出張族が見る新幹線や飛行機の利便性の「飛躍的」向上

出張族という立場からすれば、新幹線や飛行機は、乗るたびに利便性が向上していると断じざるを得ません。そもそものチケットレスサービスの充実ぶりもそうですが、乗っている途中でも車内・機内WiFiサービスなどが充実しているからです。著者自身の記憶だと、30年前の飛行機(※ただし国際線)は、機内食サービス後に前方スクリーンで映画放映などを行ってきたと思いますが、いまや各人が機内WiFiなどでコンテンツを楽しむ時代です。

サイフレス決済化にはちゃんとした理由がある

コロナ禍の時期は抑制されていた人の動きが、最近になってほぼ完全に正常化され、最近だと各地でホテル代が急騰している、などと報じられることも増えています。

気が付いたら航空運賃もずいぶんと値上がりした感がありますし、そうなってくると、必然的に「出張族」の皆様にとっても、なかなか出張のコストが大変な時代になってきたりもするわけです。

先日の『どこまで進んだ?サイフレス決済』では、著者自身の出張体験をベースに、「現在の日本ではIT化がどんどんと進行しており、サイフがなくても移動ができるようになりつつある」、などとする話題を取り上げました。

これはどは、日本各地が徐々に便利になっているという話でもありますが、それだけではありません。

やはり、生産年齢人口が減少し始める中で、以前と同じ利便性を維持するためには、それだけ効率化が必要となっているのだ、という話なのかもしれません。

著者自身の出張に関するエピソードにはさまざまなものがありますが、それをここに記してしまうと、具体的にどこを訪れたのかがバレてしまうため、あまり詳しい話は記載できません。このあたりは、少し残念ではあります。「何月何日にどこに出かけ、どんな事件に遭遇した」、といった観点からは、面白い話題もたくさんあるからです。

このあたりは、匿名によるウェブ評論サイトの限界といえるかもしれません。

航空機や新幹線はチケットレスで乗れるようになった

ただ、先日の「サイフレス決済」などのように、一般論から興味深い話題も多数あります。

これは、現金がなくても出張ができてしまうという話題ですが、実際、出張が最近、ますます快適になっていることも事実です。

たとえば、大手航空会社(JALやANA)などの場合は、出張のための航空券をウェブ上で予約し、ウェブ上でクレジットカード決済すれば、そしてそれをスマートフォンのウォレットに登録すれば、保安検査場などでスマホをスワイプして搭乗券を表示させ、それで飛行機に乗ることができてしまいます。

また、同じくモバイルSUICAなどを使用している人は、スマホ上で新幹線のウェブアプリを使用し、新幹線のチケットをウェブ上で購入し、それをモバイルSUICAと紐づけることをすれば、新幹線にだって簡単に乗ることができます。

本当に便利な世の中になったものです。

出張族であれば、飛行機や新幹線については何度も何度も利用するため、こうしたウェブアプリ(ウォレットやモバイルSUICAなど)については使い慣れてきますし、これらのアプリの多くは使い勝手も良いことから、自分でアプリの使い方に習熟してきたりもします。

当然、駅員さんやCAさんに尋ねなくても、新幹線や飛行機などのチケットをウェブ上でクレジットカード決済などにより購入できるわけですし、こうしたユーザーが増えてくれば、紙の搭乗券・乗車券がなくなるだけでなく、航空会社や鉄道会社の人員削減も実現できてしまう、というわけです。

というよりも、いまや人材難の時代ですので、駅員さんやCAさん、地上係員さんなどがいなくても、ある程度は業務が廻るようにしていかねばならないわけであり、こうした観点からは、鉄道や航空機の乗車・搭乗システムの自動化は、時代の要請なのかもしれません。

無料のWiFiサービスも当たり前に!

さて、最近の鉄道や飛行機、あるいは出張先のホテルなどで気づく点があるとしたら、それは無料のWiFiサービスなどが、徐々に当たり前になりつつある、という点ではないかと思います。

個人的に新幹線のWiFiサービスはかなりインフラが脆弱だと思いますが(※あくまでも個人の主観です)、飛行機のWiFiサービスは徐々に質が上昇しており、とくに某JAL社の場合だと、当初は有料だった機内WiFiサービスが無料化し、速度も向上するなど、サービスの質は格段に良くなっています。

これに加え、最近だと機内や新幹線車内などで充電できる端末が設置されているケースも増えており、ACコンセントやUSBタイプA/タイプCポートなどでお手持ちのスマートフォンやPC、タブレットなどの充電が可能だったりもします。

こうしたなかで思い出すのが、かつての航空機などのサービスです。

たとえば20年前の飛行機だと、搭乗する際にボーディング・ブリッジの最先端などで当日の新聞が置いてあり、自由に取っていくことができたほか、ちょっと良い座席に乗ったりすると、CAさんが当日の新聞や最近の雑誌などを持ってきてくれたりもしました。

これらのサービス、現在はほぼ完全に消滅しています。

新聞、雑誌を無料で配るためのコストと、機内WiFi環境を整備して提供するコストを比べたら、当初の投資額でみればWiFiの整備の方がはるかに高額だったと思われる反面、いったんこれらの整備が終われば、新聞、テレビを配布するコストが圧縮できるわけです。

また、私たち乗客の立場からしても、(紙媒体の)新聞や雑誌を配られるよりも、WiFi環境を整備してもらい、自分の使い慣れたスマホ、タブレット等の端末でコンテンツが見られるようにしてくれた方がうれしい、と思う人も多いことでしょう。

かつての飛行機は機内映画上映が当たり前だった

そういえば、著者自身が初めて自分ひとりで飛行機に乗ったのはツアーで海外旅行に出かけたときでしたが(1990年代のことです)、当時はまだ飛行機も各人の座席で音楽や映像などを楽しむことができませんでした。

狭いエコノミー座席で、成田空港からパリまでの飛行時間、最初にヘッドフォンが提供され、続いて機内食が提供され、さらに食後に前方スクリーンで映画が上映されたのをよく覚えています(映画はたしか『インディペンデンス・デイ』でした)。

著者自身の記憶だと、音声については日本語と英語を手元で選ぶことができたのですが(ヘッドフォンで自分が選んだ言語の音声が流れる、という仕組みです)、それでも同じ時間に飛行機に乗っている人が同じコンテンツを楽しむ、という構図だったことは間違いありません。

著者自身は最近、もう10年近く国際線には登場していないのですが、少なくとも国内線に関していえば、機内WiFiサービスのおかげで、自身のスマホやPCなどを使い、好きなコンテンツを機内でも思う存分に楽しむことができるようになりました。

今から30年前の状況と比べると、まさに雲泥の差です。

世の中の常識が大きく変わっていることを実感するのは、こういう瞬間なのかもしれません。

そして、「昨日の情報を紙に刷り込み、地球温暖化ガスをまき散らしながら人海戦術で全国各地にそれを送り届ける」という、新聞と呼ばれるビジネスが、完全に時代遅れなものとなったこともまた間違いありません。

ある日に新幹線に乗ると、目につく周囲の人々は多くの場合、スマートフォンかPCなどを操作していて、少なくとも新聞、雑誌などを目にしている人は、ほとんど見かけませんでした。実際、東京駅や新大阪駅などの売店でも、新聞、雑誌、書籍などはほとんど売られていません。

新聞、テレビ、雑誌は軒並み苦境へ

そういえば、以前の『苦境の新聞業界に「コンビニ雑誌配送問題」の影響は?』などでも取り上げましたが、コンビニエンスストアへの雑誌類の配送が、今年3月で大幅に縮小されてしまいます。

雑誌取次の大手・日販がコンビニ配送事業から撤退するためであり、日販のあとを引き継ぐトーハンも、ローソン、ファミリーマートに対する雑誌配送は、全国3万店舗のうち約1万店舗で引き継げないとされているからです。

フジ3Q決算にみる「営業損益構造」とその課題とは?』などでも指摘したとおり、民放テレビ局大手のフジテレビはCM差し止めラッシュで収益がかなり圧迫されてきていますし、『新聞業界に迫る「突然死リスク」』などでも指摘したとおり、新聞業界も部数低下に歯止めがかかりません。

しかし、少なくとも「出張族」という目線で見るならば、物理的なデバイスという観点から、スマホ、タブレット、PCなどの利便性が日々向上していることを踏まえると、もう新聞、雑誌、テレビといったオールドメディアがこれらの媒体に勝つことはないと考えて良いのではないでしょうか。

いずれにせよ、フジテレビ騒動などの話題に関しても、少なくともフジテレビのコンプラ問題以前の問題として、こうしたさまざまな技術革新があることだけは間違いないと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 丸の内会計士 より:

    技術革新の影響でエビデンスが大量に作られ、発信される時代になったという観点もあると思います。このようなエビデンス大量発信時代に、これまでの企業行動を改めない企業は、困難な状況に直面するということなのでしょう。テレビ局の場合、芸能事務所からテレビ局の社員が異次元の接待を受けることが常態化していたと聞きますが、今回は、逆でテレビ局が芸能事務所の大物芸能人に対して異次元の接待を行うことが常態化していたと指摘されています。
    今回、第三者委員会で調査されるようですが、聞き取り調査先が限定されてしまうと、エビデンス大量発信時代には、第三者委員会と矛盾するエビデンスが大量に外部から発信されてしまい、第三者委員会の調査が何の意味もないということになるかもしれません。
    技術革新に対応した第三者委員会の設計が重要と思います。社員だけに調査するのではなく、取引先の制作会社や芸能事務所にも調査しないと、第三者委員会は、エビデンス大量発信時代には、機能しないと思います。

    1. はにわファクトリー より:

      新聞 TV こそエコーチャンバー生活者だ。
      旧来の世界に閉じこもったまま、同じような方角を見、同じような考え方をする人間ばかりが集まった特殊な職業集団。異常を異常と感じる感覚がマヒしているのです。
      政治がオールドメディアとずぶずぶの関係=共犯関係になっているのは大いに問題です。

  2. 6年前に現役引退 より:

    もう少し若ければ、紹介いただいたようなメリット(飛行機出張)を受けれたと思うと残念です。現在、スイカをスマホに切り替えました。定期券購入やチャージはサクサクできて便利ですが改札ではちょっとうんざりです。お財布フリーで一番便利はマクドかな、

  3. 都市和尚 より:

    いつも楽しみに拝読しております。

    どうでも良い話ですが、航空会社の株主優待券の買取価格がこの数年大きく下げています。ANAの場合だと、数年前は1枚3,000円程度だったのが、今は400円程度になっています。
    需要予測と空席状況に基づいた合理的な料金がホームページなどに表示され、ユーザーは自由に比較検討して選べるわけで、確かにバカ高い正規航空料金が半額になっても殆んど意味がありません。株主優待券も新聞と同じ運命にあると思い少々笑ってしまいました。

    1. 引っ掛かったオタク より:

      エアラインの“株主優待”も時代に応じて内容がアプデされる端境期かもしれまへんな
      知らんけど

    2. 裏縦貫線 より:

      株主優待券は、飛行機に乗る意思決定の遅さとか、変更払戻の自由度を買うものだと思っています。日程変更の可能性がなければ(予定通り行くんだ/帰るんだと云う強い意志があれば)より安い割引運賃が選べますね。
      あと、株主優待運賃にも席数に限りがあり、株主優待券を入手しても使えないリスクが「400円」に表れているのでは。

  4. CRUSH より:

    航空機だと重量増加が天敵なので、通信で新聞雑誌が省けるなら、それも裏ドラ乗りますね。

    しかしチケットレスで便利になっているのを聞くにつれ、なぜ納税などはクレカで便利ににならないのでしょうかね。

    あまり詳しくは存じ上げませんが、e-TAXという仕組みは既にあるみたいなので、例えばそちらで納税するなら10オフするなり、なんらかのインセンティブをつけてさっさと移行すれば、通知書の印刷郵送振込収受事務が、一気に不要になりますわな。

    クレカなら月額百円くらいの手数料で、紙の明細を選択することもできますから、嫌な人たちはそちらを選んでもよろし。
    選択的夫婦別姓なんか今やる必要まったくありませんが、コストセーブできる施策ならすぐやればよろし。

    これも利権絡みなんですかねえ。

  5. はるちゃん より:

    少子化時代に経済成長と所得の向上を可能にするのは、より少ない人数でより多くの付加価値を生み出すことが出来るITの活用が必須ですね。
    AIや通信環境などの技術の進歩に加えて、法律や慣習などの環境が進歩の障害になる事が無いようこちらも変えていかないといけないと思います。
    特に政治家や役人、オールドメディアなどが古い規制に拘って、IT環境整備の足を引っ張るのではないかと心配しています。

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