韓国メディア「日本の輸出規制で対日貿易赤字幅縮小」

最近、韓国メディアなどから「日本が昨年7月1日に発表した対韓輸出『規制』のせいで、韓国の日本からの輸入が減るなど、日本の輸出『規制』が日本自身に跳ね返っている」などとする記事が多く配信されます。実際、昨日も「2019年を通じた国際収支では対日赤字の額が減った」などと報じられているのですが、よくチェックしてみると、輸出「規制」の適用品目の対韓輸出高はさほど多くなく、日本の韓国への輸出額が減った要因は、むしろ韓国の対中輸出減少などによるものだ、という可能性の方が高そうです。

日本の貿易

日本は貿易黒字国?赤字国?

当ウェブサイトではかなり以前から、『普通貿易統計』などの詳細データをもとに、日本の貿易構造を分析するという試みをしています。

たとえば、2019年における日本の輸出高は76兆9317億円、輸入高は78兆5995億円で、貿易収支は1兆6678億円の赤字でした。

2019年における日本の貿易
  • 輸出…76兆9317億円
  • 輸入…78兆5995億円
  • 収支…▲1兆6678億円

これについて私たちは何となく、「日本は昔は貿易黒字国だったのが貿易赤字国に転落したんだな」と感じるのですが、直感的には今から約9年前の福島第一原発事故により原発が停止し、原油などの輸入が急増したために、貿易赤字に転落したのかな、という印象を抱きがちです。

とくに、「昭和世代」にとっては、昔の新聞では「貿易黒字で儲け過ぎ」だの、「貿易摩擦」だのといった言葉が躍っていたことを覚えている方も多いと思いますが、そのような世代にとって、今日のように貿易収支が黒字、赤字すれすれの状況になるとは、隔世の感があると思います(図表1)。

図表1 日本の輸出高、輸入高、貿易収支(1979年以降)

(【出所】財務省HP『財務省貿易統計 年別輸出入総額(確定値)』)

ただ、冷静に過去の推移をチェックしてみると、貿易赤字が最大だったのは2014年だったのですが、その後は貿易収支が持ち直しています。また、日本は東日本大震災が発生した2011年に赤字転落したことは事実なのですが、その数年前から、すでに貿易黒字の額は減少していたこともまた事実です。

つまり、「東日本大震災が発生した2011年以降、貿易赤字に転落する年が増えた」という言い方は事実ですが、「福島第一原発事故が日本を貿易赤字体質にした原因だ」とまで言い切るのは若干根拠が不十分ではないかと思う次第です。

輸出品目の中心は資本財と中間素材

さて、それはともかくとして、日本の貿易収支構造を眺めていると、非常に興味深いことがわかります。

まず、輸出品目について見てみましょう(図表2)。

図表2 日本の輸出品目(2019年)
品目金額全体の構成比
機械類及び輸送用機器46兆4471億円60.37%
 うち、輸送用機器18兆1179億円23.55%
 うち、一般機械15兆1215億円19.66%
 うち、電気機器13兆2077億円17.17%
化学製品8兆7391億円11.36%
 うち、元素及び化合物2兆5884億円3.36%
 うち、プラスチック2兆4297億円3.16%
原料別製品8兆4070億円10.93%
 うち、鉄鋼3兆0740億円4.00%
上記以外13兆3382億円17.34%
合計76兆9315億円100.00%

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成。なお、合計欄については情報源が異なるため上記図表とは微妙に一致しない)

これを見ると、最終消費財である輸送用機器(自動車など)もあるものの、どちらかといえば資本財や中間素材、すなわち「モノを作るための製品」の輸出が日本の中心であることが判明します。

具体的には、「機械類及び輸送用機器」が占める割合が全体の60%に達しているのですが、一般に「最終消費財」である輸送用機器は輸出額全体の24%に過ぎず、いわゆる「資本財」である一般機械が輸出高全体の20%、電気機器が17%少々に達しています。

また、「中間素材」である化学製品が輸出額全体の11%、同じく「中間素材」である原料別製品が輸出全体の11%弱を占めています。つまり、日本は「加工貿易立国」モデル(外国から鉄鉱石や石油を輸入して来て、日本で車や家電を作って外国に売るというモデル)とはいえなくなってしまっているのです。

輸入高は最終消費財と中間素材

一方で、輸入高についても興味深いことが判明します(図表3)。

図表3 日本の輸入品目(2019年)
品目金額全体の構成比
機械類及び輸送用機器23兆1353億円29.43%
 うち、電気機器11兆9920億円15.26%
  →通信機2兆8463億円3.62%
  →半導体等電子部品2兆5814億円3.28%
 うち、一般機械7兆5826億円9.65%
  →事務用機器2兆8201億円3.59%
鉱物性燃料16兆9506億円21.57%
 うち、石油及び同製品9兆5063億円12.09%
 うち、天然ガス及び製造ガス4兆8826億円6.21%
 うち、石炭2兆5282億円3.22%
雑製品9兆8793億円12.57%
 うち、衣料及び同附属品3兆2045億円4.08%
上記以外28兆6328億円36.43%
合計78兆5980億円100.00%

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成。なお、合計欄については情報源が異なるため上記図表とは微妙に一致しない)

先ほど、「福島第一原発事故があったから輸入品目には石油が多い」という「俗説」を持ち出しましたが、輸入高のうち「鉱物性燃料」は確かに20%少々を占めているものの、日本が貿易赤字体質になったのは、どちらかといえば「通信機」(スマホ)と「事務用機器」(PC)などの類いではないかと思います。

要するに、「最終消費財」ですね。

かつての日本は「最終消費財を外国に輸出することで儲けている」といわれていたのに、現在の日本はむしろ最終消費財を輸入しているのです。また、「雑製品」(衣料品など)も明らかに「最終消費財」です(ユ●ニクロとかでしょうか?)。

以上が、貿易という側面から見た日本の基本的な姿なのです。

「日本が輸出『規制』で苦しむ」?

韓国メディアのファクトをチェックしましょう

さて、昨日は韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、こんな記事が掲載されていました。

韓国の対日経常赤字、5年ぶり最小水準

韓国の対日赤字規模が5年ぶりの最小水準となった。半導体の素材などに対する日本政府の輸出制限措置が、むしろ該当素材の国産化を促進させた結果と解釈される。<<…続きを読む>>
―――2020.06.19 16:03付 中央日報日本語版より

中央日報によると、韓国銀行が昨日発表した「2019年地域別国際収支」によると、対日貿易赤字は2018年と比べて約58.8億ドル減少し、5年ぶりの低水準である188.2億ドルに留まった、などとしています。

そのうえで、対日貿易赤字が縮小した理由は「日本政府の輸出規制による反射効果とみられる」、「資本財の輸入減少で商品収支の赤字規模が縮小し、旅行が急減しサービス収支も改善した」などとしているのですが、若干の事実誤認が紛れているようにも思えます。

本来、個別の国との貿易高については、べつにいちいち反応する必要はないのですが、この中央日報の記事(あるいは中央日報が紹介している韓国銀行関係者の説明)の内容が日韓貿易の実態と齟齬を来している部分があるように思えてならず、この点について補足説明をしておきたいと思います。

そもそも輸出品目の多くは資本財と生産財

さて、日韓貿易については、基本的に日本が韓国に対して貿易黒字を計上し続けるという構造になっています。まず、主要輸出品目については図表4のとおりです。

図表4 日本の対韓輸出品(2019年)
輸出品目金額構成比
機械類及び輸送用機器1兆9067億円37.80%
 うち、一般機械9117億円18.08%
  →半導体等製造装置3168億円6.28%
 うち、電気機器8479億円16.81%
  →半導体等電子部品2475億円4.91%
化学製品1兆2570億円24.92%
 うち、元素及び化合物3708億円7.35%
 うち、プラスチック2975億円5.90%
原料別製品7939億円15.74%
 うち、鉄鋼4245億円8.42%
雑製品3575億円7.09%
  →科学光学機器1868億円3.70%
上記以外7288億円14.45%
日本の対韓輸出合計5兆0438億円100.00%

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成)

これを見ると、日本から韓国への輸出品目は、一般機械(半導体製造装置など)、電気機器(半導体等電子部品など)、化学製品(昨年話題になったフッ化水素などを含む元素・化合物など)、鉄鋼といった、資本財・中間素材が中心です(「科学光学機器」は、スマホなどのカメラでしょうか?)。

輸入品目にはなぜか「石油製品」も!

これに対し、日本の韓国からの輸入品目については、意外な話ですが、最近、一般機械、電気機器、鉄鋼、化学製品などの資本財、中間素材が増えています。

もちろん、トータルで見れば日本から韓国への輸出の方が多いのですが、韓国から日本への輸入というものも増えているため、産業面での日韓のサプライチェーンを通じたつながりが深まっている可能性が考えられるのです(図表5)。

図表5 日本の対韓輸入品(2019年)
輸入品目金額構成比
機械類及び輸送用機器9522億円29.51%
 うち、一般機械3937億円12.20%
 うち、電気機器4527億円14.03%
  →半導体等電子部品1544億円4.79%
原料別製品6955億円21.55%
 うち、鉄鋼3392億円10.51%
化学製品4952億円15.35%
 うち、元素及び化合物2044億円6.33%
鉱物性燃料4290億円13.29%
 うち、石油及び同製品4233億円13.12%
上記以外6551億円20.30%
日本の対韓輸入合計3兆2271億円100.00%

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成)

また、図表5を眺めていて個人的に気になるのは、韓国からは「石油及び同製品」の輸入が4200億円を超えている点です。このように考えていくと、日韓の産業面のつながりは意外と多いといわざるを得ないのです。

韓国メディア渾身のギャグ?

韓国の輸出構造

もっとも、韓国の輸出構造をザックリと眺めてみると、韓国の日本からの輸入額と、中国に対する輸出額については、何となく連動しています。

たとえば、韓国の貿易統計上、中国に対する輸出額は2019年に前年比15%ほど落ち込んでいるのですが、日本からの輸入額も同様に13%ほど落ち込んでいることが確認できます(図表6図表7)。

図表6 韓国の対中貿易

(【出所】韓国銀行)

図表7 韓国の対日貿易

(【出所】韓国銀行)

以上より、韓国の対日輸入高、貿易赤字の減少と、対中輸出高、貿易黒字の減少は、軌を一にしている可能性があります。要するに、中国経済の減速の影響を受け、韓国の対中輸出高が急落し、日本からの資本財、中間素材の輸入にもブレーキがかかった、という仮説ですね。

中央日報の記事に答えがあった!(笑)

ただし、上記のような仮説は、貿易統計をきちんと読んでいけばおのずから出てくるのですが、中央日報自身が先ほど紹介した記事の直後に、こんな記事も配信しています。

韓国、米中貿易紛争で対中経常収支黒字が10年ぶりに最小

昨年の米中貿易葛藤の余波で、韓国の対中経常収支黒字が10年ぶりに最小水準を記録したことが分かった。<<…続きを読む>>
―――2020.06.19 16:07付 中央日報日本語版より

要するに、同じ中央日報の2つの記事を読むだけで、「対中輸出に急ブレーキがかかったから、日本からの資本財、中間素材の輸入が減ったからじゃないのか?」という仮説が浮かぶ、という仕掛けですね。

果たして中央日報さんは記事を配信するときに、記事相互間の整合性などは検証なさらないのでしょうか?(笑)ある意味では渾身の自虐ギャグの一種なのかと疑ってしまった次第です。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、コロナ禍の結果、日中、日韓の人的往来が断絶してしまっているという状況が続いています。

これについては昨日の『入国制限の緩和は4ヵ国からスタート 台湾・香港は?』でも報告したとおり、中韓両国との人的往来の制限緩和はまだ少し先のことのようにも思えます。

いや、もう少し厳しいことを言えば、韓国は日本のコロナ防疫措置に「対抗措置」を適用して来ましたし、また、最近だと輸出管理適正化措置を巡り対日WTO提訴を再開したり、自称元徴用工判決問題を巡り日本企業の在韓資産の現金化を狙ったりしています。

そのような国と、信頼関係に基づく外交が成立しているとは言い難く、また、場合によっては韓国が日本からの入国制限措置を解除する際に、輸出管理適正化措置や自称元徴用工問題を巡り、何らかの交換条件を出してくる可能性も十分に考えられます。

いずれにせよ、日本企業にとっては、中韓に依存し過ぎた産業構造の転換を図るうえで、ちょうど良い転機が訪れている、という言い方をしても良いのかもしれませんね。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. Naga より:

    > 果たして中央日報さんは記事を配信するときに、記事相互間の整合性などは検証なさらないのでしょうか?

    日本に対して何か少しでも秀でたところ、追いついたところがあれば嬉しくて掲載するのではないでしょうか。日本の反日メディアも同じのような気がします。

    信頼関係云々であれば、貿易関係以外でも、そもそもGSOMIAは自衛隊に火器管制レーダーを照射したり、元々軍事機密を漏らしていそうな国との間では成り立つのか疑問です。形だけでもある方が良いということなのでしょうか。

    1. たけ より:

      同意します。
      日本のメディアだって大概です。
      いちいち認識違いにツッコミ入れてたら身がもたないレベルです。

      彼らも分かっていても論調を変えるわけにはいかない理由があって変えられないのか、
      もしくはわざとやって釣っているかのどちらかです。

    2. だんな より:

      Nagaさま
      朝鮮人に整合性を求めたらいけませんよね。

  2. fcr より:

    2つのグラフを見ると、対中で儲けて対日で消費する、って関係がよく見えますね。そりゃ中国には嫌われるし、日本では利権に走る人も出るわけだ、とか思います。

  3. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    韓国は「反射効果」という言葉が好きですね、「楽して儲けたい」「相手の失策により、韓国が得する」みたいで、お里の知れる【汚い表現】と思います。日本人には馴染みが無い表現です。

    中国の経済の伸びが鈍化、完全減速し、日本からの原材料、中間加工品の仕入れが減った。ただそれだけで韓国はアウト!なんですけど。

    1. ラスタ より:

      「反射」という言葉からあれこれ考えてしまいました。
      めがねのおやじ様へ直接のレスポンスというわけではないので、話が逸れてしまうことご容赦ください。

      で、
      日本の行為が日本自らに反射するのなら、その日本からまた韓国にも再反射して影響を及ぼすと考えるのが科学的態度のように思えます。
      思想や経済と科学は違うと考える向きもあることは知っていますが、およそ知性を前提にした理屈は神話神学(それは神がー、という責任転嫁)以外すべて自然科学なんで、韓国だけが民族的優位性という神話によって経済的に科学的事実から免れることはありません。
      いかな心情を確固にしようとも現実は変わらない。なぜそんなことさえわからないのか。

      韓国にとって重要なのは「日本が困っているぞ」ではなく、巡り巡って自国にどのような影響があるかではないですかね。
      自国利益を尊重する観点からものごとを評価するなら、喜ぶよりまず(このサイトのように)分析が先と思いますが。

      それって、彼ら自身の頭を使ってちょっと考えればわかることじゃないですかね。
      でも考えない。物事を正確に理解しようとしたら事実を直視しなくてはいけないから。
      なぜ? 彼らのメンタルはそれほどまでに脆弱なのでしょうか。
      日本がどうなろうが、自国をしっかり運営すればいいだけのことでしょう。
      何をそんなにビビっているのか。
      半端に経済発展したことで退行現象を起こしているのではないか。

      自ら砕身努力して身に着けた実力ではないから虚勢を張りながら自信を持てない。
      世界一の優性民族という幻想に浸りながら、その一方で現実は日本に劣ると本能的に感じている。
      それは日本が悪いからだという自己暗示の自縄自縛に心地よさを感じている矛盾。

      まずはそういうとこから直さないといけませんね。
      自分のことは自分でやれよと。
      1895年、独立国にしてあげたでしょう。それがイヤだったんだろ。ならば中国のドレイ地域に戻ればいい。
      曲がりなりにもいま現在自決権を持った独立国家なのだから自分で選べ。
      そのように思うのですね。

      すみません。ちょっと書きすぎたかも。
      何に腹立つかって、私は解放されることに反対するドレイ、繋いでくれと紐を咥える犬が嫌いなのです。
      そんな面倒見る筋合いじゃないよ、と。

      1. より:

        朝鮮半島史をちょっと調べればすぐわかることですが、同地の住民が自力のみで何かを成し遂げたことなど、有史以来一度たりともありません。それどころか、自らの行く末を自力で決めたことすらも一度もないのです。彼らは何一つ自力で作り出すこともなく、自力で問題を解決することもなく、ただただ寄生虫であり続けたというのが朝鮮半島の実態です。
        彼らはそのことに根深くけして解消不能なコンプレックスを抱えています。彼らがやたらと「起源」にこだわるのも何一つ産み出せなかったことへのコンプレックスでしょうし、他国からの批判・非難を「嫉妬」だと言いたがるのも自分たちがずっと嫉妬塗れであったことの裏返しでしょう。また、半島北部が「主体思想」などと言うのも、自分たちが一度たりとも半島史で主体的に動けなかったことへの反発があるのかもしれません。

        ここ20年ほど、半島南部が半島史上空前の繁栄を手にしたことは確かな事実です。しかし、その心根は李朝時代と何も変わってないし、根源的なコンプレックスもおそらくそのままなのだろうと思います。
        もちろん、彼らに共感する必要などさらさらありませんし、理解してやる必要すらありません。ただ、そういう連中なのだと認識した上で彼らを取り扱うべきだと思います。

  4. ミナミ より:

    韓国の輸出額と輸入額

    2018 輸出 6048.6億ドル  輸入 5352.0億ドル

    2019 輸出 5423.3億ドル  輸入 5032.6億ドル

    今年の統計はどうなるんでしょうかね
    中国が風邪をひけば韓国は肺炎になる
    中央日報は日本を心配をせずに自国経済を心配をするべきだと思いますが

  5. 愛読者 より:

    2019年の統計資料ではなく,下記の2020年5月の資料を使って議論してほしいと思います。
    https://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm
    https://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2020/2020054.pdf
    前年同月と比べて輸入が-28.3%, 輸出が-26.2% でコロナの影響の大きさがわかります。注目すべきなのは中国については輸出入ともに減少巾が-2%程度と非常に小さいことです。他方,アメリカは輸出-50.6%, 輸入-27.5% と減少が大きいです。韓国は輸出-18.0%, 輸入-27.1% で輸入減のほうが大きいです。コロナの影響が大半で政治的理由はほとんど関与していないように見えます。

    1. 愛読者 より:

      追加ですが,下記の2020年4月の貿易統計も見てみて下さい。
      https://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2020/2020044.pdf
      中国からの輸入は前年より11.7%も増えているところが不思議です。突っ込むと,石油輸入の減少とか,いろいろ話題がありますが,きりがないので,各自分析してみて下さい。

    2. ミナミ より:

      言いたかったのは、去年の時点で米中貿易戦争が始まって、中国経済がダメージを受け、
      韓国の輸出額も減り始めていたという事です

      コロナは更に、去年の減少など比べ物にならない別次元のダメージを及ぼすので、
      書いておられる通りだと思います

      中国の2019年の貿易額推移(抜粋)

      輸出 総額  24984億ドル (前年比-1.0%)
         米国  5412億ドル (前年比-12.5%)
         ASEAN  6415億ドル (前年比+12.7%)

      輸入 総額  20769億ドル (前年比-2.8%)
         米国  1227億ドル (前年比-20.9%)
         ASEAN  2820億ドル (前年比+5.0%)
         韓国  1736億ドル (前年比-15.2%)

      それでも中国の貿易額は、総額で見ればそんなには減りませんでした
      これは上記の様に対ASEAN(と対EU)貿易が好調だったからです
      しかし、米中貿易戦争が常態化し、対米貿易が縮小するのは確実であり、
      対ASEANと対EUの貿易拡大は一過性のものと思われ、
      更にそもそものコロナ状況での全世界型の不況が重なりますから、
      中国と、中国経済にのめり込んでいた為に、多大な影響を蒙る韓国の状況は、
      どう見ても厳しいと思われます

    3. 匿名 より:

      この人文章読めないのかな?ちゃんと2019年の貿易統計を使う意味は記事に書いてあるのにね。読解力のない人はやだわー。

      そう言えば嫌がらせのようにデータを貼りつけて読者コメント記事を荒らすのはやめたんですか?www

  6. カズ より:

    韓国は全体的な(貿易等の)取引規模縮小傾向の中で、販売額の減少を仕入額の減額で補うサイクルに陥っているように感じます。

    これにより最終的な収支の黒字は確保されてても、その内情では看過できない「雇用の毀損」が生み出されてるのかと・・。(サービス収支の改善も航空業界の衰退を伴うものでしかない訳なのですしね。)

    *韓国メディアも、対日収支の改善なんかを切り貼りして悦に入ってる場合ではないのだと思うんですけどね。

  7. 老害 より:

    >果たして中央日報さんは記事を配信するときに、記事相互間の整合性などは検証なさらないのでしょうか?

    そんなことができる連中であれば、我々も苦労はしないのでしょうがね。

  8. 伊江太 より:

    新宿会計士様

    貿易統計から現在の日本の産業の国際的立ち位置を議論されている部分は、いつもながらの明快な論旨も相まって、納得しながら読ませて頂きました。

    しかし、せっかくの良質な解説の続きが、韓国新聞のチンケな記事への反論というのはどんなものでしょう。カノ国の最近の急激な劣化振りはマスコミ報道の内容に如実に表われていると思いますが、もはやどこがどう間違っているなどと、いちいち指摘してみせる必要もないレベルじゃないかとも思えるのですが。

  9. 門外漢 より:

    泣きながら「ザマーミロ!」と言ってみる。

  10. 東京カモノハシ倶楽部 より:

    ブログ主様

    安倍総理が朝鮮半島有事の際の邦人脱出について言及されました。やはりこれはサプライチェーンについて考えましょうというメッセージに他ならないと思っています。
    また、お隣は「対日で貿易黒字になったことがないのは搾取」だといいますが、その論理でいくと自分たちが輸出している相手国からは搾取していることになります。また、貿易とは双方合意でお金と物を交換しているのであり、嫌ならやらなければいいだけのことです。まさかコンビニで物を買って「搾取された」と騒ぐ人はいないでしょう。100円でパンを買った時、購入する側は100円よりパンに価値があると思うから買い、売る側は逆に考えたから取引が成立したわけです。上で言及された方がいらっしゃいますが、「(論理的)整合性」は、お隣にはなかなか受け入れがたいもののようですね。

  11. かえる より:

    韓国からのガソリン輸入が増加していると言うニュースは気になっていました。新型コロナの影響で、日本以上に国内のガソリン消費が冷え込んでおり日本との価格差が大きくなったこと、元々製油所の輸出志向が高いことなど、複合的な要因があるようですが、マスクを筆頭にした医療資材と同様に安いを理由に輸入に極端にシフトすることがあってはいけない品のひとつだと思います。消費者からすると安いガソリンが魅力的なのは本音ですが、安全面からも、リスク管理の面からも国内精製を守っていきたいですね。

  12. 福岡在住者 より:

    >個人的に気になるのは、韓国からは「石油及び同製品」の輸入が4200億円を超えている点です。

    ほんの一部ですが、韓国伊藤忠(株)エネルギー本部
    https://www.itochu.com/kr/ja/business/energy/index.html

    「韓国のエネルギー産業の特徴はその規模の大きさです。韓国国内の需要に対して製油所および石化工場の規模が大きく、輸出を視野に入れたものとなっています。その為、韓国は石油製品および石油化学製品分野で重要な輸出国となっております。」
    とあります。 コストが安いのでしょうね。それと日本国内の災害に対するリスクヘッジ。
    しかし、割合を減らすことも視野に入れた方が良い頃かもしれませんね。 伊藤忠商事(株)さん内の問題ですが、、、。 
    (株)デサントに対しては「韓国依存の割合を下げろ!」と 株式公開買付までして役員を投入したくらいですから 韓国リスクは承知の上か、、、。 

  13. だんな より:

    福岡在住者さま
    韓国の石油業界は、原油安の影響も有り、赤字がひどい話になっています(日本も悪いと思います)。
    韓国石油業界、4-6月期も大規模赤字不可避…日本式構造調整論も
    https://s.japanese.joins.com/JArticle/267185
    文中に有りますが、日本の石油会社は、将来を見据えて対策をしていますが、韓国は需要予測して、コスト安く精製だけのようです。
    韓国の場合は、備蓄用の石油タンクも少なく、タンカーに積んで保管していて、コストが嵩んでいるというニュースも有りました。
    韓国には、BCPという言葉は、無いんじゃ無いかと思います。

    1. 福岡在住者 より:

      だんな 様

      コメント有難うございます。
      今までは「安いならお互いウィン・ウィンだから、、、」と手を差し出していましたが、これからは積極的に「潰す」方向へ舵を取った方が良いかもしれませんね。 造船や製鉄のように市場を破壊してしまう恐れがあります。 

      1. だんな より:

        福岡在住者さま
        関わらなければ、勝手に淘汰されるとは思いますが、過去から散々関わってますからね。

  14. 名無しさん より:

    石油に関しては日本海側は韓国から輸入した方が安くなるという記事を見た記憶がありますね。なので、ネチズンが日本への灯油の輸出を止めるニダって感じに湧いていたような。

  15. 羊山羊 より:

    各記者が勝手に書いているんでしょうな。産経にもそれを感じます。

    最近の中央日報の記事で気になったのは、

    半導体の遅い回復、原油安、米中対立…韓銀「ことしの輸出、きわめて苦境」6/12付
    https://japanese.joins.com/JArticle/266948

    新型コロナの非対面効果、韓国半導体4-6月期は好況独走 6/15付
    https://japanese.joins.com/JArticle/267039

    どっちなんじゃい?と思ってしまいました。

  16. はぐれ鳥 より:

    多分、韓国からの石油加工製品輸入が多いのは、日本の精製業界が公害騒ぎで叩かれ、環境規制の緩い韓国に精製工場を移してきたせいでしょう。さらに、石油精製ビジネスがそれほど儲かるとも思えません。なので、経済合理性からは、コストを抑えられる韓国あたりに移るのも仕方ないのでしょう。

    ただ確かに、石油製品は最重要の戦略物資です。安易に、敵対国となりつつある国に依存するのは、まさに「油断」と言えます。

  17. サムライアベンジャー より:

     日本経済の後追いである韓国の輸出品の産業構造が、「資本財」の割合が多いというのは有名な話ですよね。サムスンのスマホのような消費財で儲けている国のように見えますが、日本とそっくり、似ています。

     もちろん、日本の資本財(=部品など)をつかってまた資本財を作っているんでしょうが。

     輸出の産業構造が似ていることと、企業の産業構造。分厚さはまるで違いますが。韓国の産業層は、戦前の日本にもおいついていません。よく知られることで、強い中小企業がないんですよね。

     もっとも数年前、アメリカの新聞で「日本は資本財を作ってやがる!」というような記事がありました。今頃気がついたのか・・・。データ収集が好きなくせに、なぜかある点ではデータの活用が下手なのもアメリカだったりします。当時、Appleのアイフォーンの部品の38%が日本社製だったんですが(今のパーセンテージはわかりませんが)。

     むかし中央日報のWeb一面で、日本企業の製品の「好きな文字が焼けるトースター」のようなアイデア商品を紹介していて、思わず笑ってしまいました。韓国ではそういう企業が少ない、ということを思わせてくれます。「余剰パワーがない」ので、一つが駄目になるとドミノ倒しのごとくだめになるような経済構造を想像させます。

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