動画で見る…「右側通行」だったインドネシア高速鉄道
作ってしまったものは仕方がないのですが、やはりこのままだと完全に孤立路線になってしまうかもしれないのが、インドネシア高速鉄道です。こうしたなか、とある鉄道系ユーチューバーの動画を視聴していて気づいたのですが、インドネシア高速鉄道は、どうやら右側通行らしいのです。四方敬之内閣広報官が昨年9月に述べたとされる、「高速鉄道延伸に日本としては協力できない」とする見解も、何となく理解できます。
目次
スタンドアロン鉄道、リーダーに先見の明があればなぁ…
先日の『開業したインドネシア高速鉄道にスタンドアロンリスク』でも詳述したとおり、インドネシアで昨年10月、東南アジアで初の高速鉄道が中国の協力により完成したものの、「スタンドアロン」状態になるリスクをはらんできました。
この「スタンドアロン」という用語は当ウェブサイトが勝手に作ったものですが、要するに、ジャカルタ・バンドン(のそれぞれの郊外)を結ぶだけの、利便性が高いとは決して言い難い状況のままで、高速鉄道建設が終わってしまう可能性がある、という議論です。
そもそも鉄道というものは、ネットワークを形成しなければ利便性が高いとはいえません。
インドネシアの例でいえば、ジャカルタ、バンドン、スラバヤといった、同国を代表する大都市圏が、ジャワ島でほぼ直線上に並んでおり、もしも高速鉄道を戦略的に敷設することができれば、同国の経済発展に非常に資する、大変素晴らしい鉄道体系を、効率的に作ることができたかもしれません。
都心直結&主要部複々線で
「歴史にIF(イフ)はない」といわれますが、もしも著者自身がインドネシア政府のアドバイザーを務めていたとしたら、同国最大の都市であるジャカルタの中心部と同国第2の都市であるスラバヤの、それぞれ中心部にターミナルを設けたうえで、最初から一部または全線を複々線で建設する、といった手もあったかもしれません。
まず、「ターミナルは可能な限り、都心部に作れ」というのは、鉄道の利便性を高めるうえで非常に大事な心掛けです。
正直、東海道新幹線も大阪側のターミナルが大阪駅ではなく新大阪駅になってしまったがために、新幹線利用客の中には微妙に不便さを感じている人も多いのではないかと思いますが(著者私見)、これに対し東京側のターミナルは東京駅と品川駅に設けられているため、東京側では大変な便益を生んでいます。
先日も指摘したとおり、インドネシア高速鉄道はジャカルタ側もバンドン側も、都心部からかなり離れた地点にターミナルが設けられています。想像するに、建設を請け負った中国としては、利便性よりも「威信」を重視するあまり、巨大な駅を設けるうえでの用地がそれぞれの郊外にしか作れなかったのではないでしょうか。
もちろん、新たなターミナルが設けられることで、そのターミナルを中心に市街地がある程度発展する、といった効果は期待できるかもしれませんが、日本の例でいえば、新横浜、新大阪、新神戸といった「既存のターミナルから離れた新幹線駅」の周辺が非常に栄えているという印象は、あまりありません。
また、後者の「複々線」については、著者の持論のようなものです。つまり、建設した当初はそれほど需要が予測されなかったとしても、利便性が高いものを作れば、利用客が増え、さまざまな種別の列車を走らせるというニーズが出てくるものです。
現在でも東海道新幹線は線路容量が逼迫しており、秒単位で緻密なダイヤを組み正確に運行することで、1時間に最大17本(しかもうち12本は最速達種別の「のぞみ」)という「神業」を達成しているのが現状です。
もしも途中駅の数をさらに絞った「第2東海道新幹線」を東京・大阪間に敷設していれば、ダイヤ設定の幅がさらに広がったはずです。
すなわち、同じ東海道新幹線でも各駅停車の「こだま」、停車駅の多い「ひかり」をもっと増やすことができていたかもしれませんし、北海道・東北・上越・北陸・山陽・九州の各新幹線を「鈍行東海道新幹線」の線路に走らせることができていたかもしれません(この場合でも、「周波数」の問題をクリアする必要はありますが…)。
これをインドネシアの事例に当てはめると、とりわけ人口が多いジャワ島中部は将来の旅客の急増に備え、たとえばジャカルタ・バンドン間は最初から複々線で建設したうえで、以東は複々線の用地を確保しながら建設を進める(あるいはバンドン・スラバヤ間は「北ルート」と「南ルート」を整備する)などの選択肢もあったでしょう。
もちろん、高速鉄道を持ったことがない国が、いきなり複々線で鉄道を建設する、というのは非現実的なことは百も承知ですが、もしも先見の明を持った指導者が2015年の時点でインドネシアにいたならば、インドネシア高速鉄道が現在とはまた違った姿になっていたであろうことは、容易に想像がつく点です。
日本側は協力に否定的
さて、こうした私見はともかくとして、本稿で改めて取り上げておきたいのが、インドネシア側から日本に送られている秋波と、これに対する日本側の冷ややかな反応です。
現在のところ、高速鉄道はバンドン(※正しくはバンドンではなく、バンドン駅から東南に直線距離で約10㎞離れたテガルアール駅)で終わってしまっていますが、報道等によれば、ここから直線距離にして600㎞弱のスラバヤまでの延伸計画は未定です。
想像するに、インドネシア側としては、建設費や開業時期などに関する当初の約束を違(たが)えた中国に対するかなりの不信感があるのかもしれませんが、だからこそ、インドネシアとしてはその続きを日本に建設していただきたい、と思っているのかもしれません。
もっとも、日本政府としては、これに対して冷ややかとならざるを得ません。
もともと高速鉄道を建設するための地形調査などは、日本が実施したものであり、その調査報告を勝手に中国に渡すなどの信義則違反行為を働いたのはインドネシア側ですし、それにより「劣化版新幹線」ができてしまったのも、正直、インドネシアの自業自得であって、日本の責任ではありません。
また、以前の『日本はインドネシア高速鉄道延伸の入札に「関心なし」』でも触れたとおり、現実に四方敬之(しかた・のりゆき)内閣広報官は昨年9月、『ジャカルタ・ポスト』のインタビューに対し、こんな趣旨のことを述べたと伝えられています。
- 異なる国の技術を混在させるとプロジェクトが複雑になる可能性がある。たとえば中国の高速鉄道プロジェクトについては、問題が発生した際、私たちとしては責任を負うことができない
- 私たちはジャカルタ・バンドン間の高速鉄道の構成や鉄道システムについては何も知らないため、日本のブランドを傷つけないよう、協力の可能性を慎重に探る必要がある
- インドネシアは日本の重要な友人であり、ジャカルタ・バンドン高速鉄道の延伸についても支援したいとは考えているものの、それと同時にいかなる協力にも商業的実現可能性を確保するために民間企業の参加を含める必要がある
言い換えれば、「いったん中国のシステムで作っちゃったんだったら、日本としては協力できないよ」、「下手に協力して失敗したら、日本のブランドが傷つくよ」、「だから自分で何とかしてね」、ということでしょう。
『ひろき鉄道チャンネル』で見ると、左右が道路と鉄道で逆転
ただ、これに関し、ごく一部では、「鉄道なんて基本的な原理は同じなんだから、うまくやればバンドン以東を日本が建設することもできるでしょ?」、「アジアの友好のためには日本も一肌脱ぐべきでは?」などと述べる人もいるようですが、これはとんでもない思い違いです。
そもそも高速鉄道は通常の鉄道と比べてかなりの高速度で運行されるため、「速度を出すこと」もさることながら、じつは「安全に停まれること」がとても大切です。
日本は1964年に東海道新幹線を開業させて以来の60年間、鉄道の脱線や追突などによる死者をただの1名も出していないという実績を誇っていますが、これは「新幹線を加速させる技術」ではなく、「新幹線を安全に停めるシステム」の賜物である、とするのが著者の私見です。
こうしたなかで、『ひろき / 鉄道Channel』を運営する鉄道系YouTuberのひろきさんが、実際にこのインドネシア高速鉄道に乗って来たのだそうです。
券売機の様子、乗車するまでの様子、車内の様子、ラウンジの様子など、ひとつひとつが大変興味深いものですが、個人的に興味深いと思った部分が、少なくとも2ヵ所あります。
ひとつは、動画の27分22秒目、テガルアール駅に到着して外に出たシーンです。
駅の周囲にはビルも店もなにもなく、駅前広場を除けば道も舗装されておらず、のどかな田園地帯がひたすら広がっています。日本の田舎の新幹線駅もビックリです。
ただ、これについては先ほども述べたとおり、「駅ができたばかりの頃は駅の周りに何もない」というのは万国共通の現象ですので、今後、テガルアール駅からバンドン中心部を結ぶ交通手段(地下鉄や高速鉄道などでしょうか?)ができ、鉄道が延伸されるなどすれば、状況は改善されるかもしれません。
しかし、もうひとつのシーンについては、なかなかに印象的です。
動画の21分17秒目以降、車窓から外を見ると気付くのですが、インドネシアの道路は日本と同じ左側通行であるにもかかわらず、高速鉄道自体は右側通行です。
もちろん、「道路と鉄道の通行方向が異なる」という国自体はわりと多く、たとえば台湾や韓国などの場合はインドネシアとは逆に、道路は右側通行、高速鉄道は左側通行です(ただし韓国は在来線などの場合、路線によって左右が混在しているようです)。
どうせなら「乗り換え必須」の鉄道を日本が建設したら?
これにはさまざまな経緯もあるのでしょう。
ただ、ひとつだけ確実なことがあるとしたら、もしも日本がインドネシアの高速鉄道の建設の続きを請け負う場合、右側通行で残りの区間を完工させなければならない、ということでもあります。
このあたり、台湾新幹線のように、軌道やトンネル、橋梁などを欧州方式にする一方、車両や通信システムを日本方式にするなど、方式が混在しているなどの事例もありますので、想像するに、新幹線を右側通行に対応させることは、技術的には不可能ではないとは思われます。
しかし、やはりすでに中国が先行して建設し、完工している区間が存在している鉄道の途中から、日本が建設を請け負うというのは、考え方としてはどうにも無理がありそうです。
非常に残念ですが、インドネシアに残されているのは、中国に頭を下げて残りの区間を建設してもらうか、自分たちでバンドン以東に延伸するか、それともジャカルタ・スラバヤ間を結ぶまっさらな路線を日本に作ってもらうか、といったところではないでしょうか。
最後にちょっとした皮肉です。
インドネシアにも財源はないでしょうから、中国がまだ建設していない区間、すなわちバンドンからスラバヤに至る区間を、中国の高速鉄道とは「まったく独立に」、日本が建設する、という考え方などは、いかがでしょうか。
もちろん、直通運転でもされて事故でも発生したら大変ですから、接続の利便性なんて考えません。むしろインドネシア側の単独工事では接続できないよう、新駅もわざと中華鉄道のターミナルから離れた場所に設置してしまえば良いのです。
個人的にはスラバヤ中心部からバンドン中心部に至る路線を日本の新幹線方式(しかも左側通行)で建設し、「中華高速鉄道」にはわざと直結せず、したがって直通運転もさせない、という方式はアリかもしれない、などと思います。
「この先ジャカルタ方面に行かれる方は在来線などで中華鉄道の駅まで行ってお乗り換え下さい」、というのが、最もパンチが効いていて面白いと思ってしまうのは、気のせいでしょうか?
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
>「第2東海道新幹線」を東京・大阪間に敷設していれば
この国ではリニア建設は国是であり反論してはいけないことになっています。
同じだけの技術資源をもっと利口な目的のために使えるはず。そう感じていても口に出さない層は存在しそのマスは大きい。認めてしまうと、JR東海の存在存続意義が壊れ、JRグループ再編機運が生まれてしまう一方で、未来の目算が狂った大企業や中央政府地方自治体の顔色が変わってします。「陳腐なお題目」「空虚な言葉」が壊れてしまう。言っちゃいけないことこそ未来にインパクトする典型的なケースと思います。
リニアでも第二東海道新幹線でもどっちでもいいので作らないと、そのうち東海道新幹線の線路(橋脚、鉄橋)の使用可能期限が来てしまいます。そもそも東海道新幹線は東北新幹線とは違いバラスト敷き(東北、上越、九州はコンクリ+防振ゴム)。バラストだとメンテのコストも手間も大きいし、それ以外にも鉄橋その他含めて直したいところが多い。そのためには止める必要があって、止めるためにはリニアか第二東海道新幹線が必要。どうせ必要なら、高速化できるリニアの方がいい。技術アピールもできるし。
リニアは国外への技術輸出に向けたアピールとして実用化が必要、ということもあります。
また「働き方改革」の影響で、国内流通の5割を賄うトラック業界がこれまでよりもシェアを落とす可能性があります。
トラック業界側の改革や努力で人材を増やすことができれば何とかなるかもしれませんが、やはり何か一つの方法に頼るのはリスクが大きいですから、代替手段としての鉄道輸送も視野に入れるべきではないでしょうか。
ちなみに現時点での鉄道による国内輸送のシェアは、約5%ほどとされています。
戦艦大和というものありました。最後は空を飛んでイスカンダル☆まで行って帰って来ることになっているのですが、現実にこのごろは日本製鉄道車両は滅多に海外に売れてはいないので、アピールだけで意地を張っている場合かとの意見もあると思います。
イギリスの高速鉄道車両は、新造も改修もほとんど日立が受注していますが?
国内製造はそれほど多くありません。
JR各社が車両製造会社を系列化したことで完成車国外輸出のインセンティブが削げているのです。日立の鉄道事業の本社はイギリスにあり欧州市場においては総合的なアプローチをしています。この分野でも最終製品輸出はウエイトを下げつつあると判断していいでしょう。
日本の技術で開発された車両は英国の800系とか米国の首都の地下鉄の7000系、8000系(800両までのオプション有)、ドバイのメトロやエジプト・カイロの地下鉄等で良く売れています。
https://www.japantimes.co.jp/news/2021/05/23/business/corporate-business/hitachi-washington-metro/
但し、先進国の公共交通機関に製品を納める大型の商談の場合にはその国の国内で最低何割以上の価値を製造することが要求されるため、日本から完成された車両が輸出される事は殆どありません。
ヘッドレストカバーが無いのが気になる。
新幹線は、白い布が被せられていて、東京駅到着時に交換されているのではないか?
(もちろん、次期インドネシア大統領が誰になるのかわかりませんが)インドネシア次期大統領は、この高速鉄道をジョコ現大統領からの遺産として引き継ぐのでしょうか。それとも、更にその次の大統領に先送りするのでしょうか。
インドネシア次期大統領は、遷都計画も引き継ぐのでしょうか。(インドネシア経済の問題で、完成先送り、一時凍結もあり得るのでは)
用地さえ確保できれば、ジャカルタ都心部~バンドン都心部~スラバヤ間に新高速鉄道を建設出来ればよいのですが(契約上、新幹線と命名できればなお良し)。
スラバヤ沖古戦場や日本総領事館へも安全にアクセスできるようになりますし。
北海道から来阪した友人が、「今、大阪駅に着いた」と新大阪駅を大阪駅と勘違いしてしまい、大阪駅に迎えに行ってしまったことがあります。
新大阪駅周辺を歩いていると、「新大阪の副都心構想ってうまくいったのかしら?」と思う今日この頃です。
個人的な感想です。
新大阪は、別に不便では無いですね。本文に書いてあるように、微妙なレベルです。無理して、新大阪周辺を開発すること必要も感じません。
ただし、新横浜、新神戸、は何故こんな所に?という程不便な状況が続いて来ました。新横浜は10数年前から漸く周辺を開発する気になったようですが。
これは、地元自治体のやる気の問題でしょう。
新神戸なんかは、神戸市にやる気があるのか?と感じますね。
在来線に日本の中古車両を使用するのも、ジョコ大統領の一存で禁止されちゃいましたね。
日本の中古列車の輸入禁止が決定 | PAGI PAGI POST
https://news.lifenesia.com/?p=27531
インドネシア 「日本の中古電車輸入禁止」 の衝撃 世論は導入望むが 「政治的駆け引き」 で国産化へ | 海外 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/687594
「世論は導入望むが」 なんて言っても、民主的な選挙で選ばれた大統領が禁止したんだから、インドネシア国民が決めたも同然でしょう。少なくとも大統領が交代するまでは、もう何も関わるべきじゃないです。
日本は車両を売りっぱなしにするんじゃなくて、乗務員の教育などもしてあげていたのに・・・。
インドネシアの車掌動作特集!日本式の指差喚呼・乗務員の安全確認! Petugas Pelayanan Kereta (PPK) KRL Commuter Line JABODETABEK – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=8vWAGthrFqY
次期主力車両、中車から新車輸入で確定だそうですよ。
そもそものプランニングから、発注先の選定、施工、完工までの過程で繰り広げられた、日本人からすれば腹に据えかねるドタバタ劇の挙げ句に、営業開始にこぎ着けたインドネシア高速鉄道。当然と言うべきか、これをディスる内容のネット上の記事には事欠きません。ゴマを摺るつもりはありませんが、そういう中で、鉄道の専門家でもない方が書いた本記事、却ってその視野の広さの故に、ただケチを付けようといったレベルではない、核心を突いた指摘がなされた良質のものと感じました。
ノリ鉄と称する人たちが実地に体験して、駅の設備がどう、車内の装備や乗り心地がどうなどと、色々レポートしていますが、そんな類いのことは枝葉末節のはなしでしょう。わずか東京ー静岡間くらいの距離の路線に、インドネシアの経済規模からすると巨額の資金を投入し、それを当面は外国からの借款で賄えたとしても、結局は国民の負担として将来にわたって重くのしかかってくる。これを返済しつつも、お釣りが来るくらいの経済効果が、この高速鉄道から得られるなら、それでOKなんでしょうが、さてどんなもんなんでしょうね。なんだか「負の遺産」になる可能性の方がずっと高いような気がします。「スタンドアローン」もなかなか洒落たネーミングだと思いますが、「立ち腐れ」と言った方がふさわしい未来しか見えないように思えるんですよね。
借款の利率の点で、中国より日本を選んでおいた方が賢明だったなんて言われていますが、どっちにしたところで、高速鉄道が負の遺産化することに、たいして変わりはないんじゃないでしょうか。後で「日本のウマ口に乗って、とんでもない買い物をさせられた」などと恨まれるよりは、当座はトンビに油揚と臍を噛んでも、結果としてさほど悪くはなかったというところに落ち着くのでは、と思っています。
人口の国内大量移動がますます盛んになっている今日、経済効率、インフラ設備のキャパシティ、またSDGs重視といった世の流れからも、一時役割が低下していた鉄道に対する期待が高まり、車両の高速化や新線建設が次々に図られているのが、世界の現状だと思います。
ただしこれは、実際の現地のニーズ、予測される人の流れ、物流への影響、経済へのプラスの効果などが、当該国の政府、自治体がきちんと把握できているというのが前提。その上で、ルートの選定、望ましい鉄道のクオリティ、投入可能な資金の規模などが決定されて、事業者の公募にいくのが常道でしょう。インドネシア高速鉄道の場合は、ルート選定から利用人口、将来にわたる経済効果、損益分岐点の予測まで、日本のコンサル会社がやったようですが、こんなのはよほど現地の事情に通じていたとしても、基本は日本の新幹線の経験から割り出してるんでしょうから、どれだけ当てになるもんだか。
インドネシアの鉄道は、旧蘭領時代に造られたものを、そのまま引き継いだだけのもののようです。バス、乗用車、トラック輸送がメインになる中でその地位がドンドン低下し、維持補修もおろそかになっていたところに、近年の経済発展で道路交通の目詰まりが露わになってきた。そこで、「再び鉄道を」というのは、理に適っているようにも見えますが、じゃあなんでいきなり「新幹線並みの高速鉄道を」ってなるのが、そこのところが不思議なんですよね。サイト主さんが言われるように、従来路線の「複々線化」の方が、遥かに理に適っている。
中国のナンチャッテ新幹線と言えど、ものすごい知財の集積物であることに違いがはありません。そんなものを維持管理できる能力が、インドネシアにあるとはとても思えない。結局、路線の建設から、車輌製造、運行システムの設計、維持、管理まで、ぜ~んぶお任せで、その費用はそっくり請求され、列車走らせるたびに発生が予想される巨額の赤字は、そっくりインドネシア側の負担。尚且つ、これを造ったことで、国内の工業技術水準が上がるわけでもなく、経済波及効果も怪しいとなったら、ウン、なんでこんなもの造ったんだってことになるでしょうね。まあ、最後の下りは、日本に任せたところで、大差ないんじゃないかとは思うんですけれど。
鉄道網強化にあっては隣国韓国がより現実的なアプローチをしています。地勢が日本とまるで異なるうえ元が日本統治時代の朝鮮鉄道で標準軌間です。高速鉄道と在来線が同じ線路を走れますし、客貨分離のため線形を改良した新線を既設路線と並列にもしく短絡してどしどしひいています。早いやつは駅をでるとそっちに転線してすっとんで行く。彼らのほうがうまくやっていると当方は判断しています。
昭和の時代に考えたボクたちのすばらしい未来にいつまでも拘泥し続けるのは問題と考えます。新幹線型車両が売れたのは中国と台湾だけです。日立は欧州鉄道産業界において現実的な地位を固めるため着々とM&Aを推進しています。憎まれてもいるようです。
インドネシアに関して言えば、今現地で走っている中古日本製車両すべてを新造車両の輸出で置き換えることは能力的に無理であり、国内鉄道車両メーカーもお商売として魅力を感じたりはしていないのではと思います。業界通のかた、当方が間違っていれば腹のうちをご開示ください。だからと言ってせっかく広めた「日本文明」を中華が荒らし来るのを看過していいわけでないのはもちろんです。
これ、全く納得できる説得力のある内容です。
鉄道技術は、世界各国、自国に合わせたものを開発しています。それを、他国にシャカリキになって売り込む必要も無いですね。どうしてもと頼まれれば売ってもいいですが。日立は、鉄道を一つの独立した収益を最大化すべき事業としているので、その経営戦略に合わせた展開をしている訳ですね。決して、日本国内の鉄道事業の延長としている訳ではないことがよく分かりました。
中古車両の販売も、原価償却が終わったものを買ってくれていた訳で、日本側としても収益事業としていた訳ではないので、新車両の販売にヤッキになる必要も無いですね。
新幹線は売りにくい商品で商売になかなかできない。
さて、誰かがこれを指摘しているのを目にしたことがないのですが、お安くプレゼントしまくった日本製鉄道車両はインドネシアにとって都市鉱山になったのです。それはすごいですぜ、決まっているでしょう、日本の鉄鋼と日本のアルミニウムがざっくざく。本当に壊れるまで使った廃棄車両が積みあがっている。間違っても中華や天竺に渡してはいけません。
日立がイギリスで何をやっているかは、もしご興味を感じたらこちらもどうぞ。https://www.hs2.org.uk/building-hs2/trains/
>新幹線は売りにくい商品で商売になかなかできない。
1時間に17本も運行し、しかも定時運行すら繊細な鉄道システムを必要とする国は世界には無いでしょう。台湾は、新幹線の維持保守費用の高さに根を上げているようです。高品質なものを作る人に、品質を下げて安いもの作ってと言っても手抜きはできません。
はにわファクトリー様
日本の東海道新幹線は、モータリゼーションが本格的に到達する以前だったから、あれだけ大枚をはたき、世銀から借金してまで、造られたんではないかと思います。だけど、思えばあのとき、名神高速道路も同時に開通させた。
そして東名高速を伸長させ東京-大阪間が新幹線と高速道路で結ばれたのですが、不思議と言って良いのか、その後も新幹線網と高速道路網は、全国の隅々まで行き渡らせずには措くものかの勢いで、同時併行的に造られ続けていますね。しかも、最早新たな新幹線も高速道も、赤字が出るのが必至となった今に至るも。
世界中探したって、こんな国ってないんじゃないかな。日本人固有の「プロジェクトX」に涙するメンタリティが背後にあったりして(笑)。
これは、新幹線・高速道路に始まったことでは無く、日本国有鉄道の時代から、日本の津々浦々に鉄道を行き渡らせるという、採算を度外視した方針が、日本国のDNAのようにあるんでしょうね。この伝で、日本国全体に電気と電話は行き渡らせるという確固たる方針があり、今や、3000メートル級の山小屋でも、電話と電気は使えるという国です。それで、勢い余って日本の何処でも放送が受信できるようにと、皆様のNHKまで作ったのですが、これに関しては、受像機を持っている者と持っていない者との差が出来てはいけないという、当時の公平論者の役人か誰かが、受信料を取ればいいなどと余計なことを考えたものだから、今日まで悪弊が残ることになりました。
日本は、本当に、公平を追求する社会、国民性なのです。
さより様
昭和三大バカ査定という言葉があって、「戦艦大和」「伊勢湾干拓」「青函トンネル」の三つを指すということに後付けでなってますが、元々は大蔵省主計局内で使われた隠語だそうで、国鉄民営化が断行された当時、積み残された課題であった「整備新幹線事業」、つまり東北(盛岡以北)、北海道、北陸、九州の各新幹線事業の着工について、いくら政府自民党が圧力を掛けてこようが、予算を付けるような馬鹿なまねをしちゃいかん、ということでできた言葉だそうです。
でもねえ、みんなもうできちゃったか、できるのが確定しているのが現状。で、できればできたで、沿線住民ならずとも、たいていの人は赤字黒字なんかたいした問題じゃないと思っています。旅行・観光が便利、快適になったんだから、いいものができてよかったじゃないか、が最大公約数的評価。まさに、
>日本は、本当に、公平を追求する社会、国民性
(ついでに楽しさも)ということなんでしょうね。
その意味では、前のコメントで、インドネシア高速鉄道が「負の遺産」になること確実と書いたのは、ちょっと決めつけが過ぎるのかも知れません。
インドネシアの人達のプライドを高め、愛される存在になっていくのであれば、その価値は金銭的デメリットを上回るってことも、考えられないではないですからね。他国人があれこれ言う問題ではないのかなと、ちょっと反省。
伊江太さま
日本は、公平性を追求する国民性というのは、愚直性という意味合いの方が強いと感じています。
それは、例えば、戦前、日本の統治下に置いた地域や国に対して、国民初等科皆教育を実施した事によく現れていると思います。これは、同じ日本になったのだから、内地と同じような政策を取るべきだという、愚直に公平性を追求する気持ちがベースとしてあったからのように見えます。
当時の欧米などの帝国主義国は、こんな事は考えもしなかったでしょう。
それが、今は、南洋諸国や台湾などから、あの頃は良かったと親日感情と共に感謝されているのです。
所が、ある一国は全く逆。無駄にプライドが高いので、感謝すると自分達の当時の惨めさを認めなければならなくなるからなのでしょうか?
採算度外視で公平性を追求する日本の愚直さも、公平に扱われることに拒絶感を感じる民族には、逆効果なんでしょうかね?
東京メトロジャカルタ線とか JR 東日本ジャカルタ支社みたいなのができたインドネシアですが、日本製中古車両が導入された当初のころは現地仕様改造とは最初に投石対策の網を正面ガラスに装着することでした。インドネシアの民度は当時その程度だったのです。この件に関してインドネシアだったかマレーシアだったかで日本人と現地人が鉄道投石を話題にしたおり「そんなことしているうちは先進国のうちに数えてもらえない」と日本人が告げたところ不機嫌な顔で黙られてしまったとどこかで読みました。図星だからです。
今ではインドネシア社会と民心はかつてとはまるで入れ替わった、生まれ変わったかのごとくのはずです。投石はありません。防護網は撤去されました。女性専用車両が当たり前になり、整列乗車も実行されています。以前がどうだったかを知っている向きは昔日からの変わりように瞠目する思いでいるはずです。
さて「東京仕様」の快適な通勤生活に慣れたインドネシア人のこころの内に生まれた変化とはどんなものがあるでしょうか。彼らは日本観光に来ても電車に乗るのにまごつたりはしません。日頃からよく知っているものだからです。
これが日本文明の正体です。
若いインドネシア人は日本に旅行するのも出稼ぎに行くのも恐れたり躊躇などしないはず。そして、日本統治下にあった台湾島や朝鮮半島および満州国版図に住んでいた現地人すべてに同じことが起きていたのです。
中古鉄道車輌で、未開人を文明人に出来るとは凄いことです。この考察を、鉄道車輌文明論として、本を書かれたら如何ですか?
彼ら、誰でも、の側からものごとを考えるという訓練は重要と思います。
そうしておかないとビジネスできない。
中古車両の輸出はうまく行き杉たケースと思います。送り付けた車両に合わせて都市鉄道網を日本仕様に作り替えることに成功したからです。電車でない品をじゃんじゃん買ってもらったはずです。
国内にあっては長持ちし過ぎる電車を船便でなきものとして代わりに最新型を新造すると同時に最新技術を投入するリアルな実験場にできました。
ジャカルタの次期主力車両が日本製車両の中華コピーになったとしても、それはしかたないんじゃないですか。彼らが自分の財布でそう決めるなら。インドネシア社会は新しい段階に入ったのですから。
この件に関してははにわファクトリー さまと
私はずいぶん評価が違います。
中国高速鉄道は日本を騙してパクリでしたが
伊江太さまおっしゃるようにその後は
彼らなりのものすごい知財の集積を
その先進めています。
それにひきかえ韓国さんは、
フランス技術まるごと導入のあとは
最初の発表こそは大風呂敷であっても
もともと彼らには無理な技術改良進歩には挑戦せず
既存方式路線を走らせて、でも、
KTXのは世界一の高速鉄道ニダと
世界に喧伝するのはたしかに彼らにとっての
韓流の『現実的アプローチ』なのだ?とは思います。
しかし、現実は自国の技術で改良するどころか
単にそのままま運行するだけでもおぼつかなくて
高速鉄道史上世界最初の、
正面衝突事故、三重衝突事故などのレコードを
つぎつぎ打ち立ててきており、
ブラジルに『KTXは世界最高ニダ』とあれだけ懸命な
売り込みも事故率の高さのFACTで門前払いでした。
また韓国が誇る得意の劣化こぴい技術での
ウリジナルKTXの山川なるものは、
いまだにオリジナルをこえられずにいます。
言ったモン勝ちと日本のリニアに対抗して
時速500KM運転を発表したものの、
浮上リニアの技術もないのに物笑いの種です。
まあ、韓国さんのことですから、
1昨年の車輪一つ脱落して3キロ走って脱線した
あのみっともない事故ですら、
『車輪なしでの浮上走行記録を打ち立てたニダ』?
とか言いそうなぐらいの韓流特有の有りようだろうなあ
とは思います。
マンボウさま
ご指摘のとおりです。中国も朝鮮も日本に敵わないことを敵愾心の糧として来ました。どんなにコピーっても中身がないから何かのはずみで馬脚をあらわす。どうして設計がこうなっているのかまで理解なんかしようとは決して考えてないのは明白です。これは中華式教育の正体と限界と強く関係してくるのですが、この議論は別な機会に順延したほうがいいと思います。
他国から入手した技術の習得・内製化に関して,中共と韓国とを同列で議論するのは中共の危険性を実際よりも低く見積もる結果となり,とても危険な間違いだと思いますが.
はにわファクトリー さま
ありがとうございます 承知しました。
なお私は、
リニアについては、すでに賛否両論、
賛成意見と、はにわファクトリーさまのような反対意見
での本来の検討がなされるべきだったと思います。
ところが、日本の国民としてまじめに考える
はにわファクトリー様とは違って、
『汚染水』レッテル貼りでの原発風評被害拡散活動家のような
の単に反日の立場からのそんなこんなの人たちを背景に
水問題にかこつけて、妬む隣国ととともに
リニアに反対する韓流川勝知事の主張で
本来の議論がかき消されてきました。
なんせ川勝さんは
「韓半島は地球的世界を包摂し、神が宿っている」
(?笑)などと、静岡県の税金使った
広報誌「ふじのくに」第 37 号に書いてしまっている
ぐらいの韓流汚染知事なのです。
なので
リニアが必要か否かの問題をあらためて
本当に論じる場合には、まずは、
さすがにそれは韓流なんかでは通用しても
この日本においては無謀だろ
と指摘される川勝と韓流みたいなものを
否定してから議論する必要を感じているものです。
迷王さんの言われる通りですね。
>中国も朝鮮も日本に敵わないことを敵愾心の糧として来ました。
後者はともかく、前者については、漢字の体系を作り上げた民族です。そして、我々は、その体系の上に文化と文明を作り上げています。
余り調子に乗るんじゃない、謙虚さを忘れるな。
謙虚こそ、成長の源ですよ。
はにわさんの論調は、浮ついている。
中国自卑感作祟という発言を台湾の討論番組で目にしました(字幕にそうありました)。これを理解することは今の情勢・これから起きそうなことを把握するのにとても重要なことです。
マンボウさま
韓国に欠けているのは「工人精神」と判断しています。緻密さの問題です。
他方三星や LG は優れているではないかとの指摘も当然あります。ですがあれは外国人にやらせている。同じように日本企業ができないのはまた別な議論です。
助かります。頭の中がスッキリ整理されます。
伊江太さんのコメントは、目の前の課題に対して、俯瞰的に頭の中を整理してくれますね。そして、俯瞰する為の情報を過不足無く拾ってくる・集めてくる能力が優れています。
研究職としてどのような仕事をされて来たかが分かります。
私が日本が入札を中国に奪われたと聞いた時すぐに思い付いたのは発注側のジョコ大統領始め決定に関与した幹部連中が中国から袖の下をタップリ握らされたに違いないだろうということ、ハニートラップにかけては他の追随を許さない中国にすれば低民度後進国のトップを丸め込むなど朝飯前。