改めて指摘すると、太陽光発電の問題点は、あまりにも多すぎます。それらの多くは電力の安定供給の妨げとなっていること、発電効率が非常に悪いこと、環境負荷が高いこと、などです。その一方、東日本大震災から13年目となる11日、東電柏崎刈羽原発を巡って、「市民団体」の人たちが新潟市内などで「再稼働反対」「廃炉」などを唱えたデモ行進を行ったそうです。
目次
原発稼働停止と太陽光パネルの山は民主党政権の負の遺産
民主党政権の負の遺産は数多くありますが、そのなかでも特に大きいものが、原発の稼働停止とFIT(再エネ)制度にあるとするのが、著者自身の考え方です。
これが、いったいどれほど罪深いことなのか――。
以前の『これだけある!太陽光発電の問題』を含め、これまでに何度も指摘してきたとおり、そもそも太陽光発電は大変に問題のある発電システムです。発電量が安定せず、人為的にコントロールし辛い一方で、電力を生み出すために莫大な土地を必要とするなどの非効率さもあるからです。
改めて整理しておくと、論点は多岐にわたるのですが、本稿ではとりあえず、大きく3つを指摘しておくと、①発電量の不安定さ、②発電効率の悪さ、そして③環境への負荷の大きさ、です。
ひとつめは、その発電量が安定しないことです。
太陽光発電はその名の通り、「太陽の光」を使った発電であるため、そもそも発電できる時間帯は、太陽が出ている時間帯に限られますし、季節や天候にも大きく左右されます。このため、「寒い冬場に暖房のためのエアコンをつける」などの電力需要が増えるときに、発電力が極端に減ってしまう、といった事態も生じます。
もちろん、「夏場だと太陽光でガンガン発電してくれれば、その分、エアコンでガンガン冷房を効かせることができるじゃないか」、といった反論もあるかもしれませんが、それは「偶然、電力需要が増えるタイミングと発電量が増えるタイミングが一致することもある」、という話に過ぎません。
優先給電ルールで捨てられる電力
いずれにせよ、ここで重要な点は、太陽光発電が持つ、「電力需要が高まる時間帯に発電量が増えることもあるし、減ることもある」、という極端な不安定さです。
そもそも電力系統というものは大変に精緻な仕組みで、電力需要に対して電力供給が少なすぎれば周波数が低下するなどし、最悪の場合は広範囲に及ぶ停電(いわゆるブラックアウト)などが生じる可能性もあります。
ただ、だからといって「ひたすらたくさん電力を発電し続ければ良い」、という話でもありません。
需給バランスが崩れると周波数が乱れるというのは、需要側が多すぎる場合にも同じことがいえますし、なにより送電容量には限界もあります。
だからこそ、最近だと九州などで太陽光発電による電力を「捨てる」という事態が生じているわけですが、これも優先給電ルール(わかりやすくいえば、発電量が増え過ぎた場合に電力をどう「有効活用」するか、あるいはどう「捨てるか」という優先順位のこと)に従っている、やむを得ない措置、というわけです。
優先給電ルール
- 火力発電(石油、ガス、石炭)の出力制御、水力発電の揚水、蓄電池への活用
- 他地域への送電(連系線)
- バイオマス発電の出力制御
- 太陽光発電、風力発電の出力制御
- 長期固定電源(水力発電、原子力発電、地熱発電)の出力制御
(【出所】資源エネ庁等)
太陽光発電の発電効率の極端なまでの悪さ
次に、「発電効率の極端なまでの悪さ」についても、非常に重要な論点です。
資源エネルギー庁『原発のコストを考える』によると、100万kW級の原発を設置するのに必要な面積は0.6平方キロメートルであり、仮にこの原発の設備利用率を60%とすれば、年間発電量は52億5600万kWhと計算されます。
一方、俗に「メガソーラー」と呼ばれる、出力が1メガワット(=1,000kW)の太陽光発電施設は、約2ヘクタール(=2万平方メートル、0.02平方キロメートル)の面積が必要であるとされます。
これと同じ電力を太陽光発電で生み出すために必要な面積は、設備利用率を15%とすれば80平方キロメートル、設備利用率を10%とすれば120平方キロメートル(!)というとてつもない規模に達します。
このあたり、資源エネルギー庁資料では「100万kW級の原子力発電(面積0.6㎢)」は「太陽光で山手線一杯の面積(58㎢)」、などと記載されていますが(図表)、これは太陽光の設備利用率を高く見積もり過ぎているか、原発の設備利用率を低く見積もり過ぎているかのどちらかでしょう。
図表 資源エネルギー庁の資料
(【出所】資源エネルギー庁『原発のコストを考える』)
さらには、環境負荷の高さも無視できません。
原発を廃止することができるくらいの発電量を太陽光パネルだけで実現しようと思えば、山手線の内側面積をはるかに超える莫大な土地が必要ですが、それだけの土地を太陽光パネルで覆ってしまえば、当然、木も生えませんし、山林の保水能力なども著しく低下します。
阿蘇を埋め尽くすソーラーパネル
これについては『デイリーWiLL』が昨年10月3日付で動画サイト『YouTube』に公開した次の動画なども参考になるかもしれません。
動画ではデイリーWiLL編集長の山根真さんや経済安全保障アナリストの平井宏治さんが出演し、熊本・阿蘇のメガソーラーの現状をレポートしているのですが、これがなかなかに強烈です。太陽光パネルがぎっしりと設置されているからです(時間がない方は動画の6:49~を視聴していただくだけでも十分かもしれません)。
また、太陽光パネルは生産するときと廃棄するときにそれぞれCO2を生み出すとされているなど、現状では「環境負荷が大変に高い発電手段である」と言わざるを得ません。
いずれにせよ、電力のことについて少しでも調べたことがあれば、「危険な原子力発電を廃止して、太陽光発電に全面移行すべき」、などといえるものではありませんし、太陽光発電を推進するためのFIT制度を法制化した民主党政権は、まさに「悪夢の政権」と断じざるを得ないでしょう。
(※どうでも良いですが、政権交代して今年でもう12年が経過するわけですから、自民党もいい加減、FIT制度自体の改廃に取り組んでいただきたいところです。)
「市民団体」が原発反対デモ行進をしたが…
こうしたなかで、強い違和感を覚えざるを得ない記事があるとしたら、これかもしれません。
柏崎刈羽原発で訓示 再稼働反対と廃炉訴える市民団体がデモ行進【新潟】
―――2024/03/11 19:07付 Yahoo!ニュースより【UX新潟テレビ21配信】
UX新潟テレビは11日、東京電力・柏崎刈羽原発を巡って、新潟市内や長岡市内などでは「反原発を訴える市民団体」とやらがデモ行進をした、と伝えています。
「新潟市では反原発を訴える市民団体がデモ行進を行い33人が参加しました。柏崎刈羽原発に出されていた事実上の運転禁止命令の解除を批判し、再稼働反対と廃炉を訴えました」。
そのうえで、記事では参加者のこんな声を紹介しています。
「まだ家にも帰れない人がいる。そんな原発を再稼働させようとする人たちがいる」。
「みなさん岸田総理に今すぐ原発をやめろ、原発はあぶない、原発は廃炉だ、その声をつきつけようじゃありませんか」。
画像で見ると、「原発ゼロ」、「柏崎刈羽廃炉」、「なくそ〒原発」(※原文ママ)などのプラカードを掲げた数名の高齢者の方々が道路を歩いている姿が確認できます(それにしても「なくそ〒原発」とは、いったいどういう意味なのでしょうか?)。
だいいち、福島第一原発の事故の原因は地震そのものではありませんし、科学的な知見を無視し、いつまでも「原発は怖い」などと煽るような報道を続けるメディアにも大きな問題があるといわざるを得ません。
いずれにせよ、原発を止めて太陽光を推進するという愚策は、もうこのくらいにしていただきたいところですが、それだけではありません。
とりわけ柏崎刈羽原発を巡っては、せっかく運転命令禁止が解除された(『東電柏崎刈羽原発の運転禁止解除か:待望される再稼働』等参照)のですから、国は地元の了解を得て、なんとか運転再開に漕ぎ着けていただきたいものだと思う次第です。
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毎度、ばかばかしいお話を。
①反原発市民団体:「原発は嫌いだ。だから廃止すべきだ。その代替エネルギーは某会計士が考えるべきだ」
②反原発市民団体:「健康のために、デモという形で運動している。だから、夏場は熱中症が怖いのでデモはしない」
どんな人でも市民の一人なのだから、全ての運動が市民運動ではないでしょうか。
蛇足ですが、どんなデモでも(もともとは、その気がなかったのに)途中参加する人が出てくるかが注目点ではないでしょうか。
どんなデモでも、リスクをとって、自分の主張を訴えるから意味があるのではないでしょうか。そして、この反原発市民団体がリスクをとっているかは、自分たちに不都合なことが出てきたときに、はっきりするのではないでしょうか。
何度か電力逼迫により停電が予期されるケースがありました
実際には停電は起こりませんでしたが
停電になったほうが良かったと思います。
日本人は当たり前のよう電気が使えると思っていますが、実際はそうでな事実を認識していません。
電気のありがたみを知らないのです。
故に無責任に太陽光発電だと言って憚らないのです。
不安定な発電だから途中でテレビ見れなくなってもいいよね?
今日は冷房つかないけどいいよね?と。
電気が使えない痛みを知れば電力供給安定化に向き合うことでしょう。
不思議な事があるのですが
欧州出羽守はなぜアイルランドのように地熱発電を推さないのでしょうか?
火山大国で資源豊富で安定供給可能という素晴らしい発電方法です。
温泉業界へ喧嘩を売ることになるか言いたくないのでしょうか?
太陽光発電で野山を切り開くというのに。
訂正
アイルランド⇛アイスランドでした
火山大国日本として地熱は国産の豊富な熱源(世界第3位だそう)ですが、地熱は温泉と競合する恐れがあるので計画段階で反対がでて容易に進められない、候補地が国立国定公園内になりがちで国が認可を出さないから、という話を総合電機の方から聞いたことがあります。
許認可して温泉枯渇したら役所は責任取れるのか、という圧力かと。有名な温泉地でも源泉が枯渇した一部地域で実はホンモノの温泉ではなく水道を沸かしている疑惑をたまに聞きますが、イメージ産業として座視はできないのかもしれません。
個人的には地熱は日本の得意分野(東芝、富士電機、三菱重工で世界シェア7割以上)ですしエネルギー安全保障の観点からも進めるべきだと思います。
自民党以外の保守政党が台頭しないと地熱の拡大はなかなか難しいのでしょうか。
https://enechange.jp/articles/geothermal-power
https://www.toshiba-clip.com/detail/p=546
こちらはどこぞアパートの管理人さんの声で「アイスランドは地熱発電で国内のエネルギー殆どを賄っています」と言うCMが流れてますが、そりゃ日本の中規模都市の人口しかない国かららこそ出来る話で、数百万規模以上の人口の地域で出来るはずないですよ。
同意。
なにしろ、人口34万人、人口密度で日本の 1/100 の国ですから、日本の感覚では語れませんね。
群馬県には「上毛かるた」と言うのがあります。
その中で群馬県の人口をうたった札があります。「ち」ですね。
内容は「ちからをあわせる 200万」です。
アイスランドの人口がいかに少ないかですね。
補足でこのうたはこの2月より以下のように変わりました。
「ちからをあわせる 190万」
お粗末様でした。
消費税減税での経済効果等はよく見かけますが
原発停止による経済へのダメージ、あるいは再稼働による経済効果は聞こえませんね。
数兆円ともいわれる代替燃料費や温室効果ガスの排出権は数%の消費税分に匹敵し、原発が停止して13年間もの間海外に流出させています。
また、再エネ還付金と言われる間接的に中国に流れるお金もあります。
消費税なら国内で還流しますが代替燃料費や再エネ還付金は資源国や中国に一方的に流れるだけで我々の暮らしを圧迫するだけです。
このような不都合な事実は報道しない権利により封印されています。
やっぱり怪しいのがいたんですね、デモの中に。
沖縄で座り込みだったかデモだったかやってる連中にも同じような「怪しい日本語」のプラカードを持った輩を見た記憶があります。
あからさまに国外の勢力が加わっているのに、公安は何もできないのでしょうか?
「政府の陰棒」デモ隊プラカードを見ました。ホントウです。あいつら日本人じゃないし、漢字を知らない。
ご指摘の通り、太陽光発電は非常に発電効率が悪いです。さらに、メガソーラーの乱開発は環境破壊を及ぼすだけでなく、土砂災害を誘発するリスクも上昇させます。日本が豪雨に見舞われる気候であることを踏まえれば、太陽光発電を推し進めるのは自殺行為でしょう。
ところで、「なくそ〒原発」は、「なくそ「テ」原発」です。だいぶ前から、左派系の活動家がデモをしていました。私も「なくそテ」って何と思った人ですが、正直意味がわかりません。どこかの方言かと考えましたが、そうではなさそうです。
なくそテ太陽光!
なくそテ 山林破壊!
なくそテ 補助金搾取!
なくそテ 疑獄代議士!
なくそ「う」じゃないのかしら??
新潟在住です。
なくそーて(なくそうよ)という意味ですがなぜカタカナなのかは謎です。
発電効率は悪いけど、それ以上に値段は安いですよ。家庭用の10kWの設置費用で250万円ですが、パネルの価格だけだと100万円くらい。インバータと取り付け費用が過半数です。
メガソーラならより効率が良くなり、kWh10円の売電でさえ設置費用は3年以内に回収できるそうです。(17年間は維持管理費のみの出費で黒字。)
そりゃポコポコ出来るわけです。今だと原発と同じkWh6円でも5年で回収できる計算ですね。むろん、処理費用は含んでいません。でも、原発も処理費用を内部経済化すれば10円を超える、という試算もあるようですが。
自称大分県民が、四国の伊方原発の運転差し止めを求めた訴訟は「具体的な危険があるとは認められない」として棄却されました。
原告の言い分だけを強調している共同通信は、よほどくやしかったのでしょうか。
・「ふざけるな」法廷に怒号
https://news.yahoo.co.jp/articles/d0d74f9ddc9ed5fe2f2198ff865268de3c4fec3d
・中国原発のトリチウムが上限超え 福島第1処理水の最大9倍
https://www.47news.jp/10630542.html
これは大きな釣り針の予感w
なにが釣れるかな?
フクイチで責任者が逃げまくったから、もつれてこじれて面倒くさい沼にハマってるように見えますね。
フクイチは壊れた。
より過酷な女川は無事だった。
フクイチは古くて廃炉すべきなのに特別に延命させてた。
女川は今の基準での標準設計。
原発は廃止すべきか?
女川が無事だったから今の標準設計で問題なし。
事故の責任は?
延命を許可した人たちが負うべき。
原子炉や原子力行政全体を槍玉に上げて責任追及したから、訳が分からんスジの通らん話になるのであって、地震で壊れた部分に絞り来んで責任を取らせていたら(=気が済んでたら)、さっさと他の設備は再稼働できてたように思いますね。
あれだけのことがあって誰も責任を取ってないんだから、そりゃ怒る人は怒ったままかと。
フクイチ延命を認めた人たち全員の首を並べて差し出せばよかったのに、仲間を庇ってしまったか。
と建前正論を書きましたが、個人的には
「延命を認めたのは、東京電力のユーザー全員」
くらいの気持ちですけどね。
東京の人間のために福島や新潟で発電しとるのだから、きちんとケアせんといかんですよ。
責任者の中に当時の民主党政権が入ってないんですけど。
福一原子炉の延命を認めたのは何処でしたっけ?
太陽光もそうですが、強い風が吹いた時しか発電できない風力発電もゴミと言って良いでしょう。
少なくともまともに発電できない太陽光と風力には一切の補助金を出すべきではありません。