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もし珠洲原発があれば今回の災害支援に役立ったかも?

もしも珠洲原発が建設されていたならば、災害支援はもっと迅速に行われていたのではないか――。こんな仮説が出てきました。たしかに、この視点は斬新です。原発が地震に対して強いというのは意外と知られていない事実ですが、もしも珠洲原発があったとしたら、今回の地震では原発が女川のような避難所になったりしていたかもしれません。

東京新聞の記事

東京新聞に22日付で、こんな記事が掲載されました。

「珠洲原発があったら…もっと悲惨だった」 能登半島地震で孤立した集落、原発反対を訴えた僧侶の実感

―――2024年1月22日 06時00分付 東京新聞 TOKYO WEBより

東京新聞によると、能登半島地震発生から3週間が経過したなかで、孤立した石川県珠洲市高屋町で、かつて「珠洲原発」の反対運動の中心的人物(記事内では実名)に話を聞く、というものです。

記事によると珠洲原発は関電、中電、北陸電力の3社が1976年に発表した、100万kW級の大型原発を建設するという構想でしたが、住民らの反対運動に加えて電力需要の伸び悩みなどを受け、2003年に凍結されてしまったものだそうです。

東京新聞によると、高屋地区は今回の地震で集落に通じる道路がすべて土砂崩れにより断絶して孤立。海岸線も数メートル隆起し、船の出入りもできない状況に陥ったのだそうです。

さらには、家屋も大半が倒壊し、無事な建物や集会所等も土砂崩れに巻き込まれる恐れがあるとして、住民の多くは車中泊を余儀なくされ、電気もガスも、電話もネットもダメになるなどして孤立したのだとか。

この地区の方々が、大変な不便な強いられたことは、想像に難くありません。この点に関しては、心からお見舞い申し上げたいと思う次第です。

「地震国で原発は危ない」

ただ、今回の地震の被害という話と、この幻の珠洲原発の話が、どうつながるのでしょうか。

記事によると、こうあります。

もし高屋に原発が造られていたらー。●●さんは揺るぎない口調で語った。『もっと悲惨な状況になっていたやろうな、としか言いようがない。止めて本当に良かった』」(※記事中に出てくる人名は伏字にしています)。

そのうえで、「原発の避難計画に詳しい環境経済研究所の代表」も、次のように指摘するのだとか。

今回の地震で珠洲原発予定地は地盤が数メートル隆起した。原発があったら、配管などが壊れて冷却が全くできず大事故となり、逃げられない住民は福島原発事故以上に被ばくした可能性は否定はできない」。

すなわち「地震が多い地域での原発建設は、非常に危険だし、道路が寸断して孤立した場合、地域住民が原子力災害に巻き込まれる可能性もある」、ということでしょうか。

Xのコミュニティノート

なぜこの記事を本稿で取り上げたのかといえば、これがX(旧ツイッター)などで非常に話題になっているのに加え、例の「コミュニティノート」の対象となっていたからです。

まずは、ノートそのものの記述の趣旨を紹介します。

  • この(東京新聞の)記事では、反原発運動を主導した人物の意見の主観を中心に記述され、科学的エビデンスが希薄である
  • 今回の地震の震源地から距離的に近い敦賀原発や柏崎刈羽原発も、さらに能登半島にある志賀原発も、重大な事故は発生していない
  • また、東日本大震災当時の福島第一原発事故は津波による外部電源の喪失が原因であり、より震源地に近かったはずの女川原発には事故もなく、むしろ堅牢な建物は地域住民の避難所となった
  • 記事中でコメントしている環境経済研究所は民間団体であり、同団体の代表も原子力発電所の専門家ではなく、交通権学会に属する、交通や避難、環境学の専門家である

正直、この短い記述だけで、この記事に対する反論としては、十分かもしれません。

この点、原子力発電所には事故のリスクがあることは間違いありませんが、それらの事故は、これまでの原発事故などの教訓も踏まえて準備すれば、ある程度は備えることができます。また、日本は地震国ですが、地震により原子炉の建屋が崩壊するなどした事故は発生していません。

むしろ珠洲原発があった方が良かった!?

ただ、話はそれだけではありません。

Xを眺めていると、こんな趣旨のポストもありました。

原発が設けられていたとしたら、その地区までの道路網が整備され、交通アクセスはむしろ強靭になったのではないか、という指摘です。

この視点は、たしかにあまり見られません。

それに、前回の東日本大震災では、女川原発自体が避難所として機能した、という経緯もあります。原発があれば、むしろ今回の災害で避難所になっていたかもしれません。

いずれにせよ、今回の地震でも支援が遅れたのは、結局、政府の初動が遅かったからではありません。能登半島の地形的な問題と交通設備の問題です。このような視点を気付かせてくれるという意味では、今回の東京新聞の記事も、悪いものではないのかもしれない、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (32)

  • 道路が整備されていたことは間違いない。
    ただ、同時に、外部電源が一時喪失していたろうことも間違いない。
    ついでに、4mも隆起して、冷却水の供給に問題が出ていた可能性もそれなりに大きい。

    たられば議論ですが。

    • 私は基本的には原発推進派ですが,福一事故の反省から津波対策をしていたとしても海岸の4mもの隆起は想定外であった可能性のほうが大きいと推測します.

      その場合,送電鉄塔の破壊による外部電源の喪失の有無とは関係なく,隆起によって海水取り入れ口が水面より上になり陸に上がった魚の如く海水による炉心冷却が不可能になって福一の事故を再現してしまう可能性は十分にあったと思います.

      志賀原発で海岸の大幅な隆起が起こらなかったのは不幸中の幸いだったと言うべきでしょう.

      • これは、冷静な核心の考察ですね。
        断層はどのように動くか分かりません。炉心は強固に造り地盤の変動にも耐え得るように出来るかもしれません。が、原発の泣き所は、冷却水の循環とその電源です。

  • のと鉄道の廃止されてしまっている末端区間 (穴水~輪島:2001年廃止、穴水~蛸島 (珠洲市):2005年廃止) も、原発補助金で自治体にカネがあったら廃止を免れていたかも。

    • 地上設備の強化や道床や軌道強化による高規格路線化や電化も出来たかもしれませんね。
      JR西日本からの乗り入れで特急列車が入線したり、JR西日本とのと鉄道が共同運用で観光列車を走らせていたかもしれません。
      日本人に核アレルギーがある事は分かりますが、何時までもその固定概念に縛られてはいけないと思います。
      核との共存も考えないと日本は廃れるばかりだと思います。

  • 地上設備の強化や道床や軌道強化による高規格路線化や電化も出来たかもしれませんね。
    JR西日本からの乗り入れで特急列車が入線したり、JR西日本とのと鉄道が共同運用で観光列車を走らせていたかもしれません。
    日本人に核アレルギーがある事は分かりますが、何時までもその固定概念に縛られてはいけないと思います。
    核との共存も考えないと日本は廃れるばかりだと思います。

  • こんな、タラレバ話に何の意味があるのかな?
    こんな取材をして、記事を一本書く、鈍な頭の記者。記者なら、現実を取材して書け。

  • 原発の構造物設計に携わった経験から言うと、原子炉建屋などの構造物は一般の建築物よりも数段高い耐震性を持つように設計されていて、大地震が起きると即メルトダウンが起きるような記事はいたずらに不安を煽るものです。実際に東日本震災において福島原発の被害を大きくしたのは津波による冷却用電源喪失が直接の原因であり、構造物自体の損傷による被害のためではありません。
    ただし、原発といえども炉心以外のすべての構造物を超耐震にするのは経済的に見合わないために2次的な構造物は通常のレベルの耐震設計となります。過去にも変圧器(電柱の上に付いているのと違い、2階建てビルのようにデカい)が損傷したりはしています。
    今回の地震でもし珠洲原発があったら問題となったであろう点は
    ・原発沿岸部の地盤が4mも隆起すると冷却用の取水口構造物/配管はいくら高い耐震設計をされていても寸断されてしまうので冷却水を取り込めなくなる可能性はあった
    ・発電所がブラックアウトになっても通常は発電所外の電力ネットワークから電源を得てリカバリーできるが、発電所近傍の送電線も被害を受け寸断されてしまって所内電源を再起動できない。または外部から電力を受ける所内変圧器(通常の耐震クラス)が損傷してできないこともあり得ます。

    記事によっては珠洲原発が計画されていた1970年代は旧耐震法だったから、今の地震には耐えられず大被害になったであろうというものがあります。しかし原発は災害が起きる度にそれを教訓として常に最新の基準(以上)を満たすように耐震補強や津波対策工事等の改修を行っているので、そのような指摘はナンセンスです。

      • こと原発の話になると、上から目線の、それでいて具体的内容が皆無の論調が目立ちます。

    • >冷却用電源喪失が直接の原因であり

      原発の肝は、いつ如何なる時も炉心を冷却し続けることです。これは、高校物理の教科書に書いてある初歩の事です。だから、炉心冷却水を循環させる為の電源は絶対に喪失させてはいけないのです。
      この肝を軽んじた東電の技術者・経営者が無能だったのです。地震の無い米国の原発が、2次電源を地下に置いていた設計を、何の異も唱えず、そのまま受け入れた東電技術者のサラリーマン根性と、東電経営者の技術無知。だから、当時の経営トップ3名、13兆円の賠償を払え、という判決も出ています。

      •  「無能ガー」の論調こそ上から目線。
         民主党政権の無能さは無視ですか。

    • 原発構造物の耐震設計に関する技術的な話をしているのに、何故か政治の話になってしまいます。

      • 技術をどう活かすか、使うかは、経営の問題、原発レベルになれば、国家経営、政治の問題。これくらいの視野を持った技術者を育てなければ、原発レベルの設置は出来ないのかもしれないと、このレスを読んで感じた。技術者と一口に言ってもいろんなレベルのものがいる。

        • 技術的なことを論じている場合は技術の話に限るべきであり、政治やら技術者の資質などを持ち込むと論点がどんどんとずれてゆき発散してしまいます。そのようなことは別のステップでやればよろし。

    • >地盤が4mも隆起すると冷却用の取水口構造物/配管

      これは、冷却の問題が起こった可能性があるという理解でよいのでしょうか?
      緊急停止はできたとしても、そのうち二次冷却水不足で温度上昇を止められない可能性。
      二次冷却水の取り込み不能対策があるのかどうかはわからないのですが。

      4m隆起の想定はないでしょうが、今後は想定することになるのかもしれないですね。

      • 二次冷却水は閉鎖系ですね。二次冷却水を冷やすのが海水のようでした。勘違いでした。

      • 地質調査をしっかりやって、断層の無い所に造るのが、原発に限らず、いろんなものを造る大前提でしょうね。
        更に、どの程度隆起するかも分からないものには、予め対策は出来ません。

      • >これは、冷却の問題が起こった可能性があるという理解でよいのでしょうか?

        その通りで、大事故になる可能性はあったと考えています。
        2次冷却水について:日本の原子炉は主に沸騰水型(福島原発がこの型)と加圧水型が使われており、大雑把に言えば沸騰水炉は原子炉で発生した蒸気を直接タービンへ送るのに対して、加圧水炉は原子炉の蒸気を一旦熱交換器(蒸気発生器)を介して蒸気発生器で発生させた蒸気をタービンへ送ります。2次冷却水はこの放射能を含まない蒸気を冷却する水を差します。区別のため原子炉本体を冷却するのは1次冷却水と呼ばれます。つまり1次・2次の冷却水があるのは加圧水型原子炉の特徴ですが、どちらの形式にしても炉心を冷やすには大量の冷却水が必要なことは変わりません。
        因みに珠洲原発は沸騰水型で計画されていました。

        • >その通りで、大事故になる可能性はあったと考えています。

          ご回答と詳しい解説をありがとうございました。
          加圧水型と沸騰水型を混同していました。そもそも海水の話に二次冷却水という言葉を持ち出したのが誤りでした。

          • 蛇足になりますが。

            熱くなったものは冷やさなくてはなりません。原発は、それに海水を使っている、どちらの方式でも。因みに、取水と排水の海水温の差は2度以下にせよ、とかなんとかの規制があったような。
            車も水冷エンジンとはいっても、その水はラジエーターで空冷しているのです。空冷方式の原発も開発検討されているとか。

    • 原発の構造物設計に関わった経歴をお持ちだそうですので、お聞きします。

      1、設計水平震度係数はどの程度をお使いでしたでしょうか?。地盤補正係数込みの数値で結構です。

      2、以下は原子力規制委員会が公表している、福島第一原発の被災状況と原子炉建屋の構造計算書の抜粋ですが、

      https://www.nra.go.jp/data/000325411.pdf

      当方の見解では、何故に梁と柱を鉄骨鉄筋コンクリート造にしなかったのか?。それと、例えば4号機の壁厚100センチとなってますが、実際は50センチじゃないか?、100センチは柱の厚さと判断できるのですが、建築設計ではそういう考え方をするのでしょうか?。
      (当方、土木構造物の構造計算経験はあるのですが、建築基準での梁・柱構造の計算方法は理解できなかったもので。フラットスラブ構造物では外注したのですが、「これで大丈夫なの?。」と思いました。)

      3、今回の能登半島地震では、志賀原発は想定1000ガルに対して、2826ガルを記録したとのことですが、

      https://news.yahoo.co.jp/articles/bc005b98c152de9d9b0e4a0a6d89971f595c09be?page=1
      (ソース元が怪しいですが。)

      さすがに、2.8倍の地震動の加速度では鉄筋コンクリートは降伏状態ではないのか?、重要配管関係は大丈夫なのか?、と考えてしまいます。
      志賀原発は構造的見地から再稼働に耐えられるのでしょうか?。

      原子炉建屋は倒壊はしないでしょうが、重要配管関係に耐震設備(例えば、伸縮可撓接手など)は使えないでしょうから、鉄筋コンクリートで巻いているとは思いますが。

      • 誤解を避けるために:私は東電の社員でも元社員でもなく、また東電関係会社員でもないため、福島原発の構造設計には関わっていません。主に関西方面の原発構造物の基本計画・設計に経験があります。
        従って、
        >1、設計水平震度係数はどの程度をお使いでしたでしょうか?。地盤補正係数込みの数値で結構です。
        =>福島原発の設計水平震度係数を御聞きでしょうか。当時の構造計算書をお持ちならば必ず記載があると思うのですが、私は上記の通りなので分かりかねます。
        また、旧耐震法で使われた「水平震度係数」の考え方は新耐震設計法に刷新されてからは保有水平体力という、いわば構造物の総エネルギー>地震の入力エネルギーで判定する方法に替わっています(イメージを伝えるためかなり端折っています)

        旧震度法で設計された既存構造物は地震入力加速度の見直しと共に新耐震設計法あるいは動的解析を行うことによって崩壊しないことを確かめられ、耐力が足りないと判定された場合は耐震補強を行うことになります。これが最初のコメント文の「旧耐震規準で設計された原発構造物は最新の地震では崩壊する」という指摘が正しくないとする根拠です。

        >2.当方の見解では、何故に梁と柱を鉄骨鉄筋コンクリート造にしなかったのか?
        =>何故鉄骨鉄筋コンクリート造の方が良いのか書かれていないためよく分かりません。ただ言えるのは、鉄骨鉄筋コンクリート構造は日本独自の構造形式で海外原発はほとんどが鉄筋コンクリート造です。また、原子炉建屋は放射線を遮蔽するために重量コンクリートを使う必要のある部分もあります。

        >例えば4号機の壁厚100センチとなってますが、実際は50センチじゃないか?、100センチは柱の厚さと判断できるのですが、建築設計ではそういう考え方をするのでしょうか?。
        =>ご指摘はP19~20の柱(外壁)の設計の箇所でしょうか? この部分の柱は外壁と一体になっているため壁厚100cmと表記されていて誤解を招きますが、100cmの柱の計算です。壁は壁で別途P27~28で配筋を計算しています。当時はコンピュータも未発達であり、壁と柱を別々に計算して許容応力度内に収まるよう鉄筋を計算する方法を採ったものと思います。現在は壁・柱一体のものは一体として3次元解析(より現実の応力に近くなる)するのが一般的です。

        >3、今回の能登半島地震では、志賀原発は想定1000ガルに対して、2826ガルを記録したとのことですが、さすがに、2.8倍の地震動の加速度では鉄筋コンクリートは降伏状態ではないのか?、重要配管関係は大丈夫なのか?

        =>現在は材料の降伏は即NGというより、上述の通り保有耐力(構造物が吸収できる地震エネルギーみたいなもの)で判断するやり方です。従って降伏後の靭性によるエネルギー吸収も勘定に入れます。また構造物には設計外の余力があります。とは言っても設計1000galに対して2.8倍の地震入力ではかなりダメージを受けると思います。
        但し、原子力構造物はその重要度に応じて耐震クラスが分かれていて、最重要の原子炉建屋の設計地震加速度が1000galだったのかは知りません。耐震クラスの低い(=設計地震力が小さい)構造物、配管、変圧器を含む補器類は2800galだとかなり損傷するでしょうが、原子炉がメルトダウンするという程の影響は少ないと思います。
        「耐震クラス」が急に出てきましたが、原子炉等の設計は実は建築基準法ではなく「原子力発電所耐震設計技術指針(JEAG)」に規定されます。一方で原発内の事務所等の一般建築物は建築基準法で設計されて、規準が入り乱れている上に更に最近は新たな規制が加わってと、馴染みのない方には奇々怪々で分かりにくいものですが、耐震の考え方や原理は建築基準法もJEAGも同じ思想で統一はされています。

        >志賀原発は構造的見地から再稼働に耐えられるのでしょうか?
        =>各構造物の損傷状態を詳細に調査してからでないと判断はつきかねます。炉心の構造物にクラックが入っていたりすると、「補修をして・・・」というのは難しいでしょうが、重要度が高くない構造物は鉄筋コンクリート柱のクラックにエポキシを注入、炭素繊維や鉄板を巻いて補修し再稼働にこぎつけた例はあります(但し火力発電所の場合です)。地域の電源を復活させるための突貫工事でした。余裕があれば勿論損傷を受けた構造部材を可能ならば外して新しくするのがベストです。

        ややこしい上に長々となった割には説明不足もありますが、答えになっていれば幸いです。

      • 攻撃型原潜 様

        返信、本当にありがとうございました。

        当方、以前は上水道関連設備の設計に関わっておりまして、貯水池の構造計算も行っておりました。当時は、許容応力度法での構造計算をしてまして、設計水平震度は0.20で計算しておりました。大震災で0.25でしたので、原発なら0.30位?、との興味からお聞きしました。
        保有水平耐力は、阪神大震災で耐震基準が大幅に変わって導入された概念と記憶しております。終局応力度計算法とも言われて、今までは地震時でも大丈夫!、の前提が、大震災時は構造物の一部破損があっても倒壊しなければOK!、という考え方だったと記憶しています。
        この耐震基準の改正、パソコンの性能アップから、解析ソフト会社が3Dモデル解析ソフトに変更しまして、これがどうしても理解出来なかった当方は現職に転職を決意した経緯もあります。

        >鉄骨鉄筋コンクリート造
        これは、鉄骨の周りに鉄筋を配置するという、タワマンなどに導入されている技術ですが、やはり、ヤング係数、許容応力度等の相違もあるので、最近の技術のようです。建築方面は無知だったもので。

        当時の建築設計では、梁と柱の二次元モデルで構造計算をしていたようで、マンションの床の厚さ15センチ、と聞いて、「薄い」と思いました。土木設計の感覚だと25センチ以上でしたので(土木設計では、梁と柱の概念は橋梁くらいだったです。)当時のマンションの壁開口部(窓など)の角にクラックを見かけたものです。

        志賀原発については、2800ガルといえば約3G、3.11での女川原発でも約600ガルとのことですので盛っているのか?、原子炉建屋上部での数値?、とは思いますが。

        ご返信の内容は概ね理解しておりますが、不明な点はこちらで調べます。
        御忙しい中、懇切丁寧に回答して頂きまして、本当にありがとうございました。

      • すみません、脇からひとことだけ。
        コメント欄でプロどうしのやりとりを拝見するのが久しぶりで、感動しております。
        耐震の考え方の変遷など、陰ながら勉強させていただいております。

  • たまには、津波を受けながらもギリギリでも稼働停止できた”F2”のことも語って下さい。

    • 自分で語れば良いのでは?
      それは兎も角、F2は、炉心冷却水が蒸発し切る前の3日以内に、2次電源を回復したということです。そこには、東電社員・協力会社社員達の必死の作業があったのですが、一番の成功のポイントは、イラカンの干渉がなかったので、自分達だけの考えと方策を実行できたということでしょう。
      然し乍ら、ギリギリの作業だったようです。

  • 原発は電源が無くても緊急冷却が出来るように作らています。
    外部電源や非常用発電設備に問題があっても、緊急冷却は進みます。
    福島第一の場合、1号機はICと呼ばれる熱交換機を高い処に据えて蒸気を還流さる仕組みでした。2~3号機は圧力容器の蒸気を利用して独自の冷却水タンクから水を還流させる仕組みです。
    1号機のICは高いところに設置されていましたが、あの地震でも問題なく作動していました。
    ところが作動12分後に作業員が間違えてICのバルブを閉鎖したために冷却が停止してしまいました。
    IC側の配管に充満した蒸気が一斉に凝縮して水になる時に、ドラム缶がつぶれるような真空状態になり、圧力容器から急激に蒸気を吸いこみます。
    水位を観測していた担当者が、突然ボコボコと水位が下がるのを見て、配管が壊れたと勘違いしてバルブを閉じてしまったようです。
    コミュニティノートにある「外部電源の喪失が原因であり」という指摘は誤りだと考えます。

    • ICは電源なしで約8時間、RCICは直流電源で約20時間稼働できるように設計されていました。つまりその時間内に本電源が回復することを前提に設計されたもので、稼働時間内に本電源が回復しなければ同じ結果になると思います。

      • ご指摘の通りですが、稼働中にベントバルブを開放し、SR弁を短時間開けては注水(消防ポンプで)する事を繰り返していれば、圧力容器が空焚き状態にはならなかったと考えています。
        吉田所長が1号機が冷却されていない事を知ったのは燃料棒破損とほぼ同時刻で、連絡網に問題があったと思います。
        弁やバルブの開放は窒素ボンベの圧力を使って電源が無くても行えます。
        これらを何もしなければご指摘通り同じ結果になります。
        この場ではこれ以上の議論は控えさせていただきます。

  • 東京新聞が鬼の首をとったように反原発の成果だとしているのが癪に障るが、いらんリスクを抱え込まなくて良かったのは事実。今回は珠洲原発建設予定地が高屋地区と今回能登半島地震の震源地のすぐそばといえど、敷地の直下に断層がなければ今の安全基準ならいけると思っていました。ですが最大4mの隆起。有史初だとしても起きたからには同程度の沈降も想定していなければならなず、だいぶ楽観的だったと反省。技術進歩と安全確保を同時に達成しなければならないのが難しいところだ。

  • 反原発反火力な連中が、「じゃあ震災時に能登半島で安定して稼働する発電方法って何?」って質問にどう答えるか興味があります。

    太陽光は山がちな地形から森林破壊や土砂崩れの可能性を高めるリスクがあり、

    水力発電は高低差と水量のある河川が無いので厳しく、

    風力発電は洋上風力発電じゃないと土地が無いし。

    大和堆に大規模な洋上風力発電施設を建て、近寄る西朝鮮や南北朝鮮の連中を魚や烏賊の餌にしちゃって豊かな漁場とするくらい?