デカい荷物問題は外国人観光客自身の負担で解決すべき

年末年始、相変わらず外国人観光客は多いのですが、やはり気になるのはやたらとデカい荷物を新幹線などの公共交通機関に持ち込む外国人の存在です。端的にいえば困りものなのですが、発想を少し変えて、新幹線を改造し、カネを取って荷物を運搬するというシステムを検討する価値はあるのではないでしょうか。新幹線の改造費用を捻出するために入国税(観光税)を導入しても良いかもしれません。

増大する外国人:中国ノージャパンを歓迎する人々

当ウェブサイトで数年前から追いかけているテーマのひとつが、訪日外国人観光客の増大です。

先日の『中国「ノージャパン」なのに訪日外国人は過去最多水準』でも取り上げたとおり、中国政府が日本に対する団体旅行の制限を加えているにも関わらず、今年11月の訪日外国人総数は11月としては過去最多を記録し、かつ、まだまだ伸びる気配を示しています。

正直、ネットでは「中国からの観光客がゼロになってくれた方が、いっそのことオーバーツーリズム問題が解消するのではないか」といった軽口をたたく人も散見されるほどです。西洋人と思しき人たちが相変わらず大挙して日本にやって来ているからです。

この年末年始も、本来ならば私たち日本人が国内旅行したいところですが、とくに都心部や観光地などに暮らしていると、やたらと外国人観光客が目につくのではないでしょうか(※余談ですが、著者も先日レンタカーを利用したのですが、外国人専用窓口が3か所に増えていました。日本人用は1か所なのに…)。

バックパックやスーツケースに何を入れてるのか

こうしたなかで、とくに気になるのが、巨大なバックパックやスーツケースです。

以前の『座席占有の外国人観光客には日本語で「どいて」が正解』でも取り上げたのですが、私たち日本人が鉄道(新幹線など)の指定席に座ろうとすると、外国人観光客(多くの場合は西洋人)がやたらとデカい荷物を持ち込み、それをあなたが取った指定席にドッカリと置いている、といったトラブルが増えてきました。

著者自身が目撃・遭遇した事例ももちろんあるのですが、XなどSNS空間では、写真とともに「不当に占領されている座席」に関する投稿を数多く目にすることがありますので、おそらくこうしたトラブルは急増しているのでしょう。

こうしたなかで目に付いたのが、ウェブ評論サイト『デイリー新潮』が29日付で配信した、こんな記事です。

新幹線で絶えない外国人観光客の「スーツケース」トラブルは解消されるか…JR東海が打ち出した「3つの対策」予想以上の効果とは

―――2025/12/29 09:00付 Yahoo!ニュースより【デイリー新潮配信】

デイリー新潮は「オーバーツーリズムの問題に詳しいフリーライター」の発言として、とくに東海道新幹線で見られる外国人観光客のスーツケースを巡るSNS上の苦情を次の3点に分類します。

  • ①スーツケースを新幹線の通路に置いて通行を塞ぐ
  • ②自分が購入した指定席に勝手にスーツケースを置かれた
  • ③背後の外国人観光客が座席と座席の間にスーツケースを置いたため、リクライニングが使えなかった

そのうえで、記事は「4番目の問題点」として、「事前予約が必要な『特大荷物スペース』と『特大荷物コーナー』を外国人観光客は予約なしで使っている」を挙げ、これに関するJR東海の「LUGGAGE EXPRESS」などのサービスの試みを紹介する、というものです。

発想を変えて別料金で荷物運搬するのは?

JR東海の「対策」や「LUGGAGE EXPRESS」などの詳しい内容については記事を直接お読みいただくとして、この①~③を含めた「外国人観光客のデカい荷物」の問題については、在来線などでも生じている、という点については指摘しておく必要はあるでしょう。

これについては正直、彼らがそのデカい荷物にいったい何を詰め込んでいるのかはよくわかりません。

いちおう、デイリー新潮の記事では、JR東海のこんな説明が記載されています。

外国人観光客の皆さんは日本に長期滞在する傾向が強く、そのため荷物の量が増えます」。

これはたしかにそうなのでしょう。

しかし、だからといってスーツケースで通路を塞いだり、自分が予約もしていない席にそれを置いたりするのはいかがなものかと思います。

ただ、ここで少し発想を変えてみるのも手かもしれません。

たとえば、新幹線などの公共交通機関も、▼旅客がデカい手荷物を持ち込むときには航空会社のように追加でコストを徴求する、▼新幹線を改造して預かった荷物を保管する場所を作る(デカすぎる荷物の自席への持ち込みを禁止する)、といった対策は考えられます。当然、コストは有料です。

あるいは、こうした新幹線の改造費用を捻出するために、現行の出国税を廃止し、外国人観光客「だけ」を対象にした入国税(あるいは「観光税」)を創設しても良いかもしれません(ちなみに当ウェブサイトでは「ありとあらゆる増税に反対」と標榜していますが、その数少ない例外がインバウンド課税です)。

正直、民間企業であるJR各社などが自社のリスクで新幹線を改造するのではなく、改造費用自体を外国人観光客に負担してもらおう、という発想も必要ではないかと思うのです。

いずれにせよ、増税が大好きな財務省がインバウンド増税に手を付けないのは謎だと思うのですが、いかがでしょうか。

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. クリリン より:

    【国立博物館や美術館に「二重価格」要求へ…多言語対応へ訪日客の入館料を割高に : 読売新聞】

    個人的には台湾辺りは1.5倍程、大陸は150倍が妥当かと。

    1. 丸の内会計士 より:

      価格差別は、やるべきですね。経済学的に正しい方向性です。

  2. 日本市民 より:

    日本人が我慢すればいいんじゃないかな
    外国人の皆さんの人権を尊重すべきだよ ヘイトはいけない

    1. F6F より:

      おやこんなところにも
      何故我慢しなきゃいけないんですか?
      荷物の話が何故人権の話になるのですか?
      なぜヘイトになると思われたのですか?

    2. 匿名 より:

      そうですね
      これまでの自民党はじめ与党や財務省、外務省などからの
      政策からはそのようなメッセージしか読み取れませんからね
      従順な羊はいつまで経っても贄なのです

    3. 農民 より:

       もうちょっとくらい勉強して下さい。「ヘイト」はもう古いです。これからは「排外主義ガー」の方が釣れますよ。年の瀬に釣りなんていう常識を弁えない行動をするくせに、既存の常識をいつまでも擦っていてはダメです。
       そもそも往年の釣り……バーボンハウスや腹筋、ワッフルといった文化は、「釣られて一本取られたとクスりとくる」可愛気のあるものでした。逆張りや挑発をしてノセて不快にするだけとかいう、形だけに囚われて本質の伴わない下の下の手を「釣り」だと思って楽しんでしまう者が増えた現状が嘆かわしいです。(インターネット老人会感)

       くだらないモノはさておき、この問題も「応益負担」というべきものでしょうか。日本人は「とりあえずどうにかしてしまおう」という方向性がありこれが技術力の源泉でもありますし、企業努力が評価されるという風土もありますが、同時に「働かざる者食うべからず」だとか和を乱す他所者を警戒するムラ的文化もあります。現状のように既存の他の乗客が我慢、JR側が出費というようなものではなく、「大きな荷物を持ち込まなければならない者」がそれなりに負担するというのは、全員にとって納得しやすいはずです。大きな荷物はやめようという効果もありますし。「カネさえ払えば良いんだろ」という者も居るでしょうから、それなりに高額をふっかけても良いかと思います。「コイツ荷物減らせば良いのに高い金払ってご苦労さんなこっちゃなぁ」みたいな見方ができると、溜飲も下げやすい。

    4. 匿名 より:

      出た出た、黄色い救急車呼ぼうか?エセ日本人。

    5. クリリン より:

      皆さんがナゼ反応したか分かりますか?
      言葉がキレイだからです。後薄いけど一応論点もある。
      煽りとは議論の提示の一つです。痛い処を突かれたら躍起になって反論に挑みますが、会話にもならない只の悪口なんぞ立憲の様に相手にされなくなりますからね。
      ここの住人全員が脊髄反射を起こしそうなきっついネタがありましたらまたどうぞ。

  3. 同業者 より:

    1~2車輛を貨物車輛に交換するか、増車しますかね。
    貨物車への改造費用と荷物の受け渡しの人件費やシステムの導入費用が発生すると思いますが、
    投下資金は利用料金で回収するしかないでしょうね。
    デカい荷物を持ち込む外国人旅行者も困りものですが、「女性専用車輛がなぜ1車輛しかないの?」と疑問に思う今日この頃です。

    1. 美術好きのおばさん より:

      同業者さまの「1~2車輛を貨物車輛に交換」の案に一部賛成です。

      新幹線は秒単位で発着しています。その中で、別途に手荷物預かりとは余計に時間と手間がかかります。

      東京のJR中央線では一部の車輌をグリーン車とし、乗車券のほかにグリーン券を発券して快適(!)な乗車を勧めています。それと似た発想で、大型手荷物乗客用の車輌を作ったらどうでしょう?

      例えば、車輌の座席を従来の3席と2席から2席の列を取り払って3席の列のみとし、空いたスペースを荷物置き場とします。乗客は別途手荷物料金を払って自分で新幹線内に持ち込み、座席近くに荷物を置くことができます。ほかの車輌に入った大型手荷物乗客は、その車輌に移動するか強制下車とします。

      乗車券を購入することは、JRと購入者との間で契約が成り立ったことを意味します。契約違反の乗客に対しては、断固とした処置を取って欲しいです。

      ラッシュ時の在来線で大型手荷物にあたり、しょっちゅう膝やスネにアザをつくる者からの提案でした。

  4. 静岡のおぢぢ より:

    東海道新幹線は「特大荷物コーナー」があるようで、今は無料ですが、いずれ有料化するのではないでしょうか(「特大荷物スペースつき座席」とは別物)。

    >一部のデッキ部に設定している「特大荷物コーナー」を試行的に事前予約不要の荷物置場としています。

    私は利用しても「こだま」だし、荷物も少ないので「特大荷物コーナー」、「特大荷物スペースつき座席」を利用したことはありません。
    なお、「特大荷物コーナー」利用するには盗難防止のためにワイヤーロックのようなものが必要かも知れません。

  5. 丸の内会計士 より:

    JRにビジネスを考える人材がいるのかどうか?疑問です。また、国土交通省の許可が必要で、大変な事務作業が想定され、発想はあったとしても誰もやりたいと思わないとか。
    役人は、税金を取らずに、余計なことをしないで、必要最低限のことをやって欲しいですね。国土交通省とか、道路の下の空洞とか、橋のメンテナンスとか。Mustなことに集中して、鉄道のサービスについては、企業の責任で企業に任せるとか、或いはもっと積極的に独占させているのだからもっと儲けるサービスを考えろとJRを国土交通省の役人が詰めるのが良いと思います。

    1. 丸の内会計士 より:

      経済成長して税収を稼ぐということなので、国土交通省はJRをもっと稼ぐ組織にするために、徹底的に詰めまくることで、役所としての存在意義を確立するのはどうでしょうか。

  6. 都市和尚 より:

    いつも楽しみに拝読しております。
    大きな荷物の外国人は、東京の通勤ラッシュでも困った存在です。超満員の車内でドアを塞いで乗降の邪魔ですし、一旦降りて後の人を通してくれたりすることもあまりありませんし、先日はベビーカーまで同伴しているケースがありました。
    時間帯によっては混み方が物凄く、お互い予期せぬ怪我をする可能性もあり、何かしら情報提供が必要と感じています。

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