新聞やテレビ等が消滅すれば私たち一般人は困るのか?
新聞社やテレビ局の将来性がないという点について、ほぼ議論の余地はないと思います。しかし、「そうは言ったって、やっぱりニュースは新聞やテレビが配信してるんでしょ?新聞やテレビがなくなれば、そのニュースの配信元だってなくなっちゃうから、結局僕ら一般人が困ることにならない?」―――。こんな趣旨の読者コメントをいただくことが、最近増えています。これについてどう考えるべきでしょうか?
目次
未来が見えない新聞社:後に続くテレビ局
当ウェブサイトではふだん、新聞業界の苦境を伝える統計数値等を好んで引用していますが、これらはまるで、「新聞はもう社会的役割を終えた」かのように読める数値です。
たとえば一般社団法人日本新聞協会の直近のデータによれば、新聞の合計部数(※ただし、「セット部数1部」を「朝刊1部+夕刊1部」に分解した場合)は3305万部で、ピーク時の7271万部(1996年)と比べて半分以下に減ってしまっており、しかも部数の減り方は近年、加速しています。
とりわけ夕刊部数(※セット部数+夕刊単独部数)の減り方は深刻で、2000年に2001万部だった部数は2022年には645万部にまで減少し、さらに翌・23年にはたった1年で4分の1に相当する部数が減少し、491万部になってしまいました。
おそらくごく近いうちに(下手をしたらあと2~3年以内に)、「夕刊単独紙」と呼ばれるものが日本から姿を消し、さらに夕刊発行を継続している大手新聞社も大都市など部以外での夕刊事業から完全に撤退するという未来も視野に入っています。
また、夕刊がなくなれば、「最後の砦」である朝刊の消滅もカウントダウンが始まるでしょうし、新聞業界よりも少し遅れるかたちとなるかもしれませんが、今はまだ強い社会的影響力を保っている地上波テレビも、新聞業界の後を追うのではないでしょうか。
ネットは新聞、テレビ、交通手段、銀行、ショッピング手段を凌駕する
恐らくこれらの動きが、早ければ10年以内に、遅くとも20年以内には始まってきます。
というのも、ひと昔前だとまだ社会の主流を占めていなかったネットが、今や社会の隅々にまで浸透し、多くの人にとって、もはやネットなしでは生活も事業も成り立たなくなっているからです。
ネットは単にニューズ・ポータルサイトでその日の記事を得る手段ではありませんし、YouTubeといった動画サイトで動画を観るという手段でもありません。それらを遥かに超えて、ネットは今や郵便手段であり、FAX手段であり、ショッピング手段であり、銀行であり、はては交通手段にもなり得るのです。
2020年からのコロナ禍で、私たちの多くは「ステイホーム」を余儀なくされましたが、サービス業などを中心にリモートワークが大々的に普及し、ウェブ会談も一般化しました。コロナ禍以後も、いくつかの企業はリモートワークを継続していますし、遠隔地顧客とのウェブ面談も続いています。
そうなると、人々のネットに対する抵抗感もどんどんと下がってきます。
ひと昔前、ネットでショッピングをするのにも抵抗があるという方は多かったと思います。20年ほど前からネットバンキングを使ったり、クレジットカード決済を使ったりしていた著者などは、周囲からは「変わり者」扱いされていたのですが、そうしたことを思い出すにつれ、時代は変わったものだと思います。
当然、インターネットバンキングも一般化しましたし、ネット決済も一般化しましたし、さらには遠隔地にどうしてもいけないときには先方とウェブ会談をセッティングしたりすることも一般化しています。
ごく近い未来には運転免許証の更新も、(視力検査などは免許センターに出向く必要があるものの)講習自体はウェブ上で完結するようになるようですし、もしかすると処方箋もそのうちウェブ上でやり取りし、薬も郵送されてくる時代が到来するかもしれません。
新聞、テレビがなくなったら困る!?
世の中全体がここまで変わって来ているわけですから、新聞業界、テレビ業界だけが社会の変化と無縁で、過去の栄光を継続できる、などと考える方がおかしいでしょう。多くの情報がネットで得られるような時代になったのですから、マスメディアも時代に合わせて変化していかなければなりません。
こうしたなか、当ウェブサイトの読者コメント欄にも、こんな趣旨の指摘が目立つようになりました。
「そうは言ったって、やっぱりニュースは新聞やテレビが配信してるんでしょ?新聞やテレビがなくなれば、そのニュースの配信元だってなくなっちゃうから、結局僕ら一般人が困ることにならない?」
こういった指摘は、なるほど、正論です(細かいことを申し上げると、当ウェブサイトでは英語の “news” をカタカナにする際には、「ニュース」ではなく、「ニューズ」と表記しています。これを読者の皆さまに強要するつもりはありませんが)。
ニューズ・ポータルサイトを見ると、ニューズ記事はたしかに新聞社やテレビ局、時事通信や共同通信といった通信社などのマスメディアが配信しているケースが多く、これらのマスメディアがすべてこの世から消滅すれば、私たちはこれらのメディアが配信した記事を読むことができなくなるはずです。
したがって、新聞社やテレビ局の経営破綻は、私たち一般人にとっても、利益にもならないのではないか―――。
それはある意味で、当然の懸念でしょう。
いちおう簡単にツッコミを入れておくならば、新聞社やテレビ局、通信社などが配信する記事のうちの多くは、企業や役所が発表する情報を記者クラブという一種の「業界組織」を通じて入手されたものが多く、また、政治家などが「観測気球」を上げるためにメディアに報じさせる、といった使い方もされます。
もちろん、新聞、テレビなどの記者が直接、事件・事故現場に赴くなりして取材活動を行い、記事にする、といったケースもあるのですが、実際のところ、ニューズ記事のうちの「客観的事実関係」に関していえば、それらについてはその気になれば、一次情報の発信者が直接、ネットで発表できるのです。
また、新聞社やテレビ局が配信している情報の中には、一次情報だけでなく、それらの一次情報をもとにした解釈・見解・分析といった二次情報―――あるいは「主観的意見」も多く含まれています。
現実問題として、現在のメディアが流している情報のうちの多くは、これらの客観的事実と主観的意見を(意図しているのかどうかはともかくとして)混同したものであることが多く、いわば、その社としての見解を客観的事実であるかのごとく報じている、という問題があるのです。
ふるさと財団の事例:一次情報を掘り進めてみると?
こうした観点から改めて取り上げておきたい事例があるとしたら、『ふるさと融資から垣間見える新聞業界と官僚の癒着構造』でも引用した、例の「ふるさと融資」を使った沖縄県の株式会社琉球新報社への無利子融資でしょう。
これについては沖縄県のメディア『沖縄タイムス』が「ファクトチェック」と題し、「同社が輪転機を税金で買ってもらう」という言説は「不正確だ」とする記事を配信しています。
「琉球新報社が税金で輪転機を買ってもらう」は不正確 沖縄県議会で県議が批判【ファクトチェック】
―――2024/10/11 07:03付 Yahoo!ニュースより【沖縄タイムス配信】
あまり申し上げたくないのですが、この制度そのものの解説は、沖縄タイムスの記事よりも、当ウェブサイトの記事を読んでいただいた方が詳細であり、正確です。当ウェブサイトの場合は一般財団法人地域総合整備財団(ふるさと財団)のサイトで直接調べた内容を掲載しているからです。
ただ、それ以上に興味深いのは、沖縄タイムスの記事に出て来るこんなくだりでしょう。
「ふるさと財団のデータベースによると、新聞社やその関連会社への融資実績は19件あり、株式会社沖縄タイムス社も含まれる」。
これについてはたしかに非常に良い示唆です。
ためしに『ふるさと財団データベース』で過去の案件(4092件)を一括ダウンロードし、事業名に「新聞」の文言が入っているものを検索すると、合計で17件ヒットします。
これらの中には琉球新報社と沖縄タイムス社以外にも、北海道日刊スポーツ、秋田魁新報社、上毛新聞社、山陰中央新報社、長崎新聞社、熊本日日新聞社、大分合同新聞社、南日本新聞社などが含まれ、ほかに「タイムスビル株式会社」や「株式会社タイムス住宅新聞社」などの名前も見えてきます。
一次情報はさらに手に入りやすくなる!
何のことはない、「ファクトチェック」したら却って「新聞社は昔からこの制度を使って無利子融資を受けていたのか!」という事実が露呈した格好ですが、現実問題として「事実関係を掘り進める作業」は、ジャーナリストでなくてもできるのです。
このように考えていくと、この世には法律の条文、会計基準の文言などが読める専門家などいくらでもいますし、また、某山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士のように、一次データ・基礎データを掘り進めるのが趣味だ、という変わり者もいるわけです。
こうした状況を踏まえると、一次情報は今後、ますます手に入りやすくなるでしょうし、その一次情報を加工した二次情報の発信者も、今後、ますます増えていくでしょう。
そして、X(旧ツイッター)などの情報発信手段も充実していきますし、ウソの情報に対しては、Xの場合だと「コミュニティノート」などの機能を使った情報の正確性確保の試みも始まっています。
このように考えると、「マスコミなき社会」、あるいはマスコミの社会的影響力が今よりも遥かに低下した社会というものも、案外悪くないのではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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発表元が、直接ネットにあげてくれれば、それを一般人が解析して、さらにそれをネットで拡散できる、ということでしょうか。(その典型がオシントかもしれません。政局をオシントで解析することも可能ということですね)
蛇足ですが、本日、党首討論が行われ、それをNHKが中継します。この討論をマスゴミが、特定政党批判のために切り取りしたり、特定候補の不都合な発言を無かったことにしないように、オシントが必要なのかもしれません)
必需品ではなく嗜好品として、奇特な人、物好きな人、蓼食う虫な人が買う品となるのかも。
その時はタバコ税並に課税しても良いのでは?
水で例えれば水道が無くなれば雨水や湧き水、川の水(ネット情報、友達情報)を飲むために自前のフィルターが必要となります。
そのような状況下ではろ過済みの天然水が商品価値を持つでしょう。
現状のように添加物や色水をつけて売るような商品は正体がバレれば衰退して当然です。
現状の新聞社やTV局が不偏不党、公正中立、記者やMCが自己の主義主張を入れない事実のみの報道を心がければい生き残れると思います。
日本被団協がノーベル平和賞を受賞した。
これにちなんで思い出したが、同じ平和賞を受賞した佐藤栄作元首相が辞任する際だったか、「新聞はウソを書く」といって、新聞の取材は受けないこれからはテレビにすると言い放った記憶がある。当時まだ若かった自分は、国家権力者=悪、新聞=正義の味方・権力の監視者、のイメージに染まっており、お前こそ噓つきだと思っていた。その後K.Ý珊瑚事件や慰安婦問題など佐藤元首相の言葉が間違っていなかったことにようやく気づいた。
テレビも切り貼りや報道しない自由の行使など新聞とまったく変わらない。
そこがインターネットの出現で見破られた以上、オールドマスコミが衰退の道を辿るのは必然でしょう。