韓国延滞率上昇…「前門の金融危機、後門の通貨危機」
前門の金融危機、後門の通貨危機――。韓国を巡る状況は、なかなかに厳しくなってきたようです。韓国の金融システムの不安定化は、日本経済にとっても思わぬ波乱要因となる可能性がある、という点については、しつこいほどに指摘しておいて良いでしょう。金融の世界では、日本と韓国の国家としての信用力には雲泥の差があるからです。
2024/04/28 14:30追記
記事表題が誤っていましたので修正しています。
外貨調達の必要がない日本
自国通貨の国際的な通用度が低く、生産活動を行うために外国通貨に依存している国は、何かと面倒なことがおきやすいことでも知られています。
私たちの国・日本の場合だと、自国通貨の円は、米ドル、ユーロに続き、英ポンドと並んで国際的に信頼されています。
たとえば外貨準備の組入れ通貨ランキングでは、日本円は最近、常に3位をキープしていますし(『世界各国の外貨準備で日本円の金額と比率が過去最高に』参照)、国際送金ランキングでは人民元に抜かれたものの、日本円は5位(『SWIFT人民元は引き続き4位だが…日本円も存在感』参照)だからです。
実際、国際的な金融機関の資金貸借を示す『国際与信統計』などで確認しても、日本の企業などは外貨建てでほとんどおカネを借りておらず、日本企業の多くは日本円のみで生産活動を行うことができています。
極端な話、輸入企業なども、輸入の都度、円を外貨(ドルなど)に両替すれば良く、また、一部では日本企業が現地法人を設立するなどしているためか、円建てで原材料を調達することができる、という事例もあるようです(※ただし、実務的には為替予約取引などは多用されていますが…)。
私たちは日本人ですから、外国メディアの報道などを読む際にも、無意識のうちに、こうした前提条件を置いてしまいがちです。
韓国は頻繁に通貨危機(未遂)が発生する
しかし、こうした常識は、外国の経済に関する話題に言及する際には、ちょっと捨てておいた方が良いのかもしれません。というのも、一部の国では、外貨(米ドルや日本円など)でおカネを借りなければ生産活動ができない、という事例もあるからです。
その典型例が、私たちの隣国の韓国でしょう。頻繁に通貨危機やその未遂が発生するからです。
韓国では1997年のアジア通貨危機の巻き添えを喰らい、国際通貨基金(IMF)の支援を受けるなどしていますし、その約11年後の2008年にはリーマン・ショックの余波を受け、通貨が暴落するなどしています。
また、2011年の欧州債務危機時には、ユーロ危機の余波を受けて韓国からも資金が引き上げられるという可能性があったようであり、これを未然に防いだのが、野田佳彦首相(当時)のイニシアティブで総額700億ドルに増額された日韓通貨スワップだったのです。
さらには2020年のコロナ危機の際にも、韓国から短期資金が流出するなどしたのですが、そのときには結局、米FRBが韓国を含めた9つの中銀・通貨当局と為替スワップを締結。これにより韓国はドル不足を何とか回避したのです。
その後はFRBの金融緩和の影響もあり、韓国の外貨準備はコロナ直前期と比べ、(とくに「現金預金+有価証券」の部分は)2020年3月の3893億ドルから、2021年7月には4457億ドルへと、約550億ドルほど増えています。
ウォン高にもウォン安にも耐性がない韓国
しかし、この流動性為替スワップもすでに終了しており、これに加えて米FRBが2022年を通じて金融引締めを行うなどしたこともあって、韓国の通貨・ウォンは一時、1ドル=1400ウォン台とリーマン時以降の最安値を更新しています。
また、一時期と比べて外貨準備も減少していて、現時点で韓国の外貨準備高は2024年2月末時点で3913億ドルと、コロナ直前期とあまり変わらない水準にあるようですが、これなど、韓国が通貨危機に極端に弱いという証拠ではないでしょうか。
要するに、韓国はウォン安にもウォン高にも耐性がないため、韓国の通貨当局としては、為替介入を常態化させているのです。
自国通貨高になれば輸出競争力が損なわれますが(※この点は日本も同じです)、ウォン安になれば外貨建債務の調達が難しくなり、債務不履行リスクが高まるという、日本にはない韓国独自の問題点があるのです。
だからこそ、韓国は通貨下落と通貨危機を防ぐために、為替介入の代わりに利上げをすればよいのではないか、などと思うこともあるのですが、物事はそこまで単純ではありません。利上げをすれば、通貨危機のリスクは遠のくかもしれませんが、その代わり、金融危機のリスクが高まるからです。
家計などの延滞率が上昇中の韓国
こうしたなかで、隣国から軋みの音が聞こえて来ているとしたら、そのひとつは、こんな話題かもしれません。
[社説]韓国、銀行の延滞率がここ5年で最高、危機的な家計、自営業者が多数
―――2024/04/25 13:59付 Yahoo!ニュースより【ハンギョレ新聞日本語版配信】
韓国紙『ハンギョレ新聞』(日本語版)の記事によると、韓国金融監督院が24日に発表した韓国の国内銀行におけるウォン建て融資の延滞率が、この4年9ヵ月で最高を記録したのだそうです。
具体的には2月末における「1ヵ月以上の元利金延滞率」は前月比0.06ポイント上昇して0.51%であり、これは2019年5月の0.51%以来の最高値を更新したのだとか。
また、企業向けの融資については中小企業に対する貸付の延滞率が0.7%にまで上昇し、家計に対する融資は、住宅担保貸付の延滞率こそ0.27%で横ばいだそうですが、それ以外の貸付金の延滞率は、1月の0.74%から2月には0.84%にまで急上昇している、というのです。
なるほど、これだと利上げをするのが難しい、というのも仕方がない話です。
ここにきて、円、ウォンともに、米ドルに対する通貨の下落圧力が強まっているフシがありますが、日本の場合、円安になっても輸入品物価が上昇する以外にはさしたる実害がありません(というよりも、輸出効果と資産効果と輸入代替効果で、日本経済には莫大な恩恵がもたらされます)。
しかし、韓国の場合は「負債効果」があるため、過度なウォン安は通貨危機への可能性を高めることになり、おりしも過剰債務が問題化するなかで、前門の金融危機、後門の通貨危機に韓国がどう対処するのかは気になるところでもあります。
通貨スワップで韓国を救済?「冗談じゃない!」
ただし、私たちの国・日本にとっては、日韓通貨スワップの存在は気になるところです。
日韓通貨スワップは基本的に、私たち日本にとっての「虎の子」である外貨準備から、100億ドルを上限に、韓国ウォンを担保に受け入て外貨を貸し出すというものですので、韓国による踏み倒しリスク(専門用語でいえば「信用リスク」)を負う可能性もあります。
こうしたなかで、韓国の金融システムの不安定化は、日本経済にとっても思わぬ波乱要因となる可能性がある、という点については、しつこいほどに指摘しておいて良いでしょう。金融の世界では、日本と韓国の国家としての信用力には雲泥の差があるからです。
通貨スワップで韓国を救済するとなれば、恐らく多くの日本人は、「冗談じゃない!」などと思うかもしれません。
日韓通貨スワップの安易な再開を決めた岸田文雄政権が、こうした国民感情を読み誤った可能性がある、という点については、いちおう指摘しておいて良いのではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
このような金融状況にかなり前からなっているにも関わらず、日本に大挙して観光に来るし、東南アジアやハワイには、韓国人観光客が溢れているらしい。
国内におとなししていれば、外貨も減らず、国内の金も減らないから、金融危機の可能性も減少するのだろうが、何も無い国内にいれば、不満が溜まってデモでもやるしか、他にやることがない。
困った民族だ。
韓国民をとりまく状況(ウォン建て負債に限れば、)
飽くなき浪費への誘いは、来るべき「通貨危機(=インフレ)への期待」によるものではないのでしょうか?
彼らが救われる道は、ウォン価値の下落に伴う『実質的返済負担の軽減』によるほかはない気がします。
*金利負担の増大を凌駕するペースで通貨信用を無くすだけの簡単なお仕事です・・。
>彼らが救われる道は、ウォン価値の下落に伴う『実質的返済負担の軽減』による
>ほかはない気がします。
その通りです。(ウォン建て負債に限れば)
それさえ出来ないのが「刹那的隙間営業国家」である韓国の悲哀でしょうね。
カズ様
>飽くなき浪費への誘いは、来るべき「通貨危機(=インフレ)への期待」によるものではないのでしょうか?
さて、それほど先の見通しをもっての行動なのでしょうか?
止まることなき少子化の進行、
首が回らないほどの借財を抱えて、順次社会の表舞台を去りゆく、人の群れ
オレ様さえ良けりゃ、残りは共同貧困のキタみたいな国を目指す、を公言しているに等しい指導者に率いられるヒダリマキ野党に、圧倒的議席を与える、
なんかこれらと、セットになってるような気がします。
そこに見られるのは、
滅びへのマゾヒスティックな陶酔、
レミングスの群れへの憧憬。
刹那的快感に溺れながら、堕ちていく幸せ。
>刹那的快感に溺れながら、堕ちていく幸せ。
この表現、何か、春琴抄のような気味もありますが、この民族に、このような繊細な情感や心の襞があるものでしょうか?
何しろ、文学の無い民族ですから。勿論、哲学もありません。
両班による際限のない略奪により、民衆の心層に刻まれたDNA。
「歪んだ”滅美(ほろび)への憧憬”」ってのは在り得るのかもですね。
「現在(いま)が良ければ、それで良い!」を、過去ではなく未来に発するのが彼らなんですものね。
>金融の世界では、日本と韓国の国家としての信用力には雲泥の差があるからです。
一般的に読み解けば、韓国の国家としての信用力を雲と泥の泥に例えたのだと理解出来るのですが、KIN-KY大学農学部発でこういう活用方法が報じられたりしています。
ダムの泥 活用の試み
2023/05/12 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/local/nara/news/20230511-OYTNT50264/
下水道の汚泥もちゃんと活用方法が見出されています。
下水道を使い切ろう(下水汚泥の使いみち)@日本下水道協会
https://www.jswa.jp/suisuiland/3-2.html
故に、韓国を泥に例えるのは非常に問題があると考えますが。。。
>雲泥の差があるから
西洋人から見ると日本と韓国の違いって、一見外見では見分けのつけにくいおはぎと馬糞のようなモノであって、ムシャムシャ食べてみて初めて違いが分かってきた天才的投資家ジム・ロジャーズ氏と言うような方も存在します。
泥よりも下で役に立たないもの?
一つ考えられるのは、泥濘(ぬかるみ)か?
足を突っ込むと、足を取られて、抜け出せない。その内、中から手が出て来て、足を掴まれてしまうともう・・
日本は、未だ間に合うか?
何より、近づかないことだね。
次の大統領選挙が運命の分かれ道。米国も日本も今の政権でもそこまで期待してないわけだし。左翼大統領がまた韓国は誕生しそうだし、韓国には深入りは出来ない状況
韓国さんが
「前門の金融機関、後門の通貨危機」
状態なのは、
剽窃劣化こぴいスキルに自惚れ邁進し
さらに見えを張った自業自得の所業の帰結です。
なので
前の金たまがどうした?、
こうもんがどうした?
などという
いかにも韓流の吽国際問題なのに、それを
日本の足引っ張り身代わりさせ
日本に擦りつけようとする
スワップニダ という
韓流手法に引っかからないように
距離を取れば良いのです。
負債の問題や国民世論は所得分布から推測できます。階層で負債(資産)も世論も分断されます。韓国の所得分布のグラフが見つけられなかったのですが,下のアメリカの所得分布グラフから類推できる気がします。
https://twitter.com/ShinagawaJP/status/1442266370968670210
日本の所得分布は綺麗なポアソン分布ですが,アメリカの場合,年収10万ドル以下は2~3万ドルに頂点を持つポアソン分布(トランプ支持層)ですが,10万ドルにも小さな山があって,20万ドル超の層も厚く分布しています(バイデン支持層)。たぶん,韓国も同じような構造だと思います。年収3千万円超の人が日本に旅行に来たら,とても物価が安く感じられるでしょう。逆に,年収3万ドル(450万円程度)以下の人は,日本の物価の倍以上のアメリカで暮らしていくのは大変でしょう。どなたか,韓国の所得分布グラフを見つけたら教えて下さい。
日韓のスワップはチェンマイ・イニシアティブの一環であり、特に韓国だけを優遇するような条件のものではありません。
東アジアの金融セーフティネット強化を目的としたものです。
目的は韓国以外の国と結んでいるものと同様であり、それ以上でもそれ以下でもないので、韓国経済を何が何でも支えるなんて性質のものではありません。
止まったのは、韓国がいらんと言ったから止まったから訳であり、制裁でも何でもありません。
例えるなら電気、ガス、水道、電話、インターネット、新聞、NHKといったサービスをいらんと更新手続きせずに止めたものの、やっぱりいるから再開してくれと申し込みがあったから応じただけです。
国際的に説明可能な拒否する理由は無く、お役所対応でしかありません。
更に言えば、協定の再開に向けて協議することで合意したのが2023年6月、再開したのが12月です。
スムーズな再開と呼ぶには、時間が空きすぎでしょう。
これは、韓国が虫のいい条件を言ったものの、日本がそれを拒絶し続けてきたからという可能性が高いと自分は見ています。
韓国が今の条件で最初から納得したなら、6月から間を空けずに再開していたでしょう。
逆に、日本が韓国の要求を何でもかんでも飲んで。例えば、枠組みなんていつでも柔軟に拡大可能なんて条件を即丸呑みするなら、それもまた直ぐにその条件で再開していたでしょう。
あと、100億ドルでは韓国は救えません。
韓国を何が何でも支えるなんて態度として見るには、不自然です。
韓国を特別視した対応を懸念するのは、杞憂だと思います。
国全体が借金で首が回らない状態。
日本と比べて政府の借金が少ないが、じゃあ国内で韓国政府の起債に応えるのは誰か。
みんなそんな余裕ない。
あった! 韓国銀行(中央銀行)
韓国では政府が中央銀行から寸借できる制度があるのだ。
これですかね。
先日この報道を見て初めて知ってびっくりでした。
無担保の運転資金?ちゃんと歯止めしてるんでしょうかね。
税収不足で「韓国銀行マイナス通帳」から32.5兆ウォン調達した韓国政府…過去最大
https://japanese.joins.com/JArticle/317407
日本の場合、入金と出金のバッファは国庫(政府の当座預金など)になるのでしょうかね。
日本ではこれがマイナスになることはないけども、韓国では借り入れないとしょっちゅうマイナスになってると。
タイトル:前門の金融機関、、、
ちゃうちゃう
匿名のコメント主様
ご指摘の通りです。大変ありがとうございました。
ええっ?
前門の金融機関、でいいのかと思って読んでいましたよ。
この国、金融機関そのものが、既に、危機的状況というのは、このサイトで過去言われていましたから。
そういう意味でこう書かれているのだと、奥の深いひねりと真実を突いた表題だな、と。