立維国3党「法案共同提出」が注目に値する理由とは?
一般に参院選は政権選択選挙ではありませんが、「とりあえず石破茂政権のことは嫌いだが、だからといって立憲民主党に政権を委ねるのは嫌だ」という人にとっては、結果次第ではなかなかに面白いことになるかもしれません。参院選の結果がどうであれ、自公政権は継続する可能性が高いにせよ、参院側でも自公が過半数割れを起こせば、野党の行動次第では自公両党が合意しない法律が成立する可能性が出てくるからです。
目次
立維国がガソリン減税法案共同提出「詰めの作業」
これは、ちょっとおもしろいことになってきたかもしれません。
共同通信が7日に報じた記事などによると、立憲民主党の野田佳彦代表が同日、都内で記者団に対し、同党が日本維新の会、国民民主党と共同でいわゆる「ガソリン暫定税率」を廃止するための法案の共同提出に向けた「詰めの作業」を行っていると明らかにしたのだそうです。
ガソリン減税の法案、立維国近く共同提出へ 野田氏「詰めの作業」
―――2025年6月7日 19:00付 日本経済新聞電子版より【共同通信配信】
現時点でこれが本当に共同提出されるのかはわかりません。
ただ、客観的事実「だけ」を述べておくならば、自公両党が合計しても過半数を割り込んでいるなかで、こうした包含が提出された場合、少なくとも衆院側を1度は通る可能性があります。
いったいどういうことでしょうか。
衆院側では自公過半数割れも…通る可能性があるかどうかは別
衆議院ウェブサイト『会派名及び会派別所属議員数』によると、(「政党ベース」ではなく「会派ベース」ですが)自民党が196議席、公明党が24議席であり、合算して220議席しかなく、過半数(233議席)に13議席足りません。
(※ただし、細かいことをいえば、額賀福志郎氏が議長就任に伴い自民の会派を離脱しているため、議長票を含めれば、あと12議席あればなんとか過半数を制する格好ではありますが…。)
これに対し、自公以外の会派や無所属議員らは、合計して244議席(※額賀議長を除き、立憲民主党出身の副議長である玄葉光一郎氏を含む)であり、理屈の上では自公以外の全会派の所属議員、および議長を除く無所属議員が賛成すれば、どんな法案でも衆議院側は通るのです。
ただし、通る可能性はどれほどあるのかについては、また別の議論です。
そもそも現在、最大野党は立憲民主党で148議席(※統一会派ベース、ただし玄葉氏を除く)であり、日本維新の会が38議席、国民民主党が27議席で、この3会派で合計しても213議席に過ぎず、過半数まであと20議席足りません。
では、その「足りない20議席」を、どう埋めていけばよいのでしょうか。
れいわ新選組が9議席、日本共産党が8議席、有志の会が4議席、参政党と日本保守党が3議席ずつ、合計すると27議席を持っていて、これに議長を除く無所属4人を合わせれば全部で31議席あります。
れ新と共産の2党で17議席ですので、この両党が賛同すれば残り3議席で可決となりますが、逆にこの両党が賛同しなければ、衆議院を通ることはありません。
どうせ参院を通すことはできないが…
一方、れ新と共産のいいずれかが賛同し、もう片方が反対した場合であっても、11~12票を確保できれば法案は通ります。たとえば共産が反対したとしても、れ新が賛成すれば9議席、これにもしも有志、参政、保守の各会派と国民民主を離党中の平岩征樹氏(計11議席)が賛同すれば20議席を達成します。
このように、現在の衆院側で見れば、野党提出法案が可決されるかどうかはやや微妙な情勢ではあるにせよ、立維国3党がタッグを組めば、残り20議席をクリアするのはさほど高いハードルでもないのです。
もちろん、現状において参議院側は自公が過半数を制しているため、たとえ衆院で法案が可決されたとしても参院側で通すことができず、また、衆院で3分の2以上の賛成が得られる見通しもないことから、そのような法案は廃案になってしまいます。
したがって、今回の「ガソリン減税」についても、自公以外の全議員が賛成し、衆院で可決されたとしても、参院で弾かれて廃案となるのが関の山でしょう。
これが参議院側の賛同を要しない決議案―――たとえば、「内閣不信任決議案」―――だったら、衆院側の意思決定だけで政治を動かすことが可能ですが、それ以外の法案などに関しては衆参両方を通さなければならないため、現状では残念ながら自公両党が合意しない法案が成立することはありません。
今夏の参院選で自公過半数巡る「50議席の攻防」
ただ、ここで「仮に」、という議論ですが、もしも参議院側でも自公が過半数割れをきたしていたら、どうなったでしょうか。
現在の参議院の勢力は、自民党が113議席、公明党が27議席であるため、合計140議席と過半数ライン(125議席)を大きく上回っています。最大野党である立憲民主党が41議席で、日本維新の会の17議席、国民民主党の12議席を足しても70議席と、自公の議席の半分に過ぎません。
また、今夏には参院選が予定されていますが、非改選数は自民党が61議席、公明党が13議席であわせて74議席であり(※議長を除く)、合わせて50議席を獲得できれば、自公は議長を含めて辛うじて過半数を維持します。
このあたり、先月の『「青木率」4割未満も…野党は一人区自民優位崩せるか』でも指摘しましたが、著者自身は自民党が今夏の参院選でかなり苦戦するとみている反面、それでも当選者が1人しかいない「一人区」では依然、それなりの強さを持っているため、合計35~41議席程度は確保すると考えています。
もちろん、公明党が2022年なみの13議席、あるいは19年なみの14議席を獲得した場合は、自公過半数維持の可能性が上がります。
加えて立憲民主党が「年金流用法案」を通すうえで自民党に協力したこと、日本維新の会が「高校税金化」を引き換えに「所得を増やす」を潰したこと、国民民主党が反ワクチン活動家を比例代表で擁立したこと―――などの「自爆ラッシュ」を起こしていることを見ると、自民党が案外、比例で多くの票を得るかもしれません。
不確実性も高いが…今後に注目
このあたりは不確実要因のひとつです。
しかし、万が一、自公が過半数割れを起こしてしまえば、自公政権が辛うじて続くにしても、「自公が合意しない法律」が成立する可能性が高まることになります。
これはこれで、ひとつの興味深い事態です。
「とりあえず石破茂政権のことは嫌いだが、だからといって立憲民主党に政権を委ねるのは嫌だ」。
世の中にはこんな人もそれなりに多いと思われますが、少なくとも参議院議員通常選挙は「政権交代選挙」ではありませんので、有権者が今夏の参院選で自公を過半数割れに追い込む(が自公政権は継続)、といった選択を取る可能性がどれだけあるのかには注目したいところです。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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私は、今の自民党執行部である限り自民党に投票することはありません。
とお断りを入れて・・・
自民党を含むさまざまな政党が「公約」を掲げて選挙に臨もうとしているようですが、選挙前だけ甘いこと言われてもね。。。ガソリン減税なんて、会期中に出来たことだし。
まぁ、「何を言っているか」ではなく、普段「何をやってきたか」を見定める事も必要なんじゃないかと思います
全くもって同意!
立憲も維新も国民も何をしてきたかですから
一国の首相が公約を守る必要はない。とか言っちゃう国ですからね。本当に今の政治の腐敗は民主国家国民の責任なのか?一番マシなゴミを選ぶのが選挙とはいえ、選択肢に本物のゴミしかない現状。コレって国民の責任ですか?私は欠かさず選挙に行ってきましたが、本当に碌な候補、政党がない。立候補しようにも多額のお金と組織票が既得利権を守る為に国民を食い物にする国。今の政治家は全員解雇して、古代民主主義の様に兵役に就く自衛官のみに投票権を与え国民を食い物にする利権屋どもを社会から排除しないと。利権が防衛利権だけになればかなりマシな国に戻る。少なくとも戦後日本は立憲君主制民主国家だった大日本帝国の頃の足元にも及ばない国民を食い物にするゴミ国家。
厳しく言えばやはり国民の責任。
被選挙権もあるのに「候補者がいない」は通用しない。
立候補まで行かなくても献金とかで在野の政治家を育てたり、
地元の政治家に直訴するとかやれることはあるので。
両院過半数割れすればいい加減あの執行部も持たないでしょうから自民党以外に入れようと思っています。
親子別姓法案とか….
両院で過半数割れしたら、野党と連立政権組むんじゃないですかね。
例えば自民+立憲とか。