「黒幕」に早くも多数の穴…観光公害に入国税検討を!

山梨県にある歯科医院前の「富士山絶景スポット」に設置された黒幕に複数の穴が開けられていることが判明したそうです。幕に穴を開けるような者たちに「ルールを守れ」と呼び掛けても何か意味があるようにも思えません。やはり、観光公害問題の解決には、外国人観光客をターゲットとした入国税の制度の創設と、観光公害対策に充当し「受益者負担」を実現することが、もっとも簡単かつ有効な解決手段ではないでしょうか。

富士山絶景スポットと黒幕問題

先日の『富士山黒幕問題と本質見失う批判』などでは、富士山の「絶景スポット」として有名になってしまった狭い歩道上に外国人観光客などが殺到し、社会問題化していた、とする話題を取り上げました。

これは山梨県富士河口湖町の井ビシ歯科医院前の歩道から向かいの「ローソン河口湖駅前店」を眺めると、「まるでコンビニエンスストアの真上に富士山が乗っかっているかのように見える」として外国人観光客らに話題となっていた、というものです。

もともと狭い地点であるにもかかわらず、観光客らによる危険な道路横断や(レンタカーなどの)昼夜を問わない違法駐車、ゴミの放置や食事・喫煙、私有地・屋上などへの侵入や食事、さらにはタクシーや大型バスの乗り入れなどが常態化していたのです。

しかし、この場所はべつに「公園」でもなんでもありません。歯科医院は自体はれっきとした私有地ですし、歩道・車道なども決して広いとはいえず(※車道は片側1車線)、しかも歯科医院が私有地への侵入を防ぐための柵を設けたら、今度はその歩道から人が溢れ、観光客らが車道にまではみ出す始末。

こうした事態を受けて、地元自治体の富士河口湖町は21日、井ビシ歯科医院前の歩道への、道路向かい側が見えなくなる黒い幕の設置に踏み切りました。

「富士山ローソン」の目隠し幕、きょうにも完成へ 訪日客のマナー違反続出

―――2024/5/21 09:08付 産経ニュースより

事業リスクを理解しない人が「もったいない」と叫ぶ

この件を巡って、一部の人は、「もったいない」、「歯科医院をどこかよその場所に移転させ、その場所を取り壊して『富士山ローソン』の絶景スポットとしてカネを取れば良いのに」などと批判しているようなのですが、こうした批判がナンセンスであることは、当ウェブサイトでは繰り返し指摘してきたとおりです。

そもそも現時点で事業を営んでいる歯科医院を「どこかよその場所に移転させろ」というのもメチャクチャな話です。「歯科医院を移転させ」、などとサラッと主張するのも結構ですが、いったい誰がどういう権限でそう「命令」するのでしょうか?

また、百歩譲って歯科医院が移転に同意したとして、そこに通っている患者さんらの利便性を損ねない移転場所を、誰がどうやって見つけるのか、という問題も出てきます(まさかとは思いますが、歯科医院自身が自ら移転場所を見つけろと要求するつもりでしょうか?)

さらに深刻な問題は、「いったい誰がその事業リスクを負うのか」、という論点です。

歯科医院を移転させた跡地を取り壊すのか、居抜きでそのまま使うのかは知りませんが、観光地として開発するにはカネがかかりますし、そのカネを誰がどうやって調達するのかという問題もありますし、未来永劫、外国人観光客がそこを訪れ続けてくれるという保証だってありません。

もっといえば、肝心の「富士山ローソン」が事業撤退し、店舗が取り壊され、跡地に富士山が見えなくなるほどの高い建物が建ってしまったら、いったいどうするのでしょうか。

あるいは、歯科医院とローソンの両者を巻き込んで、一帯を「富士山絶景スポット」として開発するというのならば、カネはさらにかかりますし、大掛かりになればなるほど事業リスクは高くなります(※「事業リスクが高くなる」とは「失敗する可能性が高まる」、という意味ですよ!)

いずれにせよ、「この場所を『富士山絶景スポット』として開発しなさい」、などと主張する人は、「ビジネスにはビジネスリスクがつきものである」というごく当たり前の鉄則を理解していないのかもしれません。

いずれにせよ、本件については「黒幕など設置しなくても良いのに…」、などと文句を述べる人がいることは事実ですが、当ウェブサイトとしては、黒幕設置は(短期的な対症療法に過ぎないにせよ)緊急対策としてはやむを得ない措置だと考えています。

もしそれでも「観光客の問題など大したことないでしょ?」などと言い張るならば、最低限、井ビシ歯科医院の次の記事をちゃんと読んでからにしていただきたいものです(というよりも、そういう批判をしている人は大抵、他人の文章をちゃんと読んでいない人たちなのですが…)。

外国人観光客のローソン+富士山の写真撮影 マナー違反問題について

―――2024/05/01付 井ビシ歯科医院公式ウェブサイトより

黒幕にはさっそく複数の穴が開けられた模様

さて、先日も指摘したとおり、当ウェブサイトとしては、この「黒幕問題」に関しては、「やむを得ない措置」ではあるにせよ、「対症療法に過ぎない」と考えていたのですが、やはりこんな問題が出てきました。

「富士山ローソン」に設置の黒幕に穴 撮影目的か、約10個 町「こんなに早いとは」

―――2024/05/28 12:27付 産経ニュースより

産経などの報道によると、この黒幕に「スマートフォンのカメラで撮影するためとみられる穴が多数開いている」ことが判明した、というものです。穴の大きさは直径1センチていどで、いずれも「指で開けたとみられる」、などとしており、「幕を設置した町は、補修と対策の検討を進めている」、などとしています。

まさか良い年をしたであろう外国人観光客相手に、「設置された幕に穴を開けてはいけません」、という、日本だと小学生レベルの注意喚起をしなければならないことになるとは、驚きです。正直、これからイタチゴッコの始まりのようなものでしょう。

いや、そもそも観光地でもないスポットに押し寄せて、私有地に無断侵入したり、喫煙したり、食事をしたりするような者たちを相手に、「ルールを守ってください」などと呼び掛けても、あまり意味はないのかもしれません。

やはり入国税の創設と観光公害対策への充当が手っ取り早い

ただ、普段の当ウェブサイトの「持論」ですが、観光公害に包括的に対処するためには、観光ビザで入国する外国人に対する、1人あたり少なくない額の入国税を課すことが、最も手っ取り早い方法です。

そもそも『訪日外国人が2ヵ月連続3百万人台も…観光業の「穴」』でも取り上げたとおり、最近、訪日外国人はどんどんと増えていて、2024年4月は前月に続き、単月で訪日旅客数は300万人を超えました(これには円安も追い風となった一時要因という側面もあるのかもしれませんが…)。

この調子で外国人観光客が増え続ければ、年間4000万人前後(あるいはそれ以上)の外国人が日本に押し寄せる時代となるかもしれませんし、そうなると、この「富士山ローソン問題」と似たような問題が、日本各所で噴出するかもしれません。

これに対し、観光客などをターゲットとした入国税を課すこととなれば、まず、増え過ぎている訪日外国人が減る効果が期待できますし、そのこと自体、観光公害の抑制につながる可能性が高いです。

そもそも1人あたり数万円レベルの入国税を課すこととすれば、その入国税負担に耐えられない「格安旅行の外国人」が気軽に日本に入国できなくなる可能性がありますし、入国税の税収自体も無視できないほど大きな財源となり得ます。

たとえば外国人観光客に対する入国税を1人あたり3万円とし、年間入国者が3000万人に減ってしまったとしても、入国税の税収は9000億円、すなわち約1兆円が見込まれます。その税収を外国人が押し寄せている地域の観光公害対策に充てれば、一種の「受益者負担」が実現するかもしれません。

(※ただし、短期商用目的での入国者と個人旅行による観光客をどう区別するのか、といった問題は残るかもしれませんが…。)

現行の「(日本人も外国人も一律の)1人あたり1,000円の出国税」に代わって、「外国人観光客のみを対象とした1人あたり数万円レベルの入国税」は、受益者負担の観点からは望ましいと言えるのです。

今回の「富士山ローソン問題」にしても、「絶景スポット開発」に、入国税の税収を財源として充当すれば良いかもしれません(もちろん、この場合であっても、ローソンや歯科医院の側に、観光スポット開発に応じる義務がないことは言うまでもありませんが…)。

少なくとも今回の「富士山ローソン問題」のような件が生じた場合に備え、「富士山絶景スポット開発」という非現実的な構想よりも、「1人あたり数万円レベルの入国税」構想の方が、遥かに簡単で現実的だと思うのですが、いかがでしょうか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 村人B より:

    ついでに、日本国内における国籍別犯罪者数の上位を公開してその国の入国税を跳ね上げれば良いのに。

  2. 引きこもり中年 より:

    富士山ローソンの黒幕に穴をあけたのが、観光客なのか、それとも観光業者(?)なのかは分かりませんが、穴をあけた人は、(外聞があるので口外するかは分かりませんが)自分で穴を開けてもよいという正当化できる理由を見つけ出しのでしょう。(例えば、すでに穴(?)があいていたので、自分もあけたとか)

  3. 元・北の酔いどれランナー より:

    増税・新税が大好きな財務省が、観光税のかの字も言い出さないのが、個人的には不思議でなりません。
    入国する外国人一人あたり5万円徴収すれば、年間3,000万人の入国で1兆5千億円の税収になるのに…

    1. 元・北の酔いどれランナー より:

      あ、会計士さんが同じような内容を既に書いておられましたね。
      重複してしまい、失礼しました汗

    2. いつもは傍聴者 より:

      元・北の酔いどれランナー様

      財務省の振る舞いに対しての疑問は、小生も同意見です。

      隙あらば、数々の〇〇審議会に財務省の台本どおりの台詞を言わせて、また、定期的に中央政府の債務額のみをメディアに流させて、「財政危機」への印象操作をしてまで、増税・新税をたくらむ財務省が、観光税を言い出さないのが、小生も不思議でなりません。

  4. 七味 より:

    入国税というのは良いアイデアだと思うのです♪
    ただ、その収益を配分する仕組みも大切なんだと思うのです♪
    例えば、富士山の黒幕の設置費用にしようとすると、「外国人旅行客の利便性を損なうのに使うのはけしからん」みたいな異論が出てきそうな気がします♪
    また、穴が空けられたら補修する必要もあるけど、いちいち予算要求してたら、手間がかかるだけだから、単年度の設置費用だけでなく、複数年度での維持費も手当できる仕組みが欲しいなって思うのです♪

  5. DEEPBLUE より:

    元からインバウンドって国交省握ってる公明党が中国人韓国人を招き入れる為だけの物だと思ってますので、入国税大賛成です。

  6. 匿名 より:

    京都の八坂神社でも外国人観光客による迷惑行為が有りましたもんね…

  7. 匿名 より:

    設置自治体は黒幕に穴開けられているのだから被害届を出すべき。
    人が多数集まり危険な状況が生まれることを防ぐために設置した工作物に手を加えて無効力化を図っているので威力業務妨害で告発しても間違いではないと思われる。
    日本人外国人関係無い。

  8. CRUSH より:

    「入国税」という呼び方はともかく、デポジットは効果的かと。

    例)
     日本への入国者に一律10万円のデポジットを課す。
     帰国して30日後に全額を返金する。

    効果)
    ①貧乏人の足を止め、客層を金持ち側にシフトさせる。
    (でもデポジットなんだから差別ではないですからね)
    ②ホテルの備品持ち逃げとか、交通違反の当て逃げとか、なんらかの犯罪行為をした客ならば、訴訟の「差し押さえ資産」に使える。
    (でもデポジットなんだから差別ではないですからね)

    要するに、善良な客はまったく心配する必要なし。
    やんちゃする客だけ、リスクが発生する訳でして。

    修学旅行や研修生はデポジット免除とか、当局の裁量余地も作れますし、お寺の門前に立ってる仁王像くらいには役立つ気がしますね。

    1. ドラちゃん より:

      日本入国中に病院にかかって
      治療費を踏み倒しつつ帰国する例もある

  9. 匿名 より:

    何が驚きなのかわからない。白人至上主義者は外国人は頭がいいとでも思ってるのだろうか? 白人なんて馬鹿ばかりだよ。アジア人も笑えないけど、白人は自己中心社会で生きてきたからモノが違う。

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