相変わらず「事件現場からの中継」を強行するテレビ局

いつのころからか、「マスゴミ」という表現がすっかり世の中に定着してしまいました。「マスゴミ」には、「ゴミのようなコンテンツを垂れ流すメディア」という意味だけでなく、「取材手法がゴミのようだ」、という意味合いも含まれているのかもしれません。こうしたなか、昨日は埼玉県の郵便局で発生した立てこもり事件の現場付近で、ちょっとしたハプニングがあったようです。

とある人の日記

東京都内に住む、とある30代男性(仮)が、こんな話を教えてくれました。

私は先日、都内の某ホテルに新装開店したビュッフェ・レストランに行ってみた。おそらく普段はホテルの朝食会場で、昼間はビュッフェ・レストランとして一般開放しているのだろう。開店記念キャンペーン中で少し安く、また、物珍しさもあり、レストランは長蛇の列だ。

その列の途中で、某大手全国紙が山積みにされているのを発見した。「無料紙です、ご自由にお持ちください」と書かれている。

ただ、私自身は普段、新聞を読まない。最新の話題はスマートフォンのアプリなどで十分だ。レストランに並んでいる人たちも、その無料の新聞に関心を示している様子はなく、私の前にいたグループは子供たちがスマートフォンで動画に興じている。

かくいう私も、2人の子供が列に並ぶのに疲れてしまい、妻がスマートフォンで動画を見せている。やることはみんな同じだな。

30分ほど並んで、やっと店に入ったら、案内された席がテレビのすぐそばだった。

私の自宅にはテレビがないため、普段、テレビを見る習慣がない子供たちは、すぐに食い入るようにテレビを見つめ始めた。ご飯も食べずに、だ。

私は店の人にコッソリ耳打ちし、こうお願いした。

「あのぅ、子供たちがテレビに注目しちゃって、ご飯を食べてくれないので、もし可能ならテレビを消していただけますか?」

すると店の人は周囲を見渡し、こう述べた。

「お客様、テレビを消します。あなたのお子様以外、誰も見ていませんからね。」

おかげで昼下がりのうるさいテレビ番組から解放され、ゆっくりと食事を楽しむこと――は、できなかった。まだ幼い子供たちの世話で、私も妻も大忙しだったからだ。

レストランにテレビは必要か?

先日の『これは本当?「ホテルのロビーで無料提供される新聞」』では、とある知り合いから教えてもらった、「某ホテルのロビーに無料の全国紙が山積みされていた」とする話題を紹介しましたが、じつはこの話題には続きがあります。

この知り合いの方はビュッフェ・レストランに入店したあと、テレビが見える席に案内され、非常に困惑したのだそうです。なぜなら、ご本人も奥様もテレビを見ながら食事をする習慣がなく、また、子供達も食事に集中してくれないからです。

しかし、勇気を出して店員さんに「テレビを消してくれ」とお願いしたら、店員さんも「そういえばあなたのお子様以外、誰もテレビを見ていませんね」と、これに応じてくれたのだそうです。

少し補足しておくと、おそらくこの知り合いが訪れたレストランは、朝はホテル併設の朝食会場となっていて、施設の有効活用という観点から、ランチビュッフェ営業を行っているのだと思います。

ホテルの朝食会場でサービスのためにテレビをつけているというのならばまだ話は理解できなくもありません(※個人的には、朝食会場であっても、テレビがついているのは、あまり好きではありません)が、ランチどきにテレビがついているような店は、個人的にはおそらく選ばないような気がします。

マスゴミのマスゴミたるゆえん

さて、いつのころからでしょうか、「マスゴミ」という表現がインターネット上で散見されるようになりました。「マスコミ」と「ゴミ」を掛け合わせた造語でしょうか?

著者自身の認識ですが、この「マスゴミ」という表現には、当初は「ゴミのような情報を垂れ流すメディア」に対する、なかば怒りを込めたネットスラングでした。

ところがこの「マスゴミ」という表現には、最近だと「取材方法がダメダメだから」、「情報の集め方がなっていないから」、というニュアンスも入り始めているようです。

インターネット環境の発達により、新聞、テレビなどのマスメディア各社の記者会見内容であったり、取材をする姿であったり、と、従来ならば絶対にテレビの電波などに流れなかった姿が、X(旧ツイッター)などを含めたSNS、YouTubeやニコニコ動画といった動画サイトなどで、日々、大量に流れてくるのです。

NHKの現場中継を妨害

こうしたなかで、ちょっと気になる話題があるとしたら、これでしょう。

Xで7万人近くのフォロワーを抱える「煉獄コロアキ🔥」(@rengoku56771)氏というユーザーが、31日に埼玉県蕨市の郵便局で発生した立てこもり事件の現場から200メートルほど離れた地点でNHKが(おそらくは警察の要請を無視して)中継を行っているなかに「突撃」を行ったのだそうです。

正直、このXユーザーの普段のポスト内容などについて、あまり詳しい内容はよくわかりませんが、少なくともNHKの中継を中断させたことは、なかなかに素晴らしいといえます。

冷静に考えてみると、(あくまで一般論ですが)銀行や病院にはテレビなどが設置されているケースが多く、もしも立てこもり事件が発生し、その現場や取り囲む警察官らを映像がテレビで中継されれば、捜査当局の手の内を犯人に伝えることになりかねません。

その意味で、このXユーザーの行動は、(かなり誇張していえば)「間接的に犯人逮捕に結びついた」ものだ、という言い方もできなくはありません(※もっとも、今回の蕨郵便局の事例で、局内にテレビが設置されていたのかどうかはわかりませんが…)。

世の中の金融機関はテレビ撤去を急ぐべき

ちなみに今回の件に限らず、規模な災害、事件、事故などが発生した際の中継や取材が現場を混乱させる事例は、これだけではありません。阪神淡路大震災では被災地上空を大量の報道ヘリが飛び回り、建物の下敷きになっている人たちの助けを求める声がヘリの爆音でかき消された事例もあったとする噂もあります。

また、「▼洪水で屋根の上から助けを求める人を報道ヘリが上空から映して去っていく、▼物資不足の被災地に取材班が入り、車列を無視して給油のためにガソリンスタンドに立ち寄る、▼避難所で非難している人たちの了解なく勝手に様子を撮影し始める」――、など、マスメディアの取材の酷さに関する事例は尽きません。

とりあえず、今回の事件を契機に、各金融機関・病院は立てこもりに備えて待合室などからテレビの撤去を進めるべきではないでしょうか。

あわせて、飲食店の皆さまにも、この物価高の折、NHK受信料や電気代などを節約する観点から、テレビを撤去なさってはいかがでしょうか。

世の中からテレビが少なくなることで、世の中がより良くなるような気がします(どうしてなのかはわかりませんが…)。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. sqsq より:

    そのうち取材クルーが、ボコボコにされる事件がおこるだろう。

  2. 引っ掛かったオタク@悲観的 より:

    最近マスゴミをマスゴミと呼称するコトがゴミに失礼な気もシテキタ…

  3. 匿名 より:

    ・このXユーザーは自身のインプレッションを稼ぐという利益が発生していた背景はある。
    ・(私は法律に詳しくない人間なので誤った認識かと思われますが)、現時点では中継を邪魔する行為は、威力業務妨害に問われる恐れもあるので、警察権のない一般人は避けるべきだと思う。
    ・メディアの中継が人命に関わる危険な行為であるなら、明確に中継行為を禁止制限する法律を作るべき。
    ・今後も法規制を掛けないのなら、政治家は社会問題に対応しない無能なのだと思う。
    ・特権利益を剝奪されまいと法規制にメディアが反発するのなら、メディアは国民の人命を軽視する社会悪、国賊企業集団だと思う。

  4. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話しを。
    マスゴミ:「事件現場からの生中継をやめたら、絵になるものがなくなるではないか」
    これって、笑い話ですよね。

    1. 引きこもり中年 より:

      マスゴミは、事件現場からの生中継がなくなれば、放送の尺がなくなると考えているのでしょうか。

      1. みの より:

        放送に使える映像は、人命より大事なんですよ。言わせないで、という感じ。
        災害発生時の人命救助の際も、救助を求める声を掻き消す爆音のヘリで妨害行為してるじゃないですか。

  5. たろうちゃん より:

    犯罪被害者に昼夜くまなくマイクを向ける、、その下卑た根性はジァーナリストの矜持ではなく野次馬と変わらない好奇心でしかない。今回の犯人がもし放送をみていたなら、、その場に知ってる人物がいたなら、、NHKの良識を疑う。国民から強制的に視聴料というみか締め料をとりながら呆れた行動だ。民間放送局と同じ努力をするべきだ。

  6. わんわん より:

     たてこもり事件等は誘拐報道と同じ
    「報道協定」案件にした方がよろしいかと思う

  7. より:

    「テレビを見ながら食べちゃだめ」と子を叱ればすむことではないでしょうか。
    自分の教育力不足のためにレストランのテレビ消させるかね普通・・。

    1. 匿名 より:

      わがままと認識して、子供の教育不足だと言う指摘は不適切でなはいと思います。
      お店にとってもお客にとっても最終的に不利益にはなっていませんので、もう少しやわらかく心に余裕を持って考えても良いと思いますよ。

      「幼い子供たち」というのが何歳かにもよるかと思います。
      また文中の通り「自宅にはテレビがない」環境にいる子供さんにとっては、普段観られないテレビを目の当たりにして、食事よりも興味を惹かれてもおかしくないと思います。
      食事が主目的のレストランで食事がままならない状況に、困った親御さんが店員に相談し「お願い」をしています。
      店員さんも「だれも見ていない」事を確認して許諾しています。
      これらの流れには、何も問題はありません。

      レストランにとっても食事を提供する事が事業内容であり、テレビはお客様向けのサービスの一環でしかありません。
      これでお客ご家族も食事に満足できて、リピーターになって貰えればお店としてもありがたいものです。

      長文失礼

      1. 匿名 より:

        わがままと認識して、子供の教育不足だと言う指摘は不適切でなはいと思います。
        誤りです

        わがままと認識して、子供の教育不足だと言う指摘は適切でなはいと思います。

        意味合いが逆転してしまうため訂正させて頂きます

    2. 匿名 より:

      お前子供いないだろ、さてはww

    3. 一読者 より:

      跳さん、

      >「テレビを見ながら食べちゃだめ」と子を叱ればすむことではないでしょうか。

      ブログ本文からは子供の年齢は分かりませんが、小学生以上なら子を叱ればいいかもしれませんが、幼児だったらどうなんでしょうかね?寧ろテレビから子供を遠ざける方が適切なこともあるんじゃないですかね?まー、想像ですが案内された席がテレビの真ん前で子供に見せたくないワイドショーとかが流れていたとか?

      >自分の教育力不足のためにレストランのテレビ消させるかね普通・・。

      跳さんは具体的にどう教育します?それを聞きたい。テレビがついてる時に具体的にどうやって食事に集中させるのか、子育ての後輩たちにわかりやすく指導して上げて、どうぞ。

    4. 転勤族 より:

      跳さま

      「2人の子供が列に並ぶのに疲れてしまい、妻がスマートフォンで動画を見せている」
      「普段、テレビを見る習慣がない子供たちは」
      という文章から、
      こども自身はスマホを持っていない、つまり子どもたちは10代ではないと予測されますし、「妻がスマートフォンを」のくだりから、たぶん幼児からせいぜい小学校1・2年生ではないかと思います。

      普段なじみのないモノを目の前にして、その年代のこどもたちをお行儀よくさせるのは至難の業と思いますが、跳さまは如何でしょうか。

      1. より:

        想定内のコメントだらけで笑います。
        「お行儀よくさせるのは至難の業」で諦めるのは、他人には迷惑だし、そんな親を持った子供にも不幸なことだ。

        1. 転勤族 より:

          誰も見ていないテレビを消すことが、そんなに他人には迷惑でそんなに不幸なんですね。
          そりゃ大変だ。

        2. 鯖塩 より:

          想定内のコメントを追加。

          >「テレビを見ながら食べちゃだめ」と子を叱ればすむことではないでしょうか。

          ↑これは恐怖で子を支配している親にしか出来ない行為。

          素敵なご家族の微笑ましい日常風景の一コマ。最後の一文が効いている。

          近頃は近所の公園保育園幼稚園の子供たちの歓声、はたまた除夜の鐘の音を許容出来ない大人がいると聞く。嘆かわしいことだ。

  8. 伊江太 より:

    雲仙普賢岳の火砕流に遭って、多数の死者、行方不明者、負傷者が出たあの事故から、早30年以上が経ったんですね。

    あのときはマスコミの愚行が如何に地元に迷惑を掛けるのか、業界内部からも「反省」らしき言が相当に出ていたはずなんですが、その後も数々のヤラカシを繰り返す様は、

    「懲りない人たち」というより、「三歩歩けばすっかり忘れる」なんて形容句が、濡れ衣着せられた哀れなニワトリさんよりも、彼らにこそ、よりお似合いだという気がしますね

    1. Masuo より:

      ヨルダンのアンマン国際空港で毎日の記者が爆発物を持ち帰ろうとして警備員が死亡した事件からも20年が経過しました。

      立派な使命を持った人もいるのでしょうが、往々にして「ゴミ」と言われても仕方がない、反省しない人たちだと思います。

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