ある意味で潔い?中道改革連合が新代表選出…任期1年

中道改革連合は金曜日、小川淳也氏を新代表を選びました。任期は2027年3月末までの約1年だそうです。ただ、今回の代表選で投票したのは衆議院議員49人のみでした。同党の代表選に参加できるのは同党所属の国会議員に限られているためだそうです。参議院側では立憲民主党も公明党も残ったままであり、代表ら党役員は両党ともに参議院議員で占められています。ただ、野田佳彦、斉藤鉄夫の両共同代表が潔く身を引いたのは、選挙で3回も負けたのに居座った「あの人物」の異常性を浮き彫りにします。

自民比例「おこぼれ当選」のまとめ

連日のように取り上げていますが、先週の衆議院議員総選挙では、自民党は小選挙区と比例代表の合計で315議席(※公式ベース。追加公認を含めると316議席)を得て圧勝しただけでなく、自民党単独で3分の2(310議席)ラインを超えました。

ただ、今回の選挙における自民党の「本当の実力」は、この「315議席(ないしは316議席)」ではありません。

この「315または316議席」は、あくまでも自民党から国会議員になった人数であって、現実には候補者が足りず、他党に14議席を譲っていた(つまり候補者不足が生じていなければ、自民党は330議席を獲得していた)からです。

ちなみにこの14議席の行き先は、▼中道6、▼国民2、▼みらい2、▼維新2、▼参政1、▼れ新1―――であり、とくに49議席を獲得し最大野党となった中道は、実質的には49議席ではなく43議席しか獲得できなかった格好であり、また、れいわ新選組は自民の「おこぼれ」がなければゼロ議席だったのです。

図表1 ブロック別・自民党14議席の行方
 南関東東京北陸信越中国
本来の自民議席10
自民党の当選者
中道
国民
維新
みらい
参政
れ新
合計

(【出所】報道等)

れ新は「おこぼれ」が唯一の議席

なんとも驚く話です。

つまり、自民党は本来、十分な候補者を用意していれば、最大で330議席を獲得していた可能性があり、候補者不足のため14議席を諦めた、ということなのです。

これに対し中道改革連合は本来なら43議席しか取れていなかったところ、自民党の候補者不足で6議席が転がり込んできてくれた格好であり、れいわ新選組に至っては、本来ならば議席が取れていなかったのに、自民党のおかげで1議席が転がり込んできたのです(図表2)。

図表2 本来の議席と実際の議席の差異
 本来の議席候補者調整実際の議席
自民330▲14316
中道43+649
維新34+236
国民26+228
参政14+115
みらい10+111
共産
れ新+1
減ゆ
無所属
合計465465

(【出所】報道等)

「おこぼれ」は過去に例がある

今回の「14議席不足」というのは自民党自身が想定していないほどに圧倒的な地滑り勝利をおさめたということを意味していますが、正直、この「候補者が足りなくて議席を逃したうえ、逃した議席が他党に行く」という現象に対しては、「民意を歪めているのではないか」、といった疑問を持つのも当然かもしれません。

ただし、こうした「候補不足による調整」(あるいは「おこぼれ当選」)については、過去にさまざまな例があります。

たとえば2005年に小泉純一郎首相(=当時)が仕掛けた郵政解散では、自民党は東京ブロックで8議席分の票を得たものの、候補者不足で当選者が7人しかおらず、宙に浮いた1議席が社民党に行ったという事例があります(朝日新聞『比例で得た自民の1議席、候補者不足し社民へ 東京』等参照)。

また、石破茂首相(=当時)が行った2024年の解散総選挙では、「手取りを増やす」を旗印に掲げた国民民主党が圧勝してしまい、やはり候補者不足で3議席が宙に浮き、自民に2議席、立民(=当時)に1議席がそれぞれ付与されたことがありました。

このように考えたら、この「おこぼれ」はどの政党にも発生するリスクがあるものである、ということがよくわかるでしょう。

個人的には、「そういうルールだから仕方がない」、などと判断せざるを得ないと思うのですが、それと同時にこの手の「おこぼれ」は民意に背くものであり、中・長期的に見たら、何らかの修正は必要ではないか、などと思わざるを得ないのです。

「おこぼれ比例復活」は中道改革連合に6人も!

ただ、以上の「おこぼれ」議論とは全く別に、少なくとも今回に関しては、最もこっ酷く惨敗したのが最大野党だったことは間違いない、と断じておきたいと思います。

しかも、中道が獲得した49議席のうち、立憲民主党出身者は21議席に過ぎず、しかもそのうち6議席が比例復活かつ「おこぼれ当選」だったりもするのです。

比例復活「おこぼれ当選」者一覧(敬称略)
  • 南関東…早稲田夕季、田嶋要
  • 東京…長妻昭、落合貴之
  • 北陸信越…西村智奈美、菊田真紀子

(【出所】『令和8年2月8日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報資料』のPDFファイル『衆議院議員総選挙結果調』などをもとに作成)

そして、「おこぼれ当選」を除外すると、今回の選挙は「有権者が(最大野党だった)旧立憲民主党を惨敗させた選挙」だったといえます。公示前に148議席だった立憲民主党は、勢力を15議席へと、約10分の1に減らした、という言い方もできるからです。

民意は自民党に330議席を与え、(旧)立民に対しては15議席しか与えなかったわけですから、両党の差はなんと22倍(!)です。しかも、有権者が立憲民主党に与えた本来の勢力である15議席のうち、とりわけ小選挙区での当選者は7人に留まりました。

小選挙区での当選者一覧(敬称略)
  • 神谷 裕(北海道10区)
  • 階  猛(岩手1区)
  • 野田佳彦(千葉14区)
  • 泉 健太(京都3区)
  • 小川淳也(香川1区)
  • 渡辺 創(宮崎1区)
  • 野間 健(鹿児島3区)

(【出所】『令和8年2月8日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報資料』のPDFファイル『衆議院議員総選挙結果調』などをもとに作成)

これらの当選者、なかにはギリギリで勝ったというケースもあります。

たとえば北海道10区で出馬し、74,908票で勝った神谷氏の場合、対抗馬の自民党候補者である渡辺孝一氏は74,887票であり、その得票差はわずか21票(!)に過ぎなかったのです。

(※なお、小選挙区を冷静に見ていくと、逆に「際どい勝ち方」をしている事例は自民党側にもあるかもしれませんが、これについては普段通り、総務省がもう少しまともに分析可能なファイルを公表するのを待ってから分析に取り掛かりたいと思います。)

「最大野党」である中道改革連合、議席数だけで見たら野党で最大ではありますが、そもそも43議席だと、中道だけで予算を伴う法案を提出する権利も内閣不信任案を提出することもできませんし、自民党からの「おこぼれ議席」が6議席もやってきたにも関わらず、それでも51議席に達しないのです。

「衆院選だからここまで差が付いた」?それは間違いないが…

この点、今回のような自民党圧勝は、小選挙区が主体の衆院選ならではの現象であり、これが参院選だった場合は、自民党あるいは自民党公認候補者の得票状況が似通っていても、おそらくここまで大きな差はつかなかったでしょう。

参議院は定数248議席のうち、1回の選挙で改選されるのは半数の124議席であり、また、その124議席は少数政党に有利とされる全国比例に50議席、同じく少数政党に有利とされる中選挙区に42議席が配分されており、大政党に有利とされる一人区(≒小選挙区)には32議席しか配分されていません。

これに加えて立民の獲得議席が激減したのは、比例代表の上位を公明党出身者に取られ、立民重鎮も含めた多くの議員が比例復活すらままならなかった、という要因もあります。もし立民・公明の合同がなかったとすれば、立民はもう少し議席を獲得していたという可能性はあるかもしれません。

ただ、なにをどう言い訳しようが、敗北は敗北です。

たとえば比例代表に関していえば、立民と公明は2024年に合計17,528,637票を獲得していたのに、今回は10,438,801票(36議席分)にとどまり、得票総数もじつに7,089,836票も落ち込んだことは、取り繕い様がありません(しかも36議席のうち28議席は公明党がかっさらって行きました)。

立民は「自民からのおこぼれ議席」を比例で6議席もらったからこそ、トータルで21議席(小選挙区7議席+本来の比例36議席-公明28議席+自民おこぼれ6議席)になったのであり、普通に考えたら大敗北というレベルではありません。

とあるメディアはこれを「平手打ち」などと表現したようですが、正直、「平手打ち」でも表現としては生ぬるいです。

すなわち、それだけ有権者の立民に対する厳しい姿勢が目立つといえますし、公明党に比例上位を取られてしまったのも、結局は立憲民主党の戦略ミスのようなものだといえるのです。

中道改革連合が新代表を選出

さて、そんな中道改革連合は金曜日、代表選を実施し、小川淳也氏を新代表に選出したそうです。

中道改革連合【まとめ読み】小川淳也氏が新代表、階猛氏と5票差…党再建へ「非常に重い責任」

―――2026/02/13 16:45付 読売新聞オンラインより

読売新聞などの記事によると、代表選には立憲民主党出身の小選挙区当選者7人のうち、小川氏と階猛氏の2人が出馬し、所属衆院議員49人のみで投票を行った結果、小川氏が27票、階氏が22票と5票差で小川氏が代表選を制しました。

ただ、記事を読んで「立憲民主党や公明党の参議院議員や地方議員、サポーターなどは投票しなかったのか」、などとする疑問を抱く人もいるかもしれませんが、これはどうやら今回の代表選は「党所属の国会議員が決定する」とされているためのようです。

つまり、中道改革連合は衆議院議員のみで構成されており、立憲民主党も公明党も、政党としてはそのまま残っているからです。

ちなみに立憲民主党の現在の代表は水岡俊一、幹事長は田名部匡代、国対委員長は斎藤嘉隆、政務調査会長は徳永エリの各氏でいずれも参議院議員ですし、公明党も代表は竹谷とし子、幹事長は西田実仁、政調会長は秋野公造の各氏らでいずれも参議院議員です。

当然、参議院議員や地方議員、あるいは一般党員などは今回の選挙では投票していないわけですが、個人的な、そしてシンプルな疑問としては、「立憲民主党の代表選に参加できる」と思って同党の党員・サポーターになった人たちの機体を結果的に裏切ったことにならないか、という点です。

あるいは、報道等によると小川新代表の任期は2027年3月までの約1年だそうであり(たとえばロイター『中道改革連合、新代表に小川氏 国民会議参加は「慎重に見極め」』等)、その期間までに中道改革連合は立憲民主、公明両党との統合を目標に入れているのかもしれませんが…。

「あの人物」と比べたら潔い

なお、最後にちょっとした感想を申し上げておきます。

今回、ネットなどを中心に、立憲民主党や中道改革連合に対する批判が渦巻いていることは事実ですが、こうしたなかでも著者はひとつ、敢えて称賛しておく点を挙げておくと、それは責任の取り方です。

結局、野田佳彦、斉藤鉄夫の両共同代表は、選挙から1週間も経たないうちに迅速に代表を辞任したわけですが、これはたった1年弱の間に主要な選挙で3回も負けたくせに辞職せず居座った「あの人物」と比べれば、いっそ潔(いさぎよ)い、という言い方もできるかもしれません。

石破首相が居座りたければ自公維連立くらいしかない?』でも取り上げたとおり、「その人物」(プライバシーの観点から名前は明かしません)は「米国の関税措置、物価高、明日起こるかもしれない首都直型地震や南海トラフのような自然災害、安全保障環境」などを理由に首相の地位に居座ろうとしました。

そういえば、「その人物」(プライバシーの観点から名前は明かしません)は選挙区である鳥取1区で66,146票を獲得して当選したものの、前回(106,670票)や前々回(105,441票)などと比べると、得票が3割ほど減っているようです。

いずれにせよ、野田、斉藤両共同代表の「さっと身を引く」姿勢と比べたら、「その人物」(プライバシーの観点から名前は明かしません)の異常性が浮き彫りになる気がしてならないのですが、いかがでしょうか?

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. らんちゃん より:

    匿名の人物、顔も見たくない。今だに後ろから鉄砲を打つ発言をしている。
    鳥取県民の民度を疑います。

    1. クリリン より:

      この度ネット保守界隈では自民党一本化運動が巻き起こりました。左系議員も高市政権の貴重な一票となるとは言え歯軋りをし紅涙を流しながらアイツに一票を投じた鳥取県の愛国者方には感謝の念を禁じ得ません。

    2. 百十の王 より:

      側近の大分3区選出議員の厚顔ぶりも腹立たしい。「(高市政権が)間違った方向に行きそうなときにはブレーキを踏むことを心がけないといけない」何を偉そうに。後ろから鉄砲を撃つ芸風は、叩かれる事はあっても良識のある国民の支持は得られない。

  2. はにわファクトリー より:

    負けに不思議の負けなし
    当方は鳥取1区選出議員は、ダメな日本の代表サンプルとして党籍除名はせずにあのまま晒しておくべきと思います。オールドメディア非難手段としても便利です。

  3. 引きこもり中年 より:

    「得票20%で議席80%は、おかしい」と選挙制度を批判していた人は、「自民党の比例の候補が足りなくなったので、他党に議席を回すのはおかしい」と批判しないのでしょうか。

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