TSMC誘致で日本の半導体産業は「復活しない」のか
少し前からインターネット上でちょっとした話題となっているのが、大手ウェブ評論サイト『ダイヤモンドオンライン』に11日付で掲載された、『TSMCの工場誘致で日本の半導体産業が復活するはずはない』、などとする記事です。論旨もさることながら、記事のなかに初歩的な事実誤認があるなど、何かとツッコミどころもあるようです。
目次
半導体産業と日本
国内で半導体産業復活の兆し…円安も後押し?
『円安メリットも?半導体産業などで進む国内回帰の動き』などを含め、これまでしばしば当ウェブサイトにて紹介して来たとおり、国内で半導体産業が復活する兆しが、地道に生じています。
先日取り上げた事例は、信越化学工業が56年ぶりに半導体素材の工場を日本国内に建設する、というものでした。
この信越化学を導いた正確な要因については、現時点ではよくわかりません。
ただ、これはあくまでも想像ベースですが、昨今は情報管理、あるいはセキュリティ・クリアランスといった経済安全保障への関心が高まっており、こうしたなかで「産業のコメ」とも称される半導体の製造拠点を「国内に囲い込む」という大きな流れはありそうです。
また、これに加えて昨今は円安が急速に進み、製造拠点を国内に回帰させるだけのインセンティブが生じている、といった要因も否定できません。
この点、先日の信越化学の件に関していえば、(あくまでも報道ベースでは)円安が国内回帰の直接の理由なのかどうかはさだかではありません。
しかし、現在と比べれば円高だった民主党政権時代の2012年2月にエルピーダメモリが経営破綻したことを思い出しておくまでもなく、一般に円高が進み過ぎれば、日本国内における製造拠点としての魅力は低下しますし、円安の場合はそれと逆の現象が生じます。
この点、『【総論】円安が「現在の日本にとっては」望ましい理由』でも詳しく議論したとおり、「現在の」日本経済にとって、円安はデメリットよりもメリットを多くもたらすのですが、それらのメリットのひとつが、輸入代替効果(輸入を減らして国産品で代替しようとする効果)でもあります。
従って、今回の信越化学のような事例も、おそらくは「氷山の一角」に過ぎず、今後もさまざまな産業で、「脱中国」や「日本回帰」といった動きは続いていくのではないでしょうか。
日本経済の課題は労働力不足と電力不足
ただし、現在の日本には円安という追い風も吹いているのですが、それと同時にかつてと比べると、日本国内に製造拠点を戻すのが容易ではない、といった事情もあることは注意が必要です。
この点も繰り返しで恐縮ですが、日本国内に工場を建てようと思っても、労働力が不足始めている点は否定できません。生産年齢人口がすでに減り始めているなどの事情もありますが、アベノミクスの一環で長らく続いた金融緩和の成果もあってか、雇用市場は「働き手不足」に陥っています。
これを供給側・企業側から見ると、状況は深刻です。
日本に豊富に(?)存在していた(良い言い方をすれば)「安価で安定的な労働力」が枯渇していることは、日本国内に産業を復活させることが容易ではないことを示唆しているからです。
これに加えてもうひとつの懸念材料が、電力供給です。
『釧路湿原を破壊する太陽光パネル』を含め、当ウェブサイトでは最近、連日のように指摘している通り、現在の日本では主力原発の運転をなかば強引に停止させ続けている反面、高く非効率で不安定で環境にも優しくない太陽光発電が発電量全体に占めるシェアは、上昇し続けています。
これは、「日本の電力供給網がハイコストかつ不安定なものになっている」、ということを意味しており、とりわけ安定した電力を必要とする産業にとって、日本に製造拠点を立地することのリスクは高くなってしまっているのです。
すなわち、日本には現在、急速に進む経済安保法制、米国との同盟関係の深化、円安など、政治的・経済的には産業が集積しやすい環境が整っているものの、人件費の上昇や電力供給の不安定さなどの不安要因もあるため、引き続き、日本経済の先行きに楽観はできないのです。
あと一歩、アクセルを踏み込むべき
ただ、せっかく日本経済が力強く回復する端緒を掴みつつあるわけですから、ここであと一歩、▼原発の再稼働・新増設を政治判断で加速させる、▼所得税・法人税・消費税・社会保険料などの税率・料率を引き下げる――など、政治側がアクセルをさらに踏み込むことが必要でしょう。
とりわけ再エネ賦課金制度を一刻も早く見直し、エネルギー政策の転換を図ることは重要です。
余談ですが、私見に基づけば、現在の日本の大きな問題点は、財務官僚が力を持ち過ぎ、不必要に税金を取り過ぎていること、社会保険料や再エネ賦課金、NHK受信料といった「税金と名乗らない税金」が多すぎること、マスメディアがそれらの問題を正当に報じないことなどにあります。
岸田文雄首相が憲法改正に向けて意欲を示していることは間違いありませんが、あくまでも個人的な感想に基づけば、財務省改革やメディア改革、NHK改革や再エネ政策見直しなどは、改憲と同じくらい重要度が高い課題ではないか、などと思う次第です。
TSMCにケチをつける人たち
TSMCがもたらす莫大な経済効果
さて、余談はさておき、製造業――とりわけ半導体産業――の国内回帰が順調に進んでいることについては、まずは歓迎したいところです。
そのなかでも象徴的な案件のひとつは、台湾の半導体メーカーTSMCが日本の熊本県に大規模な工場を建設していることでしょう。
これについては、日本経済にとって良い影響をもたらすことは間違いないのですが、ただ、ケチをつけたい人は多数いるようで、たとえば「熊本で物価が上がる」だの、「雇用増の恩恵は熊本にしか及ばない」だのといった「イチャモン」も多く聞こえてきます。
しかし、日銀の資料によれば、九州では国内外の企業による積極的な設備投資が計画中ないし実行中です。少しわかり辛いですが、その概要は図表のとおりです。
図表 九州で計画・実施されている半導体関連の設備投資
(【出所】日銀福岡支店・2023年3月20日付『九州における半導体関連産業の動向』P10)
その具体的な金額について、日銀レポートは、こう説明します。
「現在、公表されている主なものだけでも設備投資額は約1.5兆円。これを投資期間(3年と仮定)で按分すると、2022~24 年にかけて毎年約5000億円の設備投資が実施される計算になる」。
ちなみにこの「毎年5000億円」は2019年の九州のGDPに対して占める割合は1.0%、九州GDPのうちの「設備投資」に限定したら、6.7%にも達するというから、大したものです。
巡る当ウェブサイトの読者の支離滅裂すぎるコメント
もっとも、当ウェブサイトでも『熊本「半導体工場」巡る支離滅裂で強烈な読者コメント』などでも紹介したとおり、当ウェブサイトでは(おそらくはTSMCの半導体が最新製品ではないことを)強く批判する支離滅裂な読者コメントがわいたこともあります。
半導体には「自動車用」などの需要がある、という事実を知らない、明らかに半導体産業に関する素人的なコメントで、思わず苦笑してしまいそうになります。
このコメント主の支離滅裂さについては該当する記事でもご確認いただきたいのですが、端的にいえば、(本稿で後述する)とある方が執筆した記事をもとに、TSMCの新工場が日本経済に良い影響をもたらすとする見解に異を唱えるものです。
ただ、半導体産業関係者を装っていながらも、肝心の半導体の分類などについても明らかに詳しくないなど、支離滅裂ぶりでいえばなかなかの得点だったのではないか、などと思う次第です。。
某大手新聞は「お腹がすいても半導体は食べられない」と批判
ただ、世の中的にもこのTSMC新工場にケチをつける人は多いようで、とりわけ傑作だったのが、『台湾TSMC熊本工場稼働で深まる日台「半導体同盟」』でも取り上げた、某大手新聞が配信した、なかなかに強烈な記事です。
というのも、「TSMCの進出により地価が上がり、農業を辞めるという決断を下さざるを得ない人が増えている」などの事例をもとに、「おなかが減っても半導体は食えない」などの声も紹介する、というものだったからです。
なるほど、これだと新聞の部数が減るのも仕方がありません。
とても当たり前の話ですが、半導体は食品ではありませんので、煮つけにしたり、焼いたりしても、普通の人には半導体「を」食べることはできません。半導体をむりやり食べようと思えば食べられないわけではないかもしれませんが、バリバリ音を立てて食べても、おそらくは美味しくないでしょう。
しかし、半導体「で」食べることはできますし、農業と比べたときの面積当たりの生産性も相応に高いことが予想されます。
報道等によるとTSMCの日本法人JASMの第一工場は約21万平方キロメートル、第二工場は約32万平方キロメートルで、2つあわせて53万平米(53ヘクタール)、といったところですが、予定では第一工場は2024年末までに、第二工場は2027年に、それぞれ稼働するそうです。
半導体産業は相応の雇用を生み出すとなど、地元経済にもかなりの波及効果をもたらすことは間違いないでしょう。
「初歩的な事実誤認」?
TSMCの工場誘致で日本の半導体産業は「復活するはずがない」
さて、こうしたなかで、TSMCの工場誘致で「日本の半導体産業が復活するはずがない」、などとする記事を発見しました。
TSMCの工場誘致で日本の半導体産業が復活するはずはない
―――2024.4.11 7:00付 ダイヤモンドオンラインより
記事を執筆した方のお名前を当ウェブサイトで紹介することはしません。
記事タイトルでもわかるとおり、TSMCの工場誘致で日本の半導体産業が復活することはない、などと主張するものなのですが、事実誤認なども多く、読んでいて思わず脱力してしまうのです。
まず、TSMCの第一工場が「2月下旬に操業を開始した」、などとする記述があるのですが、これは正確ではありません。TSMC(正確には日本法人であるJASM)の工場の「開所式」が行われたのが2月下旬の話であり、稼働は年内とされています。
こうした初歩的な事実誤認もさることながら、この論考にはいろいろと問題があります。
「TSMCの熊本工場で、いまのところ生産が計画されているのは、AIなどに使われる最先端半導体ではない。そもそも日本の半導体産業の凋落には別の原因がある」。
そもそも半導体にはさまざまなものがあり、それらに対する需要もさまざまですが、どうしていわゆるAI半導体でなければならないのでしょうか?だいいち、次の記述と矛盾していないでしょうか?
「だが半導体にはさまざまなものがあり、用途も違うし要求される技術水準も違うことを理解する必要がある。したがって一括りで論じることはできない」。
記事によると半導体の分類は「ロジック、メモリ、センサー、パワー、車載用」などとある、などとしているのですが、「TSMCの熊本工場で生産が予定されているのはAI半導体ではない」ことのなにが問題なのか、いまひとつよくわかりません。
ちなみに記事によると、AIが機械学習をする際に用いられるGPUはNVIDIAが設計し、TSMCが製造するもので、量産できる企業はTSMCのほかには韓国のサムスン電子などに限られている、などとしているのです。
しかし、世の中で需要が高い半導体は、「最先端のAI半導体」だけではないことは間違いなく、したがって、「最先端のAI半導体」がTSMCの熊本工場で生産されないことが同工場の本質的な問題点だとは、ちょっと言い辛いのではないでしょうか。
ダイヤモンド編集部は12日付で訂正を出す
こうした点もさることながら、この記事で目に付くのは、初歩的な事実誤認です。
「戦略的な半導体企業としては、以上の他に、オランダのASMがある」。
これは、単純に社名の間違いでしょう。ASMではなく、ASMLです。
ちなみにASMLは、もともとはASM、もしくはASMI(ASM International)がフィリップス社と合弁で設立したという経緯があるため、両社は決して無関係ではないのですが、少なくとも現在のASMとASMLは別法人です。
さらに驚くのは、こんな記述かもしれません。
「車載用半導体は、技術的にはさして高度でないが、これがないと車両を作れない」。
…。
「車載用半導体は、技術的にはさして高度ではない」。不肖ながら、存じ上げませんでした(笑)
ほかにもこの記事では「アメリカがテキサス州に誘致するTSMCの工場」、などといった記述もあるのですが、これも単純に事実誤認です。「テキサス州」ではなく、「アリゾナ州」でしょう。
もっとも、こうした点についてツッコミを入れていたところ、記事をリロードしてみると、4月12日15時40分付で、ダイヤモンド編集部がこんな「訂正」を入れていました。
【訂正】記事の初出時より以下の通り訂正します。
2ページ目17段目 ASM→ASML
4ページ目2段目 テキサス州→アリゾナ州
(2024年4月12日15:40ダイヤモンド編集部)
さすがに事実関係の間違いはまずいと思ったのでしょうか。
「いまでは誰でも生産できる」…ならば、生産なさっては?
単純な事実誤認もさておき、ほかにも、シンプルに疑問を抱く記述は多々あります。たとえばこれです。
「熊本工場の第一工場で生産する半導体は、22/28nmおよび、12/16nmの製品と言われている。これは10年程度前の技術で、いまでは誰でも生産できる」。
「また、地域振興の意味もあるだろう。しかし、日本の半導体製造の凋落の原因である大企業体質を変えることにはならないだろう。第二工場では6~7nmと言われているが、それでも、日本の半導体産業を復活させるためにどの程度の意味があるかは、疑問だ」。
「日本の半導体製造の凋落の原因」が「大企業体質」だというのは、なかなかに斬新なご見解ですが、「TSMCの熊本工場が日本の半導体産業を復活させることに繋がらない」とする論拠にはなっていません。
なにより、22/28nmや12/16nm製品が「いまでは誰でも生産できる」というのであれば、記事を執筆なさった方が生産してみれば良いのではないでしょうか。
そういえば、以前当ウェブサイトに支離滅裂な読者コメントを寄せてくださった方が引用した記事を執筆なさったのも、たしか同じ人物だったと記憶しています。
そのコメント主の方も、「半導体業界は誰でも知っています」、などと述べていましたが、そのコメント主の方自身が半導体業界のことを良くわかっていないというオチがついたことは、個人的にはややツボに入っていたりもします。
いずれにせよ、TSMCの熊本工場建設が「快挙である」とは認めたくない人たちがいて、「日本の半導体産業は復活しない」、などと主張し続けていることだけは間違いなさそうだといえるでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
拡散新聞にこの記事に対する反応が載せてありましたが、上記のDIAMONDonlineの寄稿者は、とある国立大学の名誉教授さんです。
昭和15年12月20日生まれの83歳とご高齢ですから、この程度の認識なのでしょう。
まあ、もう一つ言えば、TBSの超偏向報道番組「サンデーモーニング」の常連コメンテーターだそうですから、日本を腐し、特定アジアをヨイショしたいのでしょう。
コロナ禍時期の電子部品供給混乱はそれはそれはひどいものでした。電子部品が装着された基板はみなさんも目にしたことがあると思います。ゴマ粒ほどのほんのつまらない部品が足りないだけで電子機械は成立しません。当方が関与した開発プロジェクトでも部品が揃わず生産予定数を減らし設計図を書き換え代替部品まで使って数か月遅れになりました。しかもその変更のせいで想定外の動作不良が起きてしまい、部品をはがしてやり直す窮地に陥りました。総数百に届かない特殊用途の装置ですらこんな目に遭ったのですから、ダメージは全産業的全世界的なものであったに違いありません。
部品供給網の混乱はみなが部品発注積み増し在庫確保に走ったせいです。そして何より恐ろしいと誰もが感じたことは、偽在庫偽部品が横行したことです。黒い電子部品の中身が本物でないとすれば? 中国をはずせ。最先端でない部品こそが危険だ。これが教訓だったのです。
はにわファクトリーさま
偽在庫偽部品。
B2Bでこれは恐怖そのもの。
自分の関係する業務関係ではBOMの中に調達リスクの高いものが幾つもありセカンドソースを模索していましたが、新規調達先自身の信頼性や新規部品の信頼性要件の確立に工数が掛かるため、代替えも進まず辛い状況が続きました。勿論、設計そのものも汎用部品化を図るなど見直しも行ったり兎に角もがいてましたが、いずれにせよCOVID-19渦以前と同様の製品信頼性を担保するためには、製造出荷は大幅に遅延や減少を余儀なくされました。
一方で代替え調達先の偽在庫偽部品には巻き込まれずに済んだようで、これは不幸中の幸いでした。
コロナ禍が起きるずっと前のことですが、有名な某電子部品の偽製品を掴まされた騒動を目撃しています。あのときは封止を溶かして中に入っている半導体を取り出し拡大鏡で撮影して電子回路の正体を探ろうとまでしたそうですが、分からないという結論になっているそうです(表向き)
どうしてこんなことになったかは明確です。どこかの誰か、悪だくみをもった業者が偽部品を製造して流通させたのです。
当方が若いころは半導体業界はセカンドソース生産を実践していました。ライバル企業に頼んでそちらの生産ラインで作ってもらっていました。あのころは企業ごと工場ごとに製造能力がまちまちばらばらでした。セカンドソース生産は工場が壊滅したとか生産ラインに障害が発生してもお客を困らせないリスクヘッジするためにあったのです。
そんなこんなで喫緊火急の問題として国家が経済安保を担保する時代へと急旋回した。われわれが見ている報道の意味はこういうことです。
ちなみに、LSIの故障解析関係の国際学会であるISTFA (International Symposium Testing and Failure Analysis)では、こういったスパイチップやリサイクルパッケージの問題をだいぶ前から議題に上げていますね。
いつもの手法。
日本が良い方向に向かうプロジェクトにはケチつける。
結果が良い場合は、極端な例を出してケチつける。
結果が悪い場合には「そら言わんこっちゃない」と言って大々的に報道する。
こういうのなんていうのかね。アサヒメソッドか。
>これについては、日本経済にとって良い影響をもたらすことは間違いないのですが、ただ、ケチをつけたい人は多数いるようで、たとえば「熊本で物価が上がる」だの、「雇用増の恩恵は熊本にしか及ばない」だのといった「イチャモン」も多く聞こえてきます。
それらがイチャモンなのか懸念なのか、です。
TSMCとその関連企業による投資効果の恩恵は、その親疎が多寡と得られるまでの時間につながります。
大多数の熊本県民が得られたと言えるまでどれくらいの時間が掛かるか。
行政の仕事はその促進ですが、どうなるか。
楽感的に観るか悲観的に観るかですかね。
世の中、甘くは無いですから。
日本の半導体産業の復活は、他力(他国)本願なら復活することはあり得ません。(日本人がリスクゼロ教から脱却する必要がありそうです)
蛇足ですが、「お腹がすいても、新聞は食べられない」とも言えるのでは、ないでしょうか。
新宿会計士さまにこうして公正に
整理していただくとTSMC誘致についての
日本のメディアの報道に汚染されたものが
多く混ざっているのが晒されます。
「半導体産業の動向なんて一般人にはわかんねんだろう」
的にタカを括った、三流詐欺師のような粗雑な画策記事の
ライターの人としてのありようが憐れです(笑)
まあこうした、
日本にとって良いことを粗雑に攻撃する
恥ずかしい記事が出てくる背後には
半島のメディアに頻出する『反射利益』
(=相手を汚く叩いて自分たちがせこく得をする)
を是とするという、韓流劣化儒教の恨の精神
に通じるものの存在が底流に渦巻くのが
見えるようです。
「それは世間で失敗と言いまあす♪」の捨て台詞の
挙動不審社の沈めさ意地記者さんや桜ういろうさん、
水問題にかこつけて妬む隣国とリニア妨害した
韓流汚染のゴネ活川勝知事さんや、
半島とともに汚染水レッテル貼りの
原発風評被害拡散活動家議員さん、
半島メディアの願望とおなじ方向の記事を垂れ流す
韓流の吽国際経済学者さんたち、
ネットでフェミ騎士の誉れと称えられた(笑)シュナムルさん
などなどなどなど、
まあなんてみなさん本音を隠しての画策に
頑張ってお見えなのでしょう(笑)
世界中誰もが知っていて恩恵に与ってもいる TSMC もさることながら、ラピダスが大化けする可能性は大いにあって、当方はラピダスには今時点で慎重な立場でいますが、脅威なんでしょうな(誰にとって)
>TSMCの工場誘致で日本の半導体産業は「復活するはずがない」
復活って、この人の頭の中ではどの様な風景なんでしょう。
半導体産業の復活目的で誘致なんて最初から想定してないのに、何でこんなタイトルに成るのかね、無料でも読まないよ時間の無駄。
確かに。復活って何?
半導体産業は昔とは様変わりしてるんじゃないかな。
半導体に詳しいわけではないけれど、日本は製造装置や素材に注力して製造そのものはTSMCその他にやらせほうが得策かも。TSMCでさえ自分でリスクをとらず受託製造をやっている。
サムスンが得意な汎用のメモリー半導体はいずれ液晶パネルのような運命をたどるんじゃないかな。
三星も手を付けておくべきことはやっています。高集積大容量 High Bandwidth Memory 技術です。今ホットなのは HBM3 と呼ばれています。同時に AI データ時代に新しい発想のメモリデバイスが必要とも見なされています。ダークホース・テクノロジーは電子回路を三値論理構成で作って三値論理メモリと融合させることです。三星はちゃんと気が付いている。
まあ、日本の技術をパクって
金儲けできただけなのに
ネットでよく目にする
「日本は滅びた。もはや韓国の足元にも及ばない」?(笑)
と言いたい韓流方面にとっては
日本は「復活するはずがない」という
願望のお気持ち表明なのでしょう。(笑)
ただ、そんな韓流の腐った願望画策で
しょもない記事を書かれては
日本にも人類の進歩にも、そんなものを
読まされる日本国民にも
とても失礼な いかにも韓流らしい
頑張りだなあと呆れます。
大蔵省のキャリアのご経験お持ちの方で、主流だった経済政策、そして、ご自分の過去の言説を弁明されたいのだと理解してます。
レギオン「半導体おいしいよ?」
某紙の記者は農業担当で、「半導体は産業のコメ」という言葉を聞いて食べようとしたんじゃないかな(知らんけど)。
中国の台頭で半導体が極めて重要な戦略物資だという事を西側諸国が改めて思い知りました。
半導体工場をアメリカや日本に建設することは、西側諸国の経済安全保障政策の一環として進められているものであり、日本の半導体産業の復活を目的としたものでは無い筈です。
それを日本や九州、熊本県がどの様に国としてあるいは県として産業の活性化につなげるのかという事はそれぞれの課題であるという事ではないでしょうか?
ダイヤモンドオンラインが最先端では無いとか半導体は食えないとかいちいちケチをつけるのは、隣の国にとって大変都合が悪いという事を代弁しているのでしょうね。
はるちゃんさま
すごく納得のいくコメントありがとうございます。
本文中にも「経済安全保障上の観点からも、半導体調達の重要性が高まっている」と書いてあるから、素直に歓迎すればいいのに、そうでないのが自称知識人なのでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3742a8eba0157c12e3a0322f54131823f926d834?page=2
一方、ダイヤモンドオンラインでは「半導体産業が2024年“大復活”へ!」と正反対の記事も掲載している。編集者のスタンスによるのかな。
https://diamond.jp/articles/-/337850
> 雇用増の恩恵は熊本にしか及ばない
熊本だけだったとしても及ばないよりましだと思います。
全都道府県に工場を作る訳にいかないのですから発展できるところが(中国や韓国でなく)発展すれば良いと思います。
数量政策学者の高橋洋一氏曰く、自分でパソコンを組んだこともない人物に、デジタル技術を語る資格派ないのだとか。
自称アンチインテル派にしてAMD派の私は、かつて筐体からマザーボードやCPU、DRAMやらGPU及び電源まで買い漁り自作しておりました。ですから、かろうじてデジタルを語る資格はあるのだろうと、不遜乍らも勝手に自認しております。
それに従えば、おそらく野口悠紀雄氏にはその資格はないといってもよいのであろうと思われます。彼の発想はメモリー=産業のコメ時代のままに留まっているのでは?とすら感じられます。
車載用半導体に限らず、今後の半導体はメモリーのそれとはとは違い大量生産ではなく、多品種少量体制も求められて行くようになります。車に限らず、家電品等でも汎用半導体ではなく専用半導体が求められおり、この占用半導体というのは汎用品と違い、一品種の製造量が限定的です。したがって従来のメモリーチップのように、一品種何億何十億といった生産体制を見直す必要があるのです。
そこに登場したのがミニマルファブという生産技術です。
詳しくは下のリンクを辿って下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=UOvL-3jKikw
この分野では間違いなく日本はほぼ世界のトップを走っているようです。
またRapidusについては下記のリンクからでもいろいろと勉強できます。
https://www.youtube.com/watch?v=-KrEc1gx2t8&t=13s
半導体を日本が取り戻すのは、単に経済の問題ではなく、経済安全保障の観点から考えなければならないのです。
半世紀前の常識と思考回路でしか物事を考えることのできない老人に、日本の行く末を憂いられても迷惑でしかありません。どうぞさっさとご退場下さい、としか申せません。
一言だけ。コンテンツ2つとも面白かったです。
ものづくり太郎氏は今や企業からの取材オファーに追われてスケジュールパンパンだそうで。
白状するとPhenom2とRyzenの間、一回だけintelに浮気しました。
元雑用係 様
コメント有り難うございます。
ものづくり太郎氏に関しては、高橋洋一氏の言われる「ド文系」の典型である私にとって、新鮮な知識を与えてくれる、有り難いサイトであると思っております。
振り返って見ると、そんな私でも二十代の後半頃に、NECの三河地方に於ける新しい支店開設の折に、故あって同じ職場で働いたことがありました。詳しい事情は省きます。PC-9801を自費で購入したのも同じ頃でした。
NECのNー5200というビジネスPCを売っておったのもその頃です。当時Nー5200専ののP-TOSというOSがありましたね。
その当時、同じ職場にいたNECの社員は、その後概ね10年から20数年で会社から去ったと聞いています。
それはさておき、私のAMD遍歴は、アスロン64に始まり、Phenomはすっ飛ばし、現在はRyzen5のノートPCというような現状です。老眼の進行に伴いもはやPC自作が、甚だ困難になっているというような今日このごろです・・・・。
N-5200は仕事でお付き合いしたことはありませんが、私が中学生くらいの頃でしたか、月刊I/Oのカラー写真広告で毎月ながめていました。強そうな機械で興味はありましたが、一般個人はそんなものかも知れませんが、ビジネス機の実機を見る機会はなかったですね。
DOS/V以降は日本のコンピュータメーカーはやることがなくなったと、F社の採用面接で面接官が言っていたのを思い出しました(そこには行ってません)。配転などどうなったのか気になっていましたが辞められた方も多かったのでしょうね。
自作はHDD-LEDなどのピンヘッダー周りが辛いです(見えない)。
日本の電機メーカーでホンキでコンピュータビジネスを手掛けていたのはほんの僅かでした。テレビ事業の延長だった会社もあります。オフコンはいい商売でした(過去形)猛烈に性能向上して行く市場で利益を維持できるくらいに戦い続けるには、今思い返せば、電機メーカー勢力圏ごとに分け合っている上得意客をバーター交換し合うくらいの経営感覚は必要だったと思います(遠い目)
元外資系コンピュータメーカーの営業でブイブイ言わせていたある知人、独自ハード+OSで抱えていたビジネス機もIA機に取って代わられ、会社は合従連衡で外様になり、今に至ってもずっと元気がありません。正直気の毒です。
ただ、当時のアプリをIAのエミュレータ上で動かし続けるニーズは根強くあるそうで、細々と食えてはいるようです。
大蔵省/財務省の人間は門外漢どころか自分たちの専門分野すら理解していない人間が多いですからね・・・。
電子政府化で真っ先に削減すべき省庁です。
いつも楽しみに拝読しております。
私は昨年まで10年ほど福岡に単身赴任しておりました。
九州の産業基盤はとても広くて大きなもので、ブログ主様がお示しいただいた他にも、
TSMCからのメリットを受ける地場企業は多くありまして、
・ICリードフレームの三井ハイテック(三井グループとは無関係)
・製造現場への派遣大手のワールドHD
・ロボット大手の安川電機
など九州本社の各社にも経済的な波及効果は大きいものと思います。
わざわざ日本の半導体産業の復活という狭い視点で変な結論を出すのではなく、
九州全体の発展=日本の発展にとっては、
TSMCの進出はとても好材料であることは間違えないと思います。
以上、福岡・九州が大好きで「晩年の故郷」と思っている人からの意見でした。
野口悠紀雄、藤巻健史、ジム・ロジャース
逆張り三傑
熊本の農家さん「お腹がすいても半導体は食べられない」
一般のひと「お腹がすいても新聞紙は食べられない」
朝日新聞記者「お腹がすいても新聞で食べられない」
「復活」の定義次第で何とでも言えるのでは?
微細化する理由の1つは、沢山の回路を詰め込みたいから。
メモリや、乗算器や、FFT等、沢山の回路でも、余り知財を要求しないものもあれば、知財の塊ということもある。
受託生産の辛い処は、同じDR・同じチップ面積なら、設計時に投入された知財の多寡では、納品価格差を余り大きくできない点にある。
AIチップとして。1つ数百万円で売られている様なチップでも、価格の殆どは知財料で、受託生産者の取り分は僅かだと思われる。
今の日本のやり方では、個数でのシェアはとれたとしても、金額的なシェアをとるのは難しかろう。
軍用だと、1平方センチ1億円なんてこともある。
話をややこしくしているのは、知財コスト=ゼロという国がある事だろう。
知財コストを認めている国では、歩留まりが上がらないと量産できないが、そうでない国と欧米は競わねばならない。
ポイントを整理されたお話です。お話されているポイントは、半導体に限ったことではなく、産業全体に言えることだと理解しました。
価格は、需要と供給の量で決まるものだ、ということに行き着くようです。
ですから、今のTSMCの国内誘致は、経済安保の面からのことですね。米国もそうしていますし。
>話をややこしくしているのは、知財コスト=ゼロという国がある事だろう。
知財コスト、ゼロで知財を提供した、お人好しな国もありますね。その提供相手が今や、我が身を危うくする程のモンスターになっているのに、それにも気付かず、政経分離などと呑気な財界人や政治家のいる国です。
半沢直樹掲載誌だったので紙媒体を惰性で購読していたのですが
そういえば忙しくて2月からすっかり買い忘れていました。
手元にある2024.2.10号を読み返してみたらバカラで106億溶かした
元・大王製紙会長の井川氏を識者として取材とか
今回の野口氏含めて実際はまともな取材先にアポイントメントとれなくなって
トンデモ人物に飛びつけって方針なんですかね。
大学ランキング、倒産(危険度)ランキング、銀行ランキング等
数字の羅列で紙面を埋める手抜きの疑念はありつつもデータ集計してそれで
何を導き出せるかまで記事にする姿勢もあったからちょっと残念です。