自民党参議院議員の森まさこ氏はツイートで、「ブライダル補助金」なるものを創設した、などと述べています。ただ、この補助金制度自体、関連する省庁の情報を調べてみても、なんだかよくわかりません。しかし、少子化の大きな原因も結局のところ、子育てにかかる負担が見通せないことにある可能性が濃厚です。あくまでも一般論ですが、変な補助金の仕組よりも、子育て世帯に係る負担を減らすために、硬直的な仕組みを改める、扶養親族控除を復活する、消費税等の免税品目を増やす、といった支援の方が有益ではないでしょうか。
目次
ある人の子育てエピソード
今日も、息子が熱を出した。
私も妻も、都内の民間企業に勤務している。妻は2年前に出産し、産休・育休を都合1年間取得したが、幸いにも保育園に当選したので、息子を預けてすでに職場に復帰している。しかし、2歳になる息子はこの1年間、毎週のように熱を出していた。
熱が出ると、息子を保育園に預けることはできない。もしも保育園に預けられないのならば、どうすれば良いか。
「実家や親戚に手伝ってもらえば良いじゃないか」、などという人もいるかもしれないが、そう簡単ではない。
私の両親はまだ元気だが、新幹線の距離に暮らしているため、育児で困ったとしても頼ることはできない。また、妻の両親は関東に在住していて、ときどき休日に子供を預かってはくれるのだが、電車で1時間の距離であり、2人ともまだ働いている。
平日に突発的な発熱があったときには、さすがに預かってもらうことはできない。
必然的に、私か妻のどちらかが仕事を休んで、息子の面倒を見るしかない。
しかし、妻の職場はシフト制であり、急に休むことになると、職場にかなりの迷惑がかかる。妻の上司は独身男性だそうであり、子育ての経験がないためか、「幼い子供がいると突発的に仕事を休まなければならないことがある」と説明しても、いまひとつ理解してもらえないらしい。
息子の突発的な発熱が3日続いたときは、さすがに上司からは、「あなたが急に休んだときの穴は他の人が埋めるんだからね」、と嫌味を言われた。しかし、職場に迷惑をかけているのは間違いなく、妻としても平謝りするしかなかったという。
ただ、幸いにも私の会社は男性の子育てにも理解があるため、最近は息子が熱を出した場合、私も仕事が立て込んでいないときには、積極的に有休を取るようにしている。しかし、最近は職場でも少しずつ責任ある立場を任せられるようになっているため、どうしても限界がある。
本当は2人目が欲しいのだが、こんな生活が続くのならば、やはり子供は1人が限界だ。
子育ての実際:使い勝手の悪い病児保育
冒頭の話は、フィクションです。
ただ、共働きで子育てを経験すれば、これと似たような話は、いくらでも経験があるはずです。
子供はとくに幼いころだと、頻繁に熱を出したり、咳が出たり、嘔吐したりしますし、多くの保育園では、24時間以内に37.5度以上の発熱があったときなどには、子供を預かってくれません。
朝、子供を連れて行った時点で熱を測り、そこで37.5度以上の熱があれば、子供を連れて帰らなければなりませんし、預けたときには平熱でも、日中に37.5度以上の熱が出たら、容赦なく、あなたの職場や携帯電話に保育園から呼び出しが来ます。あなたは仕事を切り上げて、子供を迎えに行かなければなりません。
また、自治体によっては「病児保育」の仕組があるケースもありますが、多くの施設では病児保育を利用する際、まずはかかりつけ医の診察を受け、医師に「連絡票」を書いてもらいう必要があります。
たとえば朝発熱した場合には、子供を朝イチで病院に連れて行き、重篤な感染症などではないことを証明してもらったうえで、病児保育の受入時間(施設によりますが、たとえば午前10時が多いでしょうか)までに子供を連れて行かなければなりません。
もしも利用したい病児保育の受入時間が10時までだったとして、かかりつけ医の診察開始時間が朝9時半であれば、その時点で、病児保育の利用は困難です。病児保育に必要なセットを準備し、医師に連絡票を書いてもらっているうちに、30分などすぐに経過してしまうからです。
正直、病児保育は、じつに使い勝手が悪いのです。
また、子供の状態によっては病児保育すら利用することができず、症状によっては病児保育から呼び出しを喰らうこともあります。正直、子供が満3歳を過ぎる前ごろまでは、どんな子も急な発熱があるものです。
国民負担率は上がり、16歳未満の扶養親族控除は廃止された
ただ、このようなことを申し上げると、「そもそも無理をして共働きなどせず、子供が小さいうちは妻が専業主婦として自宅で子育てをすれば良いじゃないか」、「最近の若い人たちはそんなにカネが欲しいのか」、といった声が出て来ることは事実です。
しかし、ちょっと待っていただきたいと思います。このあたり、30年前の感覚で子育てを議論していただいても困ります。
日本は財務省の権力が強すぎるためか、現代社会では国民負担率はうなぎのぼりであり、サラリーマンは社会保険料、所得税などをガッツリ取られます(※ちなみに現在は、16歳未満の子供は扶養親族控除の対象外なのです)。
だいいち、出産費用も無料ではありませんし、妊娠中の診察にも、基本的には保険が効きません(多くの自治体では妊婦検診で補助が出るようですが、それでも自己負担が生じることが多いです)。
子供が生まれたあとも、紙オムツには10%の消費税・地方消費税が課せられます。同じ紙製品でも、新聞は一定要件を満たしたら税率が8%なのに、子育てに必要な紙オムツの方が、税率が高いのです(※余談ですが、世の中の役に立っているのは、明らかに新聞ではなく、紙オムツの方でしょう)。
いずれにせよ、子育てには多額のカネが必要であり、マトモに子育てをしたければ、多くの家庭では夫婦共働きが必要です。
もちろん、多くの職場が子供の突発的な熱などに理解があれば良いのですが、とくに男性の育児休暇などには理解がない職場も多く、これに加えて自営業者などの場合、子供を預けることができなければ、丸一日、仕事ができないということもよくあります。
また、子供が大きくなっていくと、教育経費の問題にもぶち当たります。
子供には学用品、体操服、制服、習い事の月謝など、どんどんとカネが必要になっていきますし、それらにも消費税等の税金は容赦なくかかってきます。現代の日本の制度は、まさに子育てをする人たちに非常に厳しいのです。
だからこそ、「本当は子供が2人以上欲しかったけれども、1人産んで諦めてしまった」、という事例は、案外多いのではないでしょうか。
補助金制度は
もしも政府が移民政策によらず、本気で少子化対策をするつもりがあるのならば、子育てにかかる費用や、子育て支援の制度の拡充などが必要です。
もっとも、正直、少子化対策といわれれば、あまり難しいことは必要ありません。
まずは子育てしやすいように、硬直的な仕組みを少しずつ変えるだけでも、かなりやりやすくなります。たとえば、幼少期の子育て支援としては、突発的な発熱などに対処すべく、多くの保育園に病児保育室を併設し、受入時間を午前11時までに延ばすだけでも、かなりの制度改善につながります。
発熱した子供を、そのまま普段通わせている保育園に預けることができれば、どれほど楽でしょうか。あるいは園内で発熱した場合でも仕事中に呼び出されたりせず、そのまま病児保育室にて預かってくれれば、どれほど楽でしょうか。
また、もしも財源があるなら、所得制限なしの思い切った給付金制度は、ひとつの考えでしょう。
たとえば給付金制度として、第一子に300万円、第二子に500万円、第三子に1000万円、といった具合に、現金を給付してしまうのはひとつの方法かもしれません(当たり前ですが、「日本の居住者で、両親の少なくとも片方が日本国籍である」などの要件も必要です)。
また、ここまで思い切った給付金制度でなくても、消費税の免税範囲の拡大、民主党政権時代に廃止されてしまった16歳未満の扶養親族控除の復活などが望ましいところです。
むしろ紙オムツ、粉ミルク、子供用のせっけん洗剤、体温計、ベビー肌着、哺乳瓶などの必需品を非課税にしてくれる方が、よっぽどありがたいのではないでしょうか。
ブライダル給付金?なにそれ?
ただ、給付金制度もおかしな方向に流れていくと、少子化対策にまったく役立たないだけでなく、むしろ有害なものになったり、業界と癒着して変な利権構造が出来上がったりすることもあります。
こうしたなかで理解に苦しむのが、「ブライダル給付金」なる制度です。
自民党(安倍派)所属で安倍政権時代には法務大臣も務めた森まさこ参議院議員によると、「人口減少対策」として「ブライダル補助金制度」なるものを創設した、などとツイートしています。
はて、森氏のいう「ブライダル補助金」とはいったい何か――。
調べてみると、この「ブライダル補助金」に相当するものはいくつか存在するようです。
たとえば内閣府は『結婚新生活支援事業』なるものを管轄していて、次の①~③のすべての条件を満たす新婚世帯に対し、夫婦ともに29歳以下の場合は上限60万円、それ以外は上限30万円の補助金を給付する、というものだそうです。
- ①[婚姻日]令和5年3月1日~令和6年3月31日
- ②[所得要件]世帯所得500万円未満
- ③[年齢要件]ご夫婦ともに婚姻日時点の年齢が39歳以下
- ※上記要件は実施自治体によって異なる場合があります。
また、経産省はサービス政策課・サービス産業室がブライダル事業者の事業転換を支援するための『ブライダル産業構造転換等促進事業』というものを行っており、これとは別にブライダル事業の調査報告書なども公表しているようです。
森氏のいう「ブライダル補助金」がこの内閣府のものなのか、経産省のものなのか、はたまたそれ以外になにか制度があるのかはよくわかりません。そもそも森氏のツイート自体が不正確だからです。
森氏のツイートには「経産省」とありますので、この2つでいえば、「ブライダル産業構造転換等促進事業」のことを意味している可能性が高そうですが、そもそも論として森氏のいう「経産省サービス産業課」なるものは、経産省の組織図には存在しません。存在するのは「サービス政策課」、です。
財務省解体の方が少子化対策には有益
いずれにせよ、森氏のいう「ブライダル補助金」制度が何を意味しているのかはよくわからないのですが、先ほども指摘したとおり、正直、子育てを阻む要因は財務省が主導する重税であり、先の見えない費用負担と、硬直的なさまざまな制度にあります。
あるいは、「食品を含めた生活必需品にも消費税をガッツリ課しているほどに頭が悪い財務省」をぶっ壊すのが最大の少子化対策というべきでしょうか。
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ディストピアSF物では子供を産む際も女性の子宮で育てる必要がなかったり、
最初から孤児院の様な施設で育てて生みの親とは共に暮らさないなんて光景もありますね。
効率を突き詰めた結果こういう未来になるかも……と想像すると考えさせられます。
地球 (テラ) へ・・・
>ブライダル補助金
ボク知ってる。財源は国民負担。
身も蓋もなく言えば、「こども要らない派」の新婚家庭に補助金を給付しても意味がないのです。
こどもが一人よりも二人。二人よりも三人の方が生活が楽になる環境づくりをして欲しいですね。
例えば、「育児休業給付金(準ずるもの)」の支給期間を二人目は二歳児未満。三人目以降は三歳児未満までとする・・とかですね。
同じ相手と毎週に結婚と離婚を繰り返す奴がいたら、補助するの?
違う相手と毎週に結婚と離婚を繰り返す奴がいたら、補助するの?
重婚の場合は補助するの?
結婚しても、子無しと子沢山で補助は可変なの?
なんだか「少子化として公金支出する」くせに、目的外支出を誘発しそうな脇の甘い匂いがしますね。
(笑)
主旨はシンプルなんだから、所得弾力値と申しますか、
「この政策で1円支出したら、子供が何人増えるのか?」
の、見込み計算値を示してほしい。
それ次第かな。
コラボのやったことも、是か非かとか善か悪か論じるより先に
「領収書だせ」
で済む話でしたが、この話題も費用対効果の計算値を示してもらえれば話は早いかと。
ちょっとテーマからはズレるが
小倉大臣はごくまっとうな方かと思います
https://youtube.com/watch?v=v9PygY7QJ_M&feature=share
問題は国のトップと官僚かな?
かなりおもしろので紹介
泉前明石市長×成田悠輔
前編
https://youtube.com/watch?v=WyDR8GuPC_k&feature=share
後編
https://youtube.com/watch?v=mQSzJZUVAio&feature=share
コメント失礼します。
困難への対応は二つ。団結と分割です。
元ツイッターで子育ての愚痴とか視掛けていつも思うのは、「一人、少数でやればそりゃ大変だよね」です。介護も同じ。多くの仕事は一人ではなく大勢が関わり、協力してこなします。それを何故子育てにも応用しないのか?これは政府と民間双方の怠慢です。
政府はデカイ箱作って子連れ同士が簡単に集まれる様にすればいいし、子連れ同士で交代で休み、他の子の面倒も観ればいい。昭和迄は大家族、濃密な地域交流で出来ていたかと。いわば復古ですね。
更に復古で群れの生存と発展を求めるなら乱婚ですね。要はヤリ放題、種付けし放題、育て放題。毛の少ない猿は、ボノボやチンパンジー先輩を見習いましょう。
皆でヤって育てるなら、不倫は消滅、監視の目が増えるので児童虐待も減ります。ヤレなくてトチ狂う男女も減ります。
問題は性病と、皇室の伝統維持でしょうか。皇室は例外として今の結婚を守って貰うしかない。皇室は不当に差別されている。それでも国民の幸せを祈り続けてくれている。故に尊い。
出産費用無償や給付は良いのですが、双方が日本国籍(且つ日本国在住)の方が良いと私は思ってます。扶養控除で税金タダに出来てしまうので。外人優遇は嫌いです。
https://samurai20.jp/2015/09/relateddocuments3/
ブライダルだかポセイダルだか知りませんが、変な補助金出すなら、日本国民全員に減税とバラマキした方が効果は大きいでしょう。圧力団体みたいに票と金がはっきり視えないからやらないでしょうが。
子供急病有給休暇を通常の有給休暇とは別に子供が6歳になるまで年30日与える。繰越不可。使用日数に応じて健保から補助金。
このほうが現実的では。
>正直、子育てを阻む要因は財務省が主導する重税であり、先の見えない費用負担と、硬直的なさまざまな制度にあります。
あるいは、「食品を含めた生活必需品にも消費税をガッツリ課しているほどに頭が悪い財務省」をぶっ壊すのが最大の少子化対策というべきでしょうか。
これは大賛成です。
しかし、嘗て財務省解体が議題に上ったそうですが、さすがの高潔に見えるセンセイ方も清廉潔白で、どこから責められようとビクともしない方はおられないようで、そのあたりを財務省から恫喝され、泣く泣く強行突破を諦めざるを得なかったと言う噂もあります。
従って夜盗並の悪質官庁である財務省はセンセイ方のお力に頼るのではなく国民が工夫して解体すべきでしょうが、これまた清廉潔白な国民も少ないと思われるのは我が身を振り返れば心当たりがある方も多いかも知れず、弱みを持っていない人は皆無でしょうから、なかなか(笑)。叩いて埃の出ない人はいないでしょうからこれも難しいでしょうね。
従って財務省を解体するのは一気にやるのではなく、例えばノーパンシャブシャブのような事件が起きる度に、財務省の権限を一つ一つ剥奪するしかないでしょう。
それはさておき、子育てに猛烈なお金が掛かるのは教育費とか聞きます。そのうちでも特に掛かるのが大学の費用ではないでしょうか。そこをなんとかしたらドウなのでしょうか。簡単に片付けるとしたら大学にかかる費用の範囲で税額控除するなど工夫すれば、子供を大学に通わせる費用は場合によってはゼロまでいかないとしても負担できる範囲で済む親も出ると思うのですが。
そのほかにも奨学金を充実させ、所定所得以下の者に限って奨学金の範囲で税額控除をし、卒業できた者は在学時の成績に応じて奨学金の返済減免を行うなどすれば、いくらでも子供を増やすことに貢献する方法はあるでしょう。ブライダルなんとかで結婚させても学資の負担に耐えきれず子供を作らないと言うこともあり得るでしょう。
そんな無駄な金を使うより教育費負担を軽くすることを考えた方がよっぽど子供の数を増やすことが簡単にできるように思いますが。
これなら財務省解体というような過激な??意見より財務省も受け入れやすいのではないでしょうか。
やはり「第2自民党(維新でなくても良い)」は必要に思えます。
第2自民党が取って代われるだけの勢力を有していれば、
下手に官僚の言いなりになれば、政権(+議員の地位)を失うことに直結するので
恫喝されても無視せざるを得なくなります。
国破れて山河あり
国民無くして財務省あり
選挙では落ちるかもしれませんが、子供を残すなら不倫もOK、お妾さん大歓迎!
まあ少子化対策が優先課題になり、、関心を集め議論があるのはいいことですね。
江戸時代の人口は3千万人、増えもせず。
だけど徳川家斉は53人も子供を作った。
最近でも光通信の関係者が、タイで15人以上の子供を創った??
婚姻制度を撤廃して、裕福な人、モテる人にDNAを子孫を残してもらう。
う~~ん
選挙で落ちるね。
未来ウェディングJAPANってウェディング業界の業界団体みたいですね♪
>補正予算にもコロナ対策、インバウンド対策として、#ブライダル補助金 を入れることが出来ました。
って森議員も書いてるし、単純にブライダル業界に絞った補助金を創設したってことじゃないかな?
外国人向けの宣伝とかに補助金を出すとか、コロナで減った収入を補填するとかみたいな??
https://fwj.or.jp
自己レスなのです♪
https://www.jijitsu.net/entry/bridal-hojokin-morimasako
少子化対策も加点項目に入ってるそうだけど、主にはブライダル業界を支援するための補助金みたいですね♪