「株価の下落は許さない」と「命令」することは可能か
物価に「上昇するな」と命令した人がいたように、株価に対し「下落するな」と命じることはできるのでしょうか。どこかの政党は「憲法で戦争を禁止したら戦争が発生しないとする珍説を唱えているようですが、憲法に「株価下落を禁止する」と規定しておけば、株価は下がらないものなのでしょうか。こうしたなか、隣国では株価指数構成銘柄の株式について、ネイキッド・ショート・セリングと呼ばれている行為を来年6月まで禁止するのだそうです。
2023/11/06 21:00追記
肝心の「参考図表」が抜けていましたので追加しています。
ミニいんちき評論
「こんな、夢を見た」――。
為替相場と同様、株価というものも、上がったり下がったりするものだ。
株安になり過ぎれば、株式を買った人が損をするかもしれない。現在の日本では「貯蓄から投資へ」を合言葉に、政府が音頭を取るかたちで、人々に株式を買わせようとしているため、「株式を持っていたら損をするかもしれない」というのは、大変不都合な事実であろう。
よって、株式を持っている人が、絶対に損をしないような法制度を、国が主導して作ることはできないものだろうか。
真っ先に考えられるのは、株価の下落を禁止することだ。
「株価が下がり過ぎるとダメだ」、と、最高権力者が市場に命じれば良いのではないだろうか。
「株価に命令するなんて、ばからしい」。
そう笑う人は、もう少しちゃんと勉強してほしい。「物価に命令して物価上昇を止めるべき」、「物価上昇に利下げで対処する」、「流通システムを禁止することで物価上昇を強制的に止める」、といった事例は、古今東西、さまざまな事例があるからだ。
たとえば、山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士が運営している怪しいウェブ評論サイトで、トルコの大統領であるレジェップ・タイイップ・エルドアン氏、日本の元老中である水野忠邦氏(※故人)、そしてベラルーシの大統領であるアレクサンドル・ルカシェンコ氏の事例が取り上げられている。
『「価格上げるな!」ベラルーシの斬新なインフレ抑制策』という記事が、それだ。
とりわけ、「インフレ期なのに『利上げ』ではなく『利下げ』を行う」(エルドアン氏)、「流通システムを阻害して却って物価上昇を招く」(水野氏)、「物価上昇を『命令で』止める」(ルカシェンコ氏)などのアプローチは参考になるだろう。
そうだ!株価に命令すれば良いんだ!
株価だって、権力者が「上がれ!」「下がるな!」などと命令すれば良いのではないか。
あるいは、もう少しテクニカルなことを述べておくならば、単純に、株式については「買った値段以下で売ることを禁止する」という対策でも良いのではないか、といった議論は成り立つが、もし念には念を入れるなら、参考になる事例がある。
日本共産党が「世界の宝だ」、などと述べる憲法第9条が、それだ。
日本国憲法第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
日本国憲法第9条の第1項自体は、いわゆる「不戦条約」(1929年7月発効:昭和4年外務省告示第64号、英語では “The Kellogg-Briand Pact, 1928” )第1条の条文をほぼそのまま踏襲した規定であり、この点について新味はない。
しかし、日本国憲法の斬新な点は、第2項にある。第1項の目的を達成するために、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」としたうえで、「国の交戦権は、これを認めない」と宣言しているわけだ。
現実に日本国憲法公布以降、少なくとも日本の本土が空襲、爆撃などの大規模な軍事攻撃の被害に遭ったという事実はないが、これについては「憲法第9条のおかげだ」、などと主張する人は数多くいる。あなたはこれに反論できるだろうか?
もっといおう。
憲法を改正し、「株価下落の禁止」を憲法で明示してはどうか。
日本国憲法第9条の2 私案
日本国民は、正義と秩序を基調とする金融市場の平和を誠実に希求し、市場の暴力の国権の発動たる株価急変と、株価変動による威嚇又は行政力の行使は、市場変動を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、金融庁その他の規制当局は、これを保持しない。株価の下落は、これを認めない。
結局、武力で守ってませんかね?
【参考】世界の宝(である憲法第9条)を(武力で)守れ
…。
どうでも良いのですが、いつもこの「世界の宝を(武力で)守れ」という図を描いた方は、本気で憲法第9条の条文を「世界の宝」だと思っているのでしょうか?
謎です。
さて、冒頭からこんな駄文を掲載したのには、理由があります。ブルームバーグに5日付で、こんな記事が掲載されていたからです。
韓国、株式の空売り禁止へ-24年6月まで
―――2023年11月5日 18:23 JST付 Bloombergより
ブルームバーグによると韓国金融委員会(FSC)は韓国株価指数の構成銘柄について、空売りを11月6日から2024年6月まで禁止する措置を講じるのだそうです。
一般に空売り(からうり)とは、現物株式を持たない状態で株式の売り注文を出す行為を指します。
ブルームバーグによると、FSCは声明文で「ネイキッド・ショート・セリング」(裏付けとなる株式を借りずに行う空売り)が「公正な価格形成を損なう懸念がある」、などと指摘。株価指数の構成銘柄について、借株による取引が禁止されると説明したのだとか。
株価形成を歪めることになりませんかね?
なかなかに、斬新な規制です。
一般にショート・セリングは投機取引(スペキュレーション)の手段としても使われますが、個別株式のショート・セリングなどは、リスクヘッジ手段としても多用されるものです。
日本の場合だと価格ヘッジ手段として個別株式のコールの売りとプットの買いを組み合わせたシンセティック・ショート、トータル・リターン・スワップ(TRS)などのデリバティブも盛んに用いられていますが、現物株式のショート・ポジションも、こうした株価ヘッジ手段のひとつに過ぎません。
もちろん、ショート・セリングは株価下落要因のひとつとなることもありますが、むしろ株式市場の価格形成手段の多様化という意味があります。
「それを禁止したら株価が下がらなくなる」というのは、「株仲間を解散したら物価が下落する」というのと同じレベルの発想ではないか、という気がしてなりません。
寧ろヘッジ手段がなくなると、株価の変動が激しくなったりしないものでしょうか。
いずれにせよ、本件についても私たち日本の国の話ではありませんので、あくまでも第三者として眺めるのが正解、といったところでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
空売りって、考え方は、商品先物取引きと同じ考え方で、出来た仕組みじゃなかったかな?
商品や為替の先物予約が出来なくなったら、安心して商売出来ないんじゃないのかな?
またやってる。
以前にも空売り禁止やってたね。
日本の場合は株価を上げる操作をやっている。
今は日銀のETF買い。
90年代はPKO(Price Keeping Operation)
やっぱカネあるんだね。
そうなんですよね。
売りを禁止するんじゃなくて、自分で買えばいいんだね。
早速、教えてあげなくちゃ。
えっ、オタクで買ってくれって?
やっぱり、近づいちゃいけないねぇ。
リスクヘッジや利益確定のための空売りも禁止なのでしょうかね?
少し前の日経新聞に、最近海外の投資家が日本の次に韓国市場に注目しているなんて言う記事がありましたが、本当なのでしょうか?
ほんと。その通りですよね。
空売りは、投機目的ではない株主にとっての安全装置なのにね・・。
・・・・・
「”注視”している」の意図的な誤用のようにも見えますね。
空売りを禁止する理由は外資による売り崩しを防止するためだと思う。
対抗するだけの資金力がないのでやられ放題になりKOSPI暴落というのを恐れてんじゃないかな?
空売り禁止なんてやったら、ヘッジファンドは無論のこと、もう少し行儀のよい機関投資家にだって、その株式市場に参入する魅力は失せてしまう。
それ分かってて、敢えてやるのだとしたら、そういうプレイヤー、とくに海外勢が、放っておくと大量の空売りを仕掛けて国内資金を引く抜いたあと、手じまいしてもう市場に戻ってこないという事態を、本気で心配しているってことでしょうね。
空売り禁止。やろうがやるまいが、KOSPI市場は当分冬枯れの時代と、市場開設者自体が覚悟してるってことかな。
株価に限らず価格は需要(買い)と供給(売り)で決まる。
買いたい人は手持ちのカネ以外に金を借りても買える(信用買い)
売りたい人は今持っている株を売るだけでなく、持っていなくても株を借りて売ることができる(空売り)もちろん借りた株は一定期間内に返す。
需要と供給は層が厚いほど適切な価格が成立する。
あれ、どこかの国も似たような話がありませんでしたっけ。
https://jp.reuters.com/article/health-china-shortselling-idJPKBN1ZW0UD
宗主国の真似をやらなくてもいいのに。
あ、上のリンクは2020年のものですが、先日も国家安全省が「警告」を出していましたね。
権威主義国家や民主主義が未成熟な国ほど 「政府が命令すれば、そのとおりになる」 という発想が強いような気がする。中国では 「受験競争の過熱」 を理由に教育産業を規制してしまったし。ただ、そういう国に限って、庶民は 「上に政策あれば、下に対策あり」 で生きている。
日本でも、自治体レベルでは結構やっていたりする。昔はほとんどの都道府県で、公立高校に 「学区制」 を導入して、進学校に受験生が集中しないようにしていたし、最近だと香川県の 「ゲーム規制条例」 などがそう。
みなさん心優しい方ばかりで
空売り規制で韓国さんの株式市場が寂れて
経済崩壊が早まるのではないかと
あんな韓国さんの心配をしてあげてるようです。
でも、大丈夫ニダなのだ。
これも弱小派閥で総理にしがみつきたい
日本の岸田にスワップ早く結ばせて
日本円の信用でウォン崩壊気にすることなしに
ウォン安誘導で海外市場で日本製品駆逐しての
韓国経済復活ウッシッシ路線への着実な一歩ニダ・・・
なのではないかと私は心配しています。
経済は誘導するものでなく命令するものという姿勢に水野忠邦を感じました。目標達成の手段が斬新なアイデアである。
空売り禁止の日にKOSPIが急騰している。
これは空売りがないので安心して買える=>買いが増える
空売りのポジションを持っている売方は「踏み上げ」られるのを恐れてあわててポジションの解消(つまり買い)を行う=>買いが増える
この2つで上がっているのだろう。
空売り禁止とは「ここまで上がったらあとは下げしかない」と考える人が「下げ」に賭けるのを禁止しているということ。
空売りを禁止すれば、ここは不健全になり衰退します。 数十兆円の資金が流出しますね。
ここで何度もコメントしていますが、基本ギャンブルの投資なのです。 妙に株高なおかしな企業がありました(決算発表もグダグダ)3年くらい前、証券会社様は個人投資家を釣る目的でやっていたもでしょうね(笑) TOTO。 大損害でした。今は私が当時思っいた以上の下の株価です。 判断は正しかったのですが、ここ(個人)を狙う仕掛けだったのでしょうね。
まぁ~、それもアリやな。
な~に、証券会社のサイトで「売り」ボタンを表示させないようにして、空売りどころか株式の売却そのものを物理的に阻止するなどというゴーカイな手段に訴えた某国に比べればまだ生温い。
とは言え、隣国では「供給を絞り込めば不動産価格は下がるに違いない」という謎理論を振り回し、5年間で不動産価格を2倍にするという偉業を達成した政権もありましたから、空売り禁止くらいは可愛いものです。大丈夫、そもそも韓国金融市場を信用してたのなんて、ジム・ロジャース氏くらいのものでしょうから。