過去の東京都知事選挙「泡沫候補」の状況を調べてみた
過去の東京都知事選のデータを調べてみると、「泡沫候補」などと呼ばれていながらも、10万票を超える票を得ていた候補者が複数存在していたという事実を忘れてはなりません。いずれにせよ、東京都の有権者の皆さまにはご自身にて適切に判断のうえ、必ず選挙権を行使していただきますことをお願い申し上げます。
東京都知事選のインパクト
東京都知事選は明日、つまり7月7日に投開票を迎えます。
連日のように東京ローカルの話題を提供していることに関し、東京都民ではない読者の方には大変申し訳ないと思いますが、それでも東京都は一自治体とはいえ、都道府県としては日本最大の人口と予算、経済規模を誇る巨大自治体でもあるため、どうしても話題として取り上げざるを得ないのです。
著者自身はすでに明日の選挙で誰に1票を投じるか決めていますが、それを当ウェブサイトで明らかにすることはしません。前回、前々回などの都知事選で誰に投票したかについても同様です。
こうしたなか、東京都知事選はたった1人を選ぶ選挙ですので、得票数で1位にならなければ当選しませんが、それと同時に1位(=当選者)になれなかったとしても、それなりの票を得ることができれば、その後の政治家(あるいは活動家)としてのキャリアに繋がっていくこともあります(それが良いか悪いかは別として)。
したがって、都知事選のように注目度が高く規模も大きな選挙の場合、当選した候補だけでなく、当選しなかった候補についても記録し、場合によってはそれらの候補者の主張・経歴、あるいは立候補した背景などについて、丁寧に掘り起こす作業が、この民主主義社会にとっては必要ではないでしょうか。
メディアが泡沫候補を無視する理由
ところが、現在の都知事選も含め、どうも新聞、テレビを中心とするマスメディア(あるいは「オールドメディア」)の報道を見ていると、どうしても、彼ら自身が(勝手に)認定した「主要候補」にばかり焦点を当てているきらいがあります。
その一方で、東京都知事選では、いわゆる「泡沫候補」が乱立する傾向にあることは間違いありません。
東京都選管ウェブサイトの『都知事選挙・投開票結果』や『選挙公報』のページに掲載されている過去の選挙データによれば、少なくとも1999年以降、現在のものも含めた8回の総選挙では、立候補者が5人だった2003年、立候補者が9人だった2009年のものを除くと、いずれも10人を超える候補者が乱立しました。
東京都知事選・立候補者数
- 1999年…19人
- 2003年…5人
- 2007年…14人
- 2011年…11人
- 2012年…9人
- 2014年…16人
- 2016年…21人
- 2020年…22人
- 2024年…56人
(【出所】2020年までは東京都選管『都知事選挙・投開票結果』、2024年については東京都選管『選挙公報』)
また、各選挙における当選者と獲得票数、得票率を並べてみると、過去8回のうち1999年、2011年、2014年、2016年の4回については、当選者の得票は過半数に達していませんが、それ以外の4回については、いずれも当選者が過半数の票をかっさらった格好です。
過去の東京都知事選における当選者(敬称略)
- 1999年…石原慎太郎/1,664,558票(30.47%)
- 2003年…石原慎太郎/3,087,190票(70.21%)
- 2007年…石原慎太郎/2,811,486票(51.06%)
- 2011年…石原慎太郎/2,615,120票(43.40%)
- 2012年…猪瀬直樹/4,338,936票(67.35%)
- 2014年…ますぞえ要一/2,112,979票(43.40%)
- 2016年…小池ゆりこ/2,912,628票(44.49%)
- 2020年…小池ゆりこ/3,661,371票(59.70%)
(【出所】東京都選管『都知事選挙・投開票結果』データをもとに作成)
しかも、当選者が過半数を獲得しなかった4つの選挙のうち、もっとも「接戦」となったのは1999年の選挙ですが、それでも2位の鳩山邦夫氏の得票数は851,130票であり、石原慎太郎氏が倍近い票を得て当選しています。
2011年についても、2位の東国原英夫氏の得票数は1,690,669票で、やはり石原氏が1.5倍の票差で当選していますし、2014年についても2位の宇都宮健児氏が982,595票で、トップの舛添要一氏はその倍以上で当選しています。
さらに2016年の選挙でも、2位の増田博也氏は1,793,453票で、当選した小池百合子は増田氏に1.6倍の差をつけて当選していることが確認でき、これらのことから東京都知事選では事実上、最有力候補とそれに対する挑戦者が2~3人、という構図が続いてきた格好です。
だからこそ、「泡沫候補を無視するな」、は正論かもしれないにせよ、ある意味ではやむを得ない、という構図があることも否定できません。
泡沫候補なのに10万票以上!?
ただし、いわゆる「泡沫候補」として、メディアから無視されてきた傾向がある候補の中でも、得票数が10万票を超える候補者が、過去に複数名、存在していたことも忘れてはなりません。
たとえば1999年の選挙では石原、鳩山両氏に加え、舛添(836,104票)、明石康(690,308票)、三上満(661,881票)、柿沢弘治(632,054票)の各氏らが有力候補とされ、実際、それぞれ堅調な票を獲得しています(舛添氏はその後、実際に当選しています)。
しかし、この1999年の選挙では、「泡沫候補」とされながらも「ドクター・中松」こと中松義郎氏が100,123票を獲得していることも事実でしょう(ちなみに同氏は2003年の選挙でも4位ながら109,091票を獲得しています)。
どうして「10万票を超えたらメディアがその人を取り上げなければおかしい」と申し上げるのかといえば、一部のメディアが2007年の選挙で、建築家の黒川紀章氏を積極的に取り上げていたからです。
じっさい、黒川氏の得票数は159,126票だったわけですが、その後の選挙で、この程度の得票数でありながら、メディアから無視されているフシがあるという候補者もいます。
たとえば、小池氏が当選した2016年の選挙では、2位の増田博也氏(1,793,453票)、3位の鳥越俊太郎氏(1,346,103票)がそれぞれ100万票を超えたわけですが、4位の上杉隆氏は179,631票、5位の桜井誠氏は114,171票を得ています。
また、現職の小池氏が圧勝した前回・2020年の選挙では、2位の宇都宮氏が844,151票と圧倒的な差が付いた格好ですが、3位の山本太郎氏(657,277票)、4位の小野泰輔氏(612,530票)に続き、桜井氏が178,784票で5位に食い込んでいます。
このように考えていくと、メディアが取り上げ、あるいは無視する基準というものが、いったいどこにあるのか、どうにも疑問に思えてなりません。
過去の東京都知事選で得票が10万以上だった事例
- 2020年…桜井誠(178,784票/5位)
- 2016年…桜井誠(114,171票/5位)
- 2016年…上杉隆(179,631票/4位)
- 2012年…笹川たかし(179,180票/4位)
- 2012年…中松義郎(129,406票/5位)
- 2007年…黒川紀章(159,126票/4位)
- 2003年…ドクター・中松(109,091票/4位)
- 1999年…ドクター・中松(100,123票/7位)
(【出所】東京都選管『都知事選挙・投開票結果』データをもとに作成)
選挙では必ず投票を!
いずれにせよ、本稿を読んでいただいている方の中に東京都知事選の有権者の方がいらっしゃるならば、貴重な1票を必ず行使していただきたいと思います。
その際、くどいようですが、当ウェブサイトでは「この候補者に票を投じてほしい」とお願いするつもりはありません。、必ず、有権者の皆さまがご自身で選挙公報を読むなりして、ご自身で最適と思われる候補者を決定し、ご自身の責任において選挙権を行使してくださるよう、心よりお願い申し上げる次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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マスゴミは暇空氏をあくまでも最後まで泡沫候補として扱うつもりなんでしょうね。
いや、マスゴミとしてはひまそらあかね氏は「なかった事」にしたいのではないかと…。
此程マスゴミにとって「都合の悪い候補」はいませんからね。
浜田聡氏のツイートのリプ欄に都知事選の「情勢調査」の電話がかかってきた、と言う人による録音データが流されていました。私は電話調査を受けたことがなかったので、実際聞いてみて結構新鮮でした。
https://x.com/Hacchou/status/1809026293218038151
候補者が実質三択しかないとか、候補者の肩書きがおかしいとか、結構いい加減だなと思う一方、音声調査だとこんな感じにならざるを得ないよなとも。
過去調査の蓄積との照らし合わせも大事な分析手段でしょうから、今までのやり方を踏襲する必要性もわかりますが、固定電話にかかってきたことも含めて、音声による調査ってのはそろそろ限界なんじゃないのと言う気がしました。
しかし、いよいよ明日は投開票ですか。
警視庁さん、選挙後は頑張ってくださいね。
当選者が1人の場合、得票数トップの人が投票社者数の過半数を超える票を取れなかった場合、上位2名での決戦投票を行うかそれに近いことを制度化する必要がありそうですね。
立候補者が50名を超えた都知事選(=当選者は1人だけ)で恣意的に候補者を絞った“調査”だの“アンケート”だのを有権者に対して行う行為そのものが、『投票行動を誘導する』意図を持った『選挙妨害』と断じても良いように思われまする…
10万票問題ですが、そもそも「マスコミが有力候補とやらを選定する能力を持っているのか」と言う問題ですね。
見込みが間違ってるなら謝罪すべきだし、次回に向けて算定がなんで間違っていたのかを、検証・見直ししなければいけないはずなのです
>10万票
都知事選には10万筆程度の都内有権者の推薦名簿提出を立候補時に義務付けるのも一考ですね。しかもこれは一人一票で、複数候補にフタマタ提出すると両方の陣営からマイナスする上に署名した本人の選挙権数年間停止処分ぐらいのシバリ。
但し、そうすると実質的な選挙期間はその推薦者名簿集め開始時からスタートし選挙戦は長期間します。
それから今回、献金以外に貸付金と言う不明朗なカネの集め方が問題になりました。現行法では政治家への貸付金は何億円貸してもOKで、利息なし返済期限なし、しかも日本国籍以外でもOKだとか? これは早急に改めて貰いたい。
なんなら上記候補者推薦名簿に署名する人から署名と同時に「一人千円〜百万円」の個人献金も必ず付けて提出して貰い、その名簿は公表しても良いかも。千円も出さずに「応援しています」とかチャンチャラおかしい。
組織票を除けば、知名度で得票数が決まるということなのでしょうね。
首相が国民投票で選出される制度だとしたら、ゾッとします。
比例得票数1万数千票の棚ぼたの鉄仮面女が参議院議員でございっていうのもふざけてますよね
こういう事が起きるから日本では小選挙区制は採用すべきではなかったのですよ。