イタリアが一帯一路を「脱退」へ
イタリアが一帯一路から離脱してしまうようです。もともとジョルジア・メローニ首相自身が一帯一路に批判的な立場を取っていたようであり、また、イタリアは今回の離脱で中国との関係を悪化させるつもりはない、などと述べているようですが、ただ、一帯一路にとっては打撃でしょう。そういえば、「日本も一帯一路に参加せよ」などと叫んでいた人たちの見解をお伺いしたいところです。
よくわからない「一帯一路」
一帯一路といえば、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席が華々しく打ち上げた、中国が主導する経済構想として知られています。
ただ、この構想、頻繁に報じられるわりに、その正体については、いまひとつよくわかりません。
中国政府が運営している公式ウェブサイト『中国一帯一路網/BELT AND ROAD PORTAL』を見ても、華々しく「一帯一路」の成果っぽいものを誇るような記事は多く掲載されていますが、肝心の一帯一路の「定義」らしきものは見当たりません。
いちおう、ポータルサイトには個別にプロジェクトがいくつか列挙されているのに加え、 “Chronology of China’s Belt and Road Initiative” というページには、ユーラシア大陸を陸と海で東西に結んでいるイメージの画像(図表)も掲載されています。
図表 一帯一路のイメージ
(【出所】『中国一帯一路網』)
債務の罠に嵌っているのはむしろ中国では?
また、一帯一路関連の融資残高が1兆ドルに達している、などとする報道や調査研究もあるようですが、ただ、この「一帯一路金融の融資残高は1兆ドル」、とする情報自体については、少なくともBISやIMFなどの統計で確認することは難しそうです。
この点、西側諸国では中国の一帯一路金融について、その実態が不透明であることに加え、たとえば「融資を返せなかったときに施設利用権を中国に長期貸与する」などの条項が付されているのではないか、などとする疑念を呈してきました。
ただ、当ウェブサイトなりの見解ですが、中国の融資の不透明さもさることながら、むしろカネを貸した側は、カネを借りた側に対して言いなりになることもあり得ます。
以前の『一帯一路の債務の罠にかかっているのは中国の側では?』などでも指摘したとおり、中国自身が相手国におカネを貸し過ぎて、「足抜け」できなくなっている、という事例も、かなりあるのではないでしょうか。
今度はイタリアが一帯一路離脱
こうしたなかで、再び興味深い話題が出てきました。
イタリアが一帯一路から正式に離脱するというのです。
中東系メディア『アルジャジーラ』、米政府系メディア『ボイス・オブ・アメリカ』など、複数のメディアが一斉に報じています。
Italy withdraws from China’s Belt and Road Initiative, reports say
―――2023/12/06付 AL JAZEERAより
Italy Tells China It’s Leaving Belt and Road Initiative
―――2023/12/06 18:35付 VOAより
これらのうち、とくにVOAの報道によれば、本件について「イタリア政府関係者が明らかにした」として、ジョルジア・メローニ首相が中国側に対し、一帯一路からの離脱を伝えた、などとしています。
ちなみにイタリアが中国と一帯一路に関する覚書を取り交わしたのは2019年、ジュゼッペ・コンテ政権時代のことでしたが、メローニ氏はこれまで、この一帯一路には批判的な立場を示し続けていたそうです。
また、一帯一路に参加している先進国はイタリアのみでした。つまり、今回の離脱によって、再び一帯一路への先進国の参加はなくなった、ということです。
「日本が一帯一路に参加しなければ、日本がアジアのインフラ金融から除け者にされてしまう」、などと叫んでいた人たちの見解を、是非とも聞いてみたいところだと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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今の中国はイーデン条約条約に苦しむフランス革命前夜のブルボン王朝かもしれません。経済は、ボロボロ。共産党による独裁体制はいずれ崩壊するかもしれません。すぐでは、ないでしょうが。
イーデン条約とは 1786年にイギリスとフランスとの間で結ばれた自由貿易協定。産業革命し始めたイギリスの綿製品や鉄鋼製品がフランス市場に洪水のごとき入り込みフランス国内の製造業者に壊滅的な打撃を与えた。この経済の混乱がフランス革命を誘発したといわれている。フランス産のワインは、ポルトガル産のワインを好んでいた当時の英国民には味がなじめなかったとのこと
習近平がぶち上げた一帯一路は自身の失政で構想から10年経った現在、世界中から嫌われ「オワコンの道」まっしぐら。国内では経済は落ち込む一方で、民衆の蜂起を恐れて独裁恐怖政治に勤しんでいる。こんな国に生まれないで良かった。怖いのは八方塞がりになった習近平の台湾侵攻。
むしろ台湾側の「民意」による統一の方が怖かったですね。中国側野党が総統選候補調整失敗してくれて助かりました
DEEPBLUE様
与党民進党の頼清徳候補が蔡英文総統の路線(中国の侵攻を抑止するためアメリカとの非公式な関係を強化すること)継承で日本にとって安心感があるのですが、頼民進党候補と野党国民党侯候補の支持率の差はわずか3%で逆転もありえるようでちょっとヤキモキしますね。
中国側の融資担当の評価が、内容より融資額でなされていたのではないかと推測します。(中国国内のずさんなマンション計画から推測)。
もしそうであれば、本来の担保価値より、はるかに高額の融資がなされており、コンコルド効果で追加融資を余儀なくされて、さらに損害が大きくなっていく未来が予想されます。
バスに乗り遅れたw日本は、高みの見物と行きましょう。
AIIBに比べれば一帯一路はそれなりに成功していたイメージがありましたが、
そうでもないのかな?ま、他ならぬ中国の内部で色んな問題が山積みじゃね……
「中国のやり方が信用できないのでAIIBにも一帯一路にも関わらない」
これを貫き通した日本政府の当時の英断に賞賛を。
そしてそれを覆そうとしたオールドメディアに因果応報を。
毎度、ばかばかしいお話しを。
日本の有識者:「イタリアの代わりに、今から日本が一帯一路に参加すべきだ」
ありそうだな。
まあ、理事職与えられて餌付けされ
日本参加画策エージェント拝命した
鳩ぽっぽさんとかは、
「ただ飯食らい」「役立たず」と
プーさんから責め立てられてこれからも
そうした呆れた主張をするでしょうなあ
これから中国の有事が起こり、今の円安は円高へと方向転換する。
有事には、円が100円に高騰する。
そして中国の一帯一路で借金していたアフリカは踏み倒しをしてくる。
これは、令和6年の初夢です。
*定説のアップデート
全ての道はローマに通ず(一帯一路はそれに非ず)
・・。
後を続けます
カエサル「来た、見た、勝った」
コンテ政権「来た、見た、買った」
メローニ政権「来た、見た、… 辞めた!」
そろそろ「バスガス爆発」になりそうですな。
企業戦士が中国赴任中です。
可哀想! の言葉しか浮かびません。
無事に帰って来いよ~