工リサーチ(TSR)の調査によれば、倒産件数自体は近年、減少傾向にあります。
2023年に関していえば、倒産件数は8,690年、負債総額は2兆4026億円と、件数、負債総額ともに史上最低だった2021年と比べ上昇しているのですが、最悪期だった2000年と比べると、件数は半分以下に、負債総額も10分の1近くに激減していることがわかります。
TSRが公表する倒産件数と負債総額
- 2000年…倒産件数18,769件、負債総額23兆8850億円
- 2021年…倒産件数*6,030件、負債総額*1兆1507億円
- 2023年…倒産件数*8,690件、負債総額*2兆4026億円
(【出所】TSR『倒産件数・負債額推移』)
一部の論者が「円安関連倒産」や「人手不足倒産」をしきりに喧伝する理由は、もしかすると「悪い円安論」「悪い金融緩和論」を補強する目的でもあるのかもしれません。
円安は少なくとも「現在の」日本経済に良い影響
しかし、当ウェブサイトでは『【総論】円安が「現在の日本にとっては」望ましい理由』を含め、これまでに何度となく指摘してきたとおり、円安は日本経済に「総合的に」良い影響を与えています。輸出効果、輸入代替効果、資産効果をもたらすからです。
円安になれば、日本の輸出企業にとっては競争力が上昇します(輸出効果)し、輸入品の価格はたしかに上昇するのですが(輸入効果)、高くなった輸入品と比べ、国産品で代替しようとする効果が働きます(輸入代替効果)。
また、円安が進展すれば、日本全体で見て、外貨建ての対外資産の額を円換算した差額(いわゆる為替差益)が増える効果がもたらされます(資産効果)が、『資金循環上の「対外純資産」が史上初の五百兆円を突破』でも指摘したとおり、すでにその効果は日本経済に多大な恩恵をもたらしているのです。
今度は「焼肉倒産」
さて、こうしたなか、「よくこんな話題を見つけてくるもんだな」、と思ってしまうような話題が出てきました。
「焼肉店」の倒産、前年から倍増 年間で過去最多を更新 輸入牛肉に加え野菜の高騰も打撃、値上げ進まず小規模店で苦戦
―――2024/10/02 10:00付 Yahoo!ニュースより【帝国データバンク配信】
帝国データバンク(TDB)によると、「焼肉店の倒産が年間最多を更新した」のだとか。
記事によると2024年に発生した「焼肉店」経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は9月までに計39件で、前年同期の16件から倍増したほか、7月末時点で2019年通年の件数(26件)を上回り年間最多を更新した、というのです。
正直、個人的には、「よくそれを集計したもんだ」、という感想しかありません。日本全体で年間1万件弱の倒産があるなかで、「焼肉業界」の倒産を集計したとして、それが日本経済全体に与える影響がどれほどのものなのか、なんだかよくわかりません。
ではなぜ、焼肉屋の倒産が相次いでいるのか。
記事によれば、焼肉店の2024年の経営環境は、円安などを背景に米国産などの輸入牛肉の価格高騰が止まらず、「使用される食材が軒並み高騰する一方でメニューの値上げが難しい『我慢比べ』状態が続いている」、という状況だそうです。これに加えて野菜類も値上がりしている、などとしています。
なぜ「価格に転嫁できない」のかよくわかりませんが、ただ、円安になれば輸入品価格が上がり、輸入食材などを使用して来た業態が苦境に陥ることは当然の話でもあります。その分、国産品に価格競争力が生じて来るだけの話だからです。
円高には円高の、円安には円安のメリット、デメリットがある
しかも、記事では触れられていませんが、正直、2023年以降の倒産件数の増大は、コロナ期のいわゆる『ゼロゼロ融資』の返済本格化、という要因も大きいように思えてなりません(もちろん、TDBの記事では元データが示されていないため、憶測に過ぎませんが…)。
というよりも、想像するに、企業を倒産させた経営者は、倒産した理由を自分の経営努力以外のところに求めたいと思うはずですし、また、「円安によるコスト増」は、経営が行き詰まる理由としては、ちょうど良い言い訳となり得ます。
ただ、正直なことを申し上げるならば、一部の業態における経営の苦境は、これまで安い輸入品などが手に入ることを前提にしてきた経営構造に大きな打撃を与えている、という側面が強いのではないでしょうか。
円高には円高の、円安には円安の、それぞれメリット・デメリットがあるなかで、海外産の食材を使用していた業態が為替変動などにより仕入コストの上昇に直面するのは、ある意味で当然の話です。このあたりは結局、円安(円高)になったらなったで潤う業界・苦境に陥る業界がある、というだけの話ではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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そもそもがこの業界、過当競争だったんでしょう。
薄利多売はデフレ経済下でだけ、有効な経営手段。
過当競争で薄利多売なのは庶民向けの小売業界も同じに見えますね。
結局人件費にしわ寄せが行ってて、働く環境としてはブラックという。
上級国民様向けだとまた違うんでしょうけど。
焼肉店は参入障壁が大変低い業態です。客が自分で焼きますし、他のメニューも調理が簡単です。
また、肉の業界は卸のほうが強く、仕入れ価格を抑えるのは難しいです。
家賃や光熱費、人件費も削減が難しく、利益を出すのは難しいと思います。
元々こういう業界ですので物価高に耐えられない店が多いのでしょうね。
業界特有の事情だと思います。
焼肉は韓国がルーツだと思うので、韓国的なビジネスモデルとなりそういう時系列を辿るんだと思います。和食の業態ではないと思います。
客が自分で肉を焼くというスタイルは日本発祥(在日韓国人の考案か?)のようです。
日本国内に在留した半島人が作り出したモノらしいので韓国ルーツと思いました。
さくっと調べてみたら、平壌冷麺と焼肉の店が掛かりました。
焼肉店単独ではなく仕入先の卸業者など他にも複合的な関係があるんじゃないかと
オーストラリアやニュージーランドとの輸入状況についてや
肉部位が豊富すぎてアメリカで廃れてしまった牛タンやモツなど内臓食の文化などで
文章ちまちまこねてたけどなんともうまくまとまらない
結論:今晩は焼肉食ってくる