「自立大連立と中選挙区制」なら立民に壊滅的な打撃も
「自立公財4党連立」を巡っては、これまでも当ウェブサイトにて何度となく触れてきたとおりです。こうしたなかでウェブ評論サイト『デイリー新潮』が3日、「参院選後に自立大連立」、「衆院選を小選挙区から中選挙区に戻す」などの噂話を報じました。これが事実なら「さもありなん」、と思える反面、逆に中選挙区制度となれば、最大野党である立民こそ壊滅的な打撃を被る気がしてならないのですが、いかがでしょうか?
選挙ポリシー
『選挙≒「戦時下の食材選び」…よりマシなゴミを選ぼう』などを含め、これまでに何度も述べてきたとおり、当ウェブサイトでは本日以降、第27回参議院議員通常選挙に関する直接的な話題は、投票日である20日20時までの間、取り上げるのを控えるつもりです。
この考え方、公選法に照らせば、少し厳格すぎるかもしれません。
いちおう現在の公選法の規定によれば、有権者であれば基本的に誰でも選挙運動ができることとされていて(一定の例外を除く)、当然、当ウェブサイトのようなウェブ評論サイトにおいても、「XX党に投票してください」、「▲▲党には投票しないでください」、などと呼び掛けることも可能だからです。
ですが、当ウェブサイトのポリシーとしては、「評論活動」と「政治活動」については明確に分け、「政治活動」の領域には踏み込まないこととしており、また、特定政党への投票の呼びかけは明らかに政治活動に該当すると考えています。
したがって、「XX党に投票すべき」、「▲▲党には投票しないべき」、などとする「結論」を述べることは控えたいと思っていますし、これについてはこれまでも個人的には注意してきたつもりです(これまで、事実上の投票呼びかけを行ってしまったことがまったくなかったとは言いませんが…)。
自立公財4党連立構想
ただし、逆にいえば、特定政党への投票の呼びかけ(あるいは投票しないことの呼びかけ)に該当しない話題であれば、当ウェブサイトのポリシー的にも問題になることはないはずです。
たとえば、『自立公財「4党」大連立構想と付随するリスクシナリオ』などでも取り上げた、自民党・立憲民主党・公明党・財務省という4党の連立政権、といった話題なども、その典型例でしょう(「財」が「党」となっているのはご愛敬です)。
これに関連し、今のうちに取り上げておきたい話題が、ウェブ評論サイト『デイリー新潮』が3日付で配信した、こんな記事です。
「あれはウチが自公と大連立を組むための布石で、いわば出来レース」との声も… 立民議員が明かす“不信任案見送り”のウラ事情
―――2025/07/03 05:50付 Yahoo!ニュースより【デイリー新潮配信】
デイリー新潮によると、通常国会終盤の先月19日、立憲民主党の野田佳彦代表が石破茂内閣への不信任決議案提出を見送ったのは「自立連立」の布石だ、とする説があるのだそうです。その証拠としてデイリー新潮が引用するのは「立民中堅議員」のこんな趣旨の発言です。
- 小泉農相の活躍もあって内閣支持率は回復傾向にあり、石破首相はもし不信任案が可決されれば衆参同日選を決断したはず
- 野田代表としては同日選で敗北するリスクを避け、衆院で野党が過半数を持つ現状の維持を選んだのだ
- あれ(=野田氏の決断)はウチ(=立憲民主党)が自公と大連立を組むための布石
- 自公にとっても政権の安定のためには連立拡大しかなく、パートナーの最有力は財政政策に関する考え方が最も近い立民しかない
…。
石破・野田両氏の「消費税死守同盟」
これを本当に「立民中堅議員」が述べたのかどうかはわかりませんが、それを信頼するとしたら、さりげなくとても恐ろしい発言でもあります。石破茂首相と野田佳彦代表の両名、「財政政策に関する考え方」が「最も近い」というのです。
たしかにこれはその通りでしょう。
参院選の公約で「期限付き消費減税」を掲げている立憲民主党と、幹事長である森山裕氏が「消費税を守り抜く」と発言してしまう現在の自民党は、ある意味ではどちらも財務省の連結子会社のような状態になり下がっているからです。
もちろん、自民党内も立憲民主党内も、どちらも一枚岩ではありません。
とりわけ自民党内には消費税等の減税を強く求める議員もいますし、また、立憲民主党内にももっと踏み込んだ消費減税を求める声があるようです。
ただ、それでも「現執行部」というレベルで見ると、自民、立民ともに、財政に対するスタンスは確かによく似ています。そもそも野田佳彦氏自身が2012年、当時の民主党政権下で首相だった時代に消費税の合計税率を10%に引き上げる法案を成立させた張本人だったりもします。
このように考えると、「消費税を守り抜く」(※森山氏)という自民党と、消費増税を行った張本人である野田氏が率いる現在の立憲民主党は、「消費税死守同盟」(?)という意味では手を組める相手でもあるのでしょう。
小選挙区制の維持は不可能…中選挙区復活か?
ただ、そうなると単純に疑問が浮かびます。候補者調整、どうするのでしょうか?現在の選挙制度だと、とくに衆院に関しては小選挙区・比例代表並立制で、ひとつの選挙区でひとりしか当選できないからです(「比例復活」という救済措置もありますが…)。
これに関しては、デイリー新潮の記事に続きがあります。
おそらくは前出と同じ「立民中堅議員」による、こんな発言です。
「自公立の連立には、選挙制度を中選挙区制に戻すことが絶対に必要な条件です。現行の小選挙区比例代表並立制の下では、3党が連立に合意しても289もある小選挙区で候補者調整などできるわけがない」。
「党内には“連立入りしても小選挙区制のままでは自公と国民民主、日本維新の会に挟撃されてウチは壊滅的な打撃を被る”と悲観的な観測も出始めています」。
すなわち、現在の小選挙区制度を前提に自立公(+財)が連立を組んだとしても、小選挙区制度をそのままにしておくと、候補者調整などできるわけもありませんし、また、もしも自立公(+財)連立政権が出来上がれば、とりわけ立憲民主党は挟撃され、順次、議席を失っていくのが関の山でしょう。
だからこそ、小選挙区制度をやめて中選挙区に切り替えなければならない、ということなのだと思います。この国難で国会がさまざまなテーマを取り扱わなければならないはずなのに、党利党略で選挙制度をいじるというのも、(事実ならば)凄い話ですね。
中選挙区は大政党に不利
ただし、こうした「自立公(+財)連立構想」、個人的には自公両党、あるいは立憲民主党にとっては、短期的には圧倒的多数を占められる可能性がある半面、中・長期的には壊滅的な打撃をこうむる可能性を秘めています。中選挙区は小選挙区と比べ、大政党には不利な仕組みだからです。
そもそも小選挙区制度を中選挙区制度に変えるだけでは全体の議席は増えませんし、また、小選挙区制度自体が資金面や組織面の制約もあり、自民・立民という「大政党」に有利な制度でもあるからです。各地の小選挙区の多くで候補を擁立できるのは、自民、立民、そして日本共産党くらいなものでしょう。
しかし、これが中選挙区制度に変われば、それこそ国民民主党、参政党、日本維新の会、れいわ新選組、日本保守党、といった中小政党が選挙区で大きく躍進できることになり、「非自民」を望む有権者としてはわざわざ立憲民主に投票する必要がなくなるのです。
このあたり、あくまでも個人的な感想を申し上げるなら、自立公財連立と中選挙区制度については「やりたければやってみれば良いのではないか」、というものです。
社会がSNS化し、有権者は政治家や官僚の皆さんが考えているよりも遥かに賢明な判断を下しうる時代となったわけです。石破茂首相が本気で「自立公財連立」を考えているのかどうかはわかりませんが、もしそうだとしたら、浅知恵そのものであり、本当に愚鈍であると言わざるを得ません。
いずれにせよ、政治家側もいい加減、認識をアップデートすべきですし、「有権者の意に反し、経済学的にも誤っている政策」に拘泥する時代でもないと気づくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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いつでも政権を保てる財務省はいいねえ
自公がダメでも立憲と組めるし
日本の政治風土は中選挙区制度があってます。大前研一氏が再三主張しているように、今の小選挙区並立制を導入してから、日本の経済的な落ちぶれがはじまりました。
小選挙区制だと地元に利益誘導する政治家が増えて、中長期的な視点をもって政策を提言する政治家がへりました。これが、日本がおちぶれた最大の原因です。
定数3をベースにした中選挙区制度の復活を希望します。
私も中選挙区制に戻すべきだと思います。
加えて衆参両院の比例代表制も廃止すべきだと思います。
比例代表制も日本の政治の劣化の原因の一つだと言えますし、泡沫候補を防止するには、これしか手がないと思います。
戦国武将達が広げた地図の上に駒を置いて戦術を練る。
財務省(党)の人達はそんな気分で石破自民党と野田立民党の駒を動かしているのでしょう。
これでは、財務省官僚の将来との関わりの薄い対外政策などに関心がいくわけないのが当然でしょう。
中選挙区制になると有権者と候補者との距離感が遠くなる為、増々、ブランド化イメージ戦略が重要性を増すことでしょう。
これ即ち、昔ならマスコミ・メディアの望むところでしょうが、現在ならインターネット空間が主戦場になることを意味します。
マスコミ・メディアとの相互依存互恵関係にあった立民党にとっては劇薬な気がしますがはて?
識者には釈迦に説法ですが、そうではないROMの人たちに向けて書き添え。
例えば定数100人の議員を選挙する時、
投票がA党51%、B党49%ならば、
大選挙区)A党51人、B党49人
小選挙区)A党100人、B党0人%
中選挙区ならその中間、となります。
大選挙区だと支持率にリニアな議席獲得数になりますが、逆に言うと支持率に変化があっても政権交代が生じにくい。
小選挙区だと支持率の変化にレバレッジかけた議席獲得数の変化となります。
一長一短だから、優劣の話ではないので、
「なにを目指すから」
制度を変えたいのか?本質的なところの議論を経て、決めてほしいですね。
大連立なんてさせないためにも、小選挙区制のままがいいのでは?
中選挙区制だと、今よりも落としたい候補者が落選しづらくなりますよ。
小選挙区制のままだと、確かに自民党を惨敗させ、与党から引きずり降ろす事は出来ますが、その後が困ります。現状、単独過半数を取れる政党がないからです。候補者調整しなくてはならないのは、自民・立憲だけではない。例えば、国民民主党と維新の会が連立を組むにしても、候補者調整は必要になります。だから立憲以外の野党も賛成すると思います。私が考えるに、供託金の減額など、与党がのめる取り引き条件を提示したうえで賛成するのが、野党が取るべき戦術ではないかと。本来、高額な供託金は新規参入を阻むためのものですが、自民党所属議員が政治資金パーティーを封じられて金集めに苦労している今なら、自民党も賛成せざるを得ない。新興政党にとっては党勢拡大のチャンスです。
小選挙区のみにして欲しいですね。比例代表あれは最悪です。
検討されている中選挙区制とは、小選挙区制の前の制度である中選挙区単記制ではなく、中選挙区制限連記制らしいですよ。この言葉を知らない方はネット検索して調べてみてください。Wikipediaに載ってます。
「投票先が無い」
これも投票率が下がる原因の1つかもしれません。
クズの中から少しでもまともなクズを選ぶのが選挙であったとしても、(投票するその人が)どう考えても選べない腐ったクズばかりの候補ってのもあるみたいですし。これも小選挙区の弊害だと思います。
なので、私も小選挙区廃止で中選挙区に戻すことに賛成です。
元々、自民党1強で政権が固定化しないように(政権交代が起きるように)小選挙区を導入したように記憶してます。ただ、その取って代わるはずの野党第一党が、本当の本当にクズの群れ、何の役にも立たないどころか害悪ですらある政党と議員たち(個人の感想)だったので、もう小選挙区である意味は無いと思います。
小選挙区で、国民の為ではなく、政党同士の利害の為に候補者を絞ったり、敢えて候補を見送ったりする、今の『政党間談合選挙』をするくらいなら、中選挙区にならないかなと思います。
自立公3党の上に財務省じゃないですか?(中共みたいに)
ザイム真理教
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