構造改革の一環…社会保険料はゼロベースで見直すべき
「現役層の負担が重すぎる」。「社会保険料の制度が詐欺的である」。「減税と国債発行、構造改革が必要だ」。これらは当ウェブサイトを通じ、これまでに何度も強調してきた内容です。さて、その一方で昨日は面白いことが発生しました。Xで著者自身がフォロワー5万人を達成したのです。しかもフォロワーをよく確認してみると、現職国会議員の方々なども含まれていることがわかりました。やはり、普段から当ウェブサイトが税社保改革の必要性を強調しているからなのでしょうか?
目次
Xのフォロワー5万人
最初に、ちょっとした報告があります。
山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士、昨日、ついにX(@shinjukuacc)でフォロワーが5万人を超えてしまいました。自分でも正直、驚いています。
年初の『新聞業界が衰亡を防ぐためには?』でも報告したとおり、著者が旧ツイッターを開始したのは、もともとは当ウェブサイトの記事を更新したことを告知することを目的としていました(なのでアカウント開設も2016年7月です)。
当然、当ウェブサイト側が情報発信のメインのプラットフォームだったこともあり、また、とくに積極的に宣伝しているわけでもないなどの事情もあり、フォロワーの増え方も緩慢でした。手元メモだとフォロワーが1,000人を超えたのは2019年6月、2,000人を超えたのは同年12月ですが、その後は停滞。
やっと5,000人を超えたのが2024年6月頃だったのですが、これが突然、24年9月頃から増え始め、6,000人、7,000人と増え、あれよあれよという間に1万人を突破し、昨年末時点で2万人直前という状況になったのです。
さらに今年に関していえば、フォロワーは年初にすぐ2万人を超え、今年4月に3万人を達成(『Xフォロワー3万人記念の節目にもっとも伝えたいこと』等参照)。さらには、9月頃には4万人を、昨日、5万人を達成した、というわけです。
フォローしてくださっている方のなかには現職国会議員・国会議員経験者などの政治家が数十人いらっしゃるようであり(所属政党でいえば自民党と国民民主党が多いでしょうか)、これについては「嬉しい」というよりも、「緊張する」と言った方が正確かもしれません。
それにしても政治家の皆さんは、よくこの口の悪い自称会計士をフォローしようという気になるものだと思う次第です。
最大の問題意識
税社保取り過ぎ問題
ただ、「なぜ、政治家の皆さまがこの怪しい自称会計士をフォローしているのか」という点については、思い当たるフシがないではありません。
そのひとつが、「税社保取り過ぎ問題」です。
当ウェブサイトではこれまで、わが国の税金(あるいは税と名乗らない税)の負担がちょっと高すぎる、とする話題を常々取り上げてきました。それらの一部については石破政権末期ごろに執筆した『最近のイチ押し記事』一覧(現時点で次の5つ)にまとめたとおりです。
最近のイチ押し記事(現時点)
これらの記事では、たとえば現役世代の多くが(サラリーマンの場合は)人件費に対して3割前後、ないしそれを超える金額の公租公課負担を強いられていて、しかもそれらの多くが、負担した本人には還元されない、といった「制度上のバグ」について解説しているつもりです。
年収の壁引上げももちろん大事だが…
こうしたなか、高市早苗総理大臣率いる自民党が、いわゆる「年収の壁」引上げを巡って、国民民主党と協議に乗り出すのかが注目されるところです。
国民民主党の玉木雄一郎代表も、一部で報じられている「低所得者向けの年収の壁を178万円まで引き上げる」とする構想を巡って、「中間層を含め、より幅広い所得階層に引上げの恩恵が及ぶようにすることが重要」などと述べているところです。
物価高騰で困っているのは低所得層だけではありません。中間層を含め、より幅広い所得階層に引き上げの恩恵が及ぶようにすることが重要です。政府・自民党にも最後まで丁寧に理解を求めて参ります。
玉木氏「幅広い所得層に恩恵を」 年収の壁引き上げ巡り訴え(共同通信) https://t.co/Gd9VZB4HpX
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) December 13, 2025
正直、本件について個人的に言いたいことはたくさんあるのですが、それでも目先の「手取りを増やす」に向け、実務家レベルでの協議が加速していくことは好ましい話であり、これについては現時点でああだ、こうだと騒ぐのではなく、議論の行方を見守りたいと思う次第です(来週、この話題を取り上げるかもしれません)。
社会保険料の実態は老人福祉税
ただ、本稿で取り上げておきたいのは、やはり「ゼロベース」で見直すべき論点の特定です。
もっといえば、この「税社保取り過ぎ問題」のなかでも、サラリーマンにとって最も深刻なのは、やはり、「社会保険料」であると断じざるを得ないのです。
これ、「社会保険料」という言葉に騙されそうになりますが、ちょっと待っていただきたいと思います。言葉としてはたしかに「保険料」と名乗っているのですが、その実態はただの税金、しかも「老人福祉に浪費するための目的税」です。
「社会保険料=老人福祉税」説
- ×厚年保険料→〇老人年金税
- ×健康保険料→〇老人医療税
- ×介護保険料→〇老人介護税
そういえる理由が、私たち労働者(やその雇用者)が支払わされた社会保険料の使途にあります。
たとえば厚年保険料の場合だと、とりわけ現役世代が支払った保険料と将来もらうであろう年金額に大変大きな不均衡があります。
現在の年金保険料は「標準報酬月額」に対し、労使合わせて18.3%であり、しかも数年後には、標準報酬月額の上限が75万円に引き上げられてしまいます(ちなみに上限の引き上げに協力した政党が立憲民主党です)。
ただ、たくさん保険料を支払ったからといって、将来もらえる年金額が大して増えるわけでもありません。
わが国の年金制度では、国民年金、厚生年金双方に共通する「基礎年金」部分と、厚生年金加入者に呑み支給される「報酬比例」部分があるのですが、2003年4月以降の加入期間については、報酬比例部分については「平均標準報酬月額×5.481÷1000×加入月数」で決まります。
計算式で示す厚年のバグ
ということは、厚生年金保険料は1万円払うごとに増える将来の年金額は年額でせいぜい300円ほどだ、ということです。この厚生年金のバグを、簡単な計算式で示しておきましょう。
- ①式:N=0.183000×S×T
- ②式:P=0.005481×S×T+K(T)
ただし
- N:生涯保険料(※なお、労使合計とする)
- S:平均標準報酬月額(※なお、上限あり)
- T:加入期間月数(2003年4月以降)
- P:将来の年金受給見込額(年額)
- K:基礎年金部分(加入期間Tに応じて決まり、報酬と無関係)
- ③式:ΔN/ΔS=0.183T
- ④式:ΔP/ΔS=0.005481T
- ⑤式:③÷④→ΔN/ΔP≒33.34年
- ⑥式:④÷③→ΔP/ΔN≒3%
したがって、2005年頃以降に生まれた人が大学を卒業し、会社に就職して働き続け、65歳で引退した場合は、毎月バカ高い厚年保険料を負担させられた挙句、引退してから受け取る年金の報酬比例部分は、支払った保険料総額の3%分に過ぎません。
あるいは、現在価値や機体運用利回りなどの議論を無視しても、元を取るためには33年間、98歳まで生きなければならない、という計算です。
現役層の負担が重すぎる!
あなたが払った健保料は老人に浪費されている!
以上は厚生年金保険料の議論ですが、健康保険料に関しては、さらにメチャクチャです。
高齢者は多くの場合、窓口負担が大幅に軽減され、70歳以上になると2割に減り、75歳以上になるとたった1割になります。いわば、高齢者医療は8割引や9割引で受けられるのです(※なお、後期高齢者であっても年収が高い場合は自己負担が2割、3割となるケースがあります)。
もちろん、高齢者医療費だってタダではありません。
後期高齢者医療費の例でいえば、2024年の後期高齢者医療費の総額は約20兆円でしたが、このうち後期高齢者らの負担(保険料や窓口負担)はその20%、だいたい4兆円弱であり、残りは現役層の仕送り7兆円強、国庫や地方自治体の負担8兆円あまりなどで構成されています。
いわば、「現在の」現役層が支払った健康保険料は、「現在の」高齢者(とりわけ団塊世代以上の老人)のために浪費されている格好であり、当たり前の話ですが、現在の現役層が高齢者になるころには、そのおカネはもう残っていません。
未来の高齢者が現在の高齢者と同じような手厚い医療を9割引で受けるためには、現在の子供たちが将来勤労者になったときに、現在と同様化、下手をしたらもっと多くの保険料を毟り取る必要があるのです(人口ピラミッドで見れば明らかです)。
雇用主負担分という詐欺的な仕組み
なぜこんなメチャクチャな仕組みが温存されてきたのか。
結局のところ、社会保険料に関していえば、実質的な負担が見え辛いという問題があります。これが、雇用主負担分という詐欺的な仕組みです。
たとえばあなたが現在、22歳の大学4年生で、来年、卒業後に就職し、65歳で退職するまで働くとし、その間の平均年収が600万円(便宜上、ボーナス等なしで月収が50万円)だったとすれば、あなたが支払う社会保険料は、生涯でざっくり8000万円前後です。
しかし、そのうちの約4720万円が厚年保険料ですが、それで退職後にもらえる1年あたりの年金は報酬比例部分が約141万円に過ぎません(これとは別に基礎年金部分で約83万円支給されるので、トータルで244万円程度です)。
また、健康保険料はざっと2600万円前後ですが、このうちのだいたい4~5割、実額にして1000~1300万年程度が、この人が働いていた時代の高齢者の医療費(※湿布代や延命治療費などでしょうか?)にすでに充当されてしまっています。
ただ、この「生涯で約8000万円かそれ以上」という社会保険料の額あ、あなた自身の給与明細で確認することはできません。というのも、社会保険料には自己負担分だけでなく、同額以上を会社が負担しているからです(図表1。なお、細かい計算条件は図表内の注記を参照)。
図表1 人件費と年収と手取りの関係(40歳以上・年収600万円の場合)
現実には40歳以上で介護保険料の納付義務が発生するため、図表は「40歳以上の場合」で作成しています(40歳未満の人は介護保険料を除外して計算します)。また、健康保険料は加入する健保などにより微妙に異なりますが、ここではざっくり「標準報酬月額の10%」と考えておくと良いでしょう。
しかし、あなたが自身の給与明細で確認できる金額は、「社会保険料約93万円、諸税約51万円」であって、会社があなたのために支払った約98万円は、あなたの目には見えません(たとえば「子ども・子育て拠出金」や労災保険料などは、従業員からすれば、会社が支払っているという事実も知らないかもしれません)。
高所得だと40%を超えるが…年収300万円でも重い負担
しかも、さらに驚く話があるとしたら、実効税率かもしれません。
一般に年収400万円程度までの人については、給与所得控除や基礎控除、社保控除などが効くため、所得税の税率は5%程度で済むケースが多いと考えられますが、これはあくまでも所得税の税率であって、社会保険料は含まれていません。
実際には社会保険料には「控除」などの概念がないため、額面の月給をベースに計算された「標準報酬月額」にダイレクトに約30%前後を乗じて得た額が労使折半で徴収されます(労働者側の負担は約15%前後です)。
ということは、実質的な給料(=あなたを雇うために会社が支払っているコスト)は、額面の給料だけでなく、あなたのために会社が負担している社会保険料部分(約15%)も含まれるはずであり、実質的な社保は15%ではなく25%前後(≒約30%÷約115%)です。
こうした「約25%の社会保険料」を考慮に入れると、たとえば年収約300万円の人でも、実質的に負担している公租公課(社保会社分+社保自己分+租税)は少なくとも33%(つまり3分の1)であり、これが年収1600万円前後で40%を突破します。年収2000万円だと41%あまりです(図表2)。
図表2 年収と手取りの関係(40歳以上・ボーナス不考慮)
(【注記】図表1の図中に記載と同じ)
つまり、この現代日本という国では、働いている人は多くの場合、自分自身が稼いだ額の3分の1を大きく超える額を国や自治体、老人医療費や団塊世代の年金などに奪い取られているわけであり、しかもこれだけの負担を余儀なくされても見返りはほとんどないのです。
アベノミクス再始動が必要(とくに第一・第三の柱)
著者自身の感覚としては、やはり標準報酬月額に対し30%前後を奪い取っていく社会保険料の仕組みを改めなければならないと考えていますし、また、一般会計において毎年巨額の剰余金を計上していることからもわかるとおり、所得税や住民税、法人税や消費税などの税金は明らかに取り過ぎです。
国民経済の活力を奪っているのは明らかに財務省と総務省と厚生労働省を中心とする強欲な官庁・役所であり、その中核にある、「社会福祉」の名を騙る国家によるさまざまな給付制度にあるのです。
このように考えていくと、わが国の経済をどうやって強くしていくのかについては、大きな方向性としては、基本的には「▼減税により勤労層の負担を軽くすること、▼国債発行をためらわないこと、▼複雑化した福祉制度を徹底的に見直すこと」ではないでしょうか。
わが国が向かうべき方向
- ①減税による勤労層負担軽減
- ②国債発行による財源の確保
- ③制度の徹底見直しと歳出減
これらは、じつはアベノミクスの第一の柱(積極的財政政策)と第三の柱(構造改革)と同じことを述べています。①と②が第一の柱に、③が第三の柱に該当します。
アベノミクスが中途半端な状態に終わった最大の理由は、安倍政権下では(コロナ禍の一時期を除けば)国債発行などは抑制され、また、2回にわたって消費税等の大幅な引き上げが行われたからであり、その意味で、アベノミクスは金融政策一本足打法だったのです。
また、構造改革も不十分であり、とくに行政のさまざまな分野で官僚の裁量による支配という構図は残ってしまい、一部ではそれがさらに悪化していたりもします(2020年のレジ袋有料化政策という世紀の愚策などはその典型例でしょう)。
高市総理が本気なら側面支援も?
ただ、金融緩和は大いに効いたので(とくに雇用が最大化したことは安倍総理の大きな功績です)、アベノミクス自体は有効だったことは間違いなく、あとは第一の柱と第三の柱をいま一度強く推進すれば良いのではないでしょうか。
とりわけ、故・安倍晋三総理大臣が2012年12月に再登板した時期と、高市早苗総理大臣が登板した2025年10月時点を比較すると、最も大きな違いは、官僚・マスコミ・特定野党という「悪の腐敗トライアングル」がネットの登場で力を失っている点にあります。
だからこそ、高市政権はうまくネットの力を取り入れていただきたいとも思いますし、もし高市総理が本気でアベノミクスを再始動しようとしているなら、内容によっては当ウェブサイトとしても側面支援できる項目もあるに違いありません。
といっても、当ウェブサイトのスタンスは「是々非々」です。
もし高市総理が減税や構造改革に後ろ向きであるならば、著者自身は少なくとも内閣不支持に転じる可能性がありますし、その意味でも最初の試金石が所得税と住民税の「年収の壁」なのです。
いずれにせよ、冒頭でも取り上げたとおり、「年収の壁」を巡る議論が来週以降、本格化するかもしれません。
まずはその議論の進展を見守ってみたいと思いますが、「税社保取り過ぎ問題」は所得税法を変えればお終い、というものでもありません。そこが「パンドラの箱」となり、芋づる式に社保料見直しの論点が浮上してくるはずです。
当ウェブサイト、2016年当時は「読んでくださった方々の知的好奇心を刺激すること」を目的にスタートしたのですが、この目的は現在でも変わっていないつもりではあるものの、結局のところは「新聞、テレビが報じた内容を鵜呑みに信じて良いのか」という問題提起につながっていたのかもしれません。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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構造改革で社保制度の見直しは、Mustと思いますが、構造改革という観点では、AIの労働市場への影響についても見通しを持つ必要があります。実際にAIを活用しますと、これまでの作業的な仕事が一瞬で終了して、高度な知識やそれを使った新しい考え方とかを要求され、それに対応するのが仕事になり、楽な仕事がAIに奪われるという感じです。楽な仕事を新人に対応してもらい、人を育てるような、マネジメントするのが仕事ではあったのが、新人も不要になりつつあり、AIが行った仕事の先をやるというのが、大量発生という感じです。これは結構、大変です。顧客との関係に集中できるようになりますが、それだけが仕事になると新人では対応できない状況です。組織の継続性という観点では、常に新人は必要なのですが。
このような観点も含めて、労働市場の今後のパースペクティブを前提に社保を含めた制度の議論をする必要がありそうですが、これだと取られすぎはいつまでも解消しないですね。
社保については、「憎まれ役になるだけで、得どころか選挙すら危うくなる。(だから、手をだす人はいない)」というのが本音かと。
果たして、自分の首が寒くなることを厭わず社保に手を付ける議員はでるでしようか。
昔はボーナスからは保険料取って無かったんですが、「給料を低くして、低くした分をボーナスで補填して保険料逃れをしているところがある。」とかでボーナスに保険料がかかるようになったと記憶してますが、その時に給料の保険料率は下がっていないので、社保を拡大するための言い訳だったのだろうなと。
この問題に限らずですが、「憎まれ役を請け負って必要な政策を提言する勇気があり有能な議員の出現が待ち望まれる」というと確かにそうなのですが、結局そういった議員が出てこない理由は”有権者の”投票行動なんですよね。
オールドメディアは例えそういった提言があっても、彼らにとって都合の良い議員であれば「勇気ある提案だ!」と報道し、都合の悪い議員であれば「国民生活を考えていない!」などと喚くでしょうから※、全く期待はできません。有権者である以上、政策を合理的に評価できるようになりたいものです。
※実例として前の首相はどうも「減税は間違った政策で多数の国民は間違っている、それを言えちゃう自分はエライ」という風でしたが……政策の本質だけでなく「メディアにとって都合の良い議員」という先の無い道を選んでしまうあたり、ダメダメでしたね。