戦隊シリーズ終了?テレビとコンテンツビジネスの未来
これも収益性の問題なのでしょうか、一部報道によれば、昭和50年の『秘密戦隊ゴレンジャー』以来半世紀近く続いてきた戦隊ものが、現在の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』で終了するそうです。ただ、現在の日本では若者のテレビ離れなどが進んでいることも事実ですが、日本には優れたコンテンツがたくさんあることは間違いありません。こうしたなかで思い出すのは数年前のアクティビストの提案です。
戦隊シリーズが放送終了か?
戦隊ものの放送が終わってしまうのでしょうか?
昨日の夜以降、こんな記事が、ネットなどでちょっとした話題を呼んでいるようです。
テレビ朝日、スーパー戦隊が放送終了へ 半世紀49作の歴史に幕
―――2025年10月30日 21:02付 日本経済新聞電子版より【共同通信配信】
スーパー戦隊シリーズ、放送終了へ 「ゴレンジャー」から半世紀の歴史に幕 テレビ朝日
―――2025/10/30 19:32付 産経ニュースより
産経を含めいくつかのメディアが報じたところによると、テレ朝(や東映)が制作している特撮ヒーロー番組「スーパー戦隊シリーズ」については、現在放送されているシリーズ49作目の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』をもって終了することが「関係者への取材で明らかになった」のだそうです。
なんでも戦隊ものの第1作目である『秘密戦隊ゴレンジャー』が放送されたのは昭和50年、つまり1975年だそうですので、じつに半世紀の歴史がある作品です。
しかし、これらの記事によれば、「イベントや関連グッズ、映画化などで得られる収入が、番組制作費に見合わ」なくなっているのだそうであり、これも仕方がない話といえるかもしれません。
「コンテンツビジネスに転換せよ」外資ファンド
ただ、こんな話題を目にしたときに思い出すのが、「コンテンツビジネスへの転換」という論点です。
当ウェブサイトではかなり以前の『米系投資ファンド「日本の地上波テレビに将来性なし」』でも取り上げたのですが、およそ5年前、米系のアクティビストが株式会社テレビ朝日ホールディングス(つまり株式会社テレビ朝日の親会社)に対し、地上波の放送免許の返上などを含めた経営改善策を提言したことがありました。
この提言、今になってもなかなかに驚く内容です。
なにせ、テレビ局に対して「テレビ放送事業を辞めたらどうですか?」、なんて提言、常識的にはにわかに理解し辛いところでもあります。
ただ、この一見突拍子もない提言も、よく読んでいくと、ある意味では理に適っています。
当時、このアクティビストファンドはテレ朝について、グループ会社(親会社の株式会社朝日新聞社や持分法適用関連会社である東映グループなど)との関係を踏まえ、報道やスポーツ、エンタメを含め「ウォルト・ディズニーのような総合メディアコングロマリットを目指すだけの潜在能力を有している」と指摘。
次のような提言を行ったのです。
- ①地上波の無料番組に依存したビジネスモデルを改め、経営環境の変化に応じ、たとえば電波利用権を政府に返上することを含め、経営を抜本的に転換すること。とくに地上波テレビ広告市場は縮小しているのに対し、4K設備負担などは重くなっている現状を踏まえるべき
- ②大阪にある朝日放送を含めた系列局を再編し、地上波放送の設備投資を抑制する
- ③東映グループとの関係を強化し、同社の映画、アニメ、テーマパークビジネスなどをテレビ朝日グループの中核事業に据える戦略に転換すべき
- ④自社株の買入を含めた株主還元を強化し、その一環として東映が相互持合いで保有している15%相当の株式を自社株買入することにより持合関係を解消すべきである
…。
地上波テレビを見る人がどんどんと減っている
なかなかに、思い切った提案です。
もちろん、わが国の場合、放送局やその親会社の株式については議決権の5分の1未満にすることが求められている(例:放送法第93条第1項第7号)、などの事情もあり、外資系アクティビストファンドの意見が通る可能性はさほど高くありません。
実際、現時点でテレ朝HDのウェブサイトで公表されている2025年3月末時点の株主構成をチェックすると、相変わらず同社の最大の株主は株式会社朝日新聞社(24.72%)であり、これに東映株式会社(17.51%)や公益財団法人香雪美術館(4.75%)などが続きます(※)。
(※なお、ここでいう大株主には信託銀行の信託口を除外しています。)
正直、こうした外資系の株主提案が通るような構図にはありません。
ただ、この外資系アクティビストの提案は、現在の日本の放送業界が置かれた経営環境や経営課題、さらには株主価値の向上策を、とても適切に表現していることも事実でしょう。
あくまでもデータだけでいうと、テレビ業界は地上波放送に拘っていても未来がないからです。
以前の『最新データで読む「高齢者の娯楽」となりつつあるTV』などでも紹介した総務省の委託調査とその過去データなどで判断するに、テレビの視聴者層は高齢化が続いており、若返りに失敗しているからです。
「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
―――2025/06/27付 総務省ウェブサイトより
今年版に関しては東京経済大学コミュニケーション学部の北村智教授、東京大学の橋元良明名誉教授、青山学院大学総合文化政策学部の河井大介助教との共同研究形式ですが、これと同種の調査は(著者が確認した限りは)少なくとも2013年以降毎年公表されています。
これに関して年代別の平日におけるテレビ視聴時間(※リアルタイムに限定)がどう変化したかを並べておくと、図表の通り、若者を中心に人々がテレビを見なくなっている実情がわかります。
図表 平日のTVの利用時間(リアルタイム視聴)
| 年代 | 2013年 | 2024年 |
| 10代 | 102.5分 | 39.7分 |
| 20代 | 127.2分 | 52.6分 |
| 30代 | 157.6分 | 80.2分 |
| 40代 | 143.4分 | 117.5分 |
| 50代 | 176.7分 | 159.0分 |
| 60代 | 257.0分 | 226.7分 |
| 10~60代平均 | 168.3分 | 123.8分 |
| 70代 | ― | 310.7分 |
| 10~70代平均 | ― | 154.7分 |
(【出所】『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』や『情報通信白書』等をもとに作成。ただし、70代データは2025年公表データで付け加えられたもの)
いまやテレビは高齢層の娯楽に!?
いかがでしょうか。
2013年の時点だと、どの年代でも平均して100分以上、テレビを視聴していたのですが、これが2024年だと30代以下で100分を割り込んでおり、とりわけ10代は40分を割り込んでいることがわかります。
じつはこの調査を眺めていると、▼最近になればなるほどテレビ視聴時間が減っている、▼若年層になればなるほどテレビ視聴時間が減っている、という傾向がくっきりと浮かぶのですが、この傾向が続けば、若年層がほとんどテレビを見なくなるだけでなく、テレビを見ない層が高齢層にも拡大していくことは間違いありません。
そういえば、昨年の衆院選や今年の東京都議選、参院選といった選挙結果でも、一部メディアの調査では高齢層と若年層の投票行動に顕著な違いがありましたが、これも「テレビ層は高齢層に極端に偏っている」という状況の証左ではないでしょうか。
こうした状況を踏まえれば、テレビ局が地上波テレビに拘らず、さまざまなビジネスに進出していくべきだ、といった指摘にも、それなりの合理性があることは間違いありません。
コンテンツビジネスの可能性
そもそも論ですが、テレビ局には「コンテンツのクリエイター」という立場と、「放送局・放送事業者」という立場があり、そこには二面性があるのですが、これについても必ずしも一体の関係である必要はないと思います。
ウォルト・ディズニーがコンテンツ制作者であるだけでなく、テーマパークなどの運営で大成功している事例からもわかるとおり、コンテンツ自体がビジネスとして成り立つものであり、かつ、日本にはそのポテンシャルがある作品がたくさんあります。
これも戦隊ものだけの話ではなく、長寿アニメ(同じテレ朝だとドラえもんさんやクレヨンしんさん、他局だとフジテレビのサザエさんやちびまる子さん、朝日放送テレビのプリキアシリーズなど)や仮面ライダー、ウルトラマンなどのコンテンツビジネス全体に当てはまります。
極端な話、優れたコンテンツについては著作権を有料のビデオ・オンデマンド(VOD)サービスがテレビ局などから買い取り、シリーズの継続を図る、といった動きが生じてくる可能性もありそうです。
その意味では、テレビ業界の動向等を巡っては、目が離せない展開が続くと個人的には予想している次第です。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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もし、TVドラマ「戦隊シリーズ」に、コンテンツとしての使い道を思いついたところがあれば、テレ朝以外のテレビ局が放送することもあり得るのでは。
そういや死んでしまえ発言って朝日だっけ?
どこか血気盛んなプロダクション会社が公開ファンドライジングを通じて優良コンテンツを TV 局や映画会社から買い上げる運動を始める、いいですねー、夢があって。
ゴレンジャーのバンバラバンバンバン
間違って Youtube 検索してしまって、この動画はぜったい ear worm(幻聴が止まらなくなること)です、ええ保証します(太鼓判)とも。
はっきり言って、テレビを観ない理由は「NHK」です。
番組が面白くない、とかいろいろあると思うけど、『タダ』で見れるのならBGM代わりのテレビもありだと思う。けど、受信料を払わない為には、テレビを持ってはいけない。
こういう積み重ねで、自分から、子、孫とテレビを観ない習慣が出来てきているんじゃないかと思います。子供向け番組も、受信料払うくらいならYouTubeで十分。
私はこの「戦隊シリーズ終了」もNHKの強欲の賜物だと思いますがどうでしょうかね。
小耳情報なので不確かですが、
aa.日本の戦隊モノは国際的な版権を海外資本が持っていて、作っても作っても金にならない。
(円谷プロも下手を打って版権で丸裸にされてましたね)
bb.なので一旦シリーズを打ち切って、国際的なパテント等をきちんと整理整備して新しいシリーズを始めるつもりなのではないか?
みたいな書き込みがありましたね。
個人的には、ポリコレ大好きな日本の実写業界の凋落のあおりをくらって、もう作れなくなってるのかな?という気がしますけれども。
個人的には、安全衛生とか火薬取締とか放送倫理とか気にせずに作っていた頃の方が好きですね。
予算も時間も機材も技術も無いけど、情熱だけで工夫して長回しとカット割りだけで、超絶に盛り上げてた戦闘シーン。
(デジタル合成が始まる直前のダイナマンあたりが頂点かと)
my 無形文化財認定品ですわ。
ショッカー隊員の独白
「もっと女性の多い職場に転職したい」
「この仕事は土日を使ってやるようなものだろうか」
身なりのみすぼらしい新聞社写真部カメラマンや NHK カメラクルーには、ショッカー隊員服を支給して、現場取材に送り出すべきと思います。
初期のショッカーには女性戦闘員出てましたね。
穿った見方をすると暴力を肯定しジェンダー差別を助長する戦隊ものは不謹慎との声が内外から上がったのではないかと推測します。
なんせテレビ朝日ですからね。
アニメの売り上げが過去最高を更新しているのとは対照的ですね。
アニメ産業市場15%増の3.8兆円 日本動画協会推計、海外けん引 – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC30A480Q5A031C2000000/
一般のドラマと同じように、特撮もNetflixのようなところがお金を出して、制作されるようになるんだろうか?
関連番組を含めて、わざわざ他局の子供向け番組と競合する時間帯に移した時点で、元から大して重要視していなかったのでしょう(しかも午前10時前という休日にはとてつもなく中途半端な時間帯)。
逆に腐敗したテレビ局とは縁を切って別のフォーマットで再出発した方がコンテンツ再生の可能性はあるかもしれません。
レッド:直ぐに恫喝してくるプーさん。
ブラック:白馬の将軍様。
ブルー:妄想にとりつかれ、多くの命を奪った男。
イエロー:水を染めて押し売りする商売人。
ピンク:三重のバリアを持つ女性。(実は三人以上いるという噂)
これは、ヒーロー番組なのか?
このまま地上波の衰退が続くと、地上波で流れるのは通販番組と再放送のドラマやアニメだけになるかも。
アニメも無くなるだろ
テレ東ですらごっそり枠減らしたんだし
「スーパー戦隊」シリーズは東映とテレビ朝日が権利者ですが、海外で展開されているのはアメリカでスーパー戦隊を元に製作された「パワーレンジャー」シリーズです。現在は休止中のようてすが、いまコチラの権利を持っているところが後継として独自作品を製作するとしています。
東映とテレビ朝日は、パワーレンジャーからの権利料が入らなくなることも勘案してスーパー戦隊の放送を終了させることにしたのではないでしょうか。
コンテンツ自体には人気があるので、有料配信やCSの東映チャンネルやテレ朝チャンネルでの放送なら継続するかもしれませんね。
高校無償化を更に推し進めているけど。いい加減利権を切って税金を下げないと、日本人の家計と均衡そないだろう。