文在寅氏「米国は北朝鮮と対話を」=米紙インタビュー
トランプ氏は土曜日、「文在寅氏は指導者として弱腰」と反論
かつてどこかの国の首相が米国内で「ルーピー(loopy)」と呼ばれていた、という話題を聞いたことがある方も多いと思います。日本の場合はたった266日の在任期間で日米の信頼関係が崩れ、安倍政権下でも持ち直すのに苦慮したほどですが、もしもこの人物が5年間首相を務めていたらどうなったかと思うと背筋が凍ります。そして、このルーピー氏に劣るとも勝らない能力をお持ちの人物が先週、米紙ニューヨークタイムズのインタビューに応じたようです。
2021/04/26 11:45追記
本文中、“He beat around the bush and failed to pull it through.” を「トランプ氏はやみくもに殴るだけで問題を解決できなかった」と訳している箇所がありますが、これについては「トランプ氏は問題の核心と直面することを避けた結果、問題を解決できなかった」の方が適切ではないかとのご指摘を頂きました。芽島津様のコメントの趣旨は次のとおりです。
「ちょっと本題には関係ありませんが、 “to beat around the bush” というのは、『問題の核心と直面することを避け、回りくどい対応をする』という意味の慣用句です。」
芽島津様、貴重なご指摘を賜り、大変にありがとうございました。
先週の文在寅氏のインタビュー記事
米紙ニューヨークタイムズに先週、こんなインタビュー記事が出ていました。
After Trump ‘Failed,’ South Korean Leader Hopes Biden Can Salvage Nuclear Deal
―――2021/04/21付 ニューヨークタイムズより【2021/04/23更新版】
記事の初出は4月21日です。
記事タイトルにある “South Korean leader” や本文に出てくる “Moon Jae-in” とは、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領のことです(※英字メディアでは “South Korea” という表現は一般的ですが、本稿ではあえて「南朝鮮」「南韓」ではなく「韓国」と意訳していますのでご注意ください。)。
これは、ニューヨークタイムズのソウル支局長が文在寅氏に対してインタビューを行ったというものですが、ヒトコトで要約すれば、「ジョー・バイデン米大統領はもっと北朝鮮と対話すべきだ」、でしょう。
本稿では内容を部分的にしか引用しませんので、「気になる」という方はリンク先記事を直接読んでください(※ただし、リンク先記事は全文が英語であり、かつ、有料契約がなければ読めない可能性がある点にはご注意ください)。
「米国は北朝鮮と対話せよ」
最初に気になる点があるとすれば、次のような趣旨の主張です(以下、引用するに際してかなり要約している場合もあります)。
「米国は北朝鮮との対話路線に戻るべきだし、気候変動などの諸懸案で中国との協力を深めるべきだ。米中対立が激化すれば、北朝鮮はその状況を利用するだろう」
ニューヨークタイムズの支局長は、これについて「来月の米韓首脳会談を控え、文在寅氏は米朝仲介の役割を再び担うつもりに見えた(appeared ready to step once again into the role of mediator between the two sides)」と指摘していますが、この指摘は正しいのでしょう。
実際、文在寅氏はこの期に及んでなお、米国に対し「(2018年6月の)米朝共同宣言の精神に立ち返るべき」、などと述べているからです。
ただし、文在寅氏はドナルド・J・トランプ米大統領について、次のようにも評しています。
「トランプ氏はやみくもに殴るだけで問題を解決できなかった(He beat around the bush and failed to pull it through)」。
トランプ政権の在任期間中に北朝鮮非核化が達成できなかったことをこのように皮肉った、ということでしょう(※むしろ個人的には、「北朝鮮制裁を妨害しておきながら、この人はいったい何を言っているのだろう?」という感想を抱きますが…)。
「米国はトランプ政権の路線を継続せよ」
そのうえで、ニューヨークタイムズは文在寅氏が「任期の最終年を迎え、トップダウン方式のトランプ氏とはまったく異なったタイプのリーダーであるバイデン氏と対峙しようとしている」と指摘。
おりしも現在、バイデン政権がトランプ前政権の外交政策の見直しを行う一環として、北朝鮮政策についても見直しを実施していますが、これに対し文在寅氏は「2018年のシンガポール合意の精神を殺すのは大きな過ちだ」としたうえで、次のようにも述べたのだそうです(※少し順序を変えて引用しています)。
- “I believe that if we build on what President Trump has left, we will see this effort come to fruition under Biden’s leadership.”
- “I hope that Biden will go down as a historic president that has achieved substantive and irreversible progress for the complete denuclearization and peace settlement on the Korean Peninsula.”
意訳すれば、バイデン氏に対し、「トランプ政権が敷いた北朝鮮非核化などの路線を変更すべきではない」、「朝鮮半島和平と完全な非核化の偉業を達成する歴史的な大統領になってほしい」、という要望、というわけです。
では、具体的に米国が何をすれば良いのか。
文在寅氏は米朝両国が非核化を「段階的かつ漸次的(gradual and phased)」に進めなければならない、としたうえで、鍵となるのは米朝両国が「相互に信頼できるロードマップを作成すること(to work out a “mutually trusted road map” )」、と述べています。
てんでお話にならない
端的に言えば、「お話にならない」というレベルの認識ですね。
おそらく、文在寅氏は自身が米朝両国の交渉の「仲介人だった」と自負しているのだと思いますが、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏に言わせれば、これは米朝から「仲介役」をもらったに過ぎません。
デイリー新潮の2019年6月29日付『北朝鮮が韓国に“仲介者失格”の烙印 それでも文在寅が続ける猿芝居の限界が来た』という記事では、次のように指摘されています。
「米国は米朝交渉の邪魔をされたくなかったので、韓国の顔を立てて『フリ』をすることを許した。一方、北朝鮮は韓国を使って米国を騙そうとした。」
要するに、韓国に米朝仲介の邪魔をされたくなかった米国と、韓国にドルを送金させたい北朝鮮の思惑が一致して、韓国に「仲介役」を演じさせた、というのです。
それなのに、自分たちが「運転席に座っている」と勘違いした文在寅氏が、『国連安保理決議第2375号』(2017年9月11日)や『国連安保理決議第2397号』(2017年12月22日)などの国際社会による北朝鮮制裁を撤回させるべく動いたわけです。
その結果こそが、米国、北朝鮮の双方から不信感を持たれて交渉の当事者から外されたという現状を招いたのでしょう。
さらには、「段階的な非核化」という表現も、噴飯物です。
日本だと「行動対行動」「段階的非核化」は日本共産党あたりの主張とそっくりですが、これまでさんざん、国際社会を騙してきた北朝鮮が、段階的非核化に応じるはずなどないことは明らかでしょう。
「この核実験場を閉鎖した」、「このミサイルを破棄した」などと小出しに非核化を演じつつ、実際には核開発・ミサイル開発を継続して来たのがこれまでの北朝鮮の歴史でもあるからです。
トランプ氏は「文在寅氏こそ指導者として弱腰」と批判
ちなみに、今回のインタビューで名指しで批判されたトランプ前大統領は、文在寅氏のことを巡り、在外米軍の駐留経費問題などを巡って「指導者、交渉人として弱腰だった」と批判。「韓国が長期にわたって継続的に米国の軍事力にタダ乗りしてきた」と述べたのだそうです。
トランプ氏、文大統領を批判 「指導者として弱腰」
―――2021年4月24日 16:13 付 AFPBBニュースより
いずれにせよ、米国の政界は少なくとも、もはや文在寅政権をまともに相手にせず、「ポスト文在寅」に期待をかけているフシがありますが、米政権関係者はこのニューヨークタイムズの記事を読んでいるでしょうから、こうした傾向は加速するでしょう。
その意味では、文在寅氏がニューヨークタイムズのインタビューに応じたことは、おそらくは逆効果だったのではないかと思う次第です。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
かつて、米国内で「ルーピー(loopy)」と呼ばれた某国の首相がいたそうですが、文在寅氏の能力もこの「ルーピー」氏に劣るとも勝らないほどであるという実態が、少なくともワシントンでは改めて常識となりつつあるでしょう。
この方の政権は266日で瓦解しましたが、もし日本でもルーピー氏が5年間執権していたとしたら、いまごろ日本はどうなっていたかと思うと背筋が凍ります。
いずれにせよ、文在寅氏が「最終的かつ不可逆的に」破壊したのは、日韓関係だけではなかったのかもしれませんね。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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>「トランプ氏はやみくもに殴るだけで問題を解決できなかった
>(He beat around the bush and failed to pull it through)」。
ちょっと本題には関係ありませんが、 “to beat around the bush” というのは、「問題の核心と直面することを避け、回りくどい対応をする」と言う意味の慣用句です。
芽島津 様
ご指摘ありがとうございます。引き続き当ウェブサイトのご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
ところで、政権交代後のホワイトハウスの「文在寅ファンクラブ」の現状を知っている方はいらっしゃいますか?
「文在寅不安フラグ」の間違いでは・・?
なるほど!
ハングル表示では区別出来ないかも。
韓国関連については、トランプ→バイデンに引き継がれ、事実の検証まで終わったんじゃないかな。
この話題で真っ先に浮かんだのは「おぼれた犬は棒で叩け」とかいうアレです。トランプ氏が大統領職を終えたら、もう敬意も何もなしで叩きに回るという。
仮にも”アメリカ前大統領”を口汚く罵ったら、アメリカ(少なくとも当時の)を侮辱していると取るアメリカ人も居るし、減ったにせよトランプ支持を続けている人間もいるわけで。どうも韓国人の多くは「バイデンとトランプは全く方向性の違う政治家」であるとするあまり、「しかし等しくアメリカのリーダーである」という所が全く見えていないような。そのリーダー達が考え方が違う上でも同じ方針で動かしている案件にこんな侮辱をくわえても、バイデンへのエール(摺り寄り)にはならないのですが。韓国で前大統領をこきおろすのは正義の行いであって、想像しにくいのか……
そういえば日本人が「朴槿恵はダメだ!」と罵ったら、韓国人、特に頭壊文はどう反応するんでしょうか。
更新ありがとうございます。
ニューヨークタイムズの文大統領のインタビュー、内容は無いヨ(笑)。皆さまスミマセン、ダジャレは本当は嫌いなんです。相変わらず北との悲願統一を言外に言いまくってますねー(笑)。
文大統領によると、「米朝両国が相互に信頼できるロードマップを作成すること」(嘲笑)がキモだそうです。しかし、ロードマップ?もっと具体的な事を言えよ。どうせ1年後には牢屋行きなんだから!このまま消えたい心境かな。南朝鮮の大統領は、皆不幸な晩年を送る。不幸次いでに崖から、、
(苦笑)。
米政府は協議を行うことを水面下で北朝鮮に打診しており、これに北朝鮮が応じていないことを知っている文氏の「米国は北朝鮮と対話を」とは、ワシをもう一度仲介役にしてくれれば対話を実現させるよ、とのラブコールです。
ここで再度米朝会談を実現させれば、選挙選を巻き返せると考えている筈です。
しかし、前回の実績?を知っている米朝ともその手にはもう乗らないでしょう。前回の破談を招いたのは双方に都合の良いことだけしか伝えなかった自分の仲人口だと気付いていないようで、米朝とも次は直接対話を考えていると思います。まあ、同席くらいは許されるかもしれません。
武藤元韓国駐箚大使は、文在寅氏が大統領に就任する前から「彼は北朝鮮のことしか頭にない」と喝破し、警鐘を鳴らしてきました。それに対し、当時の(自称)識者たちは「そんなバカな」と取り合おうとしませんでした。結果としては、皆さんご承知の通り、武藤元大使の観察が正鵠を射ており、(自称)識者たちは悉く間違っていたわけです。要するに、文大統領としては、対日はもちろん、対米も、そして対中でさえも、対北朝鮮においてどうやって利用できるかという観点しかありません。
そんな文大統領にとって、シンガポールでの「成功」は彼の目指すところに一番近づいた(ように見えた)瞬間だったので、なんとしてでもそこまで引き戻したい、そしてその先の制裁解除に繋げたいという願いで頭がいっぱいになっているようです。
実際には、シンガポールの「成功」も単なる幻想で、彼は一種の隠れ蓑として仲介役を演じさせてもらっただけで、会談そのものには何一つ貢献しておらず、それどころか双方に仲人口をきいた結果、ハノイの破局に繋がったということを本当に理解できていないのか、それとも理解したくないのかはわかりませんが、「成功の夢もう一度」に固執しているだけです。
来月に予定されているという米韓首脳会談が本当に実施されるのかどうかよくわかりませんが、文大統領は間違いなくその話題を持ち出そうとするでしょう。バイデン大統領がにべもなく断るのもほぼ確実です。下手をすると、その時点で会談自体が終了してしまう可能性だってあるかもしれません。
ところで、いまいちよく分からんのは、アメリカ政府は何故首脳会談を受けたんでしょうね。国務省&国防総省の鶏肋派が懸命に働きかけたのかな?
文氏は自分に都合の悪い事は認識しない(出来ない?)から、北朝鮮を(彼自体意識しなかった北朝鮮に対する欺瞞と無能によって)怒らせてしまったし、信用もされなくなったから、米朝間の仲介人としての生命は終わっているでしょう。
私にとって不思議なのは、朝鮮半島の社会には「律義にコツコツと信頼関係を築き上げる」というコンセプトが欠落しているのに拘わらず、一応カタチだけは成り立っている事です。
また、「常習的にウソを吐き、約束を守らないと証明された人々」も社会の表で活躍を続けられる事です。
(日本にも、朝日新聞とかがあるので、あまり大きな事をいえませんがね。)
韓国社会は「信頼関係」の代わりに「上下関係」で成立っているいるから、「現状認識能力」は余り重要では無く、代わりに「自分に都合が悪い事は無視し、必要ならウソを吐き、約束を破り、さらに相手を声高に、そしてムリヤリやり込める能力」が重視されるのかも。
「自称元慰安婦問題」、「自称元徴用工問題」、そして「哨戒機レーダー照射事件」を理性的、理性的に対処しようとしてもムダである所以です。
新大久保彦左衛門様
龍様がいつもおっしゃっているように、韓国人にとって「事実」はどうでもよく、「真実」(=こうあるべき、こうありたい)が重要だということなのでしょう。
朱子学の理気二元論でその韓国人の脳内構造を解説していたどなたかのブログを読んだ記憶がありますが、その際なるほどと納得したのを覚えています。
PONPON 様へ
質問です。「PONPON 」という名前の由来を教えてください。
もしかして、チアガールが両手に持っているものでしょうか。
名無しの権兵衛様
昔からハンドルネームは、PONTAやポンといった破裂音系の名前を使うことが多かったです、特に理由はありません。
コメントしたい記事があった場合、即座に反応してしまう癖がるので、頭の中で無意識的に破裂音がなっていることを自覚しているのかもしれません。。
確かに、チアガールのぽんぽんが頭の中で揺れているのかも、です。
PONPON様、
>龍様がいつもおっしゃっているように、韓国人にとって「事実」は
>どうでもよく、「真実」(=こうあるべき、こうありたい)が
>重要だということなのでしょう。
思慮深い返信を有難う御座いました。
仰るとおりだと思います。
私にとって不思議なのは、儒教・朱子学においてはこの根本的に重要な『「真実」(=こうあるべき、こうありたい)』はどのようにして客観的に正当化、或いは証明するかの概念が無い事です。
だから朝鮮半島の住人の方々は、「客観的根拠のない、主観的・情緒的な思い込みを真実として疑わず、盲目的にそれを回りに触れ回る」と言う愚行を繰り返すのでしょう。
韓国人の方々が身内の範囲で愚行を繰り返すのならば放っておけば善いのですが、実際には韓国から出て遠征して(インターネット経由のバーチュアルを含む)日本に対しての敵対行為を使命感を持って行うから本当に始末に悪い。
先日の日米首脳会談で北にはCVIDを求めていくことを再確認したばかりなので、文在寅の主張は既に完全に否定されてるはずです。この後に及んで巻き返せるとでも考えているのでしょうか。
米韓首脳会談も米中どちらにつくのか踏み絵を迫られるだけで、あとは文在寅がどの程度冷遇されるのかが見どころと思います。
今の状況で、顔を合わせて、米国の話が通らなかったら、即座に戦争になりそうなのですが。
文大統領は、分かっているんでしょうか?