国際的な法と常識に従って行動することが日本の利益だ
慰安婦・靖国はむしろ日本自身が原理原則を捻じ曲げたからこそ生じた問題
昨日の『福島「処理水」放出を中韓への事前相談なく決める日本』では、福島第一原発のALPS処理水放出を巡り、中韓両国に対してではなく、あくまでも国際社会に対して説明責任を果たそうとする現在の日本政府の方針を、「正しい姿勢だ」と結論付けました。これに関し、韓国側からはさっそく、「わが国との協議も了解もなしに汚染水の海洋放出を計画しているのは遺憾だ」と言い出したようです。
目次
「普通の国扱い」に怒る韓国
はじめに、昨日の『福島「処理水」放出を中韓への事前相談なく決める日本』の続報です。
韓国側からさっそく、こんな反応が出てきました。
韓国政府が遺憾の意「協議なく一方的」=東電の汚染水放出計画
―――2021.08.25 18:26付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースによると、韓国政府は昨日、東電福島第一原発の「処理済み汚染水」(※原文ママ)の海洋放出に対応する関連官庁による次官会議を開催し、国務調整室の具潤哲(ぐ・じゅんてつ)室長は次のように発言したのだそうです。
「最も近い隣国のわが政府と事前協議をすることなく、了承も得ず、一方的に(海洋放出が)推進されていることに改めて深い遺憾の意を表明する」。
まさに、昨日当ウェブサイトで主張したとおりの反応ですね。
この点、昨日の報道等によれば、日本としては福島第一原発の沖合1キロメートルに放出する方針を固めた、などとされていますが、あらためて指摘しておくと、日本が海洋放出しようとしているのは「汚染水」ではありません。
「多核種除去装置(ALPS)処理水」です。
そして、これについては国際原子力機関(IAEA)と密接に連携し、国際社会の慣行や国際法を守りながら、安全と風評被害に配慮して進めるのが筋であり、正直、中韓などの政府と個別に協議する筋合いのものではありません。
逆にいえば、韓国政府からこんな発言が出てきたこと自体、現在の日本政府の方針が正しいという証拠でしょう。やっと日本政府も、中韓などからの不当な要求を跳ね除け、国際社会の方と常識に照らして行動し始めたのです。
全面的に歓迎したいと思います。
靖国・慰安婦…日本外交の失敗史
中曽根元首相の靖国参拝見送り
もっとも、ここに来る道筋は、決してやさしいものではありませんでした。
あくまでも当ウェブサイトの主観に基づけば、日韓関係を巡って、日本国内ではこれまで、「歴史的な問題もあり、日本が韓国に配慮してあげるべきだ」、といった意見が優勢でした。こうした意見が、日本外交を悪い方向に歪めてきたのです。
そして、それが最も悪い形で出たのが、1985年、ときの中曽根康弘首相が靖国公式参拝に踏み切り、翌年以降の参拝を見送った件でしょう。
もちろん、「8月15日に首相が靖国神社に参拝すること」を巡っては、さまざまな意見がある点は間違いありません。
「首相が英霊に感謝の意を表するのは当然だ」といった考え方、「A級戦犯が祀られているから、そんな神社に首相や政治家が参拝してはならない」とする考え方、さらには「靖国神社で重要なのは8月15日ではなく春と秋の例大祭であり、本来、8月15日ではなく例大祭で参拝すべきだ」、とする考え方もあるでしょう。
どの考え方が正しいか(あるいは間違っているか)については、結局のところ、ときの首相、政治家らが適切に判断して行動するしかありませんし、私たち有権者としては、こうした政治家らの行動が「正しい」か、「正しくない」かを判断して、選挙で適切に行動するしかありません。
しかし、「近隣国が怒るから、靖国参拝すべきではない」、とする主張に関しては、理屈としては明らかにおかしなものです。
そして、じつはこの「近隣国に配慮せよ」という主張こそが、むしろ日本の外交的な立場を危機に陥れてきたものの正体なのです。
原則を逸脱した外交
少し面倒ですが、原則論から説明しましょう。
わが国は主権国家であり、有権者たる国民が選んだ政治家がどんな行動を取ろうが、本来ならば自由であるはずです。
ところが、とくに首相の靖国参拝に関しては、非常に難しいのが実情です。
実際、安倍晋三総理が2013年12月26日に靖国参拝したときには、これに対する批判が世界中から押し寄せました。中韓だけでなく、台湾からも、米国からも、ロシアからも、ドイツからも、です。
個人的に、当時から仕事柄、外国メディア(英Financial Timesや米the Wall Street Journalなど)を読み込んでいた立場上、外国メディアの論調が見る見るうちに、「安倍は極右の政治家だ」、「極右の安倍には警戒しなければならない」といった傾向に染まっていったのを、昨日のことのように思い出します。
その理由は、もちろん、日本国内の左派メディアが「首相の靖国参拝」を政治問題化してきたからであり、また、とくに中韓両国などに対し「ご注進報道」を続けてきたからです。
実際、1985年の中曽根首相の靖国参拝直後に中国でこれに対する反対デモが生じ、それ以降、現職総理大臣として靖国に参拝したのは、小泉純一郎元首相と、安倍総理の2名だけです。
なお、こうした「ご注進報道」については、麗澤大学客員教授の西岡力氏がちょうど昨日、産経ニュースに寄稿された次の優れた論考が参考になるでしょう(ただし、無料会員記事であり、全文を読むためには産経ニュースに会員登録をする必要があります)。
日韓関係を悪化させた元凶は モラロジー道徳教育財団教授・麗澤大学客員教授 西岡力
―――2021/8/25 08:00付 産経ニュースより
外国紙「靖国戦争神社」
そして、一部メディアのこうした「ご注進報道」に加え、中国や韓国も、「靖国神社は戦争神社だ」といった宣伝活動を行い、それを信じ込んだ海外の某自称クオリティペーパーなどは、2010年代に “Yasukuni WW II Shrine” 、すなわち「靖国第二次世界大戦神社」などと報じたほどです。
この表現自体は著者の手元メモに残っているものですが、初めて目にしたときには怒りで身が震えたのを覚えています。もちろん、靖国神社が「第二次世界大戦のA級戦犯の位牌を設置する目的で設置された」とする、この某自称クオリティペーパーの報道は、完全な誤報(というか悪質な捏造報道)です。
ただ、事実として、海外では政治家の靖国参拝を巡って、「日本ではA級戦犯を弔うための極右の施設がある」、「そのような施設を極右の政治家が訪れている」、「日本が侵略した近隣国のすべてがそれに怒りを感じている」、といった論調で報じられているのです。
ちょうど2010年代といえば、欧州では「ナショナリスト」といえば「反EU」、「極右」などと結びつけて議論されていましたし、フランスの「国民戦線(Front National)」、つまり現在の「国民連合(Rassemblement National)」の例に見るように、国益を主張する政党には非難の目が向けられていたのです。
そして、東アジアのことをよく知らない欧州人にとっては、安倍総理の靖国参拝は「欧州の極右政治家らの過激な行動」に見えてしまったのでしょうし、恐らくこの状況はしばらく変わりません。
このような理由から、当ウェブサイトとしては、たとえば菅義偉総理大臣が、「現職総理大臣として靖国参拝をすること」に対しては、賛同できないのです(※もちろん、個人的な心情でいえば、首相どころか天皇陛下が靖国神社に堂々と御親拝されることが望ましいとすら考えていますが…)。
その意味では、靖国問題は自称元徴用工問題と構造はソックリです。
当ウェブサイトでは常々、「自称元慰安婦問題については国際社会に対し、30年という膨大な時間をかけて、あたかも事実であるかのごとく刷り込まれてきた」、「自称元慰安婦問題自体がウソであることを世界に知らしめるには、少なくとも10年、20年という歳月が必要だ」、と申し上げてきたつもりです。
靖国問題も、これとまったく同じことがいえます。「日本の首相が靖国参拝して、いったい何が悪い!」と言いたい気持ちを持っていらっしゃる方が多いのは事実でしょうが、この問題を解決するには、いきなり時の首相が靖国参拝をするのではなく、やはり適切なプロセスを踏む必要があるのです。
無法国家には「国際法を守る」ことで対抗する
では、その「適切なプロセス」とは、いったい何でしょうか。
そこにひとつの答えがあるとすれば、「国際社会で味方を増やすこと」に尽きますし、「国際社会で味方を増やす」ためには、日本が国際社会で真摯に生きていくしか方法はありません。
ということは、いかなる行動を起こすにせよ、まずは国際社会の大多数が支持してくれる方法を探り、そして、日本を貶めようとする国・勢力に対しては、毅然と立ち向かっていかねばならないのです。
この点、無法国家には無法で対抗すべきだ、とする主張もあるのですが、当ウェブサイトとしてはこうした主張には与しません。無法国家の不当な要求に対しては、原理原則を捻じ曲げず、毅然と対処するのが基本形でしょう。
つまり、靖国問題にせよ、自称元慰安婦問題にせよ、さらには「憲法改正」にせよ、それらのすべてを個別に解決するのではなく、結局は包括的に解決していくしかありません。すべての問題は根底でつながっているからです。
ただ、こんなことを主張すると、きまって、こう反論する人が出てきます。
- 国際社会は法と正義だけのキレイごとで動いているものではない
- 日本もときとして汚い手を使ってでも国益を実現させるべきだ
はて。
そうでしょうか。
事実関係を調べていくと、むしろ「国際法や国際社会の常識」をないがしろにする国が、長い目で見て国際社会の支持を得ることはないということくらい、すぐにわかりそうなものです。
日本外交に転機があるならば…
日本自身が自分で原理原則を捻じ曲げた
というよりも、靖国問題と自称元慰安婦問題には、ひとつの共通点がありました。
それは、日本自身が原理原則を捻じ曲げてしまった、という点です。
たとえば、靖国問題も、1985年の段階で中国でデモが発生しようがなんだろうが、「貴国はこれまで首相が靖国参拝しても文句を言ってこなかったじゃないか」とピシャリと反撃し、1986年以降も中曽根首相が靖国参拝を続けていれば、こんな問題になりませんでした。
しかし、一説によると、当時は中曽根元首相と懇意にあった胡耀邦(こ・ようほう)総書記の中国国内における失脚リスクを回避するために(つまり相手国の特定政治家に配慮するために)靖国参拝を見送ったとされています(最近話題の言葉でいえば「忖度」でしょうか)。
このあたりは、J-CASTニュースの次の記事あたりも参考になるでしょう。
靖国公式参拝は、こうして途絶えた 示唆された黙認、見通しの甘さ、追い詰められる趙紫陽氏
―――2020年01月02日11時00分付 J-CASTニュースより
もしこうした説が事実なら、故・中曽根元首相はとてつもない失敗をしたと言えます。要するに、日本の内政問題なのに、相手国にとっては対日外交の政治カードになってしまったわけですから。
また、自称元慰安婦問題に関しても、本来ならば「1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みだ」、で突っぱねておくべきでしたが、これに関しても河野洋平が1993年に発した『河野談話』などのせいで、事実上、日本政府がこの問題の蒸し返しを認めてしまったのです。
(※もっとも、自称元慰安婦問題に関しては、もうひとつ、「韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的にはウソの罪をでっち上げて日本を貶めているのと同じである」、という重大な問題もあるのですが、この点についてはとりあえず本稿では触れません。)
慰安婦合意は「韓国が破った」ことで日本に有利に
自称元慰安婦問題について議論するついでに、慰安婦合意についても取り上げておきましょう。なぜなら、慰安婦合意自体、日本にとって不満が残る内容ではあるにせよ、結果的に日本の立場を良くしている、という側面があるからです。
自称元慰安婦問題に関しては、安倍政権が2015年12月28日に、いわゆる慰安婦合意を当時の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権との間で取り交わしたことで、日韓両政府間では最終的かつ不可逆的に解決しました。
実務的に口頭で合意を取り交わしたのは、日本側は岸田文雄外相、韓国側は尹炳世(いん・へいせい)外交部長官(※肩書はいずれも当時)でした。
【参考】いわゆる「日韓慰安婦合意」(2015年12月28日)のポイント
- ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
- ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。
- ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
- ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。
(【出所】外務省HP『日韓外相会談』より著者作成)
当ウェブサイトとしては、この合意のうちの①に含まれる、「当時の軍の関与の下で」云々の記述自体、「自称元慰安婦問題がウソ、捏造のたぐいである」という事実を日本政府が主張することを妨げている要因のひとつだと考えています。
ただ、それと同時に、10億円で「最終的かつ不可逆的な解決」という発言を韓国政府から引き出したこと、「相互批判を控える」、「ソウル日本大使館前の慰安婦像問題を解決する」などの言質を取ったことについては、その後の日本にとって悪いことではないかったとも考えています。
すなわち、2017年5月に発足した文在寅(ぶん・ざいいん)政権がこの合意を完全に破り、勝手に慰安婦財団を解散し、慰安婦像問題も放置し、国際社会で日本を堂々と批判していることは、「韓国は政権が代わったら約束を破る国だ」という事実を世界に見せつけた格好となったのです。
自称元慰安婦問題で米国は韓国の立場を支持せず
何より、現在の日本としては、韓国に対しては「約束を守れ」、「国際法を守れ」、「条約を守れ」などと言い続ける立場に変わりました。それと同時に、自称元慰安婦問題を巡っては、国際社会で韓国の味方になる国は徐々に少数派に転落しつつあることも事実でしょう。
そして、この問題で韓国に味方をしてくれなくなった国の典型例が、米国です。
実際、2013年の安倍総理の靖国参拝を舌鋒鋭く批判した米国が、自称元慰安婦問題では2015年12月の日韓慰安婦合意による日本の立場を全面的に支持してくれています。その証拠のひとつが、とある記者と米国務省のネッド・プライス報道官との、7月20日(※現地時間)のやりとりです。
Department Press Briefing – July 20, 2021
―――米国時間2021/07/20 15:01付 米国務省HPより
会見では質問者(※アジア系と思しき女性記者)に対し、プライス報道官はこんな趣旨のことを答えました。
「東京で日米韓3ヵ国の当局者会談が開かれるが、安全保障上、自由、民主主義、人権、女性の社会進出、気候変動対策、地域と世界の平和と安定、そしてインド太平洋と世界における法の支配の強化に向けた3ヵ国協力は重要だ」。
そのうえで、自称元慰安婦問題を巡って、この女性記者から「米国としての立場を教えてほしい」と追加質問がなされたところ、プライス氏はこう答えたのです(※原文で紹介します)。
“As we stated at the time in 2015, we welcome efforts such as the 2015 agreement between the two countries as an example of their commitment to forging a more productive and constructive bilateral relationship.”
意訳すれば、「2015年の慰安婦合意がすべてだ」、ということであり、裏返せば、「韓国が慰安婦合意を破ることを、米国としては許さないぞ」、という宣言にも見えます。
したがって、「慰安婦合意破り」という事実が存在する限り、日本が米国の圧力により、韓国の理不尽な要求を呑むという必要はない、という言い方もできるのです。
尹炳世氏にそれを主張なさる資格がおありなのか
さて、尹炳世氏という人名が出たところで、こんな記事についても紹介しておきたいと思います。
【コラム】成功する外交・安保大統領になるには今から準備を=韓国(1)
―――2021.08.25 14:35付 中央日報日本語版より
【コラム】成功する外交・安保大統領になるには今から準備を=韓国(2)
―――2021.08.25 14:36付 中央日報日本語版より
2つの記事にまたがる、4000文字弱の論考ですが、末尾には「尹炳世(ユン・ビョンセ)/元外交部長官」という署名があります。
すなわち、この記事を執筆したのは、「あの尹炳世氏」なのですが、これがじつに噴飯物です。
尹炳世氏は、記事冒頭でこう主張します。
「次期指導者は過去からいかなる教訓を得るべきか、また、米中戦略競争や北朝鮮の核の脅威など厳しい国際環境の中で国益をどう確保するかについて今から悩まなければいけない」。
まことに僭越ながら、次期大統領候補の皆さんも、「現役の外交部長時代の功績が、日本の明治期の産業革命関連資産登録を阻止するために、世界各地でロビー活動をなさったことと、慰安婦合意を取り交わしたことくらいしかない尹炳世氏にだけは言われたくない」、と思われるかもしれません。
また、次の記述も、個人的には「『国内政治的・理念的・国民感情的な観点』で対日外交を繰り広げたご本人である尹炳世氏にそれを述べる資格があるのか」と思ってしまう部分です。
「特に過去20年間、新政権の発足前後に葛藤や危機が浮上した最も大きな理由は、韓国が直面する外交・安保難題のほとんどは多様な利害関係国や考慮要因を同時に念頭に置くべき高次方程式であるにもかかわらず、実際には国内政治的・理念的・国民感情的な観点で接近しようとする傾向のためだ」。
ついでにいえば、おそらく次の記述についても、信憑性に欠けます(というか、おそらくはウソです)。
「2015年9月の天安門行事出席は外見上のぎこちなさを甘受しながらも、複合的な外交目標を解くために熟慮した後に戦略的レベルで下した決定であり、米政府幹部とも緊密に調整したものだ」。
「2015年9月の天安門行事出席」とは、朴槿恵大統領自身が中国主催の抗日戦勝利70周年記念軍事パレードに参加したことを意味しており、これに対しては当時のバラク・オバマ米大統領が激怒し、実際に10月に訪米した朴槿恵氏を徹底的に冷遇したというのは有名なエピソードでしょう。
さらには、尹炳世氏の記述では、朴槿恵政権末期の外交における成果がいくつも列挙されているのですが、それらのなかに、ご自身が当事者として日本と取り交わした慰安婦合意が含まれていないのは、いったいなぜなのでしょうか。
なんだか不思議でなりません。
国際法に沿った手続を!
いずれにせよ、安倍政権時代の前半までは、日本は韓国を特別なパートナーとみなしていたことは間違いないのですが、現在においては、韓国は日本にとっての「特別な隣国」ではなく、「数ある外国のひとつ」に過ぎません。
中国もまた同様でしょう。
もちろん、隣国同士ですから、関係が良好であるに越したことはないのですが、それと同時に、「相手国との友好のためであれば、日本は相手国に譲歩すべきだ」などとおっしゃる方に対し、どうしても申し上げておきたいことがあります。
外交の世界において、「相手国に対する譲歩」がなされるのは、決しておかしなことではありませんが、それと同時に、「相手国に対する譲歩」をして良いのは、国益上、どうしてもそれが必要である場合に限られます。
むやみやたらと相手国に譲歩することは、その瞬間は相手国に感謝してもらえるかもしれませんが、後世にむしろ極めて大きな禍根を残します。中曽根元首相の靖国参拝見送りしかり、河野洋平の談話しかり、です。
その意味では、福島原発ALPS処理水の海洋放出を、日本が国際社会の法や常識に照らして判断し、国際社会において妥当と認められるプロセスを踏もうとしていること自体、今後の日本外交を踏まえるならば、「大正解」といえるのではないでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
DHCの会長も、日本の政治家が韓国を特別扱いしなければあからさまな「嫌韓」にならなかったのでは?と思ったり。
人気キャラ「ムーミン」、DHCとのコラボを突如中止…「嫌韓」会長を挙げ「いかなる差別も容認しない」=韓国報道
https://www.wowkorea.jp/news/japankorea/2021/0825/10312456.html
DHCの会長が「嫌韓」ならば、韓国社会は「対日レイシズムに満ち溢れた社会」ですから、ムーミンには韓国社会との付き合い方を考え直して貰いたいものです。
DHC会長の発言の「朝鮮人」を「アメリカ人」に置き換えると、その発言は差別だと捉えることができますか?
ムーミンの母国フィンランドは極めて親日的な国ですが、こと歴史問題については、やはり他の欧米諸国の先入観である「日本は韓国に酷い事をした、今でも差別している」と同じ考えを持っているんですね。
やはり欧米はどこまでいっても欧米です。
欧米以外の、例えばイスラム諸国の価値観や仏教国の価値観、我々日本人は偏見を持つことなく判断したいものです。
ズラ元外交部長官は、大統領選挙の結果次第で出番がある事を期待して、自分上げの記事を書いたんだと思います。
だんな様
尹炳世さん、なんとかムンムン政権を生き抜いてまた浮上する機会をうかがっているみたい、ですね。
ちかの さま
ズラ長官は、捕まらずに凌いだだけで、優秀ニダ。
浮上する機会を伺ってるのは、何処にもいるニダ。
ズラ長官が復活して、岸田首相になったら、慰安婦合意や軍艦島の悪夢の再来ニダ。
>ズラ長官が復活して、岸田首相になったら、慰安婦合意や軍艦島の悪夢の再来ニダ。
これは同意.
慰安婦合意の責任に関しては岸田外相よりも安倍総理の責任を問うべきだと思います(実質的に我が国の宗主国であるアメリカ政府からの強い要求を外相ごときが突っぱねられるものではない.突っぱねるとすれば最高責任者である総理の決断によってのみ可能だからです)が,軍艦島の件に関しては,世界中に誤解を広める文言を入れるのを許すぐらいならば,席を蹴って速やかに帰国せよと指示するべきでした.
時代遅れの共産チャイナによる帝国主義的行動で米中対立や台湾防衛といった難問によって我が国が包囲され我が国にとって外交・軍事の重要度が増す一方の現状で,軍艦島の件などという簡単な問題一つさえ適切に処理できなかった岸田氏では危なくて任せられません.
靖国神社参拝は、個人の意思の自由であり、戦没者を慰霊する気持ちは日本人誰しもが持つものです(一部はねっかえりは知らんが)。
ましてや「WWⅡ神社」などと揶揄されるのは、特に欧米諸国が東アジア、日本の事を深く理解していない為で、同神社にはそれ以前の戦いで亡くなられた方もおられます。中韓はこの靖国神社を事の他、日本のトップ政治家が参拝される事を非難し、国内にも洗脳する。カードを得た、ですね。
しかし、中韓が何を言おうが国際社会の自由主義国、民主主義国の多数派を獲得する事によって、ALPS排水と同じく「無理難題を言う挑発国、敵性国は無視」で片付けれるようになると思います。
管理人様は上記について日本外交には不要と論じられていますが、当方はそう思いません。
常時そのような行動する隣国は論外ですが、オプションとして外道行為を行う為の準備する必要はあると思います。
具体例には常時日本が受けた不利益を金銭換算して記録しておき、韓国の破綻や戦争等で難民流入される時に「即時支払いをしなければ」要求拒否や半島の居住地からの永遠追放の理由に使用する事等が有れば良いと思います。
もちろんオプションですので、韓国が日本の友邦にたる行為をしている場合は難民の受け入れや便宜をはかる事も良いでしょう。
しかし常時オプションとして外道行為も考慮がなければ、アメリカの外圧の下、半島の亡命国家が西日本に成立して故郷を人質に取られて日本人が半島の最前線で戦う事になります。
おそらく北朝鮮も含めた拡大大韓民国は次に東日本を侵略します。
そう言うことを防止する為に「外交も」あらゆる手段を保持する必要があると思います。
以上です。駄文失礼しました。
外交政策の外道行為の有用性とデメリットを実感するには旧アヴァロン・ヒルのディプロマシーを別室1つ利用で対人遊戯する事をオススメですが、別名「友情破壊ゲーム」と言われていますので、友人へのフォロー不足にはご注意ください(笑)
まあ、そうですよね。国際法には明らかな限界がありますし、国際司法裁判所なんかもありますけどねえ。
ご指摘のように、日本が特に気をつけるべきは、違法移民や難民の問題だと思います。私は、この問題については究極的には国際法もクソもないものと思います。アメリカのように近世に明らかに先住民を征服して作った移民国家の価値判断を日本のような単一民族国家に押しつけられてはたまったものではありません。
基本、特亜3国は、古代からの腐れ縁があることをタテに日本にたかることばかり考えている連中です。この連中は、国際法など眼中にもないくせに、都合のいい時だけうまく利用します。たとえば、こういう連中のせいで、人権とか民主主義とか、人類が努力して作ろうとしている道徳価値が貶められているのだと思います。
ちょっとズレますが、私はこんな特亜の連中と縁を切る意味で、年月をかけて国語を日本語から英語に変えてもいいとすら思っています。
あのね、ことがことですから比喩を交えますが。正直者でいることは、ある意味で簡単なんです。けれども、バレないようにウソをつき続けるのは、たいへんな才能と努力を要するんですよ。韓国のように、すぐばれるウソを日常的に用いるのは論外なんですが。
で、本題。「外道」をやりたいのであれば、外道ぶりが明らかになってしまったときに開き直れるだけの軍事力をお持ちですか? ということであり、絶対に外道であることがばれないようにするだけの技術才覚をお持ちですか? でもある。
いまのわが国には、どちらもないでしょ。
なので、この件に関しては会計士氏の意見のほうが現実的だと思いますよ。
パーヨクのエ作員 さま
国益が国際法より優先する事もあると思います。
綺麗、汚いは、ある程度、相手に合わせりゃ良いんじゃないかと思います。
パーヨクのエ作員様
日本がアメリカや中国、ロシアのような自主独立の大国ならば、おっしゃる通りかと思います。
しかし残念ながら、安保を典型として日本はアメリカの完全なコントロール下にあることは誰しも否定しないでしょう。
日本が国際法を無視して強硬に物事をはかるということは、見方を変えれば国際ルールの枠組みを外れて自主独立路線に踏み出したとも言え、国際法の順守と民主主義という国際ルールの枠組みを日本にはめる事で、日本の再軍事大国化と自主独立路線を防ぎたい旧連合国諸国にとっては、「脅威」と映るに違いありません。
彼らが感じる「脅威感」により、日本への安心感と好印象度が下がるのは確実であり、それらが日本にそれなりのマイナスを与えるのは否定できないものと思います。
戦後の日本は「良い子」であることを義務づけられ、多くの日本人も唯々諾々として自ら「良い子」であるように努力してきました。
日本が本気で自主独立路線を歩み、他国からどう思われても良い、時にはアメリカと喧嘩しても良い、という気概があるのなら、おっしゃる「外道行為」はすべきでしょうし、有効かと思います。
しかし残念ながら、核武装論どころか憲法改正議論さえ否定し、自主独立なんて考えもしない国民が多い現状下、慣れない「外道行為」をしようものなら、自ら墓穴を掘ってしまうように思うのです。
本当に残念です。
皆様
当方の駄文にコメントありがとうございました。
国際法を無視、軽視する外道行為ですが、当方がこちらで書かせていただく日韓物理的隔離を実現の為には「外道行為は必ず実施する必要があります。」
日韓物理的隔離とは国際法の主権国家の対等と民族自決の原則をガン無視だからです。
リアルで外交ゲームをすると実感すると思いますが(笑)、裏切り等の外道行為を1人でやって見事に1位を取ると次回のゲームで序盤で無言同盟の基で全員からボコボコにされて、途中からxxxx国の亡霊としてボッチでゲームを観戦する破目になります(笑)。
つまり外道行為は1人(一国)でするものではないのです。
実際に外道行為で利益を日本から得たソ連ですが、実施は「アメリカからの要請」と言う大義名分を得てアメリカ等の連合国黙認で実施しています。
テキサス共和国と言うマッチポンプでメキシコからアメリカ西部を得たアメリカもモンロー主義やテキサス共和国の人間の自由を擁護(笑)と言う美名の下実施しています(笑)。
後は外道行為の被害者は既にボロボロ状態の事が多いです。
当方が韓国相手に「外道行為を行う」には
・強い又は多くの仲間がいる。
・美名や大義名分を得ている。
・韓国自体がボロボロ状態である。
の条件付きです。
つまり
周辺国家が承知の上で外道行為が為される
と言うのが理想デハないでしょうか(笑)
その時に行う為の準備は「人道的であろうが外道であろうがどちらでも問題ない」ように準備するべきです。
実行似は難しいですが、あの国は自己滅亡の可能性が高いと思います。
自国の独立を自分たちの努力で勝ち取っていないからです。
以上です。駄文失礼しました(笑)
最近、Try Me外交部長官の消息が聞けず楽心配です。北朝鮮に粛清されてしまったのでしょうか?
War Shrineは戦争神社と訳すのではなく、戦没者追悼神社と訳すべきですね。War Memorialも戦争碑ではなく普通は追悼碑ですし。これは翻訳の問題だと思います。
様
>Try Me外交部長官の消息
そう言えばカンちゃんのお噂も聞きませんねえww
靖国参拝を非難する人は、何故か護憲を声高く叫ぶ九条主義者だったりするんですよね。
思想や信教の自由は守りたくないらしい。
彼らの主張は自分の考えではなく、カルト宗教の戒律でしかないんでしょう。
きっと。
菅総理は4日の日米首脳会談の共同声明に「台湾を盛り込めばハレーションが起きる」と説明した外務省幹部に「そんなもの、放っておけばいいんだ」と言い放った。
https://www.sankei.com/article/20210821-MGJVLGYJMVKCZJNQR62BSEH3LY/
外務省は長期的な国益よりも、とにかく足をなめてでも近隣諸国と仲良くしたいことがよくわかる記事でした。
相手の言われるままに相手の気に入ることをするのは真の友人ではありません、それは上下関係の下仕えです。
ましてや相手が気にするかどうかわからないものを勝手に忖度することは優秀な下僕以外何物でもありません。
「根拠を明確にし」「信じたことを粛々と遂行する」これは、内向きにも外向きにも言えることと思います。そのための広報活動も重要ですね。
本文の中に「公式参拝」ってのがさらっと書かれているけど、現在のわが国の政教分離政策において重要なことがらなので、書かずばなるまい。
政府や自治体などの公的団体が、その予算の中からお金を宗教法人にプレゼントする行為は、法律に違反する。このことは数度の最高裁判決によって確立している。
他方、信教の自由も保証されている。
このことから明らかになるのは、
公的なおカネを奉納するのはマズイ。
私的参拝は自由にやればいい。靖国神社だろうと、聖なんとか教会であろうと、ぶっちゃけ寺だろうと。
と、こういうことになる。
争点が残るのは、公的任務で亡くなった人の埋葬だろうか。遺族の意向を無視して埋葬(多くの場合、むかしの護国社)すると、地裁・高裁は違法とするが、最高裁は合法判決を出したりする。なぜこのようなまぎらわしいことがおきるのか、その意図はよくわからないが、何が何でも政府として、あるいは公的機関として慰霊したいのであれば 千鳥ヶ淵 というものがあるのだから、活用すべきだと思う。
お虎 様
>千鳥ヶ淵 というものがあるのだから
ご存じの上でお書きなんだと思いますが、靖国神社は国の為に「戦って」亡くなった方をお祀りするための施設で、千鳥ヶ淵とは性格が違います。軍人専用と言っても良いのでしょう。
慰霊施設の在り方についての議論は現代の感覚でされることが多いので、「正教分離では~」と否定的に言われるのですが、「靖国に祀って貰える」と信じて死んでいった方の「思い」と言うのが無視されているのは、如何なものかと思っています。
勿論「靖国に祀って欲しくない」と思っていた方については、分祀を考えるべきなのでしょう。
信教の自由を言うなら、死んでいった方たちの宗教や思いについても敬意を払うべきでは無いでしょうか?
戦後すぐのGHQの教育と一方的な東京裁判によって日本人全体に贖罪の意識が刷り込まれました。普通に「戦犯」と言われますが、彼らは犯罪者なのですか。特にA級戦犯については「平和に対する罪と人道に対する罪」などと俄か作りの非常に曖昧な定義のものであり、負けた故の戦勝国側の言いがかりに近いと考えています(判断を誤った罪は重いと思いますが)
ナチスドイツのホロコーストのように例外はありますが(定義から言えばBC級戦犯になる)、自国のために戦争を行ったことを犯罪とする考え方は日本とドイツにだけ植え付けられ、「悲惨な戦争を忘れない」教育とセットで贖罪の意識は受け継がれています。中韓や諸外国に対する外交もあからさまにそれが現れていたために、つけ込まれる隙ができてしまったと言えます。
しかし、いいかげん感情論と現実はそろそろ分けて考える時期と思います。主にマスコミを中心とする日本人自身が「戦犯」なる用語を増幅して中韓へ口実を与え続けているのはブログ主様のおっしゃる通りだと感じます。
WWⅡでは英国も多くの将兵と市民が犠牲になりましたが、もし負けていれば戦争を煽ったとしてチャーチルはA級戦犯になるし、「平和に対する罪」ならばロシア・米国大統領ともA級戦犯に該当する人は大勢います。靖国神社以前に勝った側が都合よく作った「戦犯」なる用語を廃止すべきです。
私は、正直、政府閣僚の靖国神社参拝は微妙なものを感じます。だって、あの神社、パッと見は、どう見ても旧日本軍礼賛の軍事博物館にしか見えません。旧日本軍の軍服姿で記念写真を撮るお爺ちゃんグループもたくさんいましたし(20年以上前ですが)。私は学生時代、高い旅費を使って靖国神社に行き、寄付までしましたが、本当の目当ては、〝九六式十五糎榴弾砲” を見るためだったのです。因みに、そのとき初老の方が近づいてきて、「私は沖縄戦で、山の上からこの大砲を撃ったんですよ。40分も撃ったら、砲身が熱で真っ赤になるんですよ。」と説明してくださりました。想像以上に大きな大砲で、迫力満点だった記憶があります。
まあ、あそこに日本の閣僚が参拝することについて、一時とはいえ同じ日本人だった朝鮮人が非難する資格は全くありませんが、シナ人においては、どうかと思います。やはり、少なくとも表向きには対外的にマズいと思います。別に施設を作ってやった方がいいのではと、私は思ってしまいます。
匿名2様
>一時とはいえ同じ日本人だった朝鮮人が非難する資格は全くありませんが、シナ人においては、どうかと思います。
同意です。
日本が受け入れたサンフランシスコ講和条約上、韓国(朝鮮)は戦勝国扱いにはなっていません、当時の朝鮮は日本の一部、朝鮮人も日本人として中国と戦ったので、少なくとも南北朝鮮は、靖国で日本を批判する資格は全くありません。
アメリカの恩恵で、対日本においてのみ戦勝国扱いになりましたが、それが過去から現在に続く韓国の日本に対する暴虐の主因のひとつとなっており、アメリカの外交政策の大きな誤りであったと思っております。
>対日本においてのみ戦勝国扱いになりましたが、
白人は有色人種を統治するとき、必ずといっていいほど、そこに異分子を抱き合わせて牽制させます。しかし、現状を見ると裏目に出ているようですね。勝手にヤルタ会談など舐めたマネをしたつけが回ってきたのですから、朝鮮半島は何があっても全部アメリカに責任を持たせましょう。日本はもう朝鮮半島および朝鮮民族を助ける義務など一切無いのですから。
神社は死者や万物に宿るとされる霊を鎮める事を目的として存在しています。
死者などの霊が怨霊となって災いをもたらす事の無いよう祀るのです。
英雄として祀っている訳ではありません。
外国人ばかりで無く日本人も英雄崇拝と誤解している人が多いようです。
政府も一度はっきりと説明したらどうですかね?
私は決して靖国否定派ではないとまず強調した上で言いますが、靖国神社(及び護国神社、招魂社。以下同)が特殊な神社であり、他の神社とは成り立ちや性格が異なるという点は否定できません。靖国神社はあくまでも国家神道の産物であり、明治期以降に創建された明治神宮や東郷神社などと較べても全く性格が異なります。
靖国神社は、日本国または大日本帝国という国家のために命を落とした方々を神道の形式を借りて悼み、祀る場所であり、まずは国家ありきなのです。従って、本来は国家によって護持されなければならない施設でもあります。現在では、憲法上の制約によって、国家護持とはできませんが、性格としては、例えばアメリカのアーリントン墓地のような存在であり、本来ならば政府首脳が詣でても問題ないどころか、むしろ責務とさえ言えます。
個人的には、国家のために命を落とされた方々を神道の形式で祀ることを、日本古来の宗教観に照らして何ら不都合であるとは考えませんので、靖国を護持していくことに何ら奇異の念を感じることはないのですが、日本古来の宗教観が理解できない人たち、あるいは否定したい人たちから見れば、国家神道という禁止された邪教の施設であるかのように映る可能性があるのは、ある意味避けがたいことであるのかもしれないと思います。
また、靖国が国家神道の産物であるとするならば、一定程度政治性を帯びることは避けられません。しかし、その政治性は国内や国民に向けられたものであり、国外に対しては意味を成しません。つまり、靖国の問題はあくまでも内政問題なのであって、他国からガタガタ言われる筋合いのものではないのです。
このように考えると、靖国に閣僚や議員が詣でた際に、他国がガタガタ言うのは明らかに内政干渉に他なりません。しかしながら、不必要な誤解を避けるべく、説明に努めるべきということはあるでしょう。とは言え、きちんと説明するのはかなり難しく、また説明しようとしても聞く耳持たない相手もいますので、ますます容易ではありません。
「難しい」と言っているだけでは何も進まないではないかというご批判は受け止めますが、ならば「神道」の概念、そして国家神道の特異性、そしてそれらを踏まえた上での靖国の位置づけを英語で説明しろと言われたら、すぐに対応できるでしょうか?
# 一応、私自身はある程度の解を持ってはいるつもりです。ここでは書きませんが。
国家神道は,我が国の守り神とも言うべき天照大神を祭る伊勢神宮を頂点とし天皇陛下をその祭司役の頂点とする日本古来の自然との調和を尊ぶ本来の神道の精神とは随分とかけ離れた全くの別物です.
言うまでもなく,この国を護るために命を落とされ靖国神社に祀られている英霊の方々に対しては深い感謝の念を抱いていますが,それと同時に靖国神社に関しては以下のような思いを抱かずにはいられません.
誤解を恐れずに言わせて頂くと,国家神道は薩長主体の新政府による統治を正当化するために,徳川幕府が統治者としての自己の正当性を根拠付けようとして導入した朱子学を再び利用して,それに神道という古来から日本国民に親しまれて来た仮面を被せて明治時代にでっち上げたに過ぎない代物です.
そして朱子学という理不尽で非合理的な宗教に基づく「信念」がこの国の進路を大きく誤らせたのは事実であり,押し付け憲法であろうと何であろうと,政教分離を憲法で定めて今に至るまで政教分離を削除してはいないのです.
であるならば,日本は英霊を祀る場所として,靖国神社という国家神道なる特定宗教のみによる施設(しかも形式上は国営でなく民営!)は相応しくなく,例えばアメリカのアーリントン墓地のような多宗教(祀られる人やその遺族の希望する宗教)で祀る国家施設をきちんと作り,そこに政府の閣僚や官僚でも一定レベル以上の高級官僚は定期的に報告に行くのが筋です.
靖国神社と国家神道とは所詮は僅か150年ほど前にでっち上げられたに過ぎません.新参者に過ぎないアメリカ合州国の歴史よりも更に短いのです.伝統などという言葉でその価値・意義を正当化できるほどの長い歴史を靖国も国家神道も持っていないのです.同じ「神道」という言葉を使っていても伊勢神宮や本来の神道とは比べ物にならない非常に短い「伝統」と呼ぶのさえ憚られる経歴しか靖国は持ち合わせていません.
そんな短い似非「伝統」に縛られず,宗教の自由を認める自由民主主義に基づく近代国家として,多宗教の国営慰霊施設をきちんと建設し,靖国に祀られている方々や自衛隊で業務中に亡くなられた方々はそちらで(も)祀る(既存の英霊を靖国が手放さないというのならば「今後は政府は協力しないが御勝手に」ということです),閣僚らは我が国の節目節目にはそちらに参内し,英霊に報告すれば良いのです.
(現時点では現実問題として英霊の方々をお祀りしているのは靖国神社しかないので,今までは「総理大臣は靖国神社に参って英霊の方々に御報告申し上げるべきだ」と書いて来ましたが,本来は靖国でなくきちんと多宗教国営慰霊施設を用意して我々日本国民が納めた税金で維持すべきだと考えているということです)
確かに靖国神社は明治維新以来の薩長による政治の精神的支柱であったのかもしれませんね。
国民に犠牲を強いるための装置として。
※なんか左翼みたいな表現になってしまいますが。
私は太平洋戦争に至る過程は明治維新以来の薩長主導の成功体験が大きく影響していると思っています。
靖国神社の問題は神社が設けられた意図と戦死した方々の思いがずれてしまっている事かも知れません。
どちらを尊重するのかという事かも知れません。
お疲れさまです。
人権、言論の自由、報道の自由を大切にする国と、それと対極に国家のいうとうりに従わせる国とに世界は分かれ始めたような気がいたします。
韓国は国民が真実を知るより、自分のでっち上げた歴史に従わせるような、言論統制の法律ができるかもしれないという国になってきました。
日本とは、類は友を呼ぶの反対になってきたように思います。
>“国際社会は法と正義だけのキレイごとで動いているものではない
>日本もときとして汚い手を使ってでも国益を実現させるべきだ”
>はて。
>そうでしょうか。
>事実関係を調べていくと、むしろ「国際法や国際社会の常識」をないがしろにする国が、長い目で見て国際社会の支持を得ることはないということくらい、すぐにわかりそうなものです。
はて,そうでしょうか.
長い期間,世界の覇権を握ったアメリカやイギリスは常に国際法を順守する優等生だったでしょうか? 米英に限らず仏独伊露など主要国と呼ばれる国々が国際法の優等生だったでしょうか?
東京軍事裁判は事後法によって裁き死刑にするという立派な国際法違反ですね.また占領側が被占領国に対して憲法を押し付けるのも立派な国際法違反です.広島・長崎への核攻撃も国際法違反ですし,東京等の主要都市に対して,住宅の木造は多い日本においては住宅に特に効果的な焼夷弾による攻撃も非戦闘員を狙った立派な国際法違反です.(工場などの施設は当時でも木造でないケースが少なくなかったから焼夷弾では効果が薄く工業施設への爆撃は焼夷弾でなく炸薬を詰めた通常爆弾などを使用していることから,東京大空襲などでの焼夷弾使用は下町の住居や町工場が木造であることを狙ったことは確実)
また国益を守るのに汚い手を使うか否かに関しても,米英に限らず主要国ならば汚い手は幾らでも使っています.
そもそもが日本自身にしても日露戦争の時は正々堂々となど戦っていません.日英同盟を活かしてバルチック艦隊が「元気に日本海まで来て正々堂々と全力で戦」えないように徹底妨害し,ロシア国内で萌芽が成長しようとしていた共産主義革命に資金を流してロシアを内側からも荒らして日露戦争に集中できないようにしようとしたのです.
国際法に露骨に違反するのは確かにNGです.そんなことをすれば世界中から信用を失い,既に結んでいる同盟も長い目で見れば相手から切られてしまう可能性が増すでしょう.
ですが,全ての法律にはグレーゾーンがあります.だからこそ裁判が必要だし裁判官によって同様のケースでも判決が異なり得て,刑事事件の場合には量刑はおろか有罪無罪さえ異なり得るのです.様々な国際法とて例外ではありません.
このグレーゾーン,言い換えれば「正当だ」と言い逃れ可能な範囲は国益のためならば躊躇せず有効に活用すべきものです.勿論,それを常用していては胡散臭い印象を与えて長い目で見た国益を損ねる可能性が増すでしょうが,目前に守らねばならない大きな国益が懸かる問題があり,妥当なコスト(金銭的なものに限らない)の代替手段が無い場合には国際法のグレーゾーンを突いて国益を守るのは大いにアリだと考えます.
また力のある相手と力のない相手とで相手の要求に妥協するか突っぱねるかといった対応を変えるのは一般社会では「ズルい奴」とか「汚い」と見られるのが普通ですが,外交においては当たり前です.絶対にやってはならないのは,自国よりも確実に格上の強い国と戦争をする(そして当然ながら負ける)ことです.その結果がどうなるかは,日本自身がこの76年間で学んだことです.
逆に国益上で必要ならば,自国よりも弱い相手を自国との戦争に追い込むのは十分に考慮すべき選択肢です.ちょうどアメリカが日本に対して行ったように,です.そして現代の日本の国益に関して言えば,例えば日本に核を撃ちたくてウズウズしている韓国に対する防衛という重大な国益をどう守るかという問題の解としてです.
なお最後に誤解を招かないように断っておきますが,私は反米ではありません.単にアメリカが実際に日本に対して行ったことを事実として指摘するだけです.
そもそも日本という国は地政学的に見て残念ながらスイスのように他国と軍事同盟を結ばない形では国としての独立を守れません(※).必ず他の大国と同盟を結ぶ必要があり,その大国としては米中ロの3ヵ国しか選択肢がありません.そして見通せる将来においては,それら3ヵ国の中ではアメリカが同盟相手として一番マシなのは明らかです.ですから現在も近未来も日本から日米同盟を切るなどというのは論外中の論外だし,そもそも国民の意識が孤立化に向かいつつあるアメリカの方から日米同盟を切られる事態に良く注意し必ず阻止する必要があると思います.
注※:スイスにしても,現代のように国防に使用する兵器が高度化すると自国では全く賄えません.例えば,現代において戦力となるレベルの戦闘機をスイスが独自開発するのは現実問題として不可能です(その不可能に近いことをつい最近まで続けて来たのがスウェーデンですが,スウェーデンも遂にグリペンの次の戦闘機は英国のテンペスト計画に乗って共同開発することになるようだ).従って,スイス国防軍が使用する戦闘機は他国製の輸入になりますが,他国製戦闘機を使用するということは,戦闘機を戦力として維持するのに必要な補修部品を必要な時に必要な量だけ供給を受けられねばスイスの防空が破綻するということです.つまり,スイスは空の安全保障の急所を戦闘機の供給国等に握られており,その国とは軍事同盟関係ではなくとも決定的に対立する外交上の選択は不可能になったということです.そういう意味で,兵器を他国に依存する国は「完全な中立」では居られないということです.そして,他国に兵器を依存しない国など,軍事技術が高度化し多岐に亙る現代では米中ロの3ヵ国しか存在し得ません.残る可能性はEUですが,欧州がEUとして纏まっても兵器の自給自足が可能になるかは疑わしい. ※終
まあ「国際的な法と常識に従って行動すること」は手段であって目的ではないと言うことですな。
なるほど,国際法や国際常識に従って行動するのは手段であって目的ではない,それは良い指摘ですね.