消費税減税巡り立憲民主党で「党内抗争に着火」=産経
立憲民主党といえば、自民党に次ぐ第2政党であり、最大野党です。国民の多くが手取り増加などに関心を強め、一部では減税への期待も高まっているなかで、その立憲民主党は、消費税の減税を争点にしたくないようです。ただ、政党支持率で見ると、調査によっては国民民主党にダブルスコアの差をつけられてしまっているようですが、こうしたなか、消費税を巡る「党内抗争」については朝日新聞に続き、産経新聞も報じ始めました。
共同通信世論調査で国民民主が自民党に迫る支持率
昨日の『政党支持率で自民に迫る国民民主』では、共同通信の最新版世論調査をもとに、政党支持率で見て国民民主党が自民党に7.4ポイント差にまで詰め寄られたらしい、という話題を取り上げました。該当する記事のリンクは次の通りです。
内閣支持率わずかに上昇32.6% 共同通信世論調査
―――2025年4月13日 19:30付 日本経済新聞電子版より
具体的には、4月の調査で政党支持率は自民党が25.8%、最大野党である立憲民主党が11.9%、第2野党である日本維新の会が4.9%だったのに対し、国民民主党は前月比+5.5ポイントとなる18.4%を記録したのです。
政党支持率 共同通信(4/12~4/13)
- 自民…25.8%(▲1.90)
- 国民…18.4%(+5.50)
- 立民…11.9%(+0.80)
- 維新…*4.9%(▲0.50)
- 公明…*4.2%(+0.40)
- れ新…*4.8%(▲2.20)
- 共産…*3.4%(▲0.20)
- 参政…*1.0%(▲0.30)
- 保守…*1.9%(+1.60)
- 社民…*0.7%(▲0.10)
(【出所】日経電子版記事。カッコ内は前回比増減)
さすがに高すぎる?では読売調査で見てみよう
じつに印象的です。国民民主・立憲民主両党の支持率の逆転は他の世論調査でも見られるものですが、大手メディアの世論調査で見て、国民民主党が自民党に迫る支持率をたたき出したのは、著者自身が知る限り初めてのことです。
ただ、これはさすがに高すぎるような気もします。
当ウェブサイトでは普段から申し上げている通り、メディアが実施する世論調査というものは、盲目的・無条件に信頼すべきものではなく、あくまでもひとつの参考程度に受け止めるのが正解だというのはその通りなのですが、それにしても少し極端な値にも見えてなりません。
こうしたなか、読売・NNNも同じタイミングで世論調査を出してきたのですが、これについては、国民民主の支持率は、共同通信ほどに極端な値とはならなかったようです。
政党支持率 自民28% 国民民主13%で2位キープ【NNN・読売新聞 世論調査】
―――2025年4月13日 22:04付 日テレNEWSより
これによると国民民主党は13%で2位をキープしているものの、支持率28%の自民党と比べれば、支持率は13%と半分以下の水準です。
国民が立民をダブルスコアで突き放す
政党支持率読売・NNN(4/11~4/13)
- 自民…28.0%(+2.0)
- 国民…13.0%(+1.0)
- 立民…*6.0%(+0.0)
- 公明…*3.0%(+1.0)
- れ新…*3.0%(+0.0)
- 維新…*2.0%(▲1.0)
- 共産…*2.0%(+1.0)
- 参政…*1.0%(+1.0)
- 保守…*1.0%(+0.0)
- 社民…*0.0%
(【出所】日テレNEWS)
ただし、こちらの日テレ記事によれば、国民民主が立憲民主をダブルスコアで突き放しています。つまり、立憲民主党に対する支持率は6%と国民民主の半分に過ぎず、ある意味では共同通信世論調査と比べ、立憲民主党にとってはより一層、危機の度合いが高いといえるのかもしれません。
考えてみれば、立憲民主党は最大野党でありながら、昨年秋からの「手取りを増やす」騒動からは「蚊帳の外」に置かれていたフシがあります。
話題の中心は自公国3党協議であったり、あるいは自公維3党協議であったりしたため、良い意味でも悪い意味でも国民民主党や日本維新の会の存在が目立ち、国会でも立憲民主党には焦点がなかなか当たらなかったのです。
消費減税に否定的な立憲民主党
ただ、冷静に考えたら、これも変な話です。
立憲民主党は衆院で148議席、参院で41議席を保有しているわけですから、その勢力をうまく使い、自公連立政権に対し(国民民主党が求めているような)「手取りを増やす」「消費税の減税」などを突き付ければ、それらがスッと衆院を通過するはずだからです。
もちろん、参院側では依然、自公が過半数を占めているため、野党協力で衆院を通過しても参院で跳ね返されるわけですが、有権者に対するアピールとしては十分なはず。
ところが、現実問題としてその立憲民主党は、どうも党を挙げて減税に否定的です。実際、枝野幸男・元代表も12日にこんな講演を行ったことが話題となっています。
立民・枝野氏、消費減税の要求批判「別の党つくって」
―――2025年4月12日 17:25付 日本経済新聞電子版より
記事表題からもわかる通り、枝野氏は党内で消費税減税を求める意見が相次いでいることを批判。「減税したい人は諦めてもらうか別の党をつくってほしい」などと述べた、とするものです。
もちろん、発言者である枝野氏は党代表ではなく、あくまでも元代表という立場に過ぎませんが、それでも一部メディアは、枝野氏が野田佳彦・現代表とは「消費減税をすべきでない」という点では一致している、などと報じているなど、これが立憲民主党の主流の考え方という可能性は高そうです。
産経「党内抗争に着火」
こうしたなかで、産経ニュースが14日、なかなかに過激な記事を配信しています。
鬼門の消費税で立民に亀裂 枝野幸男元代表が党内抗争に着火 減税派「圧力」強める
―――2025/04/14 20:23付 Yahoo!ニュースより【産経ニュース配信】
産経は14日、夏の参院選を見据えて立憲民主党の党内で消費税減税を巡る「党内抗争」が始まった、などと報じたのです。
産経新聞が伝統的に、立憲民主党など左派政党に対して否定的な記事を配信する傾向があるメディアである、という点は割引く必要があるにせよ、野田代表と枝野元代表が消費税減税を巡ってタッグを組んでいる、という指摘は、なかなかに興味深い論点です。
というのも、産経によれば、野田代表にとっては、旧民主党が与党だった2012年に消費税率引き上げを巡って党の分裂を経験しているほか、枝野元代表にとっても2021年衆院選で減税を掲げて戦った者の議席を減らしたなど、消費税が同党にとっての「トラウマ」だというのです。
ちなみに現在、立憲民主党の党内では消費税の減税を求める勢力が存在する、という点については、産経だけでなく、朝日新聞も指摘している論点です。
消費減税で立憲も割れる? 鬼門を前に、野田氏は枝野氏と手を組んだ
―――2025/04/11 19:00付 Yahoo!ニュースより【朝日新聞配信】
正直、著者自身も1人の有権者という立場からは、消費税を減税すべきなのか、そうでないのか、などについては、国民経済の観点から議論してほしいという気持ちがありますが、これらの記事を読む限り、立憲民主党(や自民党)の党内からは、適切なマクロ経済政策ミックスという発想がいまひとつ見えてきません。
いずれにせよ、消費税を含めた税制を争点にしない姿勢を示せば示すほど、ネット世論は減税に注目し、減税に否定的な政党はますます支持を失うという意味で、既存政党は一種のアリジゴク状態に陥っているのかもしれません。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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(党首独裁(?)なら別ですが)どの党も、減税派と給付金派が争っている、ということでしょうか。それにしても、(実現できるかは別にして)アメリカのように「関税収入を財源に、減税を実施する」という人が出てくるのではないでしょうか。
闊達な議論が交わされるのは、どの党にとってもよいことです。
しかし、枝野氏の発言は、ともすれば言論弾圧に見えなくもない(むしろみえる)。
これを応援しているマスコミさんは、報道(言論)の自由を阻害していると言わないのでしょうか?
連合が距離をとりつつあるように見えるのも致し方ないのかも知れません。
枝野「やばい、いま減税を掲げて得票を増やしたら、本当に与党になってしまう!」
と考えたのかもしれませんね。
私見ですが立憲民主党は無責任に外野席から批判だけをしていたい人たちなので、本当に政権を渡されると困るから、
「減税とかほざく奴は今すぐ出ていけ!」
なんだろうなあ~(笑)
オールド政党差し違え、反動勢力同士が対消滅
日本の夜明けは近い、のか
今だけ騒いで耳目を集め選挙が終われば、なかったように静かになるのがあの党の習わし。
胡散臭い田舎芝居を演じているだけだ。おっと、田舎芝居に失礼だった。興味なし。
労組が有力な支持母体のはずですが、うちの地元では国民民主に一本化の動きがあり、候補者がいないなら自前で用意して国民民主から立てるまでの勢いです。まあ立憲は自業自得ですね。
> 適切なマクロ経済政策ミックスという発想がいまひとつ見えてきません。
取って配るしか能のない人達ですから、「取る」を減らすと「配れない」じゃないかという事でしょうね。
まあ、「配る」ことを支持する人たちによって成り立っている党なのだという自覚があるのでしょうけど。
経済的観点など微塵もないと思います。
枝野は立派だと思います。党の方針を明確に内外(党内や有権者)に知らしめました。
緊縮派や減税反対派の受け皿になるでしょう。まぁ、少数派だと思いますが・・・
私は立憲民主党は泥船だと思ってますので、「諦めるか党を出るか」まで言ってもらえたんなら、心ある立憲の議員は、さっさと党を出るべきだと思います。江田さんとか、人数まとめて出て、国民民主と合流しないかな、とか思います。
財務省とも仲良くしたいけど選挙にも当選したいのは自民と一緒
どうでも良いことだけど、枝野氏は、次の衆院選で落ちるんじゃないの?
この前もぎりぎりだったし・・・
何度も割れてるんだからもう一度割れようが何て事あるまい。私学無償化で実質増税させた立憲維新は選びませんけど。
日本に限った話じゃないかもしれないけど、法律エリートって基本的にマクロ経済のセンスが絶望的にない。
彼らが赤い貴族であることも関係しているかもしれないが。
野田「われてもすゑにはあはむとぞおもふ」