【仮説】総理経験者との面談は「最後通牒」だったのか
報道等によれば、石破茂首相は昨日、自民党本部で内閣総理大臣経験者3人と面談したあと記者団に対し、辞任報道を否定して見せたそうです。ただ、これは石破氏続投の可能性が高まったとみるべきではありません。むしろ現時点においては「石破首相リコール」の可能性が徐々に高まっているといえるのではないでしょうか。そして、そういえる理由はなにでしょうか。
目次
石破氏包囲網の現状
最初に、石破茂首相に対し辞任を求めるなどの動きのうち、個人的に発見できた話題を資料集として置いておきます。
- 茂木派⇒旧茂木派の中堅若手が両院議員総会開催要求(共同通信)
- 北海道⇒道連が石破首相に退陣求める(産経ニュース)
- 青森県⇒県連会長が報道陣に対し退陣の必要性指摘(東奥日報)
- 宮城県⇒県連が石破首相に退陣求める(仙台放送)
- 新潟県⇒県連が石破首相に退陣求める(FNNプライムオンライン)
- 茨城県⇒県連が退陣を党本部に申し入れ(時事通信)
- 栃木県⇒県連幹部が退陣要請の動き(下野新聞)
- 神奈川県⇒県連が「速やかにけじめを」(産経新聞)
- 山梨県⇒県連青年部・青年局が即時辞任などを申し入れ(YBS山梨放送)
- 静岡県⇒県内議員から退陣求める声受け県連が方向性検討(静岡放送)
- 富山県⇒県連が自民党総裁の退任を要求(日テレNEWS)
- 石川県⇒県内議員に高市氏擁立の動き(北國新聞)
- 京都府⇒府内選出の西田昌司参議院議員が首相に退陣要求(京都新聞)
- 大阪府⇒青山繁晴府連会長(当時)が「自ら辞めるべき」(FNNプライムオンライン)
- 広島県⇒辞任を求める声(中国新聞)
- 山口県⇒県連幹部が退陣を要求(中国新聞)
- 愛媛県⇒県連幹事長が現体制刷新を要求する声明(日テレNEWS)
- 高知県⇒県連が退陣を党本部に申し入れ(時事通信)
これらのなかには、現時点において、表立って動いているというものもある一方、そうでないものもあるため、石破氏の退陣を求める声が今後、うねりとなって党本部に押し寄せるのか、それとも立ち消えとなるのかについては、見極めが必要ではあります。
ただし、上記以外にも個別の国会議員や地方議会議員などが石破氏に対し苦言を呈したり、直接・間接的に退陣を求めたりする動きも散見される状況です。
あくまで居座るつもり?の石破氏
石破氏辞任観測報道とは何だったのか?
最初に寄り道してしまいましたが、ここからが本論です。
昨日の『複数メディアが「石破首相退陣表明」観測を報じ始める』では、速報的に、「石破茂首相が退陣を表明する」、などとする23日付のいくつかのメディアの報道を紹介しました。
といっても、「退陣を表明」なのか、「退陣」なのかではメディアによっても微妙に違いますし、また、時期に関しても「8月末までに」、「8月中に」、「今月中に」、など、報道によってもずいぶんと幅があります。辞任するならするで「いつ辞任するのか」の解釈が難しいところです。
たとえば「7月中に退陣する」、と、「8月末までに退陣する」だと、内閣総辞職するまでに必要な期間には最大1ヵ月以上の幅があります。また、「8月末までに退陣を表明する」だと、実際の退陣の時期は9月以降になる可能性もあります。
こうした状況を踏まえるならば、(あくまでも現時点の個人的観測ですが)「石破首相の辞任」は石破首相本人が述べたものではなく、石破首相の周囲が石破首相本人に対し「お膳立て」をしているものではないか、といった仮説が浮かびます。
つまり、石破首相の側近や「お友達」が石破首相に対し、「だいたいこの時期に辞意を表明したら良いと思いますよ」、などとアドバイスをしていて、その「自分なりのアドバイス」をメディアに対してもそのまま話したに過ぎない、といった可能性はないでしょうか。
石破首相は出所進退を否定してみせたが…
個人的には、この可能性がそれなりに高いと考えています。
もちろん、これはあくまでも当ウェブサイトが勝手に唱えている仮説であり、確たる根拠があるものではありません。
ただ、この「周囲のお膳立て」仮説が正しい可能性が高いことについては、こんな証拠が出てきました。
【速報】石破首相が退陣を否定し続投意欲「私の出所進退は一切出ていない。日米合意を実行する」 麻生氏・菅氏・岸田氏と会談
―――2025年7月23日付 FNNプライムオンラインより
【速報中】首相、退陣報道を否定 麻生氏ら3氏との面会終え記者団に
―――2025年7月23日 16時04分付 朝日新聞デジタル日本語版より
FNNや朝日新聞などの報道をまとめると、石破首相は23日、自民党本部で麻生太郎総理(現・最高顧問)、菅義偉総理(現・自民党副総裁)、岸田文雄・前首相の3名と会談(※森山裕幹事長も同席)。
その後の記者団に対し、「私の出処進退については一切話は出ていない」などとして、退陣報道を否定する発言を行ったようです。
これを、どう考えるか―――。
自民党則第6条第4項が手っ取り早いのだが…
ここから先は純粋に個人的な観測です。
おそらく石破首相の周囲のお膳立てにより、「石破首相が今月ないし来月に退陣を表明する」といった構想が出ていたことは事実ではないでしょうか。
そのうえで、石破首相は内閣総理大臣経験者との会談で「自身の進退に関する話題が出なかった」ことを受け、こうした退陣報道を否定して見せたのではないでしょうか(「報道が独り歩きしていることに不快感を示す意味も兼ねて」、でしょうか?)。
『石破氏に「党則第6条第4項」が発動されたらどうなる』を含めて当ウェブサイトにて連日のように指摘している通り、その気になれば、自民党は石破氏を「強制的に」総裁の座から引きずりおろすことができます。
自由民主党党則第6条第4項
総裁の任期満了前に、党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったときは、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙の例により、総裁の選挙を行う。
しかし、この「党則第6条第4項」が発動される事態としては、党総裁が自発的に辞任しない場合が想定されているのではないかと思われ、自民党内のガバナンスとして、「必要とされればこのような条項によらずとも党総裁が自ら身を引くこと」が想定されているのではないでしょうか。
そして、麻生総理らはこの党則第6条第4項の発動を最後まで避けようと努力していたのではないでしょうか?
歴代総裁は自ら身を引いていた
これについては歴代総裁の身の処し方を振り返っておくと、何となく見えてくるかもしれません。
たとえば故・安倍晋三総理大臣は持病である潰瘍性大腸炎の悪化などを要因として、2007年と2020年の2回、自ら身を引きましたし、菅総理や岸田前首相の場合も、それぞれ2021年9月、2024年9月の総裁選に「出馬しない」と表明し、事実上、自ら身を引きました。
さらにいえば、麻生総理は2009年8月30日の衆院選投開票の最中に「責任を取らなければならない」としたうえで「分の力不足をあらためて感じている」、「宿命と思って甘受しなければならない」などとして党総裁を辞任する意向を示しています。
麻生首相が敗北宣言、「責任を取らなければならない」-衆院選
―――2009年8月30日 22:25 JST付 Bloombergより
著者自身としては、(岸田前首相はともかくとして)少なくとも菅総理に関しては自ら身を引く必要などなかったと考えているのですが、それでも菅総理や岸田前首相の場合はいずれも(任期満了に伴うものとはいえ)自ら身を引いたことが、自民党としての「紳士協定」のようなものではないかと推察します。
日本の政治は慣例や紳士協定に依存している
そして、日本の政治は、国会にせよ、自民党の運営にせよ、多分に「慣例」や「紳士協定」に依存している部分があります。
たとえば国会では議会第1党(または最大与党)が議長を、議会第2党(または最大野党)が副議長を出すことが慣例となっていますし、野党の方が長い質問時間を与えられ、その質問時間の配分は最大野党に委ねられていますが、これも事実上の慣例と考えて良いでしょう。
また、在職中の国会議員が死去した場合は多くの場合、その議員が最大野党の議員であれば最大与党が、最大与党の議員であれば最大野党の議員が、それぞれ追悼演説を行います。たとえば安倍総理の追悼演説についても野田佳彦・元首相(現・立憲民主党代表)が行いました。
つまり、何でもかんでも憲法や法律、規則などに記載するのではなく、細かい運営は国会における慣行に委ねられているわけです。
そして、日本は議院内閣制の国ですから、内閣は国会に対し連帯して責任を負っており(憲法第66条第3項)、首相の任免も国会の慣例にかなりの影響を受けています。当然、民意が示された場合も、(法的に辞める義務がなかったとしても)首相は自ら進退を示すのが慣例です。
想像するに、昨日出てきた「石破首相が今月中ないし8月末までに退陣する(または退陣の意思を表明する)」などとする報道も、石破首相に対し複数の人がこうした慣例を踏まえ、「僕だったらそうするよ?」と滔々とアドバイスしたものではないでしょうか?
当然、麻生総理を含めた総理大臣経験者らもそのことは熟知していますので、それとなく石破氏に自ら身を引くように促したのではないかと考えると、辻褄が合うのです。
ただ、それを石破氏自身が「総理大臣経験者3人から面と向かって直接的に『辞めろ』と言われたわけではなかった」ことを「続投のゴーサイン」と勘違いしたのか、これが「私の出所進退は一切出ていない」とする発言につながっている可能性がありそうです。
つまり単純に石破首相の頭が悪い、ということです。
石破首相の続投は実務的に不可能
では、実際のところ、石破首相が続投することは、可能なのでしょうか。
これについては『石破首相が居座りたければ自公維連立くらいしかない?』でも詳しく述べたとおり、個人的には極めて難しいと考えています。そもそも論として衆参いずれにおいても過半数を達していないなかで、予算やさまざまな法案を通していくことが極めて難しいからです。
また、こうした状況を打開する場合、参院側ではあと数議席の賛同を得られれば良いのですが、衆院側では過半数には13議席も足りていません。
現実的には立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党のいずれかと連立を組むか、それとも衆院を早期に再び解散するかのいずれかによらざるを得ないのですが、自民党が「選挙の顔」として石破首相の下でもう1度戦うことは不可能でしょう。
じつは「最後通牒」の場だったのか?
もっとも、憶測ついでにもうひとつだけ指摘しておくと、昨日の石破首相による総理大臣経験者3人との面会は、総理大臣経験者3人が石破首相に対し、自ら身を引く意思があるかどうかを確認するための「最後通牒の場」だった、という可能性もあると思います。
つまり、石破首相自身が身を引かないことが明らかになったことで、自民党としては「次のアクション」を講じることが可能になった、とする見方です。
具体的には「両院議員総会での総裁辞任勧告」からの「党則第6条第4項の発動」、という流れです。
自民党自身がみずから選び出した首相を強制的に引きずりおろすというのは異例中の異例ですが、そもそも石破首相が慣例を無視し、責任を取ることを拒絶するならば、自民党としては石破氏に強制的に責任を取らせるしかありません。
そうしなければ自民党自身が致命的な打撃を受けてしまう可能性があるからです。
もちろん、自民党だって一枚岩ではないでしょうし、自民党内には石破氏を支持する議員もいないではありませんが、それでも『石破氏に「党則第6条第4項」が発動されたらどうなる』でも指摘したとおり、「石破氏の辞任」を求める意見は各地方組織などにも広まっているのが実情です。
正直、現時点での正確な票読みは難しいものの、リコールが呼び掛けられた場合は、自然に考えてこれが成立する可能性は相応に高いのではないかと考えられます(というか、圧倒的多数の自民党衆議院議員が「石破総裁では選挙を戦えない」と考えるのではないでしょうか)。
いずれにせよ、現時点においては「石破首相リコール」の可能性が徐々に高まっているといえるのではないかと思う次第です。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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ロッキード事件下の三木元首相のように、大半の自民党議員から退陣を求められても粘りまくり、自分の手で衆議院解散・総選挙にこぎ着けた例もありますね。
三木氏は総選挙にも敗北しましたが。
石破首相の場合、退陣するとしても参院選後の政治日程は空いてますし、米国との関税交渉も落ち着きましたので、当面いつ辞めても問題ないとも言えます。
*介錯を要する所以?
信仰上の信条もあり、自ら「(政治)生命」を投げ出したりはできないのかも。
最期の時(退任)は、「神の思し召しによらなければならない」のでしょう・・。
・・・・・
*同じクリスチャンでも麻生氏とは違いすぎますね。
クリスチャンに自殺は厳禁かもですが、チェスや将棋では、
「王は殺さない」=投了
というプロセスがあります。
なんか教義を勘違いしてるみたいな?
「石破君、政治家は国民の代表者なんだよ」
「安倍君、そんな大事なこと、どうして今まで隠していたんだ!」
「貴様に名誉ある死は与えない。公開処刑だ。」
そういうことですかね?
重鎮3人との会談でどんな会話になったかわかりませんけど、仮に先に首相本人が「辞めるつもりはない」なんて言ってしまえば、そりゃ相手はそれ以上何も言えないですわね。
コミュ障が祟った結果かも知れませんね。(笑)
そういえばキリストは公開処刑されましたが、その後に名誉を得ていますね。公開処刑が名誉を伴わないとは限らない。
今「#石破やめるな」のトレンドを作ってる人々からは聖人と崇められるかもしれませんね。
絶対に自民党に票を入れない人達に崇められても意味ないですが。
自民党をトロイア城市になぞらえるならば、
「城門をひらいて木馬を城内に引き入れた功労者」
として、聖人扱いなのかも。
昨日の号外
「退陣へ」だった。
そんなことで誰でもわかってると思うんだけど。
自由民主党に限らず、多くの組織は明文化はしていない紳士協定のようなものはあるものです。その土台は共通の文化基盤に則った相手も当方と同じような価値観であろうとの前提での性善説でしょう。
また、相手に対する温情も見え隠れしているものです。
民間企業でも公共機関でも、そこに従事する人が酷いしでかしをした場合であってもいきなり懲戒解雇にするのではなく、退職金が支給される依願退職を促すことは珍しくはありません。
しかし、グローバル社会とか多様性という名の下で、前提が崩れる事態が日本社会に於いても増えてきたのが現在の日本。人の価値観エントロピー増大は日本社会に不安定要素をもたらしました。
この問題はまさに左派活動家マスコミ・メディア政党と保守が対立する大きな要因の一つです。
これがよりによって与党総裁&内閣総理大臣によって顕在化するとは。
これを石破氏という「稀有な個性」に帰結するのか、或いは第二第三の「石破氏」が出現するのか。
前者である事を願っています。
しかし。ハインリッヒの法則的に「イシバの下には30倍の人数の軽度のイシバモドキがいる」なんてシャレになっていませんがあり得る気がするのです。
所詮は政局報道モードのお祭状態でカオスなので(報道が真偽不明の憶測投げまくり)、結果を見るしかねーなーとは思うものの、ネタとしてつまみ食いはしてます。
<独自>麻生氏「石破自民では選挙勝てない」首相に進退迫る 岸田氏同調、菅氏分裂危機感
>会談で麻生氏は「石破自民党では選挙に勝てないことが明らかになった。対応をすべきだ」と迫ったという。
>首相は会談後、記者団に「私の出処進退について一切話は出ていない」と語っていた。
今朝方は複数社がこれを報じてたようです。
平場と内々の意思表示を分けているかもしれないけど、平場の態度未決定状態を長く引っ張ることはできないと思うのだけど。
関係ないけど、横浜市長選は来週です。
リンクを張り忘れました。
<独自>麻生氏「石破自民では選挙勝てない」首相に進退迫る 岸田氏同調、菅氏分裂危機感
https://www.sankei.com/article/20250724-DOWZCDH2WBOCZFKYBC7AM27ERE/
>会談で麻生氏は「石破自民党では選挙に勝てないことが明らかになった。対応をすべきだ」と迫ったという。
>首相は会談後、記者団に「私の出処進退について一切話は出ていない」と語っていた。
「ブブ漬けでも食べますか?」
という婉曲な表現が
「そろそろ帰れよ」
という意味だと、わかってないのかも。
「帰れ、なんて話は一切出なかった」
「お茶漬けを食え、と激励されたよ」
うまい!
氏のコミュ障が祟るケースの一つですかねー。
麻生「続投は許さん」
小泉「総理を辞めないと言うことは、総理を辞めないということだと思います」
石破氏、日本の国益を盛大に毀損するやうな“最後ッ屁”カマシソウで嫌な悪寒ガクブル
杞憂に終わるコトを祈念シマス…
立憲民主共産党に移籍すればいいのに。
本日の朝日新聞の川柳欄に「日米関税交渉合意は。トランプ大統領から石破総理への餞ではないか」とありました。つまり、一般人から、そう見られている訳です。
餞を餞と理解できない__に、餞を贈っても….
石破談話でまた国益が損なわれ、補填増税を財務省が画策しそうで怖い。8/15迄に辞めないなら石破さんには事故に遭ってもらわないと。自作自演の岸田の爆弾騒ぎではなく本物を使うべきだ。安倍さん暗殺したのも岸田、石破、財務省であると個人的はかんがえている。