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富士山に軽装で登る外国人…トラブル防ぐ入山料創設を

外国人観光客が増えるのは結構ですが、それが増え過ぎると、話は別です。交通インフラを中心に、国民生活が圧迫されるからです。そもそもインバウンド観光は外貨獲得という観点からは「機械類及び輸送用機器」のせいぜい10分の1程度に過ぎませんが、それで国民生活が圧迫されるというのは本末転倒でしょう。こうしたなかで、富士山では現在、外国人観光客のマナー違反などの問題が深刻化しているようです。そろそろ入山料の徴収も必要です。

先月の入国者は200万人超

予定では、本日の16時15分に、日本政府観光局(JNTO)から7月の訪日外国人に関する統計(速報値)が公表されます。

日本と外国の往来は、出国日本人(アウトバウンド)、訪日外国人(インバウンド)ともにコロナ禍で大きく減っていましたが、このうち少なくともインバウンドに関しては、昨年10月に日本政府が外国人観光客の受入を再開して以来、力強く回復しつつあります。

2023年6月の入国者数は207万3300人と、コロナ前の2019年6月の252万0134人と比べれば依然として低調ですが、それでも単月で200万人を突破するほどには需要が回復していることは間違いありません。

ただ、何度も強調して申し訳ないのですが、著者自身はすでに3年前の『【宣伝】正論2020年5月号に論考が掲載されました』でも表明したとおり、日本経済がインバウンド観光に過度に依存することには否定的であり、とりわけ訪日外国人観光客に「人数目標」を設けることには、明確に反対の立場です。

そもそも外国人が日本で使ってくれるカネは年間5兆円前後といったところで、これはこれで巨額ではあるのですが、「機械類及び輸送用機器」(自動車や半導体製造装置など)の年間輸出額が例年約50~60兆円であることを思い出しておくと、外貨獲得手段としては、製造業の10分の1程度に過ぎません。

オーバーツーリズムの問題

これに加え、最近ではオーバーツーリズムの問題も深刻化し始めています。

もちろん、外国人観光客が多く訪れてくれる地域では、ケースによっては過疎の問題がある程度解決することもあるのですが、最近だと公共交通機関を外国人観光客などが占領するためか、その副作用が大きくなりすぎています。

たとえば『「京都市民の怒り爆発」…観光目標数独り歩きのリスク』などでも取り上げたとおり、一部の地域ではホテル代の急騰に加え、市民の足である交通機関が殺到する外国人観光客により「パンク」するなど、日常の市民生活にも影響が生じ始めています。

コロナ禍の入国制限が昨年10月に撤廃され、現在の日本はさながらインバウンド大国と化していますが、これにより一部の地域では、オーバーツーリズムが問題となっているようです。とくに、とあるウェブサイトではJR嵯峨野線の大混雑を受け、「京都市民の怒りが爆発寸前」、などと指摘されています。ただ、観光客が殺到する京都で、市バスが大混雑しているとする問題は、すでに5年以上前から指摘されていたものでもあります。日本はインバウンド大国に!以前の『訪日外国人は189万人:「インバウンド大国」の日本』などでも取り上げた...
「京都市民の怒り爆発」…観光目標数独り歩きのリスク - 新宿会計士の政治経済評論

また、著者自身が先日、都内で目撃した事例でいえば、若い外国人観光客(おそらくは欧米系)が地下鉄で優先席に座っており、優先席を必要としている人が座れなくて困っている、ということがありました(このときは、お節介ながら著者自身が彼らにその旨を伝えたところ、最終的には席を譲っていました)。

さらには、出張族にとって困りものなのは、ビジネスホテルなどの宿泊料金の高騰でしょう。

インバウンドの急増のためか、最近はホテル代が高騰しており、著者自身が先日とある地方に宿泊した際も、これまで1万円未満で宿泊していたホテルが一気に15,000円以上に高騰していて驚きました。東京・大阪などの大都会では、ケースによっては数倍(!)という事例もあるようです。

富士山巡る外国人観光客のトラブル

こうしたなかで、数日前から目立つのが、富士山にまつわるトラブルです。

産経系のウェブサイト『zakzak』が13日付で配信した記事によると、半袖や短パンといった軽装で富士山に登ろうとする外国人旅行者が増えているのだそうです。

「旅行のついでに富士登山」はNO! 軽装に野宿…外国人のマナー違反横行 静岡県、注意点まとめた英語の動画配信

―――2023/08/13 10:00付 zakzakより

『zakzak』によると、最近、富士山では旅行者による無謀な登山やマナー違反が大きな問題となっており、実際、2人組の外国人が暖を取るためか、山小屋で腹痛になったふりをして交代でトイレを「占拠」し、宿泊客がトイレを使えないという問題が生じたのだそうです。

ただ、その程度の「問題」は、まだ良い方でしょう。

静岡新聞によると、軽装で雨にぬれ、深夜に山小屋を尋ねたり、危険な場所で火を焚いたり、といった、「国内在住の外国人とみられる登山者」による「無計画さやマナー違反」が目立っている、というのです。

お盆の富士山「無計画」 荒天構わず外国人続々と 台風接近、事故懸念

―――2023/08/15付 あなたの静岡新聞より

ちなみに記事が配信された15日といえば、台風7号の接近に伴い富士山は荒天の予報だったそうですが、台風時に富士山に登るというのも、大変危険です。

台風を知らない外国人も!

静岡新聞によると8合目の山小屋では雨が降った13日の夜、消灯後の午後9時以降に宿泊予約をしていない登山者(大半は外国人)がやって来て、予約キャンセル枠を活用して約70人の希望者を山小屋に入れたものの、着替えを持たない人も多く、貸し出した寝袋も水浸しになったのだそうです。

ちなみに記事によると、以前からお盆の時期に、国内企業の休暇に合わせ、多くの外国人労働者が登山を企画していたのだそうであり、「たき火、ごみの放置、大音量の音楽」――などのマナー違反に悩まされてきたそうです。

さらには、この台風に関連し、TBSは台風7号が直撃しているなかで富士山に登ろうとする外国人の姿を報じています。

台風7号直撃でも富士山に登る外国人…言語が通じない人たちにどう危険を伝えるか “台風”経験しない国の方が「圧倒的に多い」【Nスタ解説】

―――2023/08/15 21:08付 Yahoo!ニュースより【TBS NEWS DIG Powered by JNN配信】

正直、高山と台風という、外国人には不慣れな2つの要因が重なり、「どんな天候になるのか想像できない」というのが実情なのだとか。

入山料や入国税

このあたり、そろそろ富士山も入山規制の導入を検討すべき局面かもしれません。入山料として数百円から数千円を徴収するほか、登山するにふさわしい装備を持っていない者には入山を断る、といった仕組みを入れ、徴収した入山料で登山道などを整備することが考えられます。

これに加えてそもそも日本には「出国税」はありますが、「入国税」がありません。先週の『観光大国ニッポン:犯罪実績に応じた入国税の検討を!』あたりでも議論しましたが、正直、既存の宿泊税だけでなく、入国税なども徴収しても良いのではないでしょうか。

「入国者が増えることでインバウンド観光業が潤うのは結構なことだ」。こう思う気持ちもわからないではありませんし、また、あくまでも一般論ですが、訪日観光客が増えることは悪い話ではありません。しかし、インバウンド振興も結構ですが、だからといって政策の優先順序を間違えてはなりません。埼玉県熊谷市で6月、空き巣狙いの外国人が逮捕された件に関連し、先日、警察署から感謝状の贈呈がなされたのですが、それより必要なのは入国管理制度の適正な運営に加え、「日本国内の犯罪発生率に応じた入国税」などの仕組みではないで...
観光大国ニッポン:犯罪実績に応じた入国税の検討を! - 新宿会計士の政治経済評論

当ウェブサイトでは基本的に新税の導入には積極的ではありませんが、それでもインバウンドが増え過ぎ、オーバーツーリズム状態となって国民生活が圧迫され始めている状況を踏まえるならば、入国税などで入国者を制限するのもひとつの手ではあります。

その税収で、外国人向けのガイドを充実させたり、外国人により損壊された観光地の施設の補修に充てたりすることを、そろそろ本格的に検討しなければならないのではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 富士山は人が増えすぎてゴミの処理も大変みたいですね。処理にもお金がかかりますからきちんと入山料金を取ったほうが良いと思います。
    高い入山料金がかかれば、思い付きで登ろうとする人を多少は抑制出来るかもしれません。

  • 富士山入山料
    保全協力金の名目で任意1000円です
    徴収率 (2022年)
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20221007-OYT1T50351/

    世界の入山料
    https://yamahack.com/2392

     複雑な利権もあるが山頂は「富士浅間神社」の私有地
    山梨県・静岡県の県境の確定もしていない

     強制的入山料に関しては反対意見も多いようだが
    短期レジャー保険(1日あたり500円・700円程度)込みで
    山梨・静岡県民(500円×2日+保全協力金2000円)3000円
    ※山梨・静岡は遭難救助費用を負担しているため
    山梨・静岡県以外の都道府県民(500円×2日+9000円)10000円
    インバウンド 5~10万円程度
    ※エベレストの100万円以上を考えれば格安
    程度徴収してもよいと思います
     
     国・山梨・静岡を主体とした情報発信も重要(季節や気象による入山の可否や気象・混雑状況等)

     

    • わんわん様

      無茶や無謀やゴミ捨ての様な登山をする人の救助や掃除や環境整備に使用される財源は最低限入山料から出すべき(日本人外国人関わらず)であると云う考え方には全面同意します。

      ただ一点だけ訂正を
      上記リンクにある世界の入山料に関する記事についてです。
      私は若い頃(ン十年前)にクライミングや登山に興味があり、エベレストの麓辺りまでは友人とトレッキングしたことがあります。麓と言っても徒歩で2週間位、だいたいエベレストが間近に見えるベースキャンプ近くの高度5500m位まで。登頂を目指さない欧米観光客が使用するルートとほぼ同じくらいです。
      その際に発生する入山料(サガルマータ国立公園入山料)は3000ルピー(4000円程度?)と記載されています。私の記憶ではもう少し高かった気もしますが貧乏学生だったからかも知れませんw
      https://ja.welcomenepal.com/plan-your-trip/park-entry-fees.html

      上記リンクで記載されているエベレストの100万円以上というのは、恐らくExpedition Permit(頂上までの登頂許可)という登頂遠征隊のための特殊許可料金ではないかと推察します

      •  エベレスト入山料に関して

        時期(年月)・為替・ルート等
        により変わってきます
        2020年データによると
        ネパール側からは約121万円
        中国側(4人以上のチーム許可制 1人当たり)からは約173万~198万円です

         ご指摘に関しては
        入域料なのではないかと思われます
        ※富士山も五合目までは無料
        参考
        https://note.com/yushidesu/n/n7d2cc2bf3d4f

        https://mountfuji-adventure.com/article/10

        • わんわん様 返信ありがとうございます。

          私見ですが上記の100万円(Expedition permit fee)というのは、私のようなニワカ一般登山者や観光登山客を拒絶するための金額設定と考えています。日本で例えるのは少し難しいですが、谷川岳一ノ倉沢ルートの登山許可や厳冬期の富士登山・北ア登山など、かなりの覚悟を問うような金額設定であり、一般観光客の入山料として比較するには不適切な気がするのです。

          実際の数値としても、Everest Expeditionの成功者は年間1000人未満程度であり(失敗を考えれば費用支払者は倍近く居るかも知れませんが)、富士山登山者の20万人(covid-19前まで)と比較になりませんし、サガルマータ国立公園入山者(2003年時点で20000人程度との事なので現在は更に多いかも:https://jslrs.jp/journal/pdf/53-120.pdf)の方がまだ比較対象として的確な気はします。

          観光目的としての容易さや入山料としての徴収目的としても、富士登山入山料(登頂料)と比較するならばエベレスト周辺観光料が適切であり、エベレスト登頂許可料金は不適切だと考えています。
          一泊や強行すれば一日(推奨してるわけではないですw)で完遂できる富士登山に比べ、EBCまでのサガルマータ国立公園山行ですら片道10日前後(私は別の山見たいので寄り道&高度順化したので2週間必要でした)を要する上に、Everest Expeditionとなるとアルパインクライマーしか無理な内容を要する「Expedition permit fee」を、同じ登山料という次元で比較するのは公平感に掛ける気がするのです。

          • 富士山入山料の適正価格について(インバウンド)
             エベレストの場合は入山料込みで400〜1100万円程度かかるといわれてます
             エベレストとの比較は不公平感があるとのことですが
            軽装やルール・マナーを軽視するインバウンドに対してある程度高額にして牽制をかける必要があるかと思います

          • わんわん様 &皆様

            人数的にも難易度的にも、観光客目的ではないと思われるExpedition permit fee(100万円超)と、観光客目的の富士登山入山料を比較するのは的確ではなく、
            人数的にも難易度的にも、観光客目的であるサガルマータ国立公園入山料(3000円前後)と比較すべきであると云う論点で話しています。

            勿論、ネパールと日本の物価差や観光収入のGDP比、各々の観光入国者の振る舞いや現地の潤いや現地被害度etcetc考慮すべき点を考慮して、金額をいくらにするかという論点は別になりますが、
            主点である入山料設定すべしという論点は一致していますし、コレ以上は主観のずれで平行線になるかと思いますので、私からの主張は以上にして、以降はわんわん様及びROMの皆様の判断におまかせしたいと思います。

            スレにチャチャいれて伸ばしてしまい申し訳ありませんでした
            m(_ _)m

  • つい今しがた、大谷さんMLB中継のあとにNHKのワールドニュースをBGVに流していました。
    フランスF2のニュースによると、パリ五輪に向けフランス各地の滞在税が更に上がる(35%up?)そうです。
    近畿日本ツーリスト:各地の宿泊税
    https://www.knt.co.jp/holiday/operate/shukuhakuzei.html
    MATCYA:日本の宿泊税
    https://matcha-jp.com/jp/9362
    現在でもパリの5つ星ホテルは5ユーロ(800円くらい?)、東京の15000以上のホテルは200円
    ここからさらに35%上がるなら1100円vs200円ですね。

    観光立国を目指すのに立ち上げ期は税制を有利にする政策かも知れませんが、色々な部分で訪日観光客のタダ乗り的な部分が批判される中、バランス良い税制を考えてほしいものです。

    ※要約:色々タダノリする外国人のケツ拭きを日本の税金で補填するな!w

    • 新宿会計士様

      キャッシュの都合だったか、投稿が反映されていないと思い、同内容ノ投稿を新たに書き直して二重投稿してしまいました。こちら削除して頂ければありがたいです

  • 今しがた大谷さんのMLB中継のあとに、NHKBSのワールドニュースでフランスの滞在税が上がるというのを放送してました。BGVとしてながら見だったので記憶違いだったら申し訳ないですが、確かフランスF2放送局によるとパリ五輪前に35%アップされるそうです。

    少し調べてみると、
    近畿日本ツーリスト:各国の宿泊税
    https://www.knt.co.jp/holiday/operate/shukuhakuzei.html
    MATCHA:日本各地の宿泊税
    https://matcha-jp.com/jp/9362

    現状でパリの5つ星で5ユーロ(800円?)、東京の15000以上で200円ですから、35%upされると大体1100円vs200円くらいの差になるかもです。

    現在は観光立国化に向けて色々インバウンド政策的に安く設定しているのかも知れませんが、金を落とさずタダ乗りしてくるような観光客からもうまく取れるような税制が欲しいですね。入国税入山税で一律で多めに取って、金を払ったサービスに応じて還付するのが一番簡単に思いつきますが。素人考えでは

    ※要約:金を落とさないだけならまだしも、サービスにタダノリしたり悪用したりするような奴(外国人日本人問わず)の尻拭いを、日本の税金や保険で充填されるのはまっぴらゴメンです!

  • 今まで、入山料というものについて考えたこともなかったし、山はただで登れるものだと思っていました。登山道などは、これを整備しているのは誰なんだろうとは思ったが、多分、国か自治体なんだろう位にしか考えたていませんでした。これまでは、それでも良かったのかも知れませんが、やはり、登山者が増えてくれば、整備の頻度も増えるだろうから費用も増えるはずです。
    ただ、徴収業務にもコストが掛かるだろうから、登山客が多い季節だけ徴収するなどの運用をすれば良いです。
    山好きは、入山料が掛かるからと言って登山はやめないだろうけれど、軽い気持ちで山に行こうという人間は制限出来るのでないか?
    何しろ、夏の人気山は、登山者が多過ぎて、登山の風情も薄れてしまいますから。

  • もう、15年前になるか。富士山ではないんだが箱根に湯河原から登った時のこと。冬だった。クルマで登ったんだが、霧が立ち込め前が見えない。ライトをつけて走るんだが1メートル先も見えないのだ。おりては確かめを繰り返し、ふつうなら、20分もあれば目的地に着くのだが、天候の急変はものの5分で変わってしまう。4~5時間は掛かったか。前からクルマが来る恐怖、ガードレールを突き破って谷底に落ちるかもしれない恐怖。山の怖さを痛感した出来事だったな。富士山ならさもありなん。たしか5合目だか7合目まではクルマでいけるはずだが残りは徒歩じゃなかったか。ゴミの問題もある。外国人でも日本人でもマナーだけは守って欲しいものだ。因みに入国税、登山料金の徴収はさんせいです。