日本にとりウクライナ支援が「安いもの」といえる理由

「日本政府が国民の税金から1.8兆円という大金をウクライナに拠出し、それでウクライナ人観光客が日本にやって来て能天気にトンカツを喰っているのが許せない」―――。もし本当にそんなことを考えているならば、それは短絡的な発想と言わざるを得ません。もし日本の経済的支援が功を奏し、ウクライナが勝利すれば、うまくすればロシアという日本にとっての脅威が除去されるだけでなく、中国による台湾進攻断念を通じ、莫大な損害が日本に生じることを回避できるかもしれないからです。

ウクライナ戦争のコスト

ウクライナ戦争の人的被害はどうなっているのか

2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始してから、すでに2年4ヵ月が経過しました。

このウクライナ戦争を巡る正確な被害額、戦死者数などはさだかではありません。

ただ、報道等によれば、ウクライナのウォロディミル・ゼレンシキー大統領は今年2月25日、殺害されたウクライナ兵が31,000人だったと明らかにしたそうです。

ウクライナ兵3万1000人が死亡、ロシアの侵攻で ゼレンスキー大統領が公表

―――2024/02/26付 BBC NEWS JAPANより

一方でウクライナ軍の死者数はさらに多いとの推計もあります。

ロイターが昨年8月19日に報じた次の記事によれば、「米当局者」の話として、ウクライナ軍の死者は約7万人、対してロシア軍側の死者は最大12万人、などとする推計もなされています。

ウクライナ戦争、両軍の死傷者50万人に迫ると米当局者推計=NYT

―――2023年8月19日2:26 GMT+9付 ロイターより

これらの報道、試算、発表などがどこまで正しいのかはわかりませんが、一般に戦線が膠着してくれば、双方で死者数はうなぎ上りに増えていくものですし、これに負傷者、民間人の死傷者数、さらには避難民などを加算すれば、数百万人から、下手をしたら一千万人を超える人々が影響を受けている可能性すらあります。

インフラ破壊と経済活動停滞で1兆ドル超の損害も!?

さらには、ウクライナが被った損害も、天文学的な水準に達するかもしれません。

開戦から約7ヵ月後の時点でウクライナ政府当局者は、ロシアによる侵攻でウクライナが被った被害額は、直接・間接あわせて1兆ドルに上ると発表したそうです。

ウクライナ、ロシアによる侵攻で損害「140兆円」と発表

―――2022年9月22日 22:35付 ロイターより

これはウクライナ側の発表ですので、多少は「盛っている」可能性もないではありません。

しかし、軍事侵攻による公的・民間の建物や社会インフラ(水道、鉄道、発電所、港湾など)の損壊、人的損害だけでなく、その後の貿易・物流の混乱、人々の心理的不安、経済活動の混乱といった要因を考えれば、戦争が長引くほどに損害額が大きくなることは間違いありません。

もちろん、ロシア側が支払っている戦費も、莫大なものであろうと想定できます。

ロイターが今年2月17日(※日本時間)付で配信した次の記事によると、米政府高官はロシアがこの2年間で、部隊の装備や展開、維持などに、最大で2110億ドルを費やしており、さらに武器輸出の延期などにより100億ドル以上の損失が発生したとする推算を明らかにしたそうです。

Russia operations in Ukraine have probably cost up to $211 billion-US official

―――2024/02/17 01:27 GMT+9付 ロイターより

この高官はさらに、ロシアが2026年までの間に予想されていた経済成長が実現しないことなどを通じ、1.3兆ドルの損害が見込まれる、などとしており、これに加えてロシアが誇る黒海艦隊で、少なくとも20隻の中~大型艦艇に加え、ロシア船籍のタンカー1隻も破壊した、などと述べたそうです。

匿名の米国政府高官の発表をどこまで信頼するかという問題点はありますが、ロシアのGDPが2022年時点で2兆ドル少々だったことなどを踏まえると、この2年間、ロシアはGDPの5%相当額をウクライナ戦争に費やしたという計算であり、この程度であれば十分に信頼に値する水準です。

この点、むしろ個人的には、「あれ?そんなものかな?」、「もっと戦費を使っていたのかと思った」、などとする感想を抱いているほどです。

いずれにせよ、今回の戦争における人的・物的・経済的被害としては、直接の死亡者数は下手をすると100万人前後、ウクライナの重要インフラが破壊されたうえ、双方が費やしている莫大な軍事費、経済活動の停滞による機会損失、さらに将来の復興費用などを考えると、おそろしい損害です。

当然、ウクライナに発生した損害は、すべて、ロシアの負担で回復されなければなりません。

具体的には、ロシアがすべての占領地をウクライナに平和裏に返還したうえで、連れ去られた人々をウクライナに返し、すべての破壊されたインフラの修復コストを賠償として支払う、ということを、そろそろ議論し始める必要があるでしょう。

G7のセカンダリー・サンクションの意義

実際、『【資料編】G7共同声明「揺るぎないウクライナ支援」』などでも指摘したとおり、G7諸国はすでにその構想の一部を明らかにしています。

西側諸国はウクライナ戦争開始直後にロシアの在外資産(外貨準備など)を凍結する措置を講じており、各種統計などから判断する限り、その金額は3000~4000億ドル程度には達すると考えられます。

G7はイタリア・プーリアサミットの場で、ロシアの凍結済み資産やその運用益などを担保として、まずは500億ドル相当の緊急融資を行うとともに、将来的にはこれらの資産の完全な没収を可能とする国内法の整備などに取り組むことを約束しました。

あわせてG7はロシアの軍需産業などに対して融資などの支援を行っている第三国の企業や金融機関などに対する「セカンダリー・サンクション」の強化を表明しています。

また、一部のメディアの報道によれば、現地の銀行に預け入れられているロシアが石油などを輸出した代金などの資金について、ロシア本国への送金が断られるケースが相次いでいます(『米国の二次制裁の影響?外銀がロシアへの送金を拒否か』等参照)。

通貨の問題ではなく「金融機関の問題」

この点、ロシア制裁に参加していない国―――たとえば中国―――の場合、両国の貿易の8割が自国通貨(ルーブルないしは人民元)で決済されている、といった報道も、あるにはあります(『トンデモさん大歓迎(ただしエビデンスで殴られます)』等参照)。

しかし、G7の「セカンダリー・サンクション宣言」で盛り込まれていたのは、基本的には「通貨に対する制裁措置」ではなく、「金融機関に対する制裁措置」です。

このため、たとえば中国の銀行がロシアの軍産複合体に金融サービスを提供した場合、使用している通貨がかりに人民元やルーブルであったとしても、「ロシアの軍需産業と取引を行った」という事実が発覚した場合、その銀行自体がG7諸国などの経済制裁の適用対象に加えられてしまうのです。

なるほど、これは良い方法を思いついたものだと思います。

ロシア側は「使う通貨を人民元やルーブルにすれば、西側の金融制裁からは逃れられる」とタカを括っているフシもありましたが、このセカンダリー・サンクションの方式だと、たとえ使用する通貨がなんであろうが、ロシア企業と下手に取引を行い、それが西側諸国にバレたら、その銀行自身が制裁されます。

中国の国内のみで活動する銀行ならば、それはそれで問題がないのですが、米国や日本などで事業展開をしている銀行の場合は、ロシア関連の取引をやっていることが原因で、国際的な金融市場から締め出されてしまうリスクがあるのです。

だからこそ、一部の銀行が収益のロシアへの送金を認めなくなったのかもしれませんね。

(※もっとも、インドに対するインドルピー建てでの輸出取引の場合だと、そもそもインドの資本規制が厳しすぎ、インドの銀行からまとまった外貨をロシアの銀行に送金することができない、といった事情もあるのかもしれませんが…。)

ウクライナ支援の経済効果

トンカツを食べるウクライナ人への批判

いずれにせよ、先般からの共同声明などで確認できる措置を見る限り、G7としては、もはやロシアを許すつもりがないことは間違いなさそうです。

G7がロシアに対し何を求めるのかについては今後の議論の進捗を見る必要がありますが、おそらくはロシアのLNGなどの天然資源などを担保にウクライナに復興資金の融資を行い、その融資はロシアの資産を切り売りして回収する、といった構想は、今後、浮上してくる可能性があります。

その可能性がどれほど高いのか―――。

これについて考える前に紹介しておきたいのが、X(旧ツイッター)で最近発見した、「岸田(首相)はウクライナに対して税金で1.8兆円を支援している」、「これはおかしい」、とする趣旨の投稿がありました(投稿したのはフォロワー40人弱のアカウントですが、実名付きで引用することは控えたいと思います)。

もともとのポストは、ウクライナ人訪日客が東京・新宿のトンカツ店でカツを食べているとする話題に対し、「日本に観光に来られるくらいだから、ウクライナ人は全然困窮しているように見えない」、「そんなウクライナに対し、巨額支援をすることはおかしい」とする趣旨のポストに対するリプライのひとつです。

そもそも「戦時下の国から日本に観光に来てはならない」というルールなど存在しませんし、だいいち、カツは「勝つ」につながる、非常に縁起の良い食べ物であるともされます(まさに「言霊の幸わう国」そのものですね)。

縁起物という意味では、2023年3月にウクライナ・キーウを電撃訪問した岸田文雄首相がゼレンシキー大統領に宮島のしゃもじを手渡していましたが(『ロシアのメディアが岸田「必勝しゃもじ」を報じた意味』等参照)、いっそのこと、ウクライナの戦勝を祈願し、私たち国民レベルでカツを食べる日を設けても良いかもしれません。

日本の対ウクライナ支援は昨年12月時点で約1.3兆円か

さて、それはともかくとして、客観的事実として、日本がウクライナにどんな支援を行っているかを振り返っておきましょう。

少し古いデータですが、首相官邸ウェブサイトの『日本はウクライナと共にあります』と題したパンフレットによると、昨年12月15日時点までで、だいたい次のような支援が行われているようです。

  • 緊急人道支援
    • 保健、医療、食料、保護(2億ドル)
    • 人道支援、復旧・復興支援(約9億ドル、令和4年度補正予算)
  • ウクライナ情勢の影響を受けた中東・アフリカ諸国等を対象とした食料関連支援(約2.5億ドル、うちウクライナからの穀物輸出促進支援等は2200万ドル)
  • ウクライナ政府が無償で提供したウクライナ産小麦のソマリアヘの輸送、現地での配布支援(1400万ドル)
  • ウクライナに対する財政支援(6億ドル)
  • ウクライナに対する債務救済措置(債務支払猶予方式)(約7000万ドル、約78億円)
  • 北大西洋条約機構(NATO)のCAP信託基金に対しての拠出(3000万ドル)
  • 国際機関拠出金及び二国間支援(5億ドル、令和4年度二次補正予算)
  • JICA及び国際機関(UNDP)を通じたエネルギー分野等の支援(4.7億ドル)
  • ウクライナ南部における洪水被害に対する緊急無償資金協力の実施(500万ドル)
  • 世銀を通じた財政支援グラント(5億ドル)
  • 世銀への信用補完を通じた財政支援融資(50億ドル)
  • ウクライナ避難民支援のためポーランド政府系金融機関が発行するサムライ債にJBICが930億円規模の保証

ざっとカウントすれば、項目合計でドルベースで85憶ドル少々、これに円ベースで1000億円ほどの支援が加わるため、為替レートにもよりますが、支援額はトータルで90億ドル少々、あるいは1.3兆円程度、といったところでしょうか。

昨年12月時点でこれですので、現時点ではさらに支援額が増え、先ほど取り上げた「1.8兆円」という数値に結実しているのでしょう。

あまりに短絡的すぎる!

つまり、先ほど取り上げたポスト主の気持ちは、こういうことです。

日本政府が国民の税金から1.8兆円という大金をウクライナに拠出し、それでウクライナ人観光客が日本にやって来て能天気にトンカツを喰っているのが許せない」―――、

もし本気でそう思っているのだとしたら、あまりにも浅薄ですし、あまりにも短絡的ですし、あまりにももの知らずです。

なお、いちおうツッコミを入れておくと、昨年12月時点の90億ドル少々のうち、いわゆる「財政支援」「拠出」「贈与」に相当する金額は、最大でも34.39億ドルであり、残額は融資であったり、返済猶予であったり、基金であったり、保証であったり、といった金融ファシリティの支援です。

平たくいえば「差し上げたおカネ」ではなく、「貸しているおカネ」、「将来困ったときにおカネを貸すという約束」までを含めた金額なのです。

それに、真水部分に関しても、ウクライナなどにタダで差し上げているというものではありません。

そのカネを出すことにより、ロシアを敗戦に追い込めるのだとしたら(そして北方領土を取り戻すとともに、一種の緩衝地帯として千島列島や樺太などを日本の管理下におけるのであれば)、結果的にはロシアという軍事的脅威を取り除けるまたとないチャンスが訪れているのかもしれません。

ロシアに対する国防費をダイレクトに削減することができるのです。

効果は、それだけではありません。

ロシアによる国際法を無視した軍事侵略を大失敗に追い込んだ事例がひとつできあがることで、中国の台湾進攻のリスクを大きく低減することができます。

台湾有事が生じれば、下手をしたら数百兆円レベルの経済的損害が日本にもたらされる可能性もありますが、数兆円レベルのウクライナ支援を行うことで、その数百兆円レベルの損害を回避することができるのであれば、本当に安いものです。

マクロでもちゃんとモノを見るべき

このあたりは、『悪い円安を理論的に証明できれば「ノーベル賞」級!?』でも触れた、「全体(マクロ)を見ることができるかどうか」、といった論点とも重なってきます。

そういえば、ロシア制裁の話を説明すると、ときどき、「ロシアを甘く見るべきではない」、「ロシアの軍事技術は優れている」、などとするコメントを頂戴することもあります。

はて?

当ウェブサイトで「ロシアを甘く見るべきだ」、「ロシアの軍事技術は優れていない」、などと述べた記憶はありませんが、不思議なコメントですね(もし「ロシアを甘く見るべきだ」、「ロシアの軍事技術は優れていない」などと言及したことがあれば、その点についてはお詫び申し上げます)。

その点は脇に置くとして、「ロシアを甘く見るべきではない」、というのは、まったくその通りです。

著者自身の理解に基づけば、旧ソ連時代を含め、ロシアはこれまで国家リソースの多くを軍事技術につぎ込んで来た国であり、人類史上初の有人宇宙飛行を成功させるという偉業も達成しています(ちなみにロケット技術とミサイル技術は表裏一体の関係にあります)。

また、ロシアは資源国・農業国でもあるため、ちょっとやそっとの経済制裁で土台が揺らぐ国ではありませんし、国連安保理常任理事国であり、かつて東西冷戦時代の旧ソ連は東側諸国の盟主でもあったわけですから、ウクライナ戦争の先行きを楽観する状況にないことは間違いありません。

(というよりも、当ウェブサイトで「ロシアは甘い国だ」、「ウクライナ戦争の先行きは楽観視できる」、などと述べたつもりはありませんが…。)

ただ、そんな相手国だからこそ、「ちょっとやそっとの経済制裁は効かない(から経済制裁を止めるべきだ)」、などとする思考に陥るのを避けるべきであり、また、西側諸国が一致団結し、できるだけ多くの国の協力のもと、ロシアのウクライナ侵略を失敗に終わらせなければならないわけです。

平和的解決はあり得ない

いずれにせよ、著者自身の見立てでは、G7はもうロシアとの平和的な和解ではなく、ロシアの無残な敗北と「その先」―――たとえば、「ロシア分割」―――を見越しているフシがあります。

その意味では、ウクライナに対する支援が無駄だ、などとするプロパガンダには細心の注意を払いつつ、ウクライナの勝利のための方策を論じ続けるのが、最も生産性の高い行動ではないか、などと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    日本の安全保障は国際社会の頼みですからね。
    抑止力は国際社会が助けてくれるという前提だけです。
    ロシアによる力での現状変更は絶対に阻止しなければいけません、安全保障の一丁目一番地が崩れ去ります。
    さらに最終的に核の脅しで解決したとならなおさらです、核兵器は持っていても無用の長物にしなければいけません。
    憲法九条教の人たちがもっと声を上げてウクライナ支援を声高に叫ばなければならないのですがおとなしいですね。
    ちなみに酒とギターを持った若者がウクライナの前線に赴いたという話は寡聞にして知らないのですがどうなっているのでしょうか。

  2. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話を。
    憲法9条信者:「私は平和的解決が好きだ。だから、ウクライナ戦争も平和的解決でなければならない。ロシアに平和的解決でないと言われるようでは駄目だ」
    蛇足ですが、日本がどれだけウクライナ支援をすべきだったかは、終わった時にならないと分からいのではないでしょうか。

  3. 七味 より:

    個人的にはウクライナへの支援は行うべきだと思います♪ 
    素朴に軍事力による国境変更を許すべきではないと思うし、西側諸国の一員としてのおつきあいとか、中国が同じことをしたときに欧米の支援を受けるためとかもあります♪

    だだ、ロシアのウクライナ侵攻をはじめた当初はすぐにでもロシアが撤退して戦争も終わるんだと思ってたけど、最近はこのままズルズルと継続していくことになるんじゃないかな?とも思っています♪

    遠くない将来に、ロシアの無残な敗北で終わるってことにはならずに、プーチン大統領が死去するとかするまで日常の風景になっちゃう気がするのです♪

  4. 通りすがり より:

    個人的想像もありますが,アメリカ大統領選でトランプさんが勝ってしばらくすると,その時点での実質的支配地域で停戦ラインを引いて停戦協定を結ぶことになると思います。そもそも,トランプさんは「歴史的にはウクライナとロシアは一体の国」という歴史観を持っているようです。賠償金は互いに無いので,日本は数兆円規模のウクライナ復興支援をすることになるのではないでしょうか。欧米は復興支援にあまり積極的ではないでしょう。ロシアや中国への軍事転用可能な機器の輸出制限は継続されるでしょう。差し押さえられているロシア資産の行方は不明です。ウクライナ支援はいいとしても,それが賄賂で消えてしまうようなウクライナの体質は何とかしないといけません。ただ,ロシア軍も人民解放軍も軍事物資の横流しは日常的に行われているようです。
    みんな貯金はドルやルーブルで行っているので,お金持ちの人達は戦争中は海外に避難していたりします。もっとも,ロシア国内はほぼ平時と同じなので,タイに旅行したり,中流層も普通に遊んでいます。兵士になっているのは,少数民族や貧困層や下流層でしょう。
    今回の戦争は,戦争の社会学や,いろいろな武器の有効性を研究するのに格好の機会ですので,よく観察しておくと良いと思います。
    個人的希望を言うと,まだ大統領選まで時間があるので,その間にクリミアが奪還できるといいですね。

  5. CRUSH より:

    かつてチェンバレン内閣てのがありました。
    WW1で、あまりにも疲弊した英国社会が、
    「もうこりごり」
    「平和が一番」
    「ピークは過ぎたけど金ならあるでよ」
    と、超弱腰なハト派の対応を繰り返しました。

    その結果は、ナチスの台頭&成長する時間的な余裕を与えてナイスアシスト!しちゃった人たちです。

    もしポーランド進攻やオーストリア併合の時点でゴリゴリに押してたら、WW2は起きなかったでしょう。
    (ナチスはまだ1号戦車の時代)

    ポーランドは秒殺でしたが、幸いにしてウクライナはまだ自分の足で立って土俵際で粘ってます。

    安いもんですよ、まったく。

    ポーランドやスウェーデンやフィンランドなど、かつて結果的に酷い目にあった人たちは、だから今の段階で必死ですよね。

    「頑固に平和!」とか言ってる人たちこそ、戦争のことをキレイさっぱり忘れてるのだと思いますね。

    1. CRUSH より:

      お行儀の悪い私見ですが、西側諸国の大局的な共通の狙いとしては、
      「共倒れ」
      だと思いますね。

      ロシアとウクライナの戦争とはつまり、ソビエト連邦の内輪揉め。
      ワシントンとカリフォルニアが殺し合いを始めたようなもの。
      止める義理はありませんわな。
      でも、勝負がついたら共倒れになりませんから、ロシアが優勢になると何処からともなく
      ジャベリンだ~
      ハープーンだ~
      エクスカリバーだ~
      と新型兵器が届く。
      調子に乗ってウクライナが優勢になると、途端に弾の補給が止まる。

      10年くらいやってロシアとウクライナの成人男性が全員死ぬまでやらせるつもりなのかと。

      プーチンとゼレンスキーが仲直りすればそこまでの話なのですが、そんなことあり得ない。
      (笑)

      気の弱い人にはショックかもしれませんが、平和なんか西側の誰の利益にもならないし誰も望んでいません。

      国防を他人任せにしたウクライナが筆頭バカで、プーチンはいつものように弱い奴にはブン殴りに行くバカで、どちらの国民も自業自得としか言えないのですな。

    2. はにわファクトリー より:

      今は戦争の時代まっただなか。悠長に海外旅行を楽しんでいる場合ではありません。ウクライナを武装解除したのは当時のアメリカ政権であります。
      Skyニュース局で軍事解説を担当しているマイケル・クラーク教授が侵攻初期の段階で
       この戦争は generational な(世代を跨るような長い)ものになる
       この戦争帰結は工業力(の持続可否)が決める
      と発言していました。教授の言っていた通りだなと今日も終わらぬ戦いを見てそう思います。

  6. 同業者 より:

    戦災で困窮していないのですから、良いことではないですか。
    支援を受けている者は困窮していなければ、ポスト主は何か都合が悪いのでしょうか?

    ロシアという国は戦略には長けていると見られていますが、もはや凋落したかつての軍事大国。
    いつまでも単なる資源国・農業国に止まらせて、決して先進国にならせないことが自由主義陣営の戦略としては肝要なのかもしれません。
    北方領土を奪還したいわが国の戦略には、ロシアの国力を削ぎ、落ちぶれさせることと、わが国の経済成長と軍事力増強が必要になるでしょうね。

    それにしても世界は正直なものです。
    腐敗していた国家ウクライナに自国民の命を捧げようという国は一国もありません。

  7. ドラちゃん より:

    日本まで来てトンカツ食べているウクライナ人は
    本国で兵隊として頑張っているウクライナ人からしたら
    「俺達がこんなに頑張っているのに、何やってるんだ?」と見られているかもね

    1. KY より:

       それ貴方の妄想でしょ。

  8. 星のおーじ より:

    トンカツを食べるウクライナ人というテレビニュースはANNのようだ。
    別にウクライナ人しか居ない訳でもないのに重点的にウクライナ人観光客、という編集に見える。
    https://www.youtube.com/watch?v=Pb2ffAWwK1I
    ソースが旭日・・・・

    1. 庭師KING より:

      「欲しがりません勝つまでは」という全体主義的な風潮にさらりと迎合してみせた大手メディアの末裔が100年近く経った今なお臆面なく垂らす釣り針に、
      「贅沢は敵だ」の精神で食いついたポスト主って構図ですか。大国に侵略されたら国民は貧困と窮乏に喘ぐべきという主張かな。それが嫌なら初めから平身低頭しておくべきという思想かな。現実がそうならないほどの有効な支援に憎悪でもあるのかな。
      ま、ホントのところは「他人のカネで遊びやがって」くらいの小人の呟きでしょうけど。

      ウクライナはパリ五輪にも参加するので豚に限らず牛や羊のコートレットも食べるのですよ。

  9. はるちゃん より:

    中国もロシアの弱体化を期待していると思います。
    「中華民族の偉大なる再興」はロシアも中国の支配下に置くことを目的としていると思います。
    ロシアが弱体化するということは、アメリカと中国の対立がより一層過激化するということではないかと思います。
    プーチン大統領が、ロシアが衰退して中国の傘下に入る前にウクライナから手を引けば良いのですが、ロシアが想定外の損害を出している現状ではその判断はできる状態ではなさそうです。
    ロシアの分裂、分割という事態が第三次世界大戦のきっかけになるのではないかと危惧しています。だからといって、ウクライナ支援をやめることは出来ませんが。
    チキンレース状態ですね。

    1. ムッシュ林 より:

      中国のロシアとの国境の町、黒河市(アムール川挟んだ対岸はロシアのブラゴベシチェンスク)にあるアイグン条約の記念館を訪れたことがありますが、ロシアの極東沿海部が歴史的には中国の領土であり、領土を取られた恥を忘れてはならないという趣旨の展示がなされてました。すでに中露間では国境確定が完了していて中露間の領土問題は解決したことにはなってますが、少なくともかつて清朝の領土だった土地は取り返したいという思いは密かにあるということを感じました。

  10. サムライアベンジャー より:

    ベトナム戦争がそうであったように、戦争の予想は全くあたりません。

    田母神氏の発言でハッとしましたが「、ロシアは核保有国なのでロシアから降りるということもないだろう。よってウクライナ支援にも限界がある」とズバッと仰ってました。(じゃあ、核保有国なのに戦争継続を諦めたベトナム戦争はどう説明すると言われそうですが)。

    ちらほら出てくるウクライナの事情を見るに、本当に支援すべきよい国かどうか、疑問が脱ぐえません。例えば最近出て来たネタでは、戦闘継続を諦めたウクライナ兵をウクライナのドローンで射殺するという動画がでてきたり。真偽の程は検証すべきですが、こういったウクライナの痴態もちょこxほこ出てきています。
    ウクライナについて議論しようにも、保守系の掲示板も「ウクライナ支援」一辺倒ですから、なかなか議論ができ状態でもありません。「平和評論家」ぶった日本人だらけの中で、ウクライナ批判をすると「お前はロシアの味方をするのか」と集中攻撃されちゃいますから。

    ウクライナーロシア戦争が始まった辺りにしても、何故かウクライナからいろいろ「反日発言」が出てきていましたから。日本は関係ないのに何で?みたいな。
    朝鮮半島やギリシャをみても、「緩衝国」というのはどこか歪んでいるものです。
    日本に「緩衝国」と付き合ってゆく覚悟を持てるかどうか 。朝鮮でもう経験しているではありませんか。

    1. 匿名 より:

      ホントに、何故、日本がここまで深入りして支援するのか?
      バイデンに言われているんだろうとしか思えない。

  11. 雪だんご より:

    「ウクライナに投資してロシアが弱体化してくれれば日本としては大儲け」

    こういう風に考えられる人と、考えられない人達に分かれてしまっていますね。
    前者の割合を増やすには大局的視点と戦略的思考、そして時には非人道的とも言える
    合理主義を習得させるのが良いのでしょうが……

    そういう事は教育ではあまりやろうとしないでしょうし、オールドメディアはもっと
    やりたがらない。現時点では「自分で学びたい」と思った人しか身に着けられない。

    単に戦略シミュレーションゲームに興味を持つだけでも良いんですけど、
    どうしても「出来る人」と「出来ない人」に分かれてしまうなあ。

    1. CRUSH より:

      ほんまそれ。

      一つ前のコメントがそんなですが、ウクライナが「善」でないと支援したらあかんのか?
      (そんなことありません)
      ヒトラーと戦ってくれるならスターリンにレンドリースして当たり前ですわ。

      支援とは勝たせてやることか?
      (そんなことありません)
      負けない程度に支えて共倒れがベストシナリオ。

      集まった寄付や義援金はキレイに残らずウクライナに渡すべきか?
      (そんなことありません)
      百パー税金から支出するのはイタイですから、ノリのよいおバカさん達から浄財を集めて血税をなるたけ使わなくするのは、政治家として当たり前の所作。

      そんなとこ、気に病むポイントには思えませんけどね。

      1. 雪だんご より:

        私自身「ロシアは悪だ!」とか「ウクライナ頑張れ!」とか言う気は
        ないですからね。ロシア側から攻め込んだのだからそういう理屈は
        成り立つし、言う人をとがめる気もないけれど、自分では言わない。

        ただただ、「日本が上手く立ち回る」のが望みです。
        もちろん「国際社会から非難されるよりは称賛された方が良い」から
        やり方は考えるべきですが、コストパフォーマンスも忘れちゃいけない。

        でも、そういう考え方が「理解出来ない」人も居るし、
        「理解出来るけど嫌悪感を抱く」人も居る。
        ”言い方”や”表現”次第の面もあるから、ある意味面白いですけどね。

      2. ドラちゃん より:

        >>ヒトラーと戦ってくれるならスターリンにレンドリースして当たり前ですわ。
        そのおかげで東欧が軒並み共産主義国になったのだね
        ウクライナ支援も似たような事起きるかもね
        というか、ヒトラーが台頭したのも「スターリンと戦ってくれるヒトラーを支援するのは当たり前」という発想だったと思うけど

        1. 匿名 より:

          >ヒトラーが台頭したのも「スターリンと戦ってくれるヒトラーを支援するのは当たり前」という発想だったと思うけど

          こんなことを書いてある教科書見たことが無いですが、どこに書いてあるのでしょうか?

          1. ドラちゃん より:

            オーストリア併合の時点あたりまでは
            「ドイツが共産化したら困る。ナチスも普通に悪い奴等だが、共産党より全然マシ」
            という理屈でナチスを支援した人はアメリカにもイギリスにもいたぞ
            教科書では、そのあたりの細かいところを省略しているのがあるかもしれんけど

          2. 匿名 より:

            >「スターリンと戦ってくれるヒトラーを支援するのは当たり前」

            「当たり前」という表現が、誤解であり、現実を曲げて理解することになるです。
            極論表現は、この場合当て嵌まるのですかね?

          3. ドラちゃん より:

            ヒトラーを支援していた人に関しては、その時点では
            「スターリンの敵ヒトラーを「敵の敵は味方」という発想で支援するのは『当たり前』」だと思っていたはずだよ
            多分

          4. 匿名 より:

            だから、「当たり前」なんて書いてある教科書はないですよ。

      3. 匿名 より:

        >一つ前のコメントがそんなですが、ウクライナが「善」でないと支援したらあかんのか?

        そんなことは書いてないと思うけれど。
        何故、東欧の、今まで縁も無かった国をそんなに支援しなければならない?
        欧米が支援する後ろに付いているくらいでいい。
        戦争は正義ではないのだから、「善」なんて観念は関係ない。

  12. Masuo より:

    「能天気にトンカツを喰っているのが許せない」って思う人たちは、ウクライナ人はみんな日本では、申し訳なさそうに委縮して生活しろ、とでも思ってるんですかね。

    こういう考えの人って、「お前のおじいちゃんが人殺しをしたから、お前はその罪を背負って生きていけ」って事を言うのかなって思います。
    お隣にも、永遠に謝罪を求め続ける民族がいますが、何かしらの共通点を感じます。

    祖国が苦しいからこそ、日本に来た時くらい明るく心配なく生活してほしいと私は思います。

  13. 元雑用係 より:

    ロシアの旅客機生産の現状の解説記事がありました。
    ロシアではスホイスーパージェット(SSJ)という評判のいい小型の国産旅客機を生産していましたが、海外との共同開発で部品も欧米製の比率が高く、制裁後は新規生産ができない状態であることは、共食い整備と併せて以前から報じられていました。
    開戦後SSJの「純国産化」を目指して開発を始め、昨年あたりに「試験飛行」に入ったとまで報じられていた記憶がありましたが、その後音沙汰がありませんでした。

    ロシアの空から旅客機が消える日は近い、制裁で部品もサポートも得られず
     自前生産に乗り出すも、世界分業が進んだ分野で一国の手に負えず
    https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81683

    これも公開情報を分析する系の記事です。
    簡単に言うと、国産化は計画通りには進んでおらず計画が遅延しているようです。筆者の見立てでは純国産化はかなり難しいとしています。
    現状は共食い整備でつないでいるものの運用機数の減少は避けられず、2032年には運行数がゼロになる可能性に言及しています(直線減少のグラフ)。

    この記事では触れていませんが、先日ウクライナ軍の攻撃による破壊が報じられた最新戦闘機Su-57ですが、あれはまだ試作機で実機は数えるほどしかないと言われています。
    ちょっと意外な感じがしますが、実はソ連崩壊後、量産体制にまで移行できた新規開発戦闘機は1機種もないそうです。運用中の戦闘機や攻撃機はすべてソ連時代の設計によるものです。
    恐らくですが、ソ連崩壊の混乱とその後の西側経済に組み込まれる選択をした時点で、独自の航空機開発のノウハウは相当程度失われてしまっているのではないでしょうか。

    ロシアへの経済制裁をやめてはならないと改めて思う次第です。

    1. 同業者 より:

      冷戦時代のソ連機は稼働率が低さが問題でした。
      在日米軍機と自衛隊機を合わせた少ない機数でも勢力均衡が保てたのは、それが要因だったそうです。

    2. 匿名 より:

      ソ連崩壊時、最新鋭戦闘機の設計技術者が、これからは洗濯機の設計の仕事をやれと言われて嘆いている、ドキュメンタリー番組がありました。

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