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ジャーナリスト「立憲民主党を離党した議員の共通点」

内閣支持率下落で、自民党議員が「浮足立ってくる」可能性が高い一方で、解散総選挙の可能性が高まれば、「浮足立ってくる」であろうもうひとつの政党が、立憲民主党です。当ウェブサイトでは以前、立民から「ボーダー選挙区」を中心に維新への大量移籍が発生すれば、立民は最大野党の地位を失い、維新が最大野党になる可能性が高いとする分析を掲載しています。こうしたなか、フリージャーナリストの宮原健太氏は、先日、立民を離党した2人の議員について、「維新への接近」と「候補者調整不足」という共通点があると指摘します。

青木率50%割れ

岸田文雄内閣と自民党に対する支持率の合計値(いわゆる「青木率」)が47.7%(=内閣支持率26.6%+自民党支持率21.1%)と、ついに50%を割んだ――。

こんな話題を、『ついに「青木率50%」割れ…岸田首相の迷走がリスク』でも取り上げました。問題の調査は時事通信によるものです。

時事通信の調査では、とくに内閣支持率が低めに出る傾向があるため、これをもって内閣は退陣を余儀なくされる、などと決めつけるべきではありませんが、それでも永田町が浮足立ってくることは避けられないでしょう。

個人的には、「岸田(氏)の下では選挙を戦えない」と懸念する自民党議員らが増え、「岸田おろし」の流れが出て来るのかどうかには、注目したいところではあります。

フリージャーナリスト・宮原氏「立民離党した2人の共通点」

ただ、「浮足立ってきている」のは、じつは自民党議員だけではないのかもしれません。

フリージャーナリストの宮原健太氏が寄稿し、『プレジデントオンライン』が配信したこんな記事では、「立憲民主党内の立憲離れ」が始まっているというのです。

立憲民主党の離党ドミノはこのままだと止まらない…離党を決断した現職議員にある2つの共通点

―――2023/08/16 08:17付 Yahoo!ニュースより【プレジデントオンライン配信】

宮原氏はすでに同党に離党届を出した松原仁、徳永久志の両衆議院議員について、離党の経緯や理由はそれぞれ違うとしつつも、その共通点を「日本維新の会への接近」と「選挙を巡る調整不足」である、と結論付けています。

たとえば、松原氏の離党は表向き、東京の選挙区の区割り変更に伴う候補者調整がつかなかったこととされていますが、これについて宮原氏はこう述べます。

しかし、この離党劇には裏がある。1つは松原氏が会見前日の8日、ホテルニューオータニのバーで維新の馬場伸幸氏などと会合をしており、『維新への接近』が見られたということだ」。

立憲民主党の都連幹部は松原氏が「維新と渡りをつけたうえで離党した」と批判しているそうですが、「松原氏は立憲内の選挙区を巡る調整不足でやむなく離党した形となったため、立憲は対抗馬を立てることもできておらず、無為に1議席を失うこととなった」というのです。

ただ、松原氏の場合、もうひとつの理由が、参議院議員である斎藤蓮舫(謝蓮舫)氏の衆院鞍替えともかかわっている、というのです。実際、立憲民主党は斎藤氏を新東京26区で擁立した場合の電話情勢調査を実施していて、その音声を宮原氏自身も入手しているのだとか。

比例復活できずに押し出される可能性も?

また、宮原氏は「同じような話」が徳永氏に関してもある、と指摘します。

具体的には、「徳永氏に近しい議員」によると、徳永氏の選挙区がある滋賀県で、「維新に候補者を立てられないようにしなければならない」と周囲に語っていたそうなのですが、これに関連し宮原氏はやはり、こう述べます。

こちらも立憲内では『維新に渡りをつけていたのではないか』という見方が広がっている」。

これに加えて徳永氏の事例に関していえば、立憲民主党がツイッターで50万人のフォロワーを擁する前明石市長の泉房穗氏を近畿ブロックの比例第1位に処遇しようとする動きも関連した、とするのが宮原氏の指摘です。こちらも「大物擁立」によるパイ争いのようなものでしょうか。

徳永氏は前回の衆院選でギリギリ比例復活しているため、もし立憲民主党が泉氏を比例で1位に擁立しようものなら、そのあおりを食って落選する、といった懸念を徳永氏が持っていたとしても不思議ではない、というのが宮原氏の見立てでしょう。

こうした宮原氏の見立てが正しいかどうかは、現時点ではまだよくわかりません。

ただ、もしそうだとしたら、今後再び「解散風」が吹き始めると、立憲民主党からの離党ラッシュが生じる可能性はあります。

この場合、『数字で予測する衆院選:大量移籍で維新躍進が可能に?』などを含め、当ウェブサイトではこれまで何度となく報告してきたとおり、立憲民主党が議席を激減させ、はれて日本維新の会が野党第2党に浮上する、といった展開も、現実のものとなります。

これまで当ウェブサイトでは、特定の政党が票を失い、他の政党に票が移っていた場合、選挙結果がどう変わったか、に関するシミュレーションを実施してきました。そのなかで、「維新が前回並みの立候補者数だったとして、最大野党になるためには、自民、立民両党からそれぞれ何票ずつ取って来なければならないか」を計算すると、その答えは2~3万票という、やや非現実的にも見える数値が出てきます。ただ、維新躍進のためにもう少し手っ取り早いアプローチもあります。それが立憲民主党の現職議員や候補者の3分の1程度が維新に移籍...
数字で予測する衆院選:大量移籍で維新躍進が可能に? - 新宿会計士の政治経済評論

宮原氏「何を目指している政党なのかわからない」

これに関連し、記事の末尾で宮原氏は、立憲民主党について「何を目指している政党なのかわからない」としたうえで、次のように指摘します。

既に各社世論調査では立憲の政党支持率を維新が超えることが常態化して久しい。<中略>立憲民主党とは何なのか。それを改めて問い直すことが、今の立憲に課されている夏休みの宿題かもしれない」。

すでに「夏休みの宿題」というレベルではないような気もしますが…。

いずれにせよ、立憲民主党がいったい何者で、何を目指している政党なのかが見えない理由は、明らかです。この政党が単なる「最大野党利権」を目的とした「選挙互助会」と化しているからでしょう。

日本維新の会が立憲民主党に代わって「最大野党」となることが日本のためになるのかどうかはわかりませんが、少なくとも解散総選挙の時期が遅れれば遅れるほど(つまり維新が選挙準備期間を十分にとれればとれるほど)、そうなる可能性が上昇することは間違いないといえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (22)

  • >この政党が単なる「最大野党利権」を目的とした「選挙互助会」と化しているからでしょう。

    希望の党に入れない議員の選挙互助会が立党の経緯だったと記憶しています。化しているのではなく、最初からそうだったのでは?

    全然関係ないですが希望の党の仕掛け人前原誠司氏が国民民主の代表選にでるそうです。何ができる人なのか、いまだにサッパリわかりません。

  • 立憲民主党の議員が大量に維新の会に移籍を画策し、維新の会がこれを受け入れるなら、維新の会のイメージは大暴落するのではないか。現状でも、ロシア擁護を繰り返し、国民感情とは相入れない主張を叫ぶ恥知らずな人物がいる。思想の自由は保証されてしかるべきだが、単なる数合わせでなく、中身がともなう質があってはじめて、国民の支持が得られると推察する。維新の躍進は財政破綻状態だった大阪府の財政を立て直した過去に遡る。しかし、議員の質においては疑問符をつけざるをえない。各党、不良議員はいる。だからこそ、しっかりした、倫理観と行動力を発揮して育って欲しい。

  • 「第二自民党」

    よい流れですよね。
    ベストではないにせよ、現実的なベターを選択できる。

    立憲民主党や共産党へ向けて、現政権への批判の1票を投じるのは、少なくとも僕には生理的に無理ですから。

  • 「審議拒否」の常習犯である立件には夏休みの延長など思いのまま。
    政局のために政策を人質に取るのも朝飯前。

    そういった傍若無人な振る舞いが今の体たらく。

  • 立憲民主党は、既に学級崩壊状態ですね。
    自民党も、秋風が吹く事には学級崩壊しそうです。
    私は、日本の戦後がようやく終わろうとしているのではと感じています。
    崩壊から再生に向かう事を期待しています。

  • 立憲民主党の議員が大量に維新の会に大量移籍を画策して維新の会がこれを受け入れるなら、単なる数合わせにしかならない。イメージも立憲色になるだろう。国民が評価し認めた人物ならいいが、ロシアの暴挙を擁護する議員がいて、国民感情とは相入れない人物もいる。勿論、思想の自由は保証されてしかるべきだが、ロシア擁護を容認する党とのイメージはついてまわる。維新の会の躍進は財政破綻状態の大阪府を立て直した過去に遡る。単なる数合わせに終始せず、高い倫理観と行動力を持った党として育って欲しい。

  • 維新の会の躍進は財政破綻状態の大阪府を立て直した過去に遡る。有能な議員受け入れなら期待もするが、現状ロシア擁護を繰り返しする議員も所属する。幅広い賛同意見があれば納得はするんだが、お世辞にもそういう声は聞こえない。仮に立憲民主党からの移籍が相次ぎ維新の会が際限なく受け入れたなら立憲のイメージが色濃くつく。思想は自由だが国民感情と解離する議員の存在は維新の会の成長を阻害する。

    • 度々ブログ主さんがおっしゃっていますが、中露韓等からのスパム対策で特定条件のコメントを保留にする機能を使っておられ、時に普通のコメントも保留してしまうことがあるそうです。
      それらのコメントはブログ主さんが手作業で反映させないと表示されないそうですが、本業の傍らで運営されているブログですし、広い心持ちでゆっくり待つしかないですね。

      今日は私のコメントも引っかかっていますが、時節柄フィルターが厳しめになる現象などあるのかもしれません。

      • ありがとうございます。なにしろ不慣れなもので、、また機会があれば、よろしくお願いいたします。

    •  同じようなことは私も度々ありますし、多分皆様同じでしょう。
       経験的には、「急いで連続してコメントを投稿しすぎ」と出たら弾かれているので1分ほど待って再投稿。逆にエラー表示が無く普通に投稿できたっぽいのに反映されていない場合は、ほぼ投稿自体はされています。数時間スパンで待てばちゃんと反映されると思います。焦れますけどね。

  • こういう時に、一般人が持ちえない特権を得んがため「政治屋」になろうとする人と、理念を実現する手段として「政治家」となった人の差異が目立つのでしょうねぇ。

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