ポッキーの日に考えておきたい「いずみ・いずみ」問題

秋山泉(あきやま・いずみ)さん(仮)という女性が泉健次郎(いずみ・けんじろう)さんと結婚した結果、「泉泉」(いずみ・いずみ)さんになったそうです。調べてみると、たとえば郷豪(ごう・ごう)さん、春名春奈(はるな・はるな)さんなど、この手の事例は結構あり得るようです。こうした中で改めて考えておきたいのが夫婦別姓よりも改名へのハードルです。

夫婦別姓?それとも…

一般に選択制夫婦別姓制度とは、夫婦が望む場合、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度のことをさすといわれます(ちなみに法務省『選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について』では「別姓」ではなく「別氏」と記載されています)。

ただ、これについては本稿では(さる事情があって)当ウェブサイトとして「賛成する」「反対する」という言及は致しません。

事実として、現在、わが国では結婚したら夫婦は法的に同一の姓を名乗る、というルールがあります(結婚後は男性側の姓を名乗るケースが多いようですが、女性側の姓を名乗ることもあります)。

たとえば山田一郎さんと鈴木花子さんが結婚すると、一般的には新たな戸籍が編成されます。

その際、戸籍にはまず筆頭者(夫側の姓を名乗る場合は山田一郎さん、妻側の姓を名乗る場合は鈴木花子さん)が掲載され、続いて配偶者(山田姓の場合は妻である山田花子さん、鈴木精を名乗る場合は夫である鈴木一郎さん)が掲載され、典型的には順次、第一子、第二子などと続きます。

現在の日本では旧姓使用認められる局面が意外と増えている

この点、現在の日本では女性が姓を変えることが多く、従来であれば職場の関係書類や銀行口座の名義などをすべて変更する必要があり、旧姓のままで働いたり、銀行口座を維持したりすることは事実上不可能に近かったのが実情です。

しかし、現代社会では、届け出の煩雑さという点は改善の余地があるものの、たとえば多くの職場では旧姓の使用を認めるケースも増えているのに加え、たとえば健康保険証や運転免許証、さらにはマイナンバーカードなどにも旧姓併記が可能となっています。

また、一般社団法人全国銀行協会によると、『結婚に関する口座の手続き』によると、基本的に結婚などで姓が変わった場合には手続きが必要ではあるものの、銀行によっては口座を旧姓のままで使い続けることを認めてくれる場合もあるようです。

そういえば自民党の総裁選で決選に残った高市早苗氏も、じつは戸籍上の名称は一時期「山本早苗」氏だったことがあるようです(ただし、高市氏は山本拓氏とはいったん離婚して再婚しており、現在は山本拓氏が「高市拓」氏となったことを、2022年5月、『週刊文春』が報じています)。

高市早苗政調会長の再婚 夫の山本拓・前衆院議員が「高市姓」に

―――『週刊文春』2022年5月5日・12日号より

いずれにせよ、愛着のある旧姓の使用が認められる場面が少しずつ増えていることは間違いないのですが、選択制夫婦別姓まで踏み込んで認めるかどうかに関しては、今後の国会の議論次第、といったところではないでしょうか。

「いずみ・いずみ」さん、「ごう・ごう」さん他

ただ、この「結婚による改姓」が、意外な影響を与える可能性がある分野が、「姓名一致問題」です。

著者の知り合いに秋山泉(あきやま・いずみ)さん(仮)という女性がいたのですが、この女性から届いた年賀状を見て仰天しました。なんと泉健次郎(いずみ・けんじろう)さんと結婚し、「泉泉(いずみ・いずみ)」さんになったのです。

調べてみると、結構そういう事例はあるらしく、たとえばこんな具合です。

  • 相良愛羅(あいら・あいら)さん
  • 青井葵(あおい・あおい)さん
  • 秋野亜紀乃(あきの・あきの)さん
  • 安里麻人(あさと・あさと)さん
  • 朝日朝日(あさひ・あさひ)さん
  • 荒田新太(あらた・あらた)さん
  • 伊吹息吹(いぶき・いぶき)さん
  • 勝美克己(かつみ・かつみ)さん
  • 清田清太(きよた・きよた)さん
  • 郷豪(ごう・ごう)さん
  • 佐倉咲良(さくら・さくら)さん
  • 里見里美(さとみ・さとみ)さん
  • 高尾敬夫(たかお・たかお)さん
  • 渚渚(なぎさ・なぎさ)さん
  • 春名春奈(はるな・はるな)さん

…。

とりわけ、「ごう・ごう」さんという名前はなかなかにノリが良さそうに見えてしまいます。

よく証券口座や銀行口座、水道、ガス契約などを電話で問い合わせるときに、「お名前をフルネームでお願いします」と言われますが、そのときに「ゴーゴー」と名乗ると、電話口の方も一瞬、反応が止まってしまうかもしれません。

骨川ワカメ問題

こうした場合、不便を解消するためには戸籍上の名前を変更することが考えられますが、これについては裁判所に申し立てて許可をもらう必要があります(裁判所『名の変更許可』によれば、「正当な事由によって戸籍名を変更する場合」には裁判所の許可が必要とされ、様式や記載事例はダウンロード可能です)。

ただ、あくまでも個人的な感想を申し上げるならば、選択的夫婦別姓よりも改名のハードルをもう少し下げることはできないものか、という気もしないではありません。

たとえば、某国民的青狸が出演する著名アニメ作品では、「スネ夫(すねふ)」さんや「のび犬(のびいぬ)」さん、「ワカメ」さんといった人名が出てきますが(※本人のプライバシーに配慮して名前は一部変えてあります)、やはり最大の難関は、「ヂャイ子(じゃいこ)」さんではないでしょうか?

もちろん、「骨川」、「剛田」、「フグ田」さんといった苗字だと、それ自体も非常に珍しいところですが、正直、ご先祖様から伝わる苗字よりも、親が決めた名前の方が、改名に向けたハードルを低くするのは当然のことかもしれません(実子に「スネ夫」だ、「ワカメ」だといった名前を付す親御さんというのもどうかと思いますが…)。

ちなみに著者自身が見かけた事例だと、こんなお名前もあるようです。

  • 今鹿(なうしか)
  • 藍衣姫(なうしか)
  • 全日空(あな)
  • 強敵子(ともこ)
  • 原子(あとむ)
  • 核(あとむ)
  • 金星(まあず)
  • 輝星(べが)

…。

まだまだ世の中は広いと思わざるを得ない今日この頃です。

他にも論点は盛りだくさん!

余談ですが、ポッキーの日に考えておくべき問題は、他にも多数あるようです。

たとえばその某国民的アニメに登場する青狸が有能な経営者を潰すために未来の世界から送り込まれた刺客だったとする最新の研究結果につきましては、ちょうど366日0時間前の『練馬の青狸は有能な経営者を潰すための刺客だった…?』で議論していますので、ご参照賜りますと幸いです。

あるいはその青狸がとある結婚を阻止したことが、のびのび犬氏にとって良いことだったかどうかについては、『ある結婚を阻止した青ダヌキの行動は正しかったのか?』あたりもどうぞご参照ください。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. じゃん🐈 より:

    知り合いの「加代」さんの彼氏は「大場」さん。
    どうするのかなぁ….

    1. ベル より:

      「嘉門」さんならどうします?

      1. 転勤族 より:

        NISSAN あ、安部礼司ですね!

    2. 匿名 より:

      それ、以前どこかの役場で、書類の書き方例として使われてて問題になった(笑)
      父:大場嘉門(大馬鹿もん)
      母:大場加代(大馬鹿よ)
      子:大場かの子(大馬鹿の子)

      姓も名もそれぞれはごく平凡なものなのに、組み合わさると何かヘンになる名前
      水田真理(水溜まり)、小田真理(お黙り!)
      土井輝代(「どけっ!」と言われなくも私はどいてるよ)

      1. ベル より:

        東京都庁か特別区役所の児童手当ないしは保育所の申請書だったと思います。
        担当者は処分を受けていたはずです。

        私の役所にも似たような例があったのですが
        ばれないうちに慌てて消しましたw

  2. CRUSH より:

    洋楽なら、デュランデュラン。
    邦楽なら、リンダリンダ。
    ハリウッドなら、AT-ATウォーカー。
    アニメなら、キッチ・キッチン。
    とか?
    (どれも古過ぎ)

    お遊びで命名するのは感心しませんが、真面目な命名なのにヘンテコなのといえば、
    ①アホネン
    フィンランドのすごいスキージャンプの選手でした。
    ②金玉均
    朝鮮半島の近代史上で外せない要人。
    ③コウノさん
    なだいなだによるとフランスではヤバい意味になる姓なのだそうな。

    夫婦別姓問題は、僕には何が解決すべき課題なのかがサッパリわかりませんわ。
    現行法の枠組みの中で、ほとんど全て不利益は生じないし、そもそも入籍せずに事実婚でよろしいやないの。
    税制上の優遇が悔しいなら、別姓問題とは切り離して、事実婚にも優遇よこせ!と主張するべき。

    自己実現ではなくて、制度破壊の悪意しか感じ取れないッスよ。

    1. 匿名 より:

      >洋楽なら、デュランデュラン。

      パンダネームからは少しズレますが、
      デビッド・ボーイ・ジョージ・マイケル・ジャクソン・ブラウン
      という洋楽歌手5人の名前を使った言葉遊び(しりとり)を思い出しました

      >コウノさん … フランスではヤバい意味になる姓

      近畿大学も英語圏の人には、kinky(性的に異常な、変態の)大学と受け取られるので、ある時から英語表記は日本語の省略名称から Kindai University に変えましたね

  3. 転勤族 より:

    中学時代の先輩:五味ひろえさん(当然のように「ゴミ拾えや」と言われ)
    大学時代の同級生:菊池桃子さん(雑誌名になるくらいのトップアイドルと同姓同名)

    最近の漫画アニメで言えば
    ぼっち・ざ・ろっく!:喜多郁代(きた→いくよ)

  4. KN より:

    會愛(あい・あい)さん
    https://grapee.jp/216643

    正代正代(しょうだい・まさよ)さん
    https://hochi.news/articles/20200927-OHT1T50321.html

  5. あやとゆう より:

    声優の佐々木愛さんは、
    故6代目三遊亭円楽さんの息子(会一太郎)さんと結婚して、名前が会愛(あいあい)さんになったそうです。

    これを不幸と考えるか、珍名としてテレビなどで紹介されて知名度を上げるかは、本人次第なのではないでしょうか?

    夫婦別姓にすることでの様々な影響を語らないまま、私は不幸だから法律を変えろ!とするのは、
    エゴのかたまりだと思ってます。
    外国がどうだろうかは関係ありません。
    日本国の文化であり、それが受け入れられないなら、あなたが海外移住すればいいだけでは?

  6. カズ より:

    剛田ジャイ子さんは、本名だったみたいですね。
    含意は慈愛子(じあいこ)であって欲しいですね。

  7. 農民 より:

     核くんは、アトムくんじゃなくてニュークくんですよねぇ……原子くんならアトムでもなんとか。姓名一致ネタなら、原子 原子(はらこ あとむ)くんかな。

     原子 力(はらこ つとむ)懐かしいな。大金持ち設定だったけど、現在の原発稼働率だと凋落しているのかしら。

    1. 新宿会計士 より:

      「まじかよ!ウラルートくん」でしたっけ。懐かしい。

      1. 農民 より:

         世代(推定)的に伝わると思いました。
         ネタ思いついたのは偶然ですが、ウラルートくん(にしておこう)って青狸のオマージュというかあてこすりというか、対抗を意図して描いたそうですよ。原作者様も中々くせつよな方ですから真偽はなんともですが、配役や展開はよく似ていますね。(原子:出木杉枠)

  8. クロワッサン より:

    (新宿会計士注:このコメントは個人情報、名誉毀損、性的、わいせつ、低俗、公序良俗違反その他の事情に相当すると判断したため、削除しました。)

  9. 富士山246 より:

    小学生のときの学芸会ででた
    有馬仙

    役人に名前を聞かれると
    ありません

    と言って怒られるという内容でした。
    今でもはっきりと覚えているのは、
    インパクトが強かったかな

    1. 匿名 より:

      「神戸電鉄に有馬線という路線はありません」というのはウソでちゃんとあります(湊川駅~有馬温泉駅間22.5km)。

      ついでに、神戸電鉄の粟生(あお)線の先は赤線(福原ソープ街)につながっています。湊川・新開地・高速神戸の3駅でL字形に囲われた地域で、その区間の路線名は神戸好色鉄道と言います(本当は神戸高速鉄道です)。

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