日本企業が意識すべき「外務省による職務怠慢リスク」
日本企業が最も認識すべきリスクのひとつが「外務省の職務怠慢リスク」だったというのは皮肉な話かもしれません。7日のイスラエル南部におけるハマスによる大規模攻撃にもかかわらず、外務省の海外安全ホームページの警戒レベルは「レベル1」のままだったのですが、10日、やっと「レベル2」に引き上げられました。遅すぎます。しかも松野官房長官は11日、「一部の航空便に運航停止が生じている」と注意を呼び掛けたそうですが、「何を今さら」、という感想しかありません。
外務省の職務怠慢
イスラエルで7日、ハマスによる大規模なテロ・攻撃が発生したにも関わらず、外務省は海外安全ホームページ上、渡航中止勧告などを行っていない――。
これは、昨日10時30分時点で当ウェブサイトにアップロードした『ハマスは無差別テロ:犠牲者に米国人…外務省職務怠慢』でも指摘したとおりの事実であり、いわば、外務省の職務怠慢のようなものです。
日本政府には有事の際、邦人の安全を確保するよう努力する義務がありますが、X(旧ツイッター)などのSNS、海外メディアのネットニューズ・サイトなどで見る限り、イスラエルの情勢は緊迫しており、少なくとも襲撃直後にも関わらず一部地域を除いて「レベル1」というのは緩すぎます。
帝国データバンク(TDB)の調査によると、2023年9月末時点でイスラエルに進出している企業は92社に達し、このうち具体的な進出先が判明した72社についてはテルアビブが39社で過半を占めた、などとしています。
日本企業のイスラエル進出は92社 テルアビブ地区に39社、「ガザ」周辺の進出はゼロ
―――2023/10/11 11:02付 Yahoo!ニュースより【TDB配信】
TDBによると、進出形態については判明する企業70社のうち現地での販売拠点や研究施設を含めた「サービス・開発拠点」が49社で7割を占め、進出地域についても「とくに被害が大きいガザ地区近隣への進出事例は確認されなかった」、などとしています。
テルアビブ便の運休が相次ぐ
ただ、数日前から当ウェブサイトにて指摘している通り、ガザ地区からテルアビブまで、直線距離で60㎞少々しか離れていません。
早期に警戒レベルを引き上げておかなければ、企業関係者・駐在員の入出国は継続してしまいますし、状況が悪化した場合には航空各社が定期便の運航を取り止めてしまうなど、出国の手段がなくなってしまい、日本人が取り残されてしまう可能性だってあります。
事実、ロイターの10日早朝付の配信記事によると、現に大手国際航空各社は一斉にテルアビブ便の運航を停止しており、日本時間10日午前0時41分時点では「時点では3分の1が欠航となっている」とも報じられています。
テルアビブ便、9日は3割超が運休 航空会社株は急落
―――2023年10月10日01:49 GMT+9付 ロイターより
やっと「レベル2」に引き上げ…遅すぎる
こうしたなか、当ウェブサイトがそのように指摘したからではないとは信じたいところですが、外務省の海外安全ページでは10日付で、いちおう、危険情報のアップデートがなされています。
イスラエル、ヨルダン川西岸地区及びガザ地区の危険情報
―――2023/10/10付 外務省『海外安全ホームページ』より
アップデートされた時刻について明示はありませんが、理屈の上では日本時間でいう昨日10時30分から24時までの間に更新されたのでしょう。
アップデートの内容は、ガザ地区やその周辺地域を「レベル3(渡航中止勧告)」から「レベル4(退避勧告)」に引き上げるとともに、「レベル3」で据え置かれるレバノンとの国境付近を除き、その他のイスラエル全土については「レベル1」から「レベル2」に引き上げる、というものです。
そのうえで、こんな記述があります。
「テルアビブ、エルサレム等の地域においてもロケット弾が飛来し、航空便の運航を含めて事態が非常に流動的であることから、レベル1発出地域について、『レベル2:不要不急の渡航は止めてください。』に引き上げます」。
何を今さら…
この点も当ウェブサイトなどで指摘していた論点であり、その意味でも外務省の対応は遅いと言わざるを得ないのですが、それだけではありません。こうしたなか、なかなかに驚く話題があるとしたら、これでしょう。
イスラエル運航状況に注意喚起 一部欠航で日本政府
―――2023/10/11 12:13付 Yahoo!ニュースより【時事通信配信】
時事通信によると、松野博一内閣官房長官は11日、「一部の航空便に運航停止が生じている」としたうえで、「出国を希望する邦人に運航状況に注意するよう呼び掛けている」と述べたそうです。7日の時点で渡航レベルを引き上げなかった外務省の職務怠慢を踏まえると、「何を今さら」、という気がしてなりません。
いずれにせよ、「コーポレート・ジャパン」としては、改めてリスク管理を徹底する必要性を認識したのではないでしょうか。
ここでいう「リスク」とは、紛争リスクもそうですが、もっと大きいのが「外務省の職務怠慢リスク」だったというのは皮肉な話ですが…。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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害務省と言われて久しい。全くこの省ときたら無能の役人集団だ。古くは北朝鮮の拉致被害者問題。発生してから50有余年。中学生の女の子が連れ去られたのだ。曽我みよしさんの娘の曽我ひとみさんは帰国するのに何年かかったのか。蓮池薫さんもそう。小泉純一郎が北朝鮮に赴いて奪還したのももう30年位前になる。僅かに5人だけ。当時の社会党の罪も大きい。オレは土井たか子は評価しない。北朝鮮による拉致をずっと否定していたからだ。しかし、外務省、、かつて田中眞紀子をして「伏魔殿」も強ち嘘ではないだろう。田中眞紀子の大臣としての資質も疑問だが。昔は、中国にいくにはビザが必要だった。領事館と間違えて霞が関の本省にいったんだが散々な対応だった。昼時に行ったオレも悪いがさすが、ザ、役所で見事な機能停止ぶり。交代制にしろよ、、と勝手にどくついた。
海外支店のある日本企業は連合して、外国のリスクを推測する組織をつくらなければならない、ということでしょうか。(東京本社は、海外支店からのリスクの情報を適切に分析する必要があるのかもしれません)
スパイ機関を保有していない外務省が、全世界の全ての情報を持っているわけないじゃん。即応しろ、しかも正しい正解の完璧な対応をやれmやれない政府ガ^っていうのは求めすぎでしょ。
国民の安全を守るのが第一義であるのであれば、日本人はすべてのありとあらゆる国家に渡航禁止すると、決定するしかないかと妄想します。
で、アフガンに残ってる人は今回の地震大丈夫だったのかな?
今回のテロはモサドさえ把握出来ていなかった巧妙さです。であるからこそ、外務省は瞬時に判断し発令すべきなのに、この時間差は今後の邦人退避に悪影響ありです。アフガニスタンの時のように日本人だけが取り残される、という事にならないよう、次の手は早く打っていただきたい。
今の時代、政府や行政機関の発表がなくても、企業や個人のレベルでも、かなりの情報収集ができるのは事実。
でも、それならもう 「小さな政府」 でいいから、行政機関をリストラして、税金を下げろ。
百田本の逃げる力に世界で一番逃げ足が早いのは華僑とユダヤ人と書かれていましたが、100円で購入して読んで捨ててしまったので内容を忘れてしまいました。
違いがよく分かりませんが織田信長の金ヶ崎の退き口には憧れますがイスンマン大統領の漢江大橋爆破には憧れません。
インテリジェンスうんぬんの前の心構えの段階で
何も無ければいいなーと思って情報を集めるのと、何か不穏なことがあるかもしれないと思って情報を集めるのでは色々違いがあるのかもしれません。
外務省の仕事は
視察団体の接待
パスポートの再発行
在外日本人会でフン反り返ること
この3つだけです
あとはサウナで汗を流したら
ワイン片手にソファに寝そべって
公費で得た国際政治学なんたらの学位を元に
F ラン大学に天下りするのを待つだけです
期待しちゃいけません
外務官僚は、在外公館も国内もパーティーが主要業務と思っとる様やが、本来の仕事はまさしく外交。但し、残念な事に日本の外務官僚は、外交=諸外国と仲良くする事と思っとる、小学生の学級会レベル。中国や韓国や北朝鮮なんぞは、騙すか騙されるかなんやから、知恵を絞って”騙されてもうた!”と後で気付くくらいの嘘をつけるくらいになってもらいたいもんや。国益や国民益より省益や自己益が最優先いう輩が多すぎるのを何とかせんと、ホンマにヤバいわ。
第二次世界大戦頃までの外務省とは人も心根も違いますし…
私がアフリカにいた頃の逸話 日本大使館からの通達
・「年末に向かいクリスマスシーズン等を前に当たり屋が増加します…」
・「…接触の最には停車せず、そのまま走り抜け自宅に到着して安全を確認してから大使館にご連絡下さい。」
ひき逃げじゃないでしょうか?
・「ボクシングデイ(キリスト教の祝日らしい)には沢山の人が街に繰り出します。群衆が集まると暴徒になりますので、外出を控えて下さい。」
まぁ…そうなんですけど…
・「祝日やスポーツの国際試合当日、群衆が暴徒化する事があります…そういう場合はなるべく早く大使公邸に避難下さい。」
絶対にそこには逃げない。日本人を襲うつもりならそこしかないような所に逃げるもんか!
実際の正解は
「アメリカ大使館かアメリカ大使館付きアメリカ人職員の公邸に逃げる。」です。
必ず救出されます。
個人的には、外務省は「上に立つ人間(大臣)がきちんと方針を示してリーダーシップを取れば、それなりに動いてくれる官庁」というイメージですね。
麻生総理が外務大臣だった頃の「自由と繁栄の弧」構想に基づいた外交や、安倍総理大臣ー河野外務大臣時代のFOIP外交などはその成果かと。
逆に、上が方針を示さず官僚に丸投げしてしまうと、彼らは自分たちの「局益」を最大化するために好き勝手に動いて国益を毀損する、という印象です。
典型例は先のリン外相で、もはや指摘するまでもない対韓外交や、宇露戦争開戦直後にロシアに対して経済協力を申し出るとか、頓珍漢な外交で我が国の国益を大いに毀損してくれました。
今回の危機に際しても、大臣がリーダーシップをとって迅速に動けば、対応はかなり違ったんじゃないかな、とは思います。
上川大臣、どの程度「やる」かなと思って見ていましたが、今のところは及第点には程遠い…
外務省ですから、「九条」信仰者の集まりなので
特に問題はありません。
「九条」を唱えると問題は解決されるのです。
なので、問題は無いのです。
問題にあったら。「九条を守れ」と叫べばよいのです。
それで、問題があったら信仰が足りないのです。