今年も進んだネット化の恩恵…来年はAIさらに発展か
あと2日で今年も終わってしまいます。こうしたなか、著者自身は今年を総括するうえで、ネット化・IT化のさらなる進展と、これからAI技術が急拡大するとの見通しを示しておきたいと思います。とりわけ業界では、AIの進歩は公認会計士などの「士業(さむらいぎょう)」の仕事を奪うとの懸念もあるようですが、はたして2025年はどんな年になるでしょうか?
今年もネット、IT化の影響を受けた1年
信じられない話ですが、あと2日も経てば、新年です。
なんというか、著者自身だけかもしれませんが、時が経つのが非常に早く感じられるようになりつつある気がします(加齢のせいでもあるのでしょうか?)。
こうしたなかで、今年を総括するならば、やはり「社会のネット化、IT化がさらに進んだこと」、ではないかと思います。
たとえば毎年のことですが、年末にやるべきことはそれなりに多いものの、これも気のせいか、年々作業は楽になっている気がします。社会のペーパーレス化、IT化などが、その要因です。
ひと昔前であれば、年末調整関連書類も税金の申告書も、「手書きしてハンコを押して…」、「書類を役所に持って行って…」、といった具合に、物理的に「紙」を準備して、その「紙」を物理的にどこかに届ける、といったパターンがのです。
しかし、2020年以降のコロナ禍の影響もあったのでしょうか、役所を含め、社会全体でネット化・電子化が急速に進んだことも間違いありません。その典型例が、ウェブ会議やリモートワークなどの普及でしょう。私たち現代人は、勤務先の会社・役所などが許す限り、勤務先から離れた地域に住むこともできるのです。
東京や大阪といった地価の高い都市部ではなく、都心などから少し離れた地域を選べば、広さや築年数といった条件が同じでも、都心部と比べて非常に安く住むことができるかもしれません(※もっとも、最近だとリモートワークを禁止する会社も増えて来たようですので、今後どうなるかについてはよくわかりませんが…。)
交通チケットのペーパーレス化
また、著者自身も含め、おそらく多くの人が痛感しているであろう社会の変化があるとしたら、決済手段の電子化ではないかと思います。
たとえば『まだまだ課題も多いが利便性が高いセルフチェックイン』や『現代社会の「おカネの多様化」に、昔の人はきっと驚く』などでは、現代の移動手段や支払い手段について、どんどんと電子化が進んでいる、とする話題を取り上げました。
ひと昔前、出張といえば、飛行機を使うにせよ鉄道を使うにせよ、「紙」が必須でした。
飛行機だと紙の航空券(または予約票)、新幹線や特急だと紙の切符・特急券がないと、それぞれ便に搭乗することもできなかったのです(といっても飛行機の場合、航空会社によっては搭乗券を亡くしても、本人確認が取れれば搭乗できたとの証言もありますが…)。
しかし、昨今だと、たとえば飛行機の場合は(航空会社にもよりますが)購入から搭乗まですべてネットで完結することも多く、スマートフォンの端末に搭乗券をダウンロードし、空港の保安検査場でQRコードをかざせば、それで大丈夫です。
航空会社の上級会員の場合、ラウンジに入るのも同じQRコードで通りますし、会員情報との紐付ができていれば、マイル登録も勝手にやってくれます。
新幹線や特急券などの場合も、(路線によって使えるアプリは違いますが)「スマートEX」や「えきねっと」などで予約を取り、それを自身のSUICAと紐づければ、紙の切符や特急券を発券する必要もなく、鉄道路線を利用することができるようです。
スマホで使える電子クーポン券
さて、著者自身が今年初めて挑戦したものが、地方自治体が発行するプレミアム付き商品券の電子化です。
居住地などの詳細は伏せますが、今年、住民を対象に、いわゆるプレミアム付き商品券が発行されました。1セット1万円で、その地域の中小店舗などのみで使用できる商品券が6,000円分、大企業を含めた店舗でも使用できる商品券が6,000円分、といった具合です。
これについて、著者が暮らす自治体では、紙媒体でのクーポン券だけでなく、電子クーポンも発行されています。
店舗にはあらかじめ役所から配られているその店舗特有のQRコードが備え付けられており、電子クーポンを使用する際にはそのQRコードを客がスマホで読み取り、金額を入力して「支払う」ボタンを押し、それを店の人に見せる、という原始的な方法です。
ただ、こうした地域プレミアム付き商品券は、どうしても紙ベースのものが人気なのだそうですが、紙クーポンと異なり、1円単位で使用可能であるという特徴があり、実際に使ってみたらその利便性が存外に高いことに気付きます。
これに対し紙クーポンの場合は券面の単位が500円であり、しかもお釣りが出ないため、じつは使い勝手としてはそこまで良くないのです(最近だと高齢者もスマートフォンを使いこなし、電子クーポンを使って買い物をすることが増えている、との話も聞きます)。
いずれにせよ、ネットの普及、ペーパーレス化の進展により、私たち現代人はより快適に、より低コストで暮らすことができるようになったわけであり、こうした動きは(多少の揺り戻しはあれど)基本的には大きく後退することはないと思われます。
来年以降のテーマは急速に発展するAIか?
さて、これも著者自身の私見ですが、21世紀の幕を開ける前後くらいから、世の中のテーマは10年単位で移ろっているのではないかと思います。2000年あたりはIT化、2010年あたりはインターネット化、そして2020年以降はAI(人工知能)、といった具合です。
こうしたなかで、やはり来年以降も予想される流れは、脱・ペーパー、脱・オールドメディアではないかと思いますが、これに加えてもうひとつの大きな流れは、AIのさらなる進化ではないでしょうか。
AIといえば Chat GPT などのサービスが有名ですが、それだけではありません。
最近だと、検索エンジンの google も、検索に際してAIによるサマリーを付してくるようになりましたし(そのサマリーが正しいかどうかは別問題ですが)、SNS大手のX(旧ツイッター)も Grok なるAIを開発しています。
じつは著者自身、当ウェブサイトやXではウェブ評論家と名乗っていますが、(あまり知られていませんが)本業は公認会計士であり、そして公認会計士は会計監査の専門家でもあります。かかる専門家は、会計上、監査上の判断を下すのが仕事のひとつです。
専門家といえば、ほかにも弁護士や税理士、司法書士、不動産鑑定士といった、「~士」で終わる仕事があり、こうした仕事を「士業(しぎょう)」と書いて「さむらいぎょう」と呼ぶことが一般的ですが、こうした士業は、AIの精度が向上するにつれて、徐々にその社会的役割を終えていく可能性があります。
著者自身は公認会計士ですから、AIの進化によって公認会計士の仕事が奪われることは、自分自身の食い扶持が奪われることと等しいと考えているわけですが、正直、これも時代の流れであり、やむを得ないてんがあるとも思います。
ただ、AIに仕事を奪われるのが嫌であれば、AIにはできないところで勝負をするしかないとも考えており、そのひとつが専門性ではないかと思います。
(あくまでも著者自身の現時点での私見ですが)AIの長所は、あらかじめ与えられている条件を正確に読みこなし、それに対する個別論点を正確に返すことにあると考えているのですが、「それに伴い生じて来る実務上の派生論点」には、現時点ではまだ不得意です。
だからこそ、AIが発達しても、本当に特定分野に特化している専門家や技術者であれば、なんとか生き残っていけるのではないか、というのが著者自身の仮説です。
いずれにせよ、来年がどんな年になるのか、ウェブ評論的な視点からは興味が尽きないところだと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
公認会計士の会計監査でAIがどのように使われるかですが、会計士の監査業務に即して、次のようなAIが登場すると予想しています。会計監査では、監査調書の作成を監査補助者が行うのが一般的です。顧客から仕訳データをCSVでもらって、勘定科目ごとに監査調書を作成します。この監査調書の作成がAIで自動化されます。大量の監査調書が一瞬でできるイメージです。顧客ごとにインテグレートする必要があり、最初から完璧な監査調書にはなりませんが、時間の問題です。
それからバウチング。これもCSVでデータをもらって、証憑のPDFをもらえば、各仕訳と証憑が紐付き、それが可視化される体制をAIで自動化されます。
後は、有価証券報告書等の開示書類の自動化です。
会計士の生き残り策ですが、会計士の作業が自動化されますので、自らクライアントを持つことと、AI監査システムへのアクセスが重要になります。
会計監査については、上記のイメージでAIが浸透すると思います。監査法人の競争環境が大きく変わり、AIにアクセスできる監査法人とAIにアクセスできない監査法人ということになりそうです。
社会は利便を追求し続ける。
「コンビニエンス時代」
こんな造語を思いつきました。
利便に人がおカネが払う。利便を向上するために仕組みが進化し続ける。売り上げとは利便の対価である。
社会はソフトウェアで出来ているのだ。かなり以前のことですが、ある大手コンピュータメーカートップがこう発言しました。言い切ったものだよなあ、聴衆はコンピュータ産業人でしたのでニヤつきながらも聞き流したのですが、彼の言ったとおりなのです。
SaaS という単語を耳にすることも増えたと思います。利便という仕組みをネットに作り込みそれを使ってもらうことで収益を達成する。利便の商業化は来年以降一層加速するでしょう。これがコンビニエンス時代です。
航空券、ネットで予約してA4の紙にプリントアウト。eチケットと呼んでいた。それを初めて見たときの印象は「こんなもんで飛行機乗れるのか」
去年国内線使った時、チェックインも荷物を預けるのも予約番号を覚えていれば機械相手で可能だったように記憶している。
正月が近くなると「お正月を写そ~」“写ルンです”というインスタントカメラの広告をよくやっていた。もうなくなったのかと思っていたら探せば通販で買えるみたい。
「今現像に出せばこの時間には仕上がります」という意味で大きな時計を駅前にある店の壁に示して繁盛した店。成長して東証に上場まで果たした会社があったが今どうしてるんだろう?
レンタルビデオ(DVD)ショップ、店員が「いずれはインターネット回線で映画が見れるようになるだろうけど10年以上先でしょう」と言っていた。その後たった2-3年でそういう時代がやってきた。あの店員どうしてるだろう?
AIの進展はすごいですね。(小並感)
AI開発に関わる人々の数の多さ(それだけ金も入ってる)もあって、カンブリア爆発の状態がずっと続いているようです。最新動向を追うなんて私には無理です。
AIの利用範囲の拡大を意味していると思いますが、東電管内で2030年までに新設されるデータセンターの電力需要だけでも600万kWh(原発6基分)と小耳に挟みました。
とはいえ、自分が能動的に使うのは調べ物でググる前に検索対象の網掛け範囲をGPTに相談するとかその程度ですが。最近気づいたところではAmazonのレビューも冒頭にAIによるレビュー傾向のまとめが表示されるようになりましたね。
知らない間にAIに置き換わっていた、なんて受動的な利用はどんどん増えていきそうな気がします。
>東電管内で2030年までに新設されるデータセンターの電力需要だけでも600万kWh(原発6基分)と小耳に挟みました。
kWhではなくkWでした。
東電PG:GX・DXの同時達成に向けた電力システムの役割と課題
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/gx2040/20240723/siryou5.pdf
P.3 データセンター(DC)事業者様からのお申込み状況
書いてしまった後に情報の確かさを調べてしまう悪い癖が発動。(書く前に確認しろ)
学術の世界も AI に事前審査させないと、論文の不備を衝かれて大変なことになっています。
AI の実用性が夢物語でなく現実的になり始めたころ、数年前ですが、当方は大学生をこんな風に焚き付けたら楽しかろうなどと考えていました。研究室指導教官の学位論文を AI 判定に掛けるのです。剽窃捏造を見抜くために審査手続きや審査深度は進化してきた。今の AI 産業がネットサービスなのは印象的です。論文投稿前にチェックに掛けないと恐ろしくて研究者はやっておれないでしょう。
>研究室指導教官の学位論文を AI 判定に掛けるのです。
ちょw
AIは、巨大電子百科事典(?)から、該当する項目を検索するだけで、その百科事典の内容が間違っていた場合、間違った答えを表示するのではないでしょうか。例えば、兵庫知事選前のワイドショーが斎藤知事のパワハラ疑惑で騒いでいた時に、AIに斎藤知事のことを尋ねれば、パワハラ知事と出てくるのではないでしょうか。
AIはわからない事を素直に分かりませんと認めず嘘八百並べる段階で過大評価され過ぎな気もします。
補助には使えますが全て任せると致命的ミスを平気でやる。
コンピューターが企業に普及し始めた頃、コンピューターは間違える事が無いなどと信じていた人がかなりいました。
しかし、間違ったデータを入れると間違った結果が出て来ます。
AIも同じようなものでは無いかと思っています。
ネットの使いこなしが今後ますます向上すると思いますが、何事にもリスクがあります。
用心するに越したことは無いと思っています。
AIにブログを作れるようになったらどうなんでしょう小説をかけるAIなんてもののあるくらいだし。もしかしたらこのブログはすでに。
都知事選に出馬した安野氏が今日たまたま紹介していた、ITエンジニアをやってくれるAI。
AIとの会話をスクショして公開していました。
ちょっと面白そうでしたんで。
==
https://x.com/takahiroanno/status/1873689975470059563
エンジニアAIのDevin(月額$500)が入ったSlackでちょこちょこ作業を一緒にやってみた。これはすごい。まだアホなところが多いんだけどすごい。AIエージェントと共同する未来の職場が既に現実になっていた・・・!
==
作業を任せたり相談相手になることは想定通りだと思いますが、あちこちから上がってくる大量の課題や要望を正規化して管理することも効率化できそうな気がしました。
その系を離れて久しいのでピントズレかもしれませんが。
こんな話もあります。知人と先月交わしたチャット記録です。
『最近cursorというvscodeから派生したエディタを使い始めたのですが、かなり快適です。
将来的にはプログラマーは不要になりそうといのを身をもって体感できます。
『コードを少し書き始めたら、うしろをごっそり予測してくれたりする。
『これまではchatgptにコード断片をはりつけて、回答をもらってコードに反映としていました。
『cursorだとこれをさくっと統合的にできる。chatgpt使っているのとはまるで体験が違います。
『あまり詳しくないフロントエンド(React.js)とかを手伝ってもらったときは重宝してます。詳しい人に教えてもらいながらコーディングしているという感覚ですね。
『あとは、普段使いのpythonに関してはエラー処理とか普段あまり書かないところまで手をまわしてくれてありがたいです。デバッグ用のprint文までつけてくれたりも』
AI はプログラミングのことはよーく知っている。当然と言えば当然なのでした。
彼と知り合ったのは20年ほど前。こんな経験をしています。あるとき仕事で既存コードをふたりで分析することになった。当方がキーボードを操作しカーソルを滑らせて注目箇所を指摘する。彼は背後から画面をのぞき込みどこをどう改良すべきかコメントを喰わえる。
「ここをこうですかね(当方がコード断片を書き足して見せる」
「できそうですね。それでいいんでしょうね」
たちまちの方針が決まって了解が取れてしまったのです。まるで二人羽織のようだった。あとで彼はそうコメントしました。
CAD ならぬ Computer-Aided-Programming が爆誕しつつある。Cursor とはうまく命名したものです。