日韓スワップの破棄も韓国に対する制裁手段となり得る

韓国のなんだかよくわからない野党の小物政治家が島根県竹島に上陸したようです。これに関連し、世の中では政府などに対し、「遺憾よりも何らかの実力行使をしてほしい」、といった要望が出て来る可能性はあります。ただ、ものごとは考え様ですが、日本政府が昨年、日韓通貨スワップを復活させるなどしたことは、「うまく使えば」、韓国に対する制裁手段として使えるかもしれません。

2024/05/15 10:00追記

記事のジャンルが誤っていましたので修正しています。あわせてシステムエラーで表示されていなかった『読者雑談専用記事』についても表示を回復しております。

よくわからない野党議員が竹島に上陸

どうせ、『遺憾』だけでしょ?」――。

またしても、そう思ってしまうような話題が出てきました。

すでに報じられている通り、韓国の政治家が、またしても島根県竹島に不法上陸したのです。

韓国の野党代表が竹島に上陸

―――2024/5/13 16:26付 産経ニュースより

報道などによれば、13日に竹島に上陸したのは、野党「祖国革新党」の曺国(そう・こく)代表らだそうです。

竹島は1905年に日本が領土に編入した、国際法的に見ても間違いない日本の領土ですが、サンフランシスコ平和条約が発効する直前の1952年1月、韓国が唐突かつ一方的に設定した「李承晩(り・しょうばん)ライン」の内側に竹島が取り込まれたのです。

それ以降、韓国は「独島(どくとう)」という虚偽の名称を付したうえで竹島の不法占拠を継続しており、ときとしてわざと日本を挑発するかのように、竹島の不法占拠状態を政治利用してきました。李明博(り・めいはく)元大統領が2012年8月、現職大統領として史上初めて竹島に上陸したことなども、その典型例でしょう。

こうした状態に対し、日本政府もいい加減、「遺憾に思う」だの、「厳重に抗議する」だのと言い続けるのにも意味があるとも思えません。

正直、野党の小物政治家のパフォーマンスにどこまでまともに制裁を加えるのか、という論点もないではありませんが、それでも「遺憾です」でおしまい、というのも、なんだか芸がありません。

それどころか、日本政府の対応にも、大いに問題があります。日本政府はとりわけ昨年を通じ、韓国を相手に、あろうことか、日本政府は通貨スワップ協定を復活させる、韓国国民に対する観光ビザ免除措置を復活させる、などの恩恵の数々を、韓国に対し、惜しみなく与えてきたからです。。

昔のとあるドラマの登場人物のセリフでいえば、「情けなくて思わず涙が出て来る」、といった心境になる人も多いのではないでしょうか。

日本は実力行使をしないのか

ただ、これに関しては政府の肩を持つわけではありませんが、現実問題として、日本政府が韓国に対して実効性ある措置を講じることは困難です。

理想的なことをいえば、自衛権を発動したうえで、たとえば「竹島に自衛隊を派遣し、そこにいる韓国人を全員、不法入国の現行犯で逮捕する」、といった措置を講じなければならないはずですし、日本も国家を名乗るなら、法整備や武装などを含め、その程度の体制は整えておくべきでしょう。

(※余談ですが、一部軍事評論家は、「現実問題として韓国軍は実際の戦闘には非常に弱い」、などと指摘しているようです。)

しかし、仮に日本が「実力行使」をした場合、恐らくは日本国内のメディアなどは火がついたように大騒ぎすることでしょう。

個人的には、もしも日本政府が韓国の竹島不法占拠や北朝鮮の日本人拉致事件を「実力行使」により解決しようとするなら、全面的に支持したいとは思いますが、残念ながら現在の法制度や世論的に見ると、それはなかなかに困難でもあります。

日韓通貨スワップも韓国への「対抗手段」となり得る?

もっとも、日韓通貨スワップや(コロナ後の)韓国国民に対する入国制限の解除なども、ここで少しだけ「視点」を変えてみると、間接的には、「韓国への対抗手段」を得たようなものだ、という見方もできなくはありません。

これは、いったいどういう意味か――。

端的にいえば、「助けるフリをして貶める」、というテクニックです。

たとえば日韓通貨スワップ協定は、韓国が通貨危機に陥りそうなとき、日本が韓国に対して100億ドルを上限に韓国に対して外貨を貸し付ける、という協定です(細かいことをいえば、日韓通貨スワップは双方向なので、日本が通貨危機に陥りそうなときに、韓国が日本に外貨を貸し付ける、という条項も入っていますが…)。

この点、100億ドル程度だと、実務上、大して使い物にはならない、という側面もありますが、ただ、慢性的な外貨不足の韓国にとっては、外国通貨当局がドル資金を貸与してくれる(かもしれない)というスワップの存在は、大変に貴重です。

そして、いざ韓国が通貨危機に陥った際、日本政府が韓国の政治家による竹島上陸を意地悪く覚えておいて、「あのとき貴国の政治家が竹島に上陸しただろう?」、などと畳みかけ、スワップの発動を拒絶する、といったかたちで「仕返し」をする、というのも、発想としてはあり得る話です。

当ウェブサイトの用語でいうところの「サイレント型経済制裁」、すなわち「経済制裁」と銘打っていないものの、事実上、相手国に経済制裁を与えたのと同じような効果を生じさせることも、韓国に対する反撃手段としては悪いものではないのかもしれません。

意外と増えた「制裁手段」

こうした側面から、現在の日本が韓国に対して取り得る、「経済制裁と名乗らない制裁手段」を列挙してみると、岸田政権下で意外と増えた、という言い方もできるかもしれません。

①日本から韓国に対するヒトの流れの制限

後ほど指摘する、日本政府の韓国国民を対象としたビザ免除プログラムの一方的廃止を宣言すれば、おそらく韓国のことなので、対抗措置として日本国民に対するビザ免除措置の中止に踏み切る可能性が高い

②日本から韓国に対するモノの流れの制限

韓国で輸出管理を巡る不適切な事案が再び発見されたなどと称し、2019年に発動された対韓輸出管理適正化措置を復活させる

③日本から韓国に対するカネの流れの制限

日韓通貨スワップ協定の発動拒否、日本からの一方的な破棄など

④韓国から日本に対するヒトの流れの制限

韓国国民に対する日本への入国ビザ免除措置を変更する(たとえば現在は90日間まで滞在できる在留日数を15日にまで短縮し、年間渡航回数制限を設ける、など)。また、「日本版ESTA」を設け、竹島に上陸したことがある者の日本への上陸を一律に拒絶する

…。

これらの措置、発動が容易なものとそうでないものがありますし、また、経済制裁の手段としては弱いものも多いことは事実でしょう。

ただ、外交も外国との「仲良しごっこ」ではない以上、これらの韓国への制裁手段は、積極的に活用すべきでもあります。「うまく使えば」、という前提条件はつきますが、これらの協定も、韓国への対抗措置として使うことはできるかもしれません。

たとえばスワップ協定の「結んでおきながら発動拒否」、あるいは「結んでおきながら途中で破棄」、といった手法は、なかなかに良い感じで陰険であり、日本政府としてのメッセージはほどよく伝わるのではないでしょうか。

なお、本稿で示したものは、「やろうと思えばできる」、という話であり、現実に日本政府がそれをやるかどうか、という話ではありません。

しかし、たとえ野党のわけのわからない小物政治家であるとはいえ、韓国の政治家が日本領に不法上陸したという事実は重く見るべきであり、本来ならば、日本としても適切な制裁が必要な局面でもあります。

経済制裁の発動要件、緩和してみては?

これに加えて以前の『数字で見ると日本が韓国への制裁をためらう理由はない』などでも指摘した、外為法上の経済制裁の発動要件の緩和も必要です。

外為法では経済制裁が発動できる局面を①国連決議に基づく場合、②有志国の協調制裁に参加する場合、そして③わが国独自の制裁を決議する場合、の3つに限定しています。

このうち③にいう「わが国独自の制裁」は、外為法第10条第1項にいう「わが国の平和及び安全の維持のためにとくに必要がある場合」の制裁を意味しています。

外為法第10条第1項

我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第16条第1項、第21条第1項、第23条第4項、第24条第1項、第25条第6項、第48条第3項及び第52条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。

しかし、この条文だとそもそも経済制裁を発動する条件が弱いため、この第10条第1項を、次の通り、もう少し広範囲に設定してはどうか、というのが当ウェブサイトからの長らくの提案です。

外為法第10条第1項改正私案(※下線部を付け加える)

我が国の平和及び安全の維持のため、国際法秩序の維持のため、我が国の利益を保護するため、その他これらに類する事情として政令で定める事実に基づき、特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項、第二十一条第一項、第二十三条第四項、第二十四条第一項、第二十五条第六項、第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。

このあたりは政治家の皆さまにも是非とも前向きに検討していただきたい、などと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. カズ より:

    憲法9条を「不侵略の誓い」と解釈するだけで大人しくなりそうな気もします・・。
    抑止力は肝要。敵基地攻撃能力の発動までは、自衛権の範疇ではないのでしょうか?

    1. CRUSH より:

      憲法9条は、自分を律するもの。
      他国の侵犯には、無関係かと。

      犬は粗相したら即座に叩かないと、なぜ叱られたのか理解できないのだそうです。

      即座に、わかりやすく叩くことが、
      「政府の仕事」
      ですね。

      ここで下を向いて黙ってるから島根で負けたんだぞっ!→自民党さん

  2. はにわファクトリー より:

    なかなかに良い感じで陰険な手法でメッセージを伝える。しびれます。

  3. Masuo より:

    この件、松原さんが上川大臣に質問してましたね。
    「(上陸した)韓国の国会議員は入国禁止ブラックリストに載せてもいいのではないか」

    入管法70条で『入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者』は「3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する」とあります。竹島は日本の領土であるのだから、この法律が適用されるのではないかと思う。
    (個人的にはしっかり適用して、日本に来たら逮捕してほしい)

    ちなみに上川大臣の答弁は「検討します」でした。ヤレヤレ

    1. いねむり猫 より:

      「検討します」は、やらないと言う事です。

  4. 引っ掛かったオタク より:

    竹島に不法上陸した”疑い”がもたれる人物はその職種経歴問わず『日本への入国時に』『司法当局による取り調べ』と『容疑が固まれば逮捕勾留起訴』を行うことを実施して実例で示せばヨイのでは?
    外交官であればハナから弾けばイイですし

  5. KY より:

     ところでスワップ再開で韓国がメリットを享受した、という話を未だ聞きませんが、あの後一体どうなったんでしょうね。聞くニュースと言えばかの国の経済危機ばかりですが。

  6. クロワッサン より:

    >そして、いざ韓国が通貨危機に陥った際、日本政府が韓国の政治家による竹島上陸を意地悪く覚えておいて、「あのとき貴国の政治家が竹島に上陸しただろう?」、などと畳みかけ、スワップの発動を拒絶する、といったかたちで「仕返し」をする、というのも、発想としてはあり得る話です。

    韓国が通貨危機に陥った時には拒否するより、

    韓国から100億ドルを借り受ける方が良いのでは?

    『いやー我が国も通貨危機に陥りそうでして笑』って感じで拒否する方が、

    より韓国側を火病らせる事が出来るのでは?と。

    1. クロワッサン より:

      >たとえばスワップ協定の「結んでおきながら発動拒否」、あるいは「結んでおきながら途中で破棄」、といった手法は、なかなかに良い感じで陰険であり、日本政府としてのメッセージはほどよく伝わるのではないでしょうか。

      韓国が通貨危機で更に苦しむ様に、

      日本が韓国から100億ドルを借りる方が『良い感じで陰険』なのでは?笑

      一応、日韓通貨スワップは双方向でしたよね?

  7. naga より:

    竹島観光などで上陸した韓国人は不法入国ですから、日本本土に観光に来ても入国拒否するべきでしょう。また入国してしまってから判明した場合は逮捕。
    実際には、ビザ免除もしているし竹島に行ったかどうか把握できず難しいかもですが、そう宣言すれば良いと思います。(もちろん判明した人には入国拒否か逮捕)

  8. 匿名 より:

    この手のニュースが出てくるといつも思うのですが、日本政府はブログ主様のように「韓国に対して制裁をせねば」という意思が全く感じられない(意思がない)ので、結局何もしないで「遺憾砲」だけだと思います。

  9. 普通の日本人 より:

    小物ほどよく吠える。
    情緒で動く韓国民ですから効果大でしょう
    とくに大〇後の感情を大切にする文化なら間違いありません
    玉ねぎ男が3年後大統領になるのもあながち予想を外さないと思います。
    日本は粛々と事実認識と分析を行い前に進むだけです。
    追伸
     生活保護は日本人だけとしましょう。
     これは声を大にして運動しましょう

  10. DEEPBLUE より:

    やれる事があったとしても現政権がやる事は無いのでしょうね。

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