赤飯廃棄騒動とネット世論の反応
赤飯2100食を食べずに廃棄した―――。こんな衝撃的な「事件」が、ネットでちょっとした騒ぎとなっています。この騒動は福島県の中学校で11日、卒業祝いに赤飯の給食が予定されていたところ、「震災の日に赤飯はおかしい」とする1通の電話で教育委員会が急遽、取り止めを判断したというのです。教委の判断プロセスの妥当性はもちろん、中学生たちが赤飯を食べられなかったことも衝撃的です。
赤飯廃棄事件のあらまし
福島県いわき市の中学校で、卒業祝いとして用意された2100食分の赤飯が提供されずに廃棄された―――。
そんな「事件」が発覚したとして、SNSでは14日ごろから大きな「騒ぎ」になっています。
卒業祝いの給食に赤飯、震災15年と重なり2100食分廃棄 福島
―――2026年3月13日 18時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より
卒業祝いの給食の赤飯2100食廃棄 「震災の日」保護者指摘 福島・いわきの中学校
―――2026/03/15 08:57付 Yahoo!ニュースより【福島民友新聞配信】
朝日新聞などが報じたところによると、いわき市内の5つの中学校で3月11日、卒業生の祝いに赤飯の給食を用意したところ、同日午前中に「震災のあった日に赤飯はおかしい」との電話があり、報告を受けた市教委が急遽取り止めを判断したのだそうです。
しかも、その判断が行われた時点で約2100食分の赤飯は調理済みだったため、廃棄され、生徒達には急遽、赤飯の代わりに学校で備蓄している非常用の缶詰パンやアルファ米を提供したとのことです。
いわき市長は事実関係認めたが…
11日午前中に電話をしたのが誰だったのかについては、朝日新聞の方の記事に記載はありませんが、福島民友新聞によると「保護者」だったとあります。ただ、決定を下したのは市教委だった、という点については、おそらく間違いないと考えられます。
というのも、本件については14日、いわき市の内田広之市長が自身のXを更新し、「ある市民からの意見に基づき、赤飯2100食を廃棄した」とする内容が事実であると認めたうえで、「市長部局と教育委員会との相談連携がさらに密接になるように配慮していきたい」と述べているからです。
【給食で赤飯が破棄された旨の記事へのコメント】
本日の朝日新聞で、いわき市の3/11の給食にて、赤飯2100食分が破棄された旨の報道がありました。…— 内田広之(いわき市長) (@uchida_iwaki) March 14, 2026
内田市長の言い分によると、現行の地方教育行政法では「戦前に首長が教育行政に政治介入しすぎた反省」で「首長の教育行政への関与は抑制的」としつつ、給食の内容などの学校実務の実行・判断は教育内容や行事などと並び、教育長に委ねられていると指摘。
給食は市民の税金で賄われている反面、「その内容や扱いも、日々の決済ルートから首長や首長部局は、外れています」(※原文ママ)としたうえで、「現代の教育行政で、色んな問題が出てきており、時代に合わないところが出てきていると感じています」(※原文ママ)と述べています。
リスク管理の典型的な事例
ただ、内田市長のこうした言い分がどうなのか、という点は脇に置くとしても、この一件は、さまざまな意味において、リスク管理の教科書にでも乗せるべき典型的な事例といえるかもしれません。
そもそも論として、たった1通の電話で2100食もの食品を破棄するというのは理解に苦しむ行為です。原材料は農家の皆さまなどが丹精込めて育てたわけですし、製造原価が1食あたり約100~200円だったと仮定しても、数十万円分のコストが無駄になっているわけですから、違和感は払拭できません。
しかも、学校で非常用に備蓄している食品が提供されたとのことですから、後日、その非常食を買い直す費用負担も生じます。内田市長が述べると内容が正しければ、それらの費用は税金で賄われているわけですから、二重の無駄遣いです。
これに加えて意思決定プロセスも問題です。それが誰からの電話だったのかはわかりませんが(※福島民友によると「保護者」だそうです)、その「意見電話」1通で数十万円レベルの損害を発生させるという決断を下すのは、やはり意思決定プロセスに大きな問題はないのでしょうか?
経緯の調査くらいは必要ではないか?
そして何より気になるのは、肝心の卒業生たちがせっかくの赤飯を食べられなかったことでしょう。
思えば東日本大震災が発生してから早くも15年が経過するわけですが、考えようによっては一部ネットで指摘されている通り、「今年の中学3年生は東日本大震災があった年度に生まれたはずだから、むしろ赤飯で祝うのは自然だ」、といった発想もあり得ます。
また、3月11日が震災の祈念日であるということは事実ですが、災害のあった日に赤飯を食べてはならないというのもおかしな話です。その理屈を押し通せば、能登半島では1月1日を祝ってはならない、という極端な解釈にもつながりかねません(※能登半島地震は2024年1月1日に発生)。
こうした状況を踏まえると、「保護者(?)からの電話で調理済みの2100食の赤飯を廃棄し、お祝いされるべき中学生に赤飯を届けられなかっただけでなく、市財政にも大きな損害を与えた」という意味では、やはり経緯の調査はなされるべきではないでしょうか。
このあたり、「いわき市民ではなく、いわき市に市税を納税しているわけでもない人がこの問題に口を出すのはおかしい」、といった批判もあるかもしれませんが、こうした批判は当たりません。その理屈を持ち出せば、地方交付税を通じて、私たち日本国民が間接的に、多くの自治体におカネを出しているからです。
ネットの反応はなかなかに興味深い
ただ、それ以上に興味深いのは、やはりXの反応ではないでしょうか。
著者自身も本件で数本のポストを出したのですが、やはり「震災の灯に赤飯とは何事か」といった言い掛かりにネット世論は共感しないどころか反発する時代になったことが見て取れるのです。
赤飯廃棄の件、大炎上しているようだが、「震災の日に赤飯とは何事か」といった言い掛かりに対しネット世論は共感しないどころか反発する時代になったってこと。
これは良い変化。— 新宿会計士 (@shinjukuacc) March 14, 2026
拝啓 いわき市長様
本件につきましては2100食分という膨大な食品の廃棄に加え、税金の適正な使途などの観点からも、経緯の調査と公表が必須と考えられます。
最初にクレームを入れた人物、実名などの情報は難しいかもしれませんが、公表できる範囲でその人物の立場などを公表すべきです。 https://t.co/uBkqYcjKZw
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) March 14, 2026
いずれにせよ、今回の騒動も、ネットの社会的な影響力が上昇していることを強く示唆するものだったといえるのかもしれません。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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もし赤飯を廃棄しなかったら、オールドメディアは、いわき市を批判するキャンペーンをしたのではないでしょうか。(もっとも今度は、赤飯廃棄のいわき市を批判するかもしれませんが)
蛇足ですが、オールドメディアは「いわき市が赤飯を廃棄したのも、高市自民党が悪い」と言い出すのでしょうか。
あの業界からすれば、どちらに倒れようが学校・行政を叩ける訳で…
仮に「赤飯はおかしい」と言ったのが当該学校の保護者だったとして、
当該保護者の子だけ赤飯を出さずに缶詰パンやアルファ米を渡したとしたら、あの業界はどういう論調になったのでしょうか。
もし赤飯で祝っていたら、中革連の小川淳也党首は「赤飯を食べた生徒、挙手しなさい。」と糾弾したかもしれませんね。
今時の親って子供の給食の献立まで把握してるのですかね。
なにも当日言わなくても・・・。なんか違和感ありますね。
しかも廃棄ですか。もったいない。
学校給食を食べていたのはもう四十年以上前ですが、献立表は前月には配られていました。
「なにも当日言わなくても・・・。」これは違和感ありありです。
クレーマーに成功体験を与えたらアカンと思うの。もっとスルースキルを磨きましょう。
当該地方では弔事などで「白蒸し」という白いオコワを出すそうで。卒業記念に白蒸しを提供してもなぁ……
「当日に言い出すなや」と「イジメなんかには異様に腰が重いのになんで今回に限って超迅速即決なんや」あたりはツッコみどころですが。保護者フルボッコなのは目に見えているので、あえて肩を持ちうる状況を妄想するとしたら、卒業生の我が子以外の親族も財産も失った最大級の被災者で想像を絶するトラウマを抱えたまま3/11を迎えたのに……とかでしょうかね。カスハラには随分と厳しくなった時代なので、カスハラで済ませられないような要素があったか。
朝日新聞のくせに情景描写や行政批判も無く、事実のみを淡々と並べたお手本のような記事なので、そのあたりが全くわかりません(ノンデリ突撃取材なんぞしなくて良いのでわからなくとも構いませんが)。
いかなる事情があろうが即日不条理な裁定を下すのはおかしい、という意識を広めるくらいは役立つ事例でしょうか。
あと「朝日新聞つっかえねぇな」とか。
「匿名の投書」
が破壊力を持つのは、
「左翼政党やマスメディアがそれに便乗してキャンペーンを張るから」
ですよね。
これまでの古いやり方では。
現場が受けて立てばよいけど、役人は批判に弱い。
(減点法の勤務評価査定だから)
だから議員や首長が代わりに受けて立ってクレーマーから現場を守らないといけないが、兵庫県知事くらいに腹を決めて覚悟して対決しないと、知事も風評で撃沈させられる。
まあでも、新宿さんが言うように、ずいぶんと古いやり方が変わりつつあるような。
個人的には、現場で受けて立つレベルの話に思われますけどね。
事前に広く通知してあり変更不可。
忌み事でも七回忌で精進明け。
非日常から日常に復帰しますから、ある記念日をことさら引きずる理由はない。
(そんなことを言い出したら365日すべてが過去の何かの悲劇の記念日ですわい)
要するに左翼による「お気持ち表明」が通用しなくなったという事でしょうか。
行政側は更なるクレームで火の粉を被りたくがない故に「赤飯廃棄、乾パン配給」というとんでもない行動を取りましたが、ただでさえ「勿体無い精神」の強い我が国でこの様な事をしたのですから、炎上するのも当然だと思います。
そこはやり過ごしておけば「お気持ち表明」をした側だけが炎上するだけだったのに、無駄なことをして自らも火を被った感じですね。
中学校の卒業式なんて一生に一回なのにね
最近活動屋は集団電話で嫌がらせを活動の柱にしているようだ
身体動かないし費用最小限だからな
卑劣な奴らは生涯卑劣
個人的には「今日は東日本大震災という大きな災害が発生した日です。それとともに貴方たちが中学校で食べる最後の給食の日です。そのため貴方たちの中学卒業を祝う意味で、赤飯を用意しました」と丁寧に説明すれば良かったのにと思います。
中学3年生ともなれば、それなりに分別も付くでしょう。
これで味を占めたクレーマーがあちこちにクレームを入れるのではないかと心配になります。
ノイジーマイノリティの面目躍如と言ったところでしょうか(棒)
まぁ、調査と今後の対応は検討するとして、今回は判断した人を責めるのもかわいそうな気もします。
お役所の事なかれ主義が今回は裏目に出たんでしょうけど、今までの場合だと、事あるごとに声の大きいだけの少数派が騒いで、それを新聞とテレビがこれでもか、って取り上げて行政を悪者にしてきました。正しい判断や法律なんか関係ない、とにかく少数派がかわいそう、と。
そんなのが何十年も続いて、行政が委縮していたところもあると思います。
今回の件は、オールドメディア(新聞やテレビ)の影響力の低下の表れでこんな感じになったんだろうと思うんですけど、それでも行政が叩かれるのがやっぱりかわいそうな気もします。