鳩山元首相は重要な意思決定の際に酒を酌み交わした?

大事な意思決定をするときに酒を酌み交わす――。そんな感覚は、正直、あまり一般人には理解できない部分ではないでしょうか。もちろん、「ノミュニケーション」もときとして大切ですが、それは「ここ一番」の意思決定をするときに行うべきものではありません。こうしたなか、『現代ビジネス』にちょっと興味深い記事がありました。

なんだか、本日はやたらと『現代ビジネス』系のメディアを参照している気がします。

ただ、これは是非ともツッコミを入れておくべきではないか、と思えるような話題がありましたので、ごく簡単にではありますが、「緊急で」取り上げておきたいのが、この記事です。

鳩山元首相が絶句した…自分を「裏切った」腹心の官僚が、じつは忠誠を誓っていた「ヤバすぎる相手」

―――2023/11/20 06:33付 Yahoo!ニュースより【現代ビジネス配信】

記事タイトルでも何となく想像がつくかもしれませんが、鳩山由紀夫・元首相が在任期間中に、「腹心の官僚」から「裏切られた」とする証言です。

記事のテーマ自体は「首相や官僚でさえもよくわかっていない『ウラの掟』が存在する」、などとする主張であり、これ自体に「ツッコミを入れてほしい」というご要望はあるかもしれませんが、残念ながら、この部分については本稿では取り上げません。著者自身もそこまで暇ではないからです。

それよりも、鳩山政権が崩壊する直接のきっかけのひとつが、沖縄県の普天間飛行場の県外移設という事実上の公約を、鳩山氏自身が破ったことにあるのですが、これに関してちょっと興味深い「裏話」があったのです。注目したいのは、こんな部分です。

鳩山政権が崩壊に向かった最大のターニング・ポイントは、2010年の4月6日だったと言えます。<中略>外務省、防衛省から幹部を2人ずつ首相官邸に呼んで秘密の会合をもった。そして以前から温めていた『徳之島移設案』という最後のカードを示して、協力を求めたのです」。

みんなに官邸に来てもらって、そこでお酒も出したんですよ。二合ほど呑んだと思います。ずいぶんと前向きになってくれて、『やりましょう!』というとてもいい雰囲気になった」。

…。

久しぶりに、驚きました。

2010年4月6日といえば、今からもう13年半も前の話ですが、この記述が事実なのだとすれば、これも鳩山元首相という「人となり」を知るうえで、極めて重要なエピソードであることは間違いありません。政権の命運を握る重要な意思決定の場で酒を飲むというのは、センスがずいぶんとズレているからです。

もちろん、普段から気心が知れた相手と重要な決定を下す際に酒が入ることはよくありますし、酒は仲良くなる「ノミュニケーション」の手段となることもあります。

しかし、政治家コミュニティに属しているわけではない、単なる担当者に過ぎない官僚と大事な決定の際に酒を飲むというのは、やはり個人的には違和感を覚えます。

ちなみにこの「酒を酌み交わしながら」で真っ先に思いついたのが、とある活動家の「歴史に残る名言」です。

安倍晋三総理大臣が推進した安保法制に反対する活動家のひとりが、「中国が侵略してきたら、話して、遊んで、酒を飲み交わし、もっともっと仲良くなってやります」などと叫んだのです。

ロシアによる侵略をうけるウクライナに行って同じことを言えるのか、という気がしてなりませんが、やはり現実から著しく遊離した人たちの発言は似ているのかもしれませんね。

いずれにせよ、著者自身は鳩山元首相に加え、菅直人・元首相らが日本史に残した意義とは、「首相なんて誰がやったって一緒さ」、という無責任な放言を日本から駆逐したことにあると考えています。

マトモな有権者であれば、いくら自民党に不満があったとしても、自民党に代替し得るまともな政党が育っていないなかで、「自民党にお灸を据える」、などと叫んで妙な投票行動をとることの危険性を強く認識したのではないでしょうか。

この記事は、そのことを改めて痛感するエピソード、といえるのかもしれません。

※本稿は記事公開後に加筆し、17:45時点で再公開しています。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. さより より:

    >「首相なんて誰がやったって一緒さ」、という無責任な放言を日本から駆逐した

    これは、鋭い洞察。あれから、マスゴミの煽りも少しトーンダウンしているかも。これが、日本国への貢献とは?ただ、こうでも考えなきゃ収まらないですね。しかし、
    払った代償は余りにも大きかったような気もします。

  2. 七味 より:

    >ところがその翌日(4月7日)、朝日新聞の夕刊一面に、その秘密会合の内容がそのままリークされたのです。

    ご紹介いただいた記事についてだけど、1月には徳之島案が出てたみたいですね♪

    普天間の移設候補地 鳩山首相「徳之島も選択肢の一つ」
    https://www.asahi.com/seikenkotai2009/TKY201001270154.html

    あと鳩山元総理自身が、5日には徳之島は違うって言ってたみたいなのです♪
    「徳之島への移設指示」は「勝手な憶測」5日の鳩山首相
    http://www.asahi.com/special/hibi/TKY201004050328.html

    どういうことなのでしょうね♪
    (´•ω• ก`)??ハテ

    それはそうと、
    >メンバーのなかに、明らかにこの案を潰そうと思っている人間がいる。
    っていうより、お酒飲んで上機嫌になって、口が軽くなっただけじゃないのかな?

    ほんと、総理が誰なのかはとっても大事なことだと思うのです♪

  3. 元雑用係 より:

    「酒まで一緒に飲んだのに裏切るなんて信じられない」
    いい人、なんですねぇ。

    徳之島案を最初に掘り起こしたのはたしか、河野太郎のブログだったと思います。確かこの記事。

    河野太郎ブログ 2010.1.26
    https://www.taro.org/2010/01/post_702.php
    >いよいよ政府は辺野古をあきらめるのか。徳之島にといって不可解な行動をしている与党議員がいるそうだが、

    その後マスコミ挙って大炎上でにっちもさっちもいかなくなりました。
    まあ、徳之島案の是非はともかく、与党側の脇が甘いのもあるにせよ、敢えてリークして政権の政策遂行の足引っ張るのはどうなんだろう、と思った記憶があります。

    1. 元雑用係 より:

      掘り起こしたというより、マスコミからのリークを受けていたかも知れませんが。報道より先だった記憶があります。

    2. 元雑用係 より:

      13年前の記憶が曖昧だったので気になったので確認しました。

      1月末に報道があったときにはそれほど盛り上がっていなかったようです。政府も徳之島案の存在を認めていなかった。
      1月から国会開会中で3末に5月までに結論を出すと宣言してからロックオンされ、その中での4月の「結局徳之島」の露見だったようです。その後は4/18の徳之島反対デモ。
      ただ、4/7の記事は見つかりませんで、朝日の初出は4/13でした。

      ただ、迷走ぶりを見るとその暴露がなかったとしても無理だったんじゃないのと言う気はします。

      思い返せば懐かしいニュースが並んでいました。

      3/31 ロイター・普天間問題の迷走追及した野党、鳩山首相「腹案がある」=党首討論
      https://jp.reuters.com/article/idJPnTK037714720100331
      >5月末までに政府案を固め米国と新しい移設先に理解を求めることを明言した。

      4/13 朝日・普天間問題で首相、米大統領に「5月決着へ協力を」
      https://www.asahi.com/seikenkotai2009/TKY201004130216.html

      虚構新聞・普天間移設 鳩山首相「ムー大陸を検討」
      https://kyoko-np.net/2010031801.html

      参議院:鳩山連立政権における普天間飛行場移設問題~その経過と国会論議~
      https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2010pdf/20100801023.pdf

    3. 元雑用係 より:

      追加

      4/18 徳之島、三たび大規模集会 1万5千人「基地いらない」
      http://www.asahi.com/special/futenma/SEB201004180017.html

      徳之島側でも政権と交渉していた政治家もいたようですが、とても話が進められる状況ではなくなったと聞きました。
      後日、首相が入院加療中の徳田虎夫の病室に押しかけて調整を懇願したものの、「こんな状態じゃ何もできん」と追い返された珍事もありました。

      4/28 首相、徳之島移転で具体案提示 徳田虎雄氏は「無理」
      http://www.asahi.com/special/futenma/TKY201004280126.html

  4. たろうちゃん より:

    はて?鳩山由紀夫と岸田文雄、、どっちがアホか?悩むなぁ。どっちだろ?

    1. naga より:

      これはさすがに鳩山でしょう!?

      1. たろうちゃん より:

        やっぱ鳩山由紀夫かぁ。うーむ、、岸田も馬鹿界隈では期待のホープ。仕方がない。俺も鳩山に一票!

    2. 引っ掛かったオタク@悲観的 より:

      きっしー:総理大臣になって人事をしたかったヒト(御本人自白)
      ルーピー:政権とって “エライ” 人をやりたかったヒト(行状より推測)
      ※関西では「エライ」という表現には複数の意味有る模様

      ナカナカの好勝負?結果はきっしー引退後のお楽しみ??
      イヤ~デモ国益の毀損度は今もって勤しんでおられるルーピーが圧勝???

  5. たろうちゃん より:

    ついでに、中国が侵略してきたら話して、飲んで、騒いで、遊ぶんで(仲良くして、理解してもらう)と言った、お目出度いお花畑脳の活動家って誰だろう。

    1. 雪だんご より:

      元SEALDSの奥田愛基氏ですね。彼はその他にも活動中の名言として
      2015年7月に「来年には安倍政権とかなくなってるから」とツイートしました。

      今では彼はすっかり目立たない。どこで何をしているのやら?他のメンバーも
      その後「大企業で奪い合いになる」(音楽学者の増田聡氏のツイート)なんて事は
      なかった様ですし……

      あれ以来SEALDSっぽい団体が出てこないのは、世の中の為には良い事かも
      知れませんね。

    2. たか より:

      福岡市にある西南大学の学生だったと思いましたが。

  6. 匿名 より:

    >中国が侵略してきたら、話して、遊んで、酒を飲み交わし、もっともっと仲良くなってやります

    偏差値28軍団ですねわかります志位るずですね

  7. 酔っ払い より:

    なるほど、「最低でも県外 ..」 ってありましたね。それで、どうして徳之島がダメになったのでしたっけ?

    1. たろうちゃん より:

      地元の反対じゃないのけ?(小田原弁)

  8. 世相マンボウ* より:

    私達からは 
    同じ日本人とは分類されてほしくない
    チンピラ宇宙人の鳩ポッポさんなのですが、
    鳩ぽっぽさんがいったい誰と酒を酌み交わしたかは
    報道では私は不明で知り得ません。

    ただ、
    今のロシアの蛮行侵略端緒を拓いたクリミヤ侵略の際
    西側トップ経験者として唯一現地を違法に訪問し
    プーチンの肩を持った発言を発信してしまっており
    「ならず者とは友愛結ぶ」のが信条の
    鳩ぽっぽさんなのですからプーチンと
    兄弟の契りぐらい交わしていても
    不思議はないでしょう。

    あっという間に叩き出された韓流政党民主党の
    ミスター民主党御大将で敗軍の将鳩ポッポさんは
    壇ノ浦で正々堂々戦って散った武家の平家と違って
    半島におめおめと逃れて盃交わすどころか
    土下座で倒日の同志とまで讃えられているありようは
    武家の平家と違って山賊追い剥ぎのようだと言われています。

    中國の不良資産を日本に擦り付け画策AIIBの
    日本騙し勧誘エージェントとして白羽の矢を賜った
    鳩ぽっぽさんですが、理事職という撒き餌はついばんでますが
    盃まで交わしてもらえたかは謎です。

    1. さより より:

      世相マンボウ*さま

      冴え渡っていますね。
      百田を通り越して、神田伯山に迫っているかも、です。
      次回も楽しみしています。

      所で、_ から*へ変わったんこむですか?

  9. たろうちゃん より:

    地元の反対じゃないのけ?(小田原弁)

  10. hiro より:

    普天間基地は「海兵隊」が運用する飛行場。

    海兵隊は、「陸上」「海上」「航空」戦力を保有しており、それらが統合した訓練ができる施設が不可欠(それが沖縄本島北部訓練場など)。

     航空戦力という海兵隊の一部でしかない部隊を、遠く(徳之島など)に移動するのは、アメリカ海兵隊にとってまったく意味がない。
    よって、普天間基地は①現在の宜野湾市固定。
              ⓶沖縄本島のどこかに移設。(辺野古ですね。)
    という選択肢しかありえない。

    また普天間基地問題に関して必ず出てくる「嘉手納基地との統合」案
    は、①もともとアメリカ空軍の重要施設(部署がちがう)。
      ⓶米軍航空機にとっての、天候等の理由による代替の航空基地(滑走路)の確保。
    の観点からますますありえません。

    ・・このようなことは鳩山政権から軍事オタクの間では常識でした。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告