前原氏インタビュー記事の上位コメントで支持は皆無か

東洋経済オンラインが配信した、日本維新の会の前原誠司氏のインタビュー記事が興味深いです。といっても、「興味深い」のは記事の内容そのものではなく、それに対する一般読者の反応の方です。共感数が多いコメントを中心にざっとチェックしたところ、少なくとも上位10件のコメントの中に、前原氏や維新を支持または擁護するコメントはまったく見当たらないのです。

前原氏に対するインタビュー記事

2月中旬以降、予算を巡る一連の与野党の動きのなかで、良い意味でも悪い意味でも目立った政党があったとしたら、それは日本維新の会かもしれません。維新は高校無償化と引き換えに、自公の予算案に賛成したからです。

これを巡っては、維新が掲げる「高校無償化」を与党に飲ませたという意味では大きな成果であるとともに、自公維3党合意では社保の引き下げなども盛り込まれたため、国民の手取りを増やすという意味では大きな前進だったに違いない、などとするのが、維新関係者、あるいは維新支持者からしきりに聞こえる声です。

ただ、非常に残念ながら、著者自身がひとりの「ネット・ウォッチャー」としてネット界隈を眺めている限りにおいては、維新の姿勢を高く評価する意見が多数を占めているとも思えません。

その証拠となり得る記事が、東洋経済オンラインが13日付で配信した、こんなインタビュー記事かもしれません。

「自民と組んだら終わり」維新・前原氏が語る背景 自民の補完勢力となれば「消滅」が待っている

―――2025/03/13 10:02付 Yahoo!ニュースより【東洋経済オンライン配信】

上位コメントが興味深い

これは、政治ジャーナリストの方が維新の前原誠司・共同代表を迎えたインタビュー動画を文字起こししたものだそうですが、具体的な内容については本稿で言及することは控えます。ご興味があれば、直接、リンク先記事をお読みください。

(※内容自体を本稿で引用しない理由は特に述べませんが、「引用する価値がある記述を見出せない」、という意味であるかどうかについては、読者の皆様に判断をお任せします。)

それよりも、本稿でチェックしておきたいのが、読者コメントです。

記事のコメント欄に表示されているもののうち、上位コメントについて、前原氏に対する罵詈雑言に類すると思われる部分を抜いたうえで概要を紹介すると、こんな趣旨のものが散見されるのです(引用にあたっては大意を変えない範囲で表現を修正しています。また、カッコ内は当ウェブサイトの補足です)。

  • そもそも高校無償化は必要な政策ではない。おカネを投入したいのであれば、まずは高校を義務教育化すべき。義務教育でもないものを支援するというのはおかしい。もっと優先すべき政策はあったはずだ
  • 前原氏は「高校無償化の予算は1100億円」と述べているが、対象の子供がいない人には恩恵が及ばないし、独裁者をあがめている外国の学校にまで無償化の対象が含まれる(のだとしたらおかしい)
  • 「年収の壁」を178万円まで引き上げる政策こそ、働いている国民が恩恵を受けるものであり、ブラケット・クリープ現象により税額の増大に苦しむ国民が期待していたものではないだろうか
  • (前原氏は)国民民主党時代、比例復活した議員も引き連れて新党を立ち上げ、政党助成金も受け取ったうえで維新に移籍したという経歴を持っているが、仲間を騙すような人は信頼できない。国民のことも当然に騙す(との懸念もある)
  • 2022年に国民民主党が補正予算案に賛成した点について、前原氏は2023年の党代表選で、報道各社に対し、「政策本位で非自民・非共産の枠組みで協力していくことが大事」と述べて批判したではないか。今回の「教育無償化のために予算案に賛成する」という行為はブーメランだろう

…。

上位10件で擁護・支持意見が皆無

このくらいでやめておきますが、前原氏や日本維新の会の行動を擁護ないし支持する声が、(少なくとも共感数で上位10番目までのコメントのなかには)まったくといって良いほど見当たりません。

少なくともネットの世界では、国民は前原氏率いる維新が「年収の壁178万円」を潰した人物だ、とする認識が定着しているようにも見えます。

もちろん、「高校無償化が政策として正しいかどうか」、という議論と、「年収の壁」云々の議論、そして前原氏の経歴や政治家としての適性などの議論はすべて別の論点ではあるものの、総じてネットの世界では日本維新の会という政党が深く失望されている様子が見て取れるのは、興味深い論点と言わざるを得ません。

いずれにせよ、少なくともこの記事を含めたいくつかの記事の読者コメント欄、あるいはXといったSNSなど、ネットを通じて得られる一般人の反応を眺めていると、維新が教育無償化を通じ、「大失敗」をしてしまったのではないか、といった仮説が浮かぶのですが、いかがでしょうか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. DEEPBLUE より:

    意図したのか偶然か知りませんが財務省の別働隊として働いた結果ですね前原維新。

  2. 丸の内会計士 より:

    高校無償化と引き換えに落選を選んだということになりそうです。維新は、ビジネスセンスがなさすぎ。高校無償化が政治生命をかけて取り組むべき政策なのか?? 本当に落選したら笑ってしまいます。
    教育にお金を使うなら、高校無償化よりもAI人材の育成でしょう。未だに日本企業は、せっせとデータを捨てまくっています。ヤバい。

  3. がみ より:

    高校無償化 更には大学無償化 ついでに給食費無料 …
    夫婦別姓 女性活躍 外国人労働者歓迎 …

    そんなもんが今の世界情勢で優先議案なのか?
    金配って票買って増税?
    下らない …

    人類史始まって以来の古代からの悪は官僚だよ
    だから古代中国では宦官制度までつくった
    闘うべき権力は官僚公務員司法の茶坊主である
    官僚を変えないと政権や政治やらが変わっても悪しきシステムは変わらない

  4. sqsq より:

    私立高校授業料無償化で起こることは目に見えてる。
    無償なら私立に行くという動き。その結果公立高校の定員割れ、質の低下。

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