自称元徴用工問題の「解決策」を韓国政府が出してきてから1年以上が経過しましたが、次々と韓国に宥和的な政策を講じる情けない日本政府と対照的に、日本企業は現在のところ、韓国に対して「譲歩」しているフシはありません。賠償金も支払っていませんし、財団に資金拠出もしていません。というか、そんなことをしたら、株主代表訴訟の対象になりかねません。本件については日本企業としても、総論賛成であとは放置、といったところが自然な対応ではないか、などと思う次第です。
日韓歴史問題の本質
この数年間、当ウェブサイトにて指摘し続けてきたとおり、韓国が主張する「強制徴用問題」などと称する問題は、存在しませんし、これについては「自称元徴用工問題」と呼称するのが適切である、とするのが当ウェブサイトの一貫した立場でもあります。
いわゆる「自称元徴用工問題」は、韓国で「戦時中、日帝により強制徴用の被害に遭った」と自称する者(いわゆる自称元徴用工)たちが日本企業を訴え、一部企業は韓国の最高裁に相当する「大法院」で損害賠償を命じられるなどしている問題のことです。
これについては①多くの場合、この自称元徴用工らの「被害に遭った」とする主張は誇張、歪曲、あるいは虚偽のものであるとの疑いが濃厚であること、②万が一、それらの訴えが虚偽でなかったとしても、日本企業に賠償を命じることが国際法違反であること――、という、大きく2つの問題をはらんでいます。
ただし、敢えて日本政府の立場に忖度(そんたく)して指摘しておくならば、おそらく日本政府が恐れているのは、現在の国際世論が「戦場での人権侵害」という問題に関し、かなり敏感である(かもしれない)、という状況なのかもしれません。
というのも、日本政府は基本的に韓国の国際法違反を問題視しているのですが、自称元徴用工らの主張自体が誇張、歪曲、捏造である可能性が高い、という点については、さほど真剣に追及しているフシはないからです。
自称元慰安婦問題の不自然さ
実際、自称元徴用工問題と構造がそっくりな問題としては、自称元慰安婦問題があります。
これは、「戦時中(ということは1941年12月8日から1945年8月15日までの期間)、日本軍が組織としての意思決定に基づき、朝鮮半島で少女のみ20万人を強制的に拉致し、戦場に連行して性的奴隷として使役した」という問題のことです。
当たり前ですが、そんな証拠は存在しませんし、状況としても大変に不自然です。「ライダイハン問題」、つまりベトナム戦争当時に韓国軍がベトナムの現地女性に性的暴行を行った事件でも明らかなとおり、戦場での暴行は多くの場合、現地に侵攻した兵士が現地人に対して行うからです。
ただでさえ戦時中に輸送リソースなどが逼迫しているなかで、しかも当時の朝鮮半島の人口の約1%に相当する人々を「強制的に遠く離れた戦場まで連行する」というのは、
もしもそのような行為を日本軍が行っていたとすれば、自然に考えて、日本兵と現地人女性との混血児が大量に生まれていてしかるべきでしょうし、また、そこまで大量の女性が連行されているときに、父親、兄、弟、恋人などは何も抵抗をしなかったのか、といった疑問点も浮かびます。
いずれにせよ、自称元徴用工問題にしても、自称元慰安婦問題にしても、私たちの国・日本は「やっていない」のですから、「やっていない」と正々堂々と主張するところから始めなければなりません。
外務省こそが日本の敵?
この点、外務省の中では、自称元慰安婦問題を巡る『河野談話』という前例もあり、日本政府としては今さら歴史問題を公然と否定し辛い、といった風潮もあるのかもしれませんが、そうであるならば政治の責任で、韓国が主張する虚偽の歴史問題を敢然と否定しなければならないでしょう。
優先されるべきは「外務省の諸先輩方の名誉と尊厳」ではありません。
「日本国民の名誉と尊厳」です。
もしも外務省が「外務省の諸先輩方の名誉と尊厳」に忖度して、韓国に対し敢然と歴史問題を否定していないのならば、外務省こそがむしろ日本の敵でしょう。
本来ならば、日本政府としては、それこそ「外務省を解体してでも」韓国の歴史問題を否定しなければならないところですが、それができていない時点で、自民党政権もなんとも情けないところです(※もっとも、自民党を政権から放逐すれば済むという話でもありませんが…)。
とりわけ自称元徴用工問題を巡って、韓国政府が昨年3月に(解決になっていない)「解決策」を打ち出してから1年以上が経過しましたが、この「解決策」以降、日本政府は(偶然かどうかは知りませんが)「ホワイト国」「レーダー照射」「日韓通貨スワップ」の「3点セット」で韓国を優遇しました。
ちなみにこの「解決策」とは、韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が自称元徴用工らに対し、日本企業に代わって賠償金を支払うという「第三者弁済」スキームですが、これは一連の国際法違反の判決を解決していない時点でそもそもお話にならないものです。
しかも、韓国ではこれ以降、むしろ自称元徴用工判決が相次いでいるのに加え、『自称元徴用工が供託金引出し…日本政府の対韓制裁は?』などでも述べたとおり、韓国司法は日本企業の供託金没収というかたちで、越えてはならない一線を越えてしまいました。
これなど、「恩を仇で返す」という意味では、本当にわかりやすい事例です。
韓国外交部報道官「日本の呼応」
ただ、もしも日本政府の対応が情けない限りのものであったとしても、日本企業はいろいろとシビアに対応しているようにも見受けられます。自称元徴用工問題の「解決策」以降の日本企業の対応は、韓国にとっては芳しいものとは言い難いからです。
その証拠でしょうか、韓国メディア『聯合ニュース』に数日前、ちょっと気になる記事が出ていました。
徴用解決策 日本企業不参加も「進展すれば日本も呼応」=韓国政府
―――2024.03.05 16:24付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースによると、韓国外交部(※外務省に相当)の任洙奭(にん・しゅしゃく)報道官は5日の定例会見で、「徴用問題の解決策」(※原文ママ)発表から1年経過する中で「日本企業が参加していない」との指摘が出たことを受け、「解決策が進展すれば日本もそれに呼応すると考える」と述べたのだそうです。
そのうえで任洙奭氏は財団による第三者弁済方式を巡って、「厳しい国際情勢や世界の複合危機のなか、韓日両国が信頼を回復し両国の協力を引き出したきっかけ」としたうえで、「合理的な方策」だったと評したのだとか。
本当に、呆れてものもいえません。
この手の「日韓の信頼回復」という表現は、日韓関係改善を騙る者たちの口からよく出てくるものですが、そもそも日韓間の信頼を壊したのは韓国の側です。日本と取り交わした約束を破り、国際条約違反の判決を出し、あろうことか日本のEEZ内で日本の哨戒機に火器管制レーダーをぶつけた国です。
いったいなにが、「信頼の回復」、ですか。
しかも、最近だとまた新たな自称元徴用工判決が相次いでいることで、財団の資金も枯渇する可能性が高く、したがって、韓国政府ご自慢の「解決策」とやらも、破綻しそうになっているようです。おそらくこれが、冒頭の「日本企業云々」の発言につながっているのでしょう。
こうしたなかで聯合ニュースの記事では、任洙奭の発言として、こんな記述も出てきます。
「来年の国交正常化60周年を機に韓日関係を一段階発展させるよう外交部としても積極的に努力する」。
これなど、韓国が岸田文雄首相と尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領とのあらたな「共同宣言」でも出そうかとする動きには、警戒が必要だ、という証拠かもしれません(来年の国交正常化60周年まで岸田政権が存続しているかどうかはよくわかりませんが…)。
ちょうど1998年に、当時の小渕恵三首相が金大中(きん・だいちゅう)大統領と共同宣言を出したようなものでしょうか。
しかし、2015年の慰安婦合意にしてもそうですが、韓国とはなにか共同宣言なり、約束なりを取り交わしたところで、意味はありません。政権が変われば(下手したら政権が変わらなくても)、韓国はその約束を破るからです。
日本の外務省はそれこそ何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も韓国に騙されてきた官庁ですが、残念ながら私たち一般の日本国民をこれ以上騙すことはできないでしょう。
日本企業にも訴訟リスクがありますから…
ただ、ひとつ幸いな点があるとしたら、この財団に日本企業は現在のところ、1円たりとも資金を出していない、という点でしょう。日本企業というものは、現在のところ、日本の愚かでウソツキの外務省の口車に乗っている気配はありません。
とりあえず、現在のところは、日本企業のなかで賠償金の支払いに応じている社もなく(※先日、供託金を没収された日立造船のケースは、「日立造船が自発的に賠償金を支払った」わけではありません)、また、財団に資金を拠出している社もありません。
というか、そんなことをしたら、株主代表訴訟の対象になりかねません。今回の自称元徴用工問題「解決策」に関しても、尹錫悦政権が終了すれば、韓国側が反故にしてくる危険性が非常に高いことについても、容易に想像がつくからです。
かつてと異なり、コーポレート・ガバナンスはかなり厳しくなっていますし、企業にもより厳格なリスク管理が求められる今日この頃、下手に財団におカネを払ってしまえば、その決定を下した取締役、執行役、監査委員、監査役なども個人訴訟のリスクを負いかねません。
本件については日本企業としても、総論賛成であとは放置、といったところが自然な対応ではないか、などと思う次第です。
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>日本企業による「自発的な呼応」
その行為により生じる「追認効果」こそが彼らの真の狙いなのかと。
日本側が非を認めたとして、世界中に喧伝されることになるのです。
河野談話然り。慰安婦合意然り。日本側の呼応無しでは成立しない難癖でした。
そもそも、基金に韓国企業だけでなく、韓国政府が参加すれば全部解決なのに、かたくなに税金を投入しようとしない不思議さよ。
ポッケナイナイしたのは、韓国政府なのだから、韓国政府が対応すれば良い。
「韓国は国内問題を自力解決出来ない劣等国家である」という事実を覆せる日はまだまだ見えて来ないですね。
「評価は他人が決めるものだが、自分が変われば変えられる」って価値観は、韓国にはまだまだ難しいでしょうね。
>日本の外務省はそれこそ何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も韓国に騙されてきた官庁ですが、残念ながら私たち一般の日本国民をこれ以上騙すことはできないでしょう。
最近だと多摩動物公園が韓国に騙されてましたね。
韓国側が言う「します」「やります」はまず間違い無く嘘であり、信じれば騙されると確信しないといけないし、「しました」「やりました」と言って持ってきたのをチェックして、問題が無ければ応じるくらいじゃないと。
そうですね。
食逃げは未然の防止が肝要。「お食事の提供は食券を買ってから」ってことですね。
韓国人の「できます。」、中国人の「できました。」、日本人の「できません。」は信じてはいけない・・って話も聞きますね。
そうですね。
韓国も北朝鮮食い逃げの常習犯で、しかも開き直ってるし。
いくら政府が事なかれ主義に没頭しようと、「カネ、カネ、カネ」な企業は
「冗談じゃない、無意味に自腹を切ってたまるか」となるのは至極当然ですからね。
そういう点では頼もしいとすら言えます(ただし、積極的に韓国との縁を切って
くれる訳ではないし、”嫌韓”に味方してくれる訳でもないのは言うまでもありません)。
今後も日韓関係はグダグダになりつつ悪化していくんだろうなあ。
韓国側が何か大きな問題を新たに起こさない限りは、オールドメディアがバタバタと
倒れだすと予測される2030年前後が次のターニングポイントかな?
やはり西岡力氏や鈴置氏みたいな外務省の息のかかっていない人を国政の場に、あるいは地方議会にもどんどんどんどん送るべきですね。エッフェルおばさんみたいな議員はいらない。国益重視で韓国に強い姿勢で臨むべし