それにつけてもおやつはカール。ふるさと納税するなら松山市に――。こんな衝撃的な話題が飛び込んできました。カールといえば株式会社明治が半世紀以上にわたって製造し続けているロングセラーですが、2017年以降は製造拠点が四国・松山の工場に集約され、販売地域も西日本に限定されてしまっています。ところが、松山市がふるさと納税返礼品にカールを採用したところ、申し込みが殺到しているというのです。
カールおじさんと「おらが村」
「それにつけてもおやつはカール」。
こんなフレーズを覚えている方は多いのではないでしょうか。
株式会社明治のウェブサイト『カール おらが村』というページを訪れると、株式会社明治が過去に流していた、例の「カールおじさん」などが出演するカールのコマーシャル・フィルムを見ることができます(現段階で確認できるのは1974年『おらが春』編、1982年『子ざる』編など合計5本)。
【参考】カール チーズあじ
(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)
株式会社明治の『商品情報』の説明によると、カールには「チーズあじ」、「うすあじ」、「シャカシャカカール」の少なくとも3種類があるようですが、ただ、不思議なことに、いずれも「西日本限定」の文言があります。これは、いったいどういう事情があるのでしょうか。
すでにカールは西日本限定の商品に…
じつは、株式会社明治は今から約6年前、東日本でのカールの販売を終了していたのです。
明治「カール」、東日本での販売終了へ/ラインアップも2種に縮小
―――2017年5月25日 16:50付 日本経済新聞電子版より
日経新聞(電子版)の報道によると、カールは約50年販売されてきたコーンのスナック菓子のロングセラー商品ですが、同年8月をもって全国5ヵ所の生産拠点のうち4ヵ所で生産を終了し、子会社である四国明治の松山工場1ヵ所に縮小し、西日本限定での販売となっているのだそうです。
その理由について、日経新聞はスナック菓子の人気が近年、コーン系ではなくポテトチップス系に集まるようになり、カールも最盛期の1990年代の190億円程度から、この記事の時点では約60億円へと3分の1以下に激減。生産や物流の効率性から「今後は西日本のみの販売とする」としていたものです
【参考】カールうすあじ
(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)
ただ、カール自体はアマゾンなどの通販サイトで入手できないわけではないものの、やはり小売店で入手できるのは西日本の住人に限られてしまっているのが実情でしょう。
産経「ふるさと納税申し込みが殺到」
こうしたなかで、ちょっと衝撃的な報道記事が飛び込んできました。
ふるさと納税返礼品は明治「カール」 東京から申し込みが殺到する異例の反響
―――2023/9/21 08:00付 産経ニュースより
産経ニュースによると愛媛県松山市がふるさと納税の返礼品に「カール」を採用したところ、今年4月から実施した第1弾、7月14日から始めた第2弾ではいずれも申し込みが殺到し、現時点では「チーズあじ」が完売し、「うすあじ」が残っているだけという状況なのだそうです。
記事ではまた、販売が西日本に限定されているため、納税の申込も「東京を中心とする東日本からが圧倒的に多い」と指摘。具体的には6,000円を寄附すると、カールが10袋(1ケース)入った返礼品が送付される仕組みだそうです。
ふるさと納税といえば、総務官僚からは「目の敵」にされている仕組みでもありますが(『菅総理の置き土産「ふるさと納税」総務省が敵視の理由』等参照)、地域活性化という観点からは、やはり大変に有意義な仕組みであることは間違いないといえるでしょう。
菅義偉総理大臣の置き土産のひとつが、「ふるさと納税」です。菅総理が総務相時代に導入された制度ですが、昨年度の寄付額が1兆円に近づくところにまで達したのだとか。ただ、このふるさと納税を「敵視」しているのが、総務官僚だそうです。経済ジャーナリストの磯山友幸氏によると、総務省がこれを敵視する理由は、「納税者の意思で税金の配分先を決められるわけだから、総務官僚の権限を奪うことになりかねない」からだそうです。菅総理「ふるさと納税1兆円近くに」菅義偉総理が先日、ちょっと気になるツイートを発信しました。昨... 菅総理の置き土産「ふるさと納税」総務省が敵視の理由 - 新宿会計士の政治経済評論 |
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何と言ってもカールはカレー味が一番、
今でも細々と生産しているらしいけど、
私の地区では全く見かけません、
というより、
私の子どもの頃にくらべ、
最近は
カレー味のスナックお菓子が少なくなったような気がします、
あの刺激的な味わい、
おやつにつまみに万能ですね、
スナック菓子のカレー味最初に考案した方には
ノーベル賞差し上げてもよいくらい
最高の発明と言っても過言ではありません(熱弁)。
>何と言ってもカールはカレー味が一番、
>今でも細々と生産しているらしいけど、
いえ,カレー味のカールは現在は生産していないようです.このブログ・エントリからリンクを貼って下さっている産経新聞の記事を読めば分かりますが,現在も生産を継続しているカールはチーズ味とダシ味の2種だけだとのことです.
>カレー味のスナックお菓子が少なくなったような気がします
この点に関しては全く同感です.私も10年ぐらい前からカレー味スナックが徐々に廃盤になっているのでは?と感じていました.そして私もスナック菓子ではカレー味が一番好きなのでとても残念です.
>スナック菓子のカレー味最初に考案した方には
>ノーベル賞差し上げてもよいくらい
>最高の発明と言っても過言ではありません(熱弁)。
最高の発明というのは同意しますが,賞を贈るのであればノーベル賞よりはイグノーベル賞では?
糖尿病や肥満を加速することで人類の平均寿命の上昇を押さえ,それによって地球人口の爆発的増大を防ぎ地球を維持可能な惑星に保つことに大いに貢献しているという意味で,イグノーベルのSDGs賞ですが,さすがにこの授賞理由は余りに失礼すぎて賞を受け取らないでしょうね.(苦笑)
>糖尿病や肥満を加速することで人類の平均寿命の上昇を押さえ・・・
小泉君、レジ袋100枚差し上げて。
御指摘ありがとうございます、
カレー味はもうないんですね…
うす味にカレーパウダーかけたら
似てませんかね?。
それだと「蕎麦屋のカレー味」ですね。アリやな。
コーンスナック好きなんだけどなぁ。Amazonレビューも「関東で買えなくて……」という声ばかりですね。そして外装の段ボール箱は猫ハウスになる模様。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00Y8FHM2W
にしてもCMなつかC。昔はよーくTV見てたんだなぁ。今だと「イノシシに菓子の味を覚えさせたら人里を荒らすようになる!このCMは不謹慎だ!!」とかなりそうな。
"製品"が特産品として返礼品対象になると、工場誘致の意味が少し重くなりますね。熊本にふるさと納税してもメモリはくれないでしょうけど。
メモリを狙うならば広島県西条市でしょう。マイクロンが大きな工場を構えてますから(元はと言えば、エルピーダの工場でしたが)。
そこでふと思い出したどうでもいい話。
30年ほど前、経営状態が思わしくなかった某社は、管理職のボーナスの一部を現物支給としました。当時の管理職の会話:
A「どうする?電球や蛍光灯を貰ってもやたらと嵩張るだけだし......」
B「う~ん、そうかと言ってメモリチップをザラザラもらってもしょうがないしなぁ...」
よほど上位の管理職ならばテレビなりPCなりを貰うという選択肢もあったかもしれませんが、中途半端な金額相当が現物支給になった課長級は結構困っていたようでした。
広島県に西条市という市はないですよ。
海を挟んだ愛媛県には実在しますけれど。
西条と名が冠する地域は、東広島市の一部で、酒の町として有名です。
因みにマイクロンは、八本松と呼ばれている地域のうち、吉川にあり、現在は吉川工業団地という独立した地名になっています。
ありゃま、それは大変失礼しました。1,2度行ったことがあるのですが、広島空港から車で行って西条ICで降りてというルートだったので、てっきり「西条市」という市があるものと思い込んでました。工場の名前も西条工場でしたし、ICの名前になるくらいなので、市レベルの街だと思ってたのですが、そうではなかったんですね。ご教示ありがとうございました。
沿革を見ると、1974年に西条町などを中核として東広島市ができたようですが、愛媛県西条市がすでに1941年に成立していたため、広島県の方は西条市とは名乗れなかったようです。府中市を唯一の例外として、同一市名は名乗れませんので、致し方ありません。
広島県に府中という地名が2つあるのは、広島県が安芸国と備後国の2つの国があった事の名残です。
府中町は旧安芸国、府中市は旧備後国の国府があったそうです。
余談ですが、府中と書いて「ふちゅう」と読むのが一般的ですが、徳島県徳島市国府町には、府中と書いて「こう」と読む地域があります。
阿波国の国府がこのあたりにあった事が由来になるのですが、江戸時代に府中が「不忠」に通ずるとして徳島藩が嫌い、「国府」にかけ、かつ「孝」に通じるよう読ませた為だと言われています。
ちょっと訂正します。同一市名は府中市が唯一と書きましたが、伊達市も北海道(1972年4月1日市制施行)と福島県(2006年1月1日市制施行)の両方に存在します。これは、北海道伊達市は伊達家の遺臣が移住してできた街だったのに対し、福島県伊達市は伊達家発祥の地(まさに名字の地です)だったため、北海道側が異議を唱えなかったためなのだとか。
なお、府中市は東京都と広島県に存在します。東京都府中市は1954年4月1日市制施行、広島県府中市は1954年3月31日市制施行で一日違いなんですが、同一市名を避けよという行政指導にもかかわらず、双方が頑として引かなかったため、そのままになったとか。
もっとも、「府中」という地名はあちこちにあり、甲府だって「甲斐の府中」ですし、静岡市も府中/駿府と呼ばれてました。要するに、旧国府所在地の多くは府中と呼ばれていたようであり、そう考えると、府中市が2つで済んだのはまだラッキーだったのかも。
さらに余談になりますが、同一市名を避けるべしという原則はいまでも有効なようで、鹿島神宮所在地である茨城県鹿嶋市は、市制施行にあたって、すでに佐賀県に鹿島市が存在していたため、「嶋」と字を変えたのだそうです。
最近では、市町村の大合併によって由来がよくわからない市名が増えてますが、それぞれに事情があるようで、ちょっと調べてみるといろいろ面白いですね。
カップニャードルキャンペーン(スマホ連携でニャーが飼える)
https://www.nissin.com/jp/news/11781
がトリガーとなって対象カップニャードルをスーパーで数個買ってきた所ですw
消費者心理って結構単純ですよね。特に食の嗜好に関しては幼少時に培われたものが大きいかも
アイドル広告や、ゲーミングカップヌードルに惹かれる人もいれば、懐かしい味に郷愁を覚える人もいるし人それぞれかと思いますね
一昨年かな。ファミリーマートで夏フェアでカレー味のカール見たいなスナックを売り出していたな。まだ元気だったおれは小田原から横浜のファミリーマートを探し回り片っ端からそのカレー味のカールもどきを買い込んだ。どこも売り切れで苦労したのがいい思い出だな。いまはクルマも運転できず毎日が苦痛だけどカールのカレー味かぁ、、いつか買いたいな。
神奈川在住ですが、近くのファミマでは今でもカールに似たスナック売ってます。しかもカレー味とチーズ味があります。今までそれで我慢してたけど、これからは松山市に納税して本物をもらおうと。しんじゅく会計士さん、素晴らしい情報、有難うございました!
明治のカール、最盛期の最高売上190億円から減少したとは言え、現在1工場3種類商品に絞り販売エリアを限定しても、年商60億円。製造縮小を決めた2017年当時の売上は、5工場でもっとあったものと思われますが、その時点で、時代の趨勢を見ての撤退と、60億円の売り上げを活かし確保する戦術は、冷静なものです。
そして、限定化することによって希少価値が生まれ、単なる一商品に過ぎないものが、古里納税の目玉となって、地元自治体の税収に貢献している、という波状効果は、注目するべきものではないかと思います。
因みに、カール1袋の工場出荷価格は、50円程度として、市への納入価格はどれ位かは分かりませんが、仮に70円位とすれば、10袋で700円、それに古里納税サイトへの手数料10%=600円、送料平均1000円とすれば、コストは、2300円。6000円から2300円を引いて、3700円の税収。これは、10月以降の総務省の新たな規定もクリアできるものではないかと思われます。
(市の事務経費は、計算の仕方次第の面があります。)
株式会社明治の賢明な冷静な経営判断は、思わぬ良い波及効果を生み出したと言えます。
何故、こんなことをここに書いてみようかと思ったのかの理由は、中国へ進出している日本企業も、冷静な判断で、撤退時期を見誤ってはいけないということの教訓にならないか、と思ったからです。
そして、東南アジアへシフトするのではなく、日本へ戻ることも選択肢として決断をするべきだと思います。