維新・馬場代表、立憲民主に「小西氏追及チーム」提案

夕刊フジの報道によると、日本維新の会の馬場伸幸代表は6日、小西氏の暴言問題などを受け、立憲民主党に「小西さんを追及チーム」を作るように求めたうえで、信頼関係が戻るまでは協調を凍結するとの方針を示したそうです。報じたメディアがメディアだけに、報道をそのまま信頼するには少し慎重であるべきかもしれませんが、これが事実なら日本維新の会にとって、立憲民主党と距離を置くのは「合理的な判断だ」という言い方もできます。

小西問題

立憲民主党の小西洋之・参議院議員が総務省の内部文書を使って高市早苗・経済安保担当相を追及しようとした(そして不発に終わった)事件、衆院憲法審査会のメンバーを念頭に「サル・蛮族」などと侮辱した事件などを巡り、最近では、「小西問題」と総称する人もいるようです。

考えてみれば、どれも異常な「事件」です。

小西氏が持ち出した行政文書(いわゆる「小西文書」)は、その作成の経緯も不明なら、記載されている内容も不正確であり、捏造と指摘されてもしかたがありません(『勝負あり:高市氏が小西文書「捏造」を説明してしまう』等参照)。

また、「サル・蛮族」発言問題に関しては、小西氏がろくに謝罪らしい謝罪をしていないこともさることながら、むしろ産経の記者らに「法的措置」をチラつかせて恫喝したこと、立憲民主党が小西氏に処分らしい処分を下していないことなども異常です。

というよりも、こんな自浄作用すらない政党がわが国の国会において「野党第一党」であること自体、日本にとっては大きな不幸です。野党の行動がおかしければ、国会の議論自体が極めて不健全なものとなってしまうからです。

自民党に不満もある人も多いだろうが…

よく日本では「自民党政治」に不満を述べる人もいますが、これについては理解できなくもありません。たしかに「自民党政治」にはなにかと問題がありますし、失政だらけだからです。

とくに財務省の尻馬に乗り、引き上げる必要のなかった消費税・地方消費税の合計税率を10%にまで引き上げてしまったことは、後世からも強く批判されるべき愚策と言わざるを得ません。

また、自民党が政権を奪還してから10年以上が経過しましたが、多くの国民が望んでいる改憲については先送りされ続けていますし、原発再稼働もままならず、国民が支払う貴重な電気代が使い物にならない再生可能エネルギーにばかり浪費されている状況です。

ほかにも「レジ袋増税」や社会保障料の値上げ、NHK改革の先送りなど、心ある人が見たら「失政に次ぐ失政」と言わざるを得ませんし、よくこれで日本が滅びないで耐えているものだと思ってしまいます。

ただ、日本の政治をここまで酷くした犯人のひとりは、立憲民主党です。立憲民主党が政策提案もしないでスキャンダル追及に明け暮れ、憲法改正を何としても阻止するという徹底したネガティブな行動を取り続けるなど、最大野党としての務めを果たしていないからです。

立憲民主党がまともな政党として機能していないことは、小西氏に対する処分すらまともにできていないことからもあきらかでしょう。

馬場伸幸代表が「最後通告」=夕刊フジ

もっとも、こうしたなかで、少し興味深い動きも出てきました。

最近、急速に議席を伸ばしていて、立憲民主党に代わる最大野党の地位を狙っているともされる日本維新の会が、立憲民主党との協力を「凍結した」というのです。

維新・馬場代表が〝最後通告〟 小西議員「サル」発言問題、立民に追及チーム設置求め

―――2023/04/07 17:00付 Yahoo!ニュースより【夕刊フジ配信】

夕刊フジは7日、日本維新の会の馬場伸幸代表が立憲民主党に「最後通告」を突き付けたと報じました。

なんでも、小西氏の「サル・蛮族」発言や謝罪会見への不信感、報道機関への恫喝問題、公文書大量保有疑惑などを巡り、立憲民主党に「小西洋之さん追及チーム」を設置するよう求めた、というのです。これについて夕刊フジはこう述べます。

両党は国会で『共闘関係』を築いてきたが、立憲民主党が信頼回復を果たすまで完全凍結するという」。

報じたのが、産経新聞社が発行する夕刊フジであるという事実を踏まえると、記事内容には中立性において疑問が残ることは事実です。産経新聞は小西氏から恫喝を受けていたメディアだからです。

また、馬場氏が述べた「小西氏追及チーム」も、べつに「それを設置しなければ共闘関係を凍結する」というニュアンスで述べたとは限りません。このあたりの情報については慎重に取り扱った方が良いかもしれません。

ただ、もしこの夕刊フジの報道が事実なら、非常に自然な判断でもあります。

日本維新の会が立憲民主党と「共闘」していれば、その分、立憲民主党にも小西氏の問題を巡って厳しい目が注がれる可能性があるからです。

小西氏追及チームという皮肉

夕刊フジによると、馬場氏は6日の会見で、立憲民主党についてこう述べたそうです。

まず自分たちの襟を正すことが必要だ。なぜ、(小西氏が)そういう発言をしているのか、きちっと説明はいると思います。総務省の内部書類を大量に持っていることも。(立憲民主党は)『小西洋之さんを追及するチーム』をつくった方がいい」。

このあたり、立憲民主党がことあるごとに「追及チーム」を作り、そのわりに作りっぱなしでほとんど何も活動をしていないことを揶揄しているのでしょうか。じつに皮肉ですが、これはこれで興味深い点です。

いずれにせよ、統一地方選の前半戦の投開票が目前に迫っていますが、「小西問題」が大変絶妙なタイミングで持ち上がったことで、立憲民主党がどういう戦いぶりを見せるのか、非常に気になるところであることは間違いないでしょう。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    素朴な感想ですが、この小西氏追及チーム創設を提案したのが、維新でなく自民党だったら、朝日新聞が社説で、「確かに小西問題も重要だが、その他にやることがあるはずだ」と言い出すのではないでしょうか。

  2. 簿記3級 より:

    世論のふわっとした匂いを嗅ぎ取る嗅覚でカイロ百合子芦屋知事に勝るモノはいませんが維新の代表もなにか香ばしい匂いを感じとったみたいですね。

    共産党や社民党はガスマスクをつけてるのはご承知の通りですが第二の政党がハナクソが溜まりすぎて鼻が聞かないようでは遠からず5年以内に第二の政党の地位を失う可能性が高そうだと思います。

    立憲民主は国民から秘孔を突かれていますがいつ崩壊して分裂するか興味深いところです。

  3. クロワッサン より:

    >まず自分たちの襟を正すことが必要だ。

    「いとしのエリー」ならぬ「こにしのエリー」?

    こにしがもしもどこかの遠くへ行き失せても
    今までしてくれたことを 忘れずにいたいよ

    みたいな。

  4. 匿名 より:

    維新という政党はポピュリズム政党だと思います。
    派手なことを言ったり実行したりして有権者の歓心を集めているだけ。
    ものすごく軽薄短小な人物の集まりという印象で信用出来ないのが現状と思います。
    大阪の有権者は、維新によって東京コンプレックスを刺激されて盛り上がって要るようですが。

    1. CRUSH より:

      百点満点である必要はなくて、連立相手として
      「公明党よりマシならオッケー」
      で、エエのでわ?

      私見ですが、自民党と維新と国民党とが30%づつあって、重要な政策ごとに解散総選挙で連立したり離れたりしながら国全体の意思決定を迅速に決定できればエエのとちゃうでしょうかね。

      いまは国として脳梗塞。
      どちらであってもサッサと決めて恨みっこナシで行かないとねえ。

      公明党とか立憲民主党とか日本共産党とか泡沫は、残りの10%てワチャワチャしてたらよろしい。

    2. ミナミ より:

      >大阪の有権者は、維新によって東京コンプレックスを刺激されて盛り上がって要るようですが。

      いや、それがまさにあまりにも軽薄短小な見方だと思うけど

    3. 門外漢 より:

      国民の望むことを行うのが民主政治なら、ポピュリズムになるのが当然です。
      それで何か不都合があるんでしょうか?剛性の誤謬を修正する事こそ政治の仕事です。
      現実には、そこに官僚のための省益だの、独裁を続けるための党是だの、私の考えた一番良い政治、だのが紛れ込んで来るからヤヤコシクなるのです。
      維新は軽薄短小と、東京人から見ればそうなのでしょうけど、これは「何かおもろい事をやってやろう」という大阪人のサービス精神の表れです。
      当たり前のことを、鹿つめらしい顔をして言って見ても、何も始まらない。
      政治にお笑いを持ち込んだって、軽薄短小だって、芯が通ってれば良いのですよ。
      「小西洋之さん追及チーム」なんて、R4を座長にしてやったら絶対おもろいのにぃ、と大阪人なら思う所です。
      で、ちょっとボケ半分に言ってみる、言わなくても良いのですけど。確かに軽薄短小9センチですわ。
      勿論こんなことが出来れば、立憲復権間違いなしですが、出来ない。出来ないのを見越して言って見る。
      軽薄短小だが国民の声には違いないと思いますけどね。

      1. 門外漢 より:

        ×剛性の誤謬
        〇合成の誤謬

    4. 世相マンボウ* より:

      >維新という政党はポピュリズム政党・・・

      「ポピュリズム」という単語は、こうして
      悪いイメージレッテル貼りによく使われます。
      ただ、wikipediaでも
      「ポピュリズム(英: populism)とは、
       一般大衆の利益や権利を守り、
       大衆の支持のもとに、
       既存のエリート主義である体制側や知識人などに
       批判的な政治思想、または政治姿勢のことである」
      とあるように、一般大衆に根ざしているものである
      ということを忘れてはいけません。

      その点で、
      根ざしているのが
      日本の一般大衆とは外れて
      専従でおまんまさんや、
      海の西ゆかりの方面が
      コアな支持層である
      韓流政党立憲民主党さんとかとは
      大きく異るのでは?と感じます。

  5. sqsq より:

    ガセメール事件の永田に似てきたね。

  6. 農民 より:

     「一緒に沈む気はねーよシッシッ」というところですね。追求チームは実際立憲にとっても良い案なのではないでしょうか。内容は張り紙張って写真撮影して終わりなので、禊は終わったぞハイこの話終わり!とできます。そんなことしたって国民は納得しないぞと言われるでしょうが、彼らに国民の理解などそもそも必要でしょうか?いや無い(反語法)。どうせ明るい未来も無いし。
     しかし元同僚である玉木氏にも煽られているし、元々嫌われてたんだろうか。小西に逆風が吹いてからこっち、議員らの反応がどれも冷ややか。どうも「あの強敵小西先生が躓いたぞチャンスだ!」などというような反応は見られず、丁寧であれあからさまであれ、見下した感じがヒシヒシと。

    1. 世相マンボウ* より:

      立憲民主党でも原口議員ぐらいは
      「小西を守れ!」「負けるな小西!」と
      連投していて失笑を買っています。
      https://x.gd/RbQ17

      ただ、私は
      THE小西議員(以下、略称:ザコニシ)こそが
      まさに立憲民主党の
      党風と支持者の生きザマ
      を究極に体現したものであり、
      ザコニシさんを党首に推し立てて
      名実ともにならず者政党として
      邁進されることをおすすめします。

      #ザコニシ立民党党首実現を応援します!

      1. 門外漢 より:

        ザコニシ は上手いなあ(^^♪

        1. 世相マンボウ* より:

          (^^)/

          ここは、
          ネトウヨ・どぶサヨサイトと一線を画す
          新宿会計士さまの格調高いブロクですから
          もちろん、人格攻撃やヘイト?は当たり前に不適切です。
          私は
          #ザコニシ立民党党首実現を応援します!
          という立憲民主党支持者さんには大感謝されるべき
          立ち位置なのですが、
          「なにお~ なんでTHEをつけるんじゃ われえ~」との
          ご質問にいい機会だからとお答えします。

          まず、
          日本のふつうにまじめな国民からは
          遥かに離れたザコニシさんの振る舞いに
          敬意を評してのTHEをおつけするということと、
          全国のまともな小西姓さんの方の
          「名字が同じだからと一緒にされては困る」との
          眉を潜めるお気持ちを尊重して
          定冠詞の「THE」をおつけして
          THE小西議員(略称:ザコニシ)さんと
          お呼びしている次第です。

  7. だいごろう より:

    立憲との共闘は批判も多かったので、損切りするのに丁度良いタイミングだと思ったのかもですね。
    そもそも検討した時点で正気を疑ってしまいましたが。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告