N国党がゴルフ党?民主党?それともペンディング党?
NHK、ゴルフ、民主党――。何の話をしているのかといえば、「あのワンイシュー政党」が政党名をコロコロ変えるつもりだ、というものです。正直、個人的にはN国党がどうなろうが知ったことではないのですが、同党(というよりも同党首)の迷走ぶりを見るにつけ、どんな国政上の課題であったとしても、結局は私たち有権者が賢明になり、選挙で「よりマシ」な候補に投票し続ける以外に、この国を良い姿にしていくことはできないのだと言わざるを得ないのだと思います。
理解に苦しむ立花孝志氏の行動
政治に関心がない人であっても、立花孝志氏を知っている人は多いでしょう。
昨年夏の参院選では華々しく「NHKをぶっ壊す」などと発言し、また、NHKを使った政見放送では、写真週刊誌『フライデー』が2016年7月に報じたNHKの男女のアナウンサーの不倫疑惑を過激な表現で強調するなどして話題を博した人物です。
結局、立花氏が率いる「NHKから国民を守る党」(N国党)は、参院選では選挙区の全国得票率が2%を超え、比例区で1人(党首である立花氏)が当選したため、「政党交付金」の交付対象となる政党要件(※)を満たしました。
(※政党助成法の規定によると、政党交付金の交付対象となるのは①所属国会議員が5人以上の政党か、②所属国会議員が1人以上であり、かつ、前回の衆院選、前回の参院選、前々回の参院選のいずれかで全国を通じた得票率が2%以上だった政党です。)
ただ、その後の立花氏の行動は、なにかと理解に苦しむものだったこともたしかでしょう。
立花氏はせっかく参議院議員になったのに、2019年10月には参院選の補選への立候補を届け出て失職。その後は神奈川県海老名市長選、奈良県桜井市長選、東京都小金井市長選などに立候補し、すべて落選しています。
さらに、今年7月の東京都知事選では、「ホリエモン」の愛称でも知られる著名人の堀江貴文氏の名前を借りた「ホリエモン新党」なるものを立ち上げ、選挙ポスターでは立花氏の両脇を都知事選に立候補もしていない堀江貴文氏の顔写真ポスターが並ぶという異様な光景が見られました(図表)。
図表 東京都知事選の選挙ポスター
(【出所】著者撮影)
これについては当ウェブサイトの『東京都知事選の総括と今後の動向』でも報告したとおり、立花氏の得票数は43,912票(得票率0.72%)で6位に留まりました(ただし、2016年の東京都知事選と比べれば、立花氏の得票数はほんの少し増えていますが…)。
国民を舐めすぎていませんか?
立花氏のなかではさまざまな選挙に出まくるというのが何らかの合理性を持っているのかもしれませんが、正直、一般の日本国民の多くは、こうした立花氏の行動に「理解できない」という反応を示しているのではないでしょうか。
こうしたなか、当ウェブサイトではあえて紹介しなかったのが、次の話題です。
N国が「ゴルフ党」に名称変更へ 立花氏「新たな看板追加」
―――2020.11.13 20:14付 産経ニュースより
産経ニュースによると先月13日、立花孝志氏は「次期衆院選をにらみ」、政党名を「ゴルフ党(NHKから国民を守る党)」に変更すると述べたのだそうです。しかも、産経によれば立花氏は次のように述べたのだとか。
「選挙のたびに新しい看板(となる政策)を追加すると考えてもらえばわかりやすい」。
ということは、この「ゴルフ党(NHKから国民を守る党)」には、次期衆院選でNHKという「ワンイシュー」ではなく、NHKとゴルフという「ツーイシュー」になる、ということでしょうか。
どうも理解できません。
そして、この「どうにも理解できない動き」の続きが、これでしょう。
【動画】N国の立花孝志「党名は民主党にします!」 ゴルフ党どうなったのか?(追記)
2020年12月4日の13時からNHKから国民を守る党の立花孝志が党幹部記者会見を行った。<<…続きを読む>>
―――2020/12/05 00:32付 ニコニコニュースより【ゴゴ通信配信】
リンク先記事によれば、立花孝志氏は先週金曜日の午後1時からの記者会見で、党名変更について次のように述べたのだそうです。
「今日このあと私が総務省に自ら行って申請します。党名は民主党です」。
ゴルフ党なのか、民主党なのか。
どうも予測がつきません。
ちなみにこの記事には「追記:2020年12月4日 22時00分」として、N国党の大橋昌信副党首は次のように投稿した、と記載されています。
NHKから国民を守る党
↓↓↓
ゴルフ党
↓↓↓
民主党
↓↓↓
ペンディング党👈イマココ
なぜ民主党にしようとしたのかといえば、「自民党が嫌いな人が間違えて民主党という名前の党に入れるのを狙ったからだ」、とも記載されています。有権者を誤認させて票を稼ごうとするというのは、少し私たち日本国民を舐めすぎではないでしょうか。
N国党はどこに行く?
さて、現在のN国党には、所属国会議員は2人います。1人が立花氏の失職に伴い参議院議員に繰り上げ当選した放射線科専門医の浜田聡氏、もう1人が「日本維新の会」を除名された丸山穂高衆議院議員です。
調べてみると、浜田氏は真面目に議員活動を行っているらしく、また、毎日のように地道にYouTubeに開設したチャンネルへの動画投稿や個人ブログへの投稿を行っているようですが、残念ながら、知名度では立花氏に及ばないようです。
また、丸山氏はもともと知名度があったということもあり、ときどきその発言や質疑などが注目されるということもあるようです(その一例については、先月の『丸山穂高議員がNHK全世帯徴収案に「なめとるな」』でも触れました)。
ただ、両氏の「努力」(?)は認めるにせよ、やはり「N国党」といえば立花氏、というイメージが強いためでしょうか、どうも各メディアの世論調査で見ても、N国党に対する支持率は振るいません。
もしかすると、むしろ立花氏の「パフォーマンス第一主義」が呆れられていて、N国党に対する期待外れが失望に変化しているのかもしれませんね。
民主主義国家をより良くするためには?
さて、NHK改革を巡っては、さまざまな意見が存在します。
当ウェブサイトにいただくコメントを眺めていても、「NHK改革は必要だ」とする意見が多いように思える半面、「NHKは必要だ」とする読者コメントをいただくことはありますが、ただ、ここで必要なことは、(NHK廃局論まで含めて)世の中にはさまざまな意見が存在する、という事実です。
正直、昨年の参院選でN国党に投票した人たちは、立花氏が口癖のように叫んでいる「NHKをぶっ壊す」を信じたのだと思いますし、それが良いことか悪いことかは別として、「NHK改革」を旗印にすれば一定の支持が得られることが示されたという意味では、なかなか意義深い選挙だったと思います。
その意味では、非常に失礼ながらN国党の存在意義とは、「国民の多くが疑問に感じていることを選挙で訴えたら勝てる」という可能性を示したということであり、まことに残念ながら(?)N国党はその一石を投じたということをもって、その役割を終えたのかもしれません。
もっとも、これを敷衍するならば、「財務省から国民を守る党」、「消費税から国民を守る党」、「マスコミから国民を守る党」など、さまざまなワンイシュー政党が成り立つ可能性はあるでしょう。
この点、個人的な希望を申し上げるならば、ワンイシュー政党が乱立するのではなく、既存政党がまともに国民の声を傾聴するようになるということですが、普段から申し上げているとおり、これは結局「ニワトリと卵」のような関係にあります。
良い候補が出れば私たち有権者にとっての選択肢は増えますし、私たち有権者が賢明に行動すれば、良い候補が当選します。良い候補が当選するということが明らかになれば、さらに良い候補が選挙に出ようとするでしょう。
結局、選挙とは、「生ごみの中からまだ何とか食べられるものを漁る」ようなプロセスですが、それでもマシな候補に投票し続ければ酷い候補が当選できなくなりますし、今度はよりマシな候補同士でさらに競争が発生します。
だからこそ、結局私たちは選挙に行かねばならないのだと、あらためて申し上げておきたいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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立花氏の「早々の職務放棄」は有権者に対する冒涜ですね。
言うだけ番長では民心は得られないのです。
このまま求心力を無くし続けると、彼は会見どころか立ち話もままならなくなってしまうのかと・・。
「立ち話 立花氏には 立場なし」
*五七調にしてみました。
m(_ _)m
本職はYoutuberと誹謗中傷示談ビジネスだそうですから
ブログ主様が仰る通り、立花氏は国民を舐め過ぎている、あるいは更に強く立花氏は国民を馬鹿にしていると私も思います。
ですが同時に、立花氏らの党名を「民主党」にするのは私個人としては非常に興味深いのです。
内容のない質問で国会を空転させ、その極めて非生産的態度ゆえに国民からそっぽを向かれ支持率が下がると挽回のために党名ロンダリングを繰り返すという国民を愚弄し続けて来た輩どもが立て籠もる最後の砦とも言うべき立憲民主党が「民主党」という覚えやすい省略形を失った時、確実に1年以内にある衆院選や次の参院選でどれだけ得票できるかに関しては大いに興味があるからです。