保守系の有権者にとっては素敵なクリスマスプレゼントだったのでしょうか。24日に投開票が行われた武蔵野市長選で、自民党などの推薦を得た小美濃安弘氏が左派系候補者に僅差で勝利を収めました。また、立憲民主党の「世襲政治家」である菅源太郎氏も市議補選で勝利したものの、トップ当選ではありませんでした。メディア報道によれば「自民党に逆風が吹いている」はずなのですが…。
2023/12/25 22:51付 お詫びと追記
本文中に事実誤認がありました。大変申し訳ありませんでした。該当箇所を取り消します。なお、どこを取り消したかわかるように、誤っている記述については削除せず、赤字で示します。
素敵なクリスマスプレゼント?
今日はとある宗教の教祖の誕生日であり、わが国でも主に昭和時代以降、赤い服を着た初老の男性が良い子の家々に不法侵入し、何らかの贈答物(いわゆるクリスマスプレゼント)を設置していく姿が各地で目撃されているようです。
こうしたなかで、保守的な性向の有権者にとっては、ちょっとしたクリスマスプレゼントがもたらされたのでしょうか。
松下玲子・前武蔵野市長の辞職に伴い24日に投開票が行われた武蔵野市長選挙で、18年ぶりに自民系の市長が誕生したのです。
武蔵野市長に小美濃氏「市民の声を聴き、訴えたことを着実に実行する」 18年ぶり自民系
―――2023/12/24 23:32付 産経ニュースより
報道によると今回の市長選は無所属新人で自民・公明が推薦する元市議・元都議の小美濃安弘氏(61が、無所属新人で立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社民党、武蔵野・生活者ネットワークが推す元市議の笹岡裕子氏(37)を破り、初当選しました。
武蔵野市のウェブサイト『開票速報(市長選挙)』によると、小美濃氏の得票は27,024票で、26,685票だった笹岡氏に対し、わずか339票という僅差で勝利した格好です。
左派が圧倒的に強かった武蔵野市
これについて、「政治とカネ」の問題で自民党に逆風が吹いているとされるなかで、左派系の候補に339票差にまで詰められたと見るべきなのでしょうか?
状況は、単純ではありません。
そもそも論として、武蔵野市ではそれまでの土屋正忠氏(自民党、のちに衆議院議員)が国政転出のために市長職を辞したために行われた2005年10月9日の市長選で左派系の邑上(むらかみ)守正氏が当選して以来、長らく左派系の市長が勝利し続けていたからです。
邑上氏は2005年の選挙でこそ22,013票と投票総数の44.77%しか得られませんでしたが、2009年10月の選挙では33,668票(全体の69.80%)、13年10月の選挙では25,573票(全体の54.48%)、と、武蔵野市では左派系が圧倒的な強さを誇っていました。
邑上氏が2017年に引退すると、民進党、日本共産党、自由党、社民党、東京・生活者ネットワークから広く支援を受け、「邑上市政の継承」を訴えた松下氏が圧勝しています(図表)。
図表 武蔵野市長選における当選者と2位の候補者の状況(敬称略)
選挙期日 | 当選者 | 2位 |
1999年4月25日 | 土屋正忠…27,590票(48.38%) | 桜井くにとし…25,470票(44.67%) |
2003年4月27日 | 土屋正忠…27,741票(52.09%) | むらかみ守正…22,068票(41.43%) |
2005年10月9日 | むらかみ守正…22,013票(44.77%) | 落合恒…19,698票(40.06%) |
2009年10月4日 | むらかみ守正…33,668票(69.80%) | 田中節男…14,567票(30.20%) |
2013年10月6日 | むらかみ守正…25,573票(54.48%) | 木崎剛…14,203票(30.26%) |
2017年10月1日 | 松下玲子…34,166票(65.58%) | 高野恒一郎…17,933票(34.42%) |
2021年10月3日 | 松下玲子…34,096票(59.24%) | 鹿野あきら…16,430票(28.55%) |
2023年12月24日 | オミノ安弘…27,024票(50.32%) | 笹岡ゆうこ…26,685票(49.68%) |
(【出所】武蔵野市ウェブサイト『武蔵野市長選挙』をもとに作成。なお、選挙によっては候補者が3人いるため、得票率を合計しても100%にならない場合がある)(赤字…2023/12/25 22:51付追記箇所。2021年10月3日執行分の記述が図表から抜け落ちていました。申し訳ありませんでした。)
かなり意味のある勝利
これで見ると、長らく左派系が圧倒的な強さを誇っていた武蔵野市で、保守系が勝利を収め、市長職を奪還したことは、じつに象徴的です。なにせ、前回は松下氏が3分の2近くの票を獲得し、圧勝していたわけです。それが一気にひっくり返り、僅差とはいえ保守系が左派を上回ったからです。
ちなみに投票総数と投票率はそれぞれ、前回が52,099票・44.26%だったのに対し、今回は53,709票・47.46%に上昇しています。武蔵野市民の関心が高まったことが伺えます。
(※2023/12/25 22:51追記:この部分は事実誤認です。「投票率47.46%」は今回の選挙ではなく、2021年10月3日執行分の選挙の投票率でした。今回はむしろ前回と比べ投票率は落ちているため、この記述は削除します。)
もちろん、今回の保守系候補者の勝利をもって、「自民党への逆風は吹いていない」と軽々に結論付けるべきではありません。今回の選挙結果についてはおそらく、武蔵野市固有の事情も影響しているであろうと考えられるからです。
しかし、一般には、「政治とカネ」の問題であれだけ新聞・テレビで自民党が非難され、また、各種メディアの世論調査でも岸田文雄内閣に対する支持率が下がっているにも関わらず、また、前回は左派候補者が圧勝したにも関わらず、左派系候補者が勝てなかったというのは、なかなかに興味深い現象です。
そして、自民党にとってもかなり意味のある勝利だったことは間違いないでしょう。
世襲政治家は市議補選でのトップ当選ならず
一方、同日行われた武蔵野市議補選では、無所属で自民党の推薦を得た山崎たかし氏(15,153票)、立憲民主党の菅源太郎氏(13,894票)の両名が当選しました。
その菅源太郎氏は「世襲政治家」を舌鋒鋭く批判してきた菅直人・元首相の長男であり、しかも菅直人氏は地元・東京18区選出の衆議院議員であるため、菅源太郎氏こそ世襲政治家そのものですが、その世襲政治家である菅源太郎氏が菅直人氏の知名度をもってすら2位に留まったというのも興味深いところです。
冷静に考えて、自民党にあれだけの逆風が吹いているとされるなか、野党系候補者が市議補選で圧勝できなかったこと、市長選で僅差とはいえ敗退したことは、立憲民主党を筆頭とする左派系野党がどれだけ有権者から信頼されていないのかというバロメーターとなるのかどうか。
注目に値する論点のひとつでしょう。
View Comments (9)
投票率を下げて組織票を生かすために、わざとクリスマスイブに選挙日を設定した、前市長の姑息で卑怯な野望は、打ち砕かれたと言っていいと思います。ちょっとホッコリとしました。武蔵野市にも良心は残っていたという事でしょう。
どういう形であれ、このように国民が選挙に興味をもって、投票率が少しでも上がっていく傾向が続いていけばいいなと思います。
前武蔵野市長って、こんなことをやっていたんですね。
「武蔵野市住民投票条例案」に対するよくあるお問い合わせについて(12月21日時点)
https://www.city.musashino.lg.jp/shiseijoho/shisaku_keikaku/sogoseisakubu_shisaku_keikaku/1044160/jumintohyoseido/jumintohyojoreian_otoiawase/index.html
日本は、日本国民の国です。
そのように、憲法にも書いてありますし、それは、国家というものの根幹です。
どの国家でもそういう成り立ちですし、それが、国家というものを造る意味です。
そして、国民を明確にする為に、国籍というものがあるのです。
選挙というものは、国民が、国民としての意思を表明するためのものです。
日本国籍以外のものに選挙権を与えるということは、この世界ではどこの国でも取っている基本的な国家主義(国家というものに関する基本的な考え方)に反する考え方です。
その根本的な所を押さえられない人が、政治家になってはいけないでしょうね。
ソーイエバ元外務大臣の田中眞紀子氏が、国威に影響が出ようとも国民が野党に投票して野党を育てなければ自民党の腐敗体質は変わらん、相当時間がかかるがショーガナイ的な発信をしたそうで…
マトモな仕事出来んヤツに命運託せる程自棄になってへんから無理やわ…
自民党で干された人からすれば、心情的にはわかる話ですけれども、
「自民党ではない保守の受け皿」
さえあれば解決するだけのことなので、角栄の娘もユーザー目線が衰えてますなあ。
「アリは、キリギリスが嫌い」
(高負担高福祉でも低負担低福祉でもどっちでもエエけど、濡れ手に粟なタダ乗りする利権は大嫌い)
というだけの、シンプルな構図なのにね。
もし、武蔵野市長選で左派系市長が誕生し、菅直人(元)総理の息子が市議選でトップ当選すれば、(自民党への逆風として)オールドメディアは大々的に報道していたでしょう。それにしても、菅直人(元)総理の息子が市議選に出馬したことで、(少なくてもネットの世界では)全国的な注目を集めたなのではないでしょうか。(もちろん。これが吉と出たのか、凶と出たのかは別の話です)
そりゃ前市長松下さんは 外国人にも地方参政権を与えようと、強力に画策していましたからね。
「こんな政策継続しそう系の市長が これ以上つづいたら」
という 危機感が 不祥事続出の自民党であっても
当選したといる 理由でしょう。
日本人の権利を喪失させる市長は お断わり
されたということです。危なかった。
「いくら自民党がひどくても、野党はそれ以上にひどくて話にならない」
長年言われ続けてきた事ですが、オールドメディアを始めとする野党支持者は今までそれを
言及する事は避けてきた感があります。しかし最近は我慢できなくなったのか
「それじゃ何時まで経っても自民政権が終わらないだろ!」と悲鳴を上げる様になりました。
やり方を変えた理由は何でしょうかね?オールドメディアの寿命が目に見えて
縮んできたからか、それとも彼らの視点では「第二自民党」でしかない維新や国民が
立憲を脅かしているからか……?
いやあ 嬉しい知らせです (^^)/
立共れ社という、
どぶサヨと韓流をコアとする
そんなこんなの人たちが、
無党派鬱憤層煽り立てでの票上積み狙う
悪しき橋頭堡を打ち砕き潰したことは
多数派国民良識層にとって明るい未来が展望でき、
武蔵野市民の中のまともな方の頑張りに敬意を表します。
一方で、
市議会議員選挙で管源太郎氏みたいなものが
当選してしまっているのはこの地域の病巣が
しぶとく根深いことを表していルト感じます。
これまで与党の『二世議員』を
能力がないとかアホだとか、
鋭く口汚く批判してきた
立共れ社さんたちです。
ただ、そのほとんどの二世議員は
批判しているそんなこんなの人たちや
その支持する特定野党候補なんかより、
仕事で学業で人生で、よほどまともな経歴を
持っていることが実は滑稽です。 (^^)
そして今回、
特定野党の『二世議員』の切り札(笑)として
しかも世にアホカンと知られたその息子が(笑)
ほかの二世議員と違っての
お笑い放蕩(?)の経歴なんかでも
当選してしまったのは、社会にとって
これぞ『二世議員』の弊害の最たる例の決定版!
として今後永く語られることと思います。
もしも菅直人の息子が落選していたら、
「すみません、我々が勘違いしてました。」
「やはり世襲を拒否することが民意なのだ!」
とか、開き直って転んでもタダでは起きない作戦に走ったかもしれません。
なまじ菅直人の息子が当選してしまっただけに、
「世襲」
について、立憲民主党サイドはこれから何にも云えなくなったのですから、カミサマは彼らにとって最悪なバッドエンドを用意していたように、見えなくもないですね。
(笑)