鈴置氏「韓米協力進まないのは日本のせい」復活を警告
国家の目的は外交安保と経済の２本柱ですが、このどちらでも石破政権が苦慮しているというのは間違いなさそうです。これに追い打ちをかけるように、韓国で文在寅（ぶん・ざいいん）政権以来の左派政権が登場する可能性が高まっています。これについて韓国観察者である鈴置高史氏が重要な論考を発表しています。米韓関係を深められない理由として、再び日本の過去の問題を持ち出す、という観測です。
目次
国家の目的は２つ…外交安保と経済
昨今の自民党政治の混乱は、いまさら指摘するまでもない話かもしれません。
連日のように報じられる不祥事、問題発言の数々を見ていると、第一次安倍政権末期の混乱を見ている気がしますが、それだけではありません。
故・安倍晋三総理大臣と違って石破茂・現首相は決して聡明な人物ではなく（※）、ビジョンもなく（※）、それどころか外交安保、経済などの基礎知識すら持っていない（※）ように見受けられる分、安倍政権時代末期よりもさらに救いがない状況です（※すべて個人の主観です）。
ただ、こんな時だからこそ考えておきたいのが、そもそもの国家論です。
改めて著者自身の持論を申し上げておくと古今東西変わらず、国家の目的はたった２つしかありません。それは、「外交安保」と「経済」です。これを小学生にもわかる言葉で言い換えれば、「国民が平和で豊かに暮らしていけること」、です。
安倍総理は「アベノミクス」と「自由で開かれたインド太平洋（ＦＯＩＰ）」でこれを体現したという点において、日本の歴史上、最も偉大な総理だったというのが著者自身の安倍総理評です。
これについて、異論はもちろん認めますし、反アベを拗らせている人たちがいることも事実でしょうが、非常に残念なことに安倍総理の功績を否定しようとしたところで、歴史的事実は動きません（※余談ですが、反アベ系の思想も、著者の予測だとあと10～20年ほどで絶滅していくのだと思う次第です）。
安倍総理のＦＯＩＰの慧眼
こうしたなかで改めて焦点を当てておきたいのがＦＯＩＰです。
これは読んで字のごとく、日本をインド洋と太平洋にまたがる価値連合の要に位置付けるもので、日米豪印「クアッド」と呼ばれる４ヵ国を中心とする、自由、民主主義、法の支配、人権という「基本的価値」に基づくゆるなかな連携を図っていくというものです。
地政学を見ればわかりますが、これ、明らかに中国の「一帯一路」への牽制であり、中国共産党一党独裁国家である中国に対する強いアンチテーゼでもあります。
実際、防衛白書などに掲載されていたＦＯＩＰの概念図（図表）を見ても、日本がカナダ、米国、インド、豪州、ニュージーランド、欧州などと連携する、といったもので、そこに中国やロシアの名前はありません。
図表 ＦＯＩＰ
（【出所】防衛白書）
そして、ロシアは武力による現状変更を企てていますし、中国は中国で東シナ海、南シナ海などの海洋侵略を強化しつつ、ウイグル、チベット、香港などの人権弾圧を継続しています。
安倍総理は日本をアベノミクスでよみがえらせるだけでなく、改めて「自由、民主主義、人権、法の支配」という共通の普遍的価値で西側社会を結び付けようとしたという意味で、慧眼そのものであり、日本史上だけでなく民主主義市場にも名を残す功績を遺したのではないかと思う次第です。
（※その意味でも、安倍総理を暗殺した狂人は歴史から断罪されてしかるべきです。）
この図表に入っていない国は、どこだ！？
ただ、混乱する日本国内のことばかりに目を向けていても仕方がありません。
世界情勢は容赦なく動いていくからです。
こうしたなか、先ほどの図表を眺めていて、もうひとつ気付いた点があるという方もいるかもしれません。
ご名答、韓国が含まれていないのです。
岸田文雄・前首相の時代に、日本は韓国と自称元徴用工問題の「解決」（？）で合意し、日韓関係が「改善」（？）されたはずなのに、なぜか日本はこのＦＯＩＰに韓国を付け加えていないのです。
これだとまるで、日本政府が韓国を「自由、民主主義、法の支配、人権といった基本的価値を共有する相手国である」とみなしていないかに見えます。
これは、いったいなぜなのか。
著者自身は、これこそまさに安倍、菅両総理の置き土産のひとつだと考えています。岸田前首相は一生懸命頑張って日韓関係改善を演じたのかもしれませんが、さすがにこのＦＯＩＰの図を書き換え、ここに韓国を書き込むという指示までは頭が回らなかったのかもしれません。
実際、韓国は尹錫悦（いん・しゃくえつ）前大統領が罷免され、次期大統領としては文在寅（ぶん・ざいいん）元大統領ぶりとなる「左派政治家」の李在明（り・ざいめい）氏の当選が有力視されているのだそうですが、これについてどうなるのでしょうか。
鈴置氏の最新論考の「デジャブ」
ここで日本人なら必読といえる重要な論考が出てきたようです。
次の韓国大統領も「日本のせいで中国包囲網には加われない」と責任転嫁する――すでに張られた“伏線” 鈴置高史氏が読む
次期大統領の最有力候補、李在明（イ・ジェミョン）氏が「反米従中」の本性を現し始めた。もちろん米国は怒る。そこで「米国側に立てないのは歴史問題を反省しない日本のせいだ」と言い訳する作戦に出ると韓国観察者の鈴置高史氏は見る。
―――2025/05/22付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
執筆したのは「韓国観察者」を名乗る鈴置高史氏です（「韓国観察者」とカッコ付で表現しているのは、鈴置氏の論考がときとして韓国観察に留まらず、韓国という「鏡」に映った日本の姿を描写しているからであり、その本質は「日本観察者」ではないかと思うからです）。
「日本のせいで中国包囲網には加われない」。
これ、「デジャブ」でしょうか？
李在明候補の危険な認識
それはさておき、今回の論考で鈴置氏が指摘するのは、「『李在明の韓国』が北東アジアの構造を大きく変える」、です。
なぜこの候補がそんなに危険なのか―――。
鈴置氏によると、李在明氏のこれまでの言動などから類推して、「反米従中」が加速し、その言い訳として使われるのが日本だ、と指摘します。鈴置論考の言及範囲はさまざまな論点にまたがるのですが、やはりとくに目につくのは、こんな指摘です。
「――『李在明の韓国』は米中間で板挟みになること必至です。どうするつもりでしょうか」。
「鈴置：奥の手があります。米国の前では『同盟強化』の旗を掲げて見せる。もし、具体的な軍事協力を求められたら『韓米軍事協力は日本との軍事協力につながる。だが、歴史問題で謝罪しない日本との協力は国民感情が許さない。したがって米国とも協力できない』との屁理屈をこねるつもりでしょう」。
というのも、李在明氏は５月９日、次のように発言した、というのです。
- 両国の前には依然として過去の歴史、福島の汚染水放出など複合的な課題が残っている
- 特に歴史問題は未来志向的な関係構築のため必ず解決しなければならない課題だ
- 対話と協力を通じた相互尊重と信頼、責任ある姿勢が伴ってこそ韓日関係はさらに成熟することができる
福島第一原発のＡＬＰＳ処理水を「汚染水」などと呼び、歴史問題を蒸し返す姿勢。
まさに、尹錫悦政権が終われば「必ず」韓国は問題を蒸し返すという教訓がそのまま出ています。
というよりも、この「過去の問題があるから韓日協力ができない（＝韓米協力もできない）」、という言い分自体、どこかで見たことがあるという方も多いでしょう。「保守政権」を標榜していた朴槿恵（ぼく・きんけい）元大統領が、その典型例です。
石破首相は舐められるだけでなく付け込まれる…！
しかも、現在の日本の首相は、「あの」石破茂氏です。
「鈴置：目算というほどのものはなく、とりあえず脅してみよう、くらいの感じかと思います。石破茂首相は東亜日報に対し『韓国がいいと言うまで日本は謝るべきだ』と繰り返し語っています」。
「『弱腰の石破』が政権に就いたチャンスを韓国が見逃すはずがありません」。
「無能なくせに安倍総理の功績を否定することに躍起の石破首相」（※個人の主観です）が韓国に付け込まれるのは時間の問題、ということでしょう。
ちなみにこれに対する鈴置氏のツッコミも、容赦ありません。
「――石破首相も舐められたものですね。
鈴置：自業自得です。安倍政権を批判するために、朝日新聞などのリベラルに受けのいい『謝罪派』を演じて見せたツケが今、回っているのです」
…。
経済政策で減税を拒絶し、外交安保でも韓国に舐められる石破政権。
なかなかに陰鬱な時代になったというべきでしょうか。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 Ｘ（旧ツイッター） にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』（https://t.co/PKOiMb9a7T）。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
  | 自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で９冊目の出版をしました
 | 日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
さすがに石破氏は参院選後に退陣していると思いたい。
日本の次の総理には、韓国に対抗できる人になって欲しいものです。ということは、その人物は自民党からであるとは限らない、ということでしょうか。
辞めるわけがない、比例順位で保守層をさらに削って左派政党と連立組みますよ
韓国は、社会的分断を回避するために、他国を敵にするしかない、ということでしょうか。
違います。他国ではなくて、
「日本を」
ですね。建国以来の実績的に。
韓国が噛み付く国は日本だけです。
（儒教序列で見下す国はあれど）
団塊の世代が、
「韓国に蹴られたら、金を払う」
という対応を数十年も続けたもんから、そういう刷り込みが確立していますね。
トホホ
韓国への対応をめぐり、日本では団塊世代と、その下の世代で対立になる、ということでしょうか。
対立にはならないでしょうね。
もう高齢者だし、朝日や岩波系の呪縛から抜けた人も多いし。
下の世代は、今でも洗脳されたまま頑張る老人たちを無視しているように見えますし。
どっちかってーとソノアタリは団塊よりソノ上の大正組から昭和ヒトケタあたりの戦中世代のが舵取りしよったんちゃうかな？
団塊はハイハイ聞いて無策に継承先送りしよった印象…知らんけど
初めはアメリカも騙されたかもしれないが、もう「お見通し」でしょう。
ですが、今のアメリカ大統領はアレですからね。
80年談話まで政権続いてたらやるだろうね石破は。
既に米政権から在韓米軍の兵員を15%程グアム他へ移転する案が沙汰れとる様で、前線に責有る軍高官からは反対されとる模様ですが…
はてさてトラさんのディールネタかハタマタ…
このお人、５月２０日のインタビューでしゃぁしゃぁと日本上げ発言していた様子。
韓国大統領選を前に 最大野党のイ候補 “日本国民に好感”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250520/k10014811471000.html
さすがは韓国が生んだ(というと日本の左派に叱られそうです)ポピュラリスト左派次期大統領です。
もう当選は確実、少々の事では韓国内支持派から文句言われることも無い。それより撒き餌撒き餌。こちとら経済悲惨なんだから、阿呆の石破騙して早うこと日本の金を巻き上げたれ。といったところでしょう。
でもって、その肩を持ちしれっと放送する日本の公共放送N.H. K.。
ウンザリします。
石破政権は崩壊寸前です。都議選や参議院選挙の敗北で責任を取って辞任するか、その前に引きずりおろされるか？ウルトラセブンに変身できないモロボシ・ダンみたいです。問題はそのあと誰がなるか？野党の中からうまく韓国の歴史問題の攻撃をかわすことができる人材がいるか？ハーバード大学留学経験のある林官房長官ならうまくできるかなとかんじがしますが？ 石破首相よりはましかなとおもいます。
あのくず国家はいらないですね。日本以上に少子化に苦しむ消滅一直線の国は付き合いしても百害あって一利なしです。あらためて申し上げます。中国にくれてやれ。５０年後韓国は、中国の南朝鮮省になるかアメリカの準州になるかどっちか？
はやしよしまさ君は岸田組やからなあ
令和におけるこーち会の重鎮やっただけにどやろなぁ
イズレニセヨ選挙まけての…なら袈裟の下から鎧でお出座ししょうとしても政権基盤弱そうなしあんまやりたいよーには主導できやんのやないかいな？？
知らんけど
日本の首相が「日本の財政はギリシャよりよろしくない」
と のたまってくれました。
岩屋外務大臣は 中韓にペコペコ。
通貨スワップしましょうか とか言われたら
ひょいひょい答えそう。
全国共通商品券を 商店街利用券と交換するほど愚かではないと おもうのだけど、石破・岩屋じゃ不安です。
日本の信用・資産は正しく使わないと 自らの首を絞めることになる。野田スワップの再来は 御免です。
韓国の反応は何時も通りですね。誰が大統領であろうと、あの国で
「日本は悪くない、韓国が悪い」なんて言うのは自殺行為ですから。
日本の問題はさっさと石破首相を”無力化”できるか、それともしがみつく事に
成功させてしまうか。この点が今後の運命の分岐になりそうですね。
李在明政権になれば、鈴置さんが危惧されているように、「徴用工」問題を蒸し返えすと思います。
日米韓同盟強化のためにまず「徴用工」問題を解決しましょうと持ち掛けてくるでしょう。
本心では、日米韓同盟など望んでいないにも拘わらず。
日本がお金を出せば日本は不法な植民地支配を認めたという事で、歴史の書き換えが成功します。また、多くの賠償請求が一斉に始まると思います。
お金を出さなければ、反省しない日本がが日米韓協力の障害になっていると主張するでしょう。
石破首相は、相手がもういいと言うまで日本は謝らなければならないといっていますが、韓国からは反省しているのなら「誠意」を見せろという事で、資金提供を要求してくると思います。
参議院選挙後も石破政権が続くなら、日本は危うい立場に立たされそうです。
石破氏でなくても宏池会系の首相なら同じですが。
石破さんって、慶応高⇒慶応大卒だよね。
塾祖の福澤諭吉先生が泣くぜ。脱亜論ちゃんと読んだのかって。
正式表記は慶応⇒慶應でした。すんません。
>故・安倍晋三総理大臣と違って石破茂・現首相は決して聡明な人物ではなく（※）、ビジョンもなく（※）、それどころか外交安保、経済などの基礎知識すら持っていない（※）ように見受けられる分、安倍政権時代末期よりもさらに救いがない状況です（※すべて個人の主観です）。
こういう人物が『次期首相にふさわしい人は誰？』との数々のアンケート調査で常にトップ投票を得ていたとの実績があり、どれだけこの国には人を見る目もない愚かな国民が多いんだとあらためて実感しましたね。で、常にお名前がとりだたされていた小泉の小僧や太郎ちゃんも、おそらく現総理と同類だと私は確信しています。新農水大臣の手腕はいかに？大臣になってしまったので仕方ありませんが、新ウルトマンの如き活躍は全然期待出来なくとも、しばらくは生暖かく見守りたいと思います。コメ食いてえ。