中国の習近平（しゅう・きんぺい）国家主席が、国際刑事裁判所（ＩＣＣ）から逮捕状が出ているウラジミル・プーチンとモスクワで会談をしている最中に、岸田文雄首相はウクライナに入り、ロシアによる戦争犯罪を象徴するブチャなどを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領に「必勝」と書かれた「しゃもじ」をプレゼントしたとの報道がありました。ちなみにしゃもじには「敵を召し（飯）取る」という「験担ぎ」に使われるそうです。
日本政府のお粗末な情報管理
岸田文雄首相のウクライナ訪問を巡っては、『岸田首相ウクライナ訪問、メディアに「情報ダダ洩れ」』でも指摘したとおり、メディアの報道が先行するなど、日本政府の情報管理の在り方に関してはさまざまな問題があったことは間違いありません。
| 絶望的にインテリジェンスが欠如する外務省とオールドメディアどうしてメディアに漏れていたのか――。岸田文雄首相のウクライナ訪問が21日、ようやく実現しました。それ自体は良かったと言えますが、問題はそこではありません。経由地のポーランドで、日テレなどのメディア関係者が待ち構え、まだウクライナに到着する前の時点で「岸田電撃訪宇」を堂々と報じたのです。完全隠密行動だったバイデン米大統領の訪宇とは対照的に、今回の「岸田訪宇」は日本の外務省とオールドメディアのインテリジェンスの絶望的なまでの欠如を象徴する事... 岸田首相ウクライナ訪問、メディアに「情報ダダ洩れ」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
とくに日テレのカメラクルーがポーランドで「ウクライナに向かう岸田首相」を報じたことは、ロシアに対し、絶好の攻撃標的を見せつけたようなものであり、ジョー・バイデン米大統領が今年２月にポーランドを訪問したときの報道管制と比べると、日本政府の対応の甘さには驚く限りです。
中露首脳会談にぶつけた日宇首脳会談
ただ、こうした情報統制の甘さはさておき、岸田首相がキーウを訪問したタイミング自体が良かったことは間違いありません。
岸田首相は現地時間３月21日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と３時間近くに及んで会談を行うとともに、ロシアによる戦争犯罪の象徴でもあるキーウ近郊の街・ブチャを訪れ、さらにはキーウ市内の「戦死者慰霊記念碑」でロシアによる侵略における犠牲者への献花をしました。
ちなみに同じタイミングで、中国の習近平（しゅう・きんぺい）国家主席がロシアを訪れ、ウラジミル・プーチン大統領と会談を行いました（これについてはウェブ評論サイト『ＪＢプレス』にジャーナリストの近藤大介氏が寄稿した次の記事なども参考になると思います）。
すがるプーチン、手を差し伸べる習近平、電撃訪ロで見せつけた圧倒的力の差
―――2023.3.23付 ＪＢプレスより
２人の独裁者がきらびやかなクレムリンで握手するなか、これ見よがしに岸田首相がブチャや慰霊碑を訪れたことは、非常に良いタイミングで独裁国家との違いを見せつけたことになります。
ちなみに某国では、岸田首相がキーウを訪問したことに対する「恨み節」も出ているようですが（下記記事参照）、この手の恨み節が出るのはいつものことなので、とくに気にする必要はないでしょう。
韓国元与党代表「尹錫悦大統領が岸田首相よりも先にウクライナに行くべきだった」
―――2023.03.23 07:02付 中央日報日本語版より
うまい棒の中身は「必勝のしゃもじ」
それはともかくとして、このキーウ訪問に関連し、産経ニュースが本日、なかなか興味深い記事を報じています。
首相のウクライナ訪問、「うまい棒」が支援物資？ 判明した意外な中身は…
―――2023/3/23 12:17付 産経ニュースより
産経によると岸田首相がポーランド東南部のプシェミシルの駅からキーウ行きの列車に乗り込む際、ＮＨＫの映像に「うまい棒」の段ボール箱が映っていた件に関連し、その箱の中身は首相の地元・広島県の宮島で作られた50センチ大のしゃもじだったというのです。
しかも、そのしゃもじにはゼレンスキー大統領あてに「必勝」の文字とともに「岸田文雄」の署名が入っているとのことであり、これについて産経はこう報じます。
「しゃもじは『敵を召し（飯）取る』との意味で、験担ぎにも使われている。首相はロシア相手に勝利できるよう、ゼレンスキー氏にエールを送ったようだ」。
これが、ツイッター上で「岸田首相のプーチンに対する宣戦布告」として、ちょっとした話題になっているようです（といっても、「宣戦布告だ」と騒いでいるのは一部のユーザーであるようですが…）。
この「敵を召し取る」の験担ぎがプーチンに通じるのか、よくわからないところです。
日本としては踏み込んだ支援
もっとも、日宇首脳会談後に公表された『日本とウクライナとの間の特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明』を読んでいると、日本にしてはずいぶんと踏み込んだものだと思います。
たとえば第７項には、「戦争犯罪等の処罰」について、こんな記述があります。
「両首脳は、戦争犯罪及びその他の残虐行為の不処罰はあってはならないことを強調した。両首脳は、国際法に従って、責任を有する全ての者の責任を追及することへのコミットメントを改めて強調した」。
これは、国際刑事裁判所（ＩＣＣ）からウラジミル・プーチンに対し、占領地域からの子供の拉致監禁などの戦争犯罪容疑で逮捕状が出ていることを念頭に置いたものと見られますが（※著者私見）、これをＧ７議長国である日本が習近平訪露のタイミングで出してきたことには、大きな意味があります。
また、日本はウクライナに対し、直接の武器供与を行うのが難しいという事情はありますが、共同声明の第17項を読むと、こんな記述があります。
「日本は、ウクライナの戦後の復旧・復興に向けたコミットメントを再確認した。両首脳は、復旧・復興プロセスにおいて民間セクターが重要な役割を果たすべきであるという認識を共有した。両首脳はまた、このプロセスが二国間の協力を一層拡大する機会となるべきことを強調した。さらに、両首脳は、ウクライナにおける司法改革、法執行、汚職との闘いなど、ウクライナの強固で安定した戦後復興の基盤となるべき分野での連携を促進する上で、大使グループを含む G7 が果たす役割を強調した」。
いわば、戦後復興において、日本がＯＤＡを含め、さまざまな貢献の役割を果たすという宣言のようなものでしょう。
日本はすでにウクライナに対し、地雷除去やロシアに破壊された発電機の提供などの協力を申し出ています（『日本政府がウクライナに地雷除去車両提供を検討＝産経』等参照）が、これも間接的にはウクライナの勝利に結びつく支援です。
| 大変良い話題があります。産経ニュースによると、日本政府はウクライナに対し、発電機のほかに地雷除去車両などを提供する方向で検討に入ったのだそうです。日本にとっては、ロシアをやっつけるための武器を直接供与することは難しいものの、差し当たって復興支援を行うための機器を提供することは非常に良い行動です。そして、こうした行動の積み重ねが、ウクライナ戦争をウクライナの勝利、ロシアに敗北に導く原動力となることは間違いありません。なぜウクライナ戦争が許されないものなのかロシアが仕掛けたウクライナ戦争は、もち... 日本政府がウクライナに地雷除去車両提供を検討＝産経 - 新宿会計士の政治経済評論 |
ちなみに日本による地雷除去協力については、ＪＩＣＡウェブサイトにも続報が出ています。
日本の技術でウクライナの地雷除去へ！ カンボジアで日本製の地雷探知機の研修を実施
―――2023年3月3日付 ＪＩＣＡウェブサイトより
いずれにせよ、今回の岸田首相のキーウ訪問で、Ｇ７の首脳全てがキーウでゼレンスキー大統領と会談した格好であり、Ｇ７議長国であるとともに自由、民主主義、法の支配、人権といった基本的価値を重んじる日本にとっては、他のＧ７国家とともにロシアと中国をまとめて牽制する良い機会になったといえるでしょう。
日本政府による情報管理のずさんさ、そして日本の新聞、テレビなどオールドメディアが「マスゴミ」とも揶揄されるほど知的水準が低いなどの問題は依然として残っていますが、岸田首相のキーウ訪問自体は大成功と考えて良いでしょう。
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戦争中の大統領に必勝しゃもじをプレゼントとは，我が国の行政府トップの脳味噌のレベルは大災害が起こった他国に千羽鶴を贈るおバカさん共と同レベルなのですね，嗚呼．
そんなゴミを贈るのを考える暇があったら，我が国が誇るトヨタなどの自動車メーカー各社からピックアップトラック等の小回りの利く輸送用車両を大量に買い上げてウクライナに発送しておいて，今回の訪宇では大統領に発送済みの目録を贈るぐらいは，頭を回して実行しろと言いたい．
ピックアップトラックは殺傷能力を持つ武器じゃないから戦後日本の国是には反しないのは明らかで，ヘルメットや防弾チョッキ等と同様，現在の日本政府が国内の問題を新たに抱え込む心配なしに即座に贈れる物品だ．
（それ以前の問題として，そもそも時代遅れの帝国主義・拡張主義の妄想に捕らわれた独裁主義国家による戦争の暗雲が広がっている現代において，そんな時代遅れの国是などさっさと捨てて改めるべきなのだが，まあそれは首相の一存ではやれないから，取り敢えずは内閣の裁量で行える前線で容易に取り廻せて役に立つ大量の軽輸送車両を買い上げて贈るぐらいは実行してもらいたいものだ）
日本語でしか通用しない言葉遊びの縁起物を戦争真っ最中の国に贈るとは本当に正真正銘の馬鹿としか言いようがない．
失礼，上のコメントの最初の段落の先頭に引用マーク「＞」をつけ忘れてました．
しゃもじ？？？
日本語を話さない相手に贈って、通じるんかいなというのが素朴なギモン。弾除けにもならん。
日本語を話す自分でも、しゃもじを貰っても嬉しくない。
まだ、グローバル進出甚だしい招き猫の方がよかったんでない？ かわゆいし。
中ロ首脳の映像は見ましたが、大国ロシアの面影は何処に・・・
戦争開始後世界が現実をどんどん織り込んでいくのを目の当たりにする日々。
一度転落し始めるとホント早いですね。
ずっこけおやじギャグだったと思います。うまい棒やきとり味がかわいそう。
岸田首相のやる事には何でも難癖を付けなければ気が済まないのでしょうか。
殆どアベガーレベルですね。
この歴代随一の間抜け政権、一刻も早く総理ごと入れ替えたい。
むごたらしい近代戦で日々命がすりつぶされているいるのにしゃもじを送って悦に入っている浮世ばなれ感覚はおよそ国政の最終責任者にはふさわしくないと考えます。選挙に勝ってばんばんざい。彼にはちょうどです。
ロシアまでも反応しましたね。これでも意味が無かったとまだ言えるの？
しゃもじて…。
この総理大臣の頭の中はお花畑なんだろうか。
まー、そうかもしれません。
しゃもじより良いもの、例えば「使い捨てカイロ」の方がよほど役に立つでしょう。
暖房の無い被災者や前線の兵士たちに喜ばれるのではないでしょうか？
侵略戦争の的になって国土を荒廃させられている国を訪問するにあたって、選挙事務所への応援と勘違いしているのではと取られかねない「オリジナリティ」に発想の貧困さを感じます。
海外の報道に当たる事無く、普段忌み嫌ってる国内のオールドメディアの報道に左右されて短絡的な岸田批判をした人たちは、ウクライナ側の反応を見て恥ずかしく…思わないんでしょうね。
しゃもじは広島県廿日市市宮島町の名産品ですからね。
厳島神社がユネスコの世界文化遺産に登録されているからというのもありますね。
但し、廿日市市宮島町は岸田文雄総理の選挙区ではないですが。(当該選挙区を地盤にしているのは、茂木派の平口洋衆議院議員です。)
千羽鶴の方がまだ焚き付けになりそうですな ＞しゃもじ
貰った相手が始末に困るようなものを得意げに渡したのだろうと思うと、あの人物を総理大臣として据えていることに日本人として恥ずかしく思えてきました。
外交の場での宏池会アピールはじめ本当にドメスティックな世襲政治屋であってとてもステイツマンとは言えない人物だと改めて再確認させられた気持ちです。
コメント失礼します。
財務省の狗総理は露には結構強い態度取ってますね。観艦式でも批判してたし。
宇への協力を見せつけたのは良いですね。露と宇には末永く消耗し続けて頂きたい次第です。
しゃもじ…後日ゼ大統領が「しゃもじが無ければ即死だったよ」と穴の開いたしゃもじを見せながらリップサービスするんですかね？
「戦争犯罪及びその他の残虐行為の不処罰はあってはならない」
連合国の国際法違反はいつ裁くのかな？でも日本国は現在、国際法違反し続けている非文明国（約束が守れない）だからやらないか。根拠はジュネーブ諸条約第八十三条、周知義務違反です。もしかして今時の小中高ではちゃんと教えてたりするんですかね？私が通ってた頃は習った記憶は無いです。
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/ap1.htm#75
あんなのでも今の日本国の総理なので、無事に帰国する事を願います。
台湾の訓練のニュースと見比べると、岸田文雄の危機感の無さ、覚悟の無さを痛感させられます。
台湾軍 “北部の海岸から上陸した敵を撃退” 想定の訓練
2023年3月23日 13時35分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230323/k10014016911000.html
『実弾は使いませんでしたが、一般の市民や自動車が通行する中、実戦さながらに銃声が響きました』
戦前の総理大臣に、腹も括れず首も括れずな“タマなし”フミオを総理大臣にしちゃあ駄目ですね。
「ちなみにしゃもじには、敵を召し（飯）取るという験担ぎに使われるそうです」（失笑）。あ〜そうですか。そんなん広島でしか通用しない様式じゃないですか？高校野球の広島県代表がよくアルプス席でやってますが、ゼレンスキー大統領に50cmの特大しゃもじ贈呈って、悪ノリし過ぎじゃないでしょうか？広島県って、とかくアクが強いんです。地元カラーを出したがる。要らんっちゅうに。
ゼレンスキー大統領は何の意味か分からない。そんな駄物より(大切な木製品ですが)、円借款を申し出るなり寄付するなり、ライフラインを再構築するとか、食糧、衣類、簡易住宅を寄贈したほうがよほど喜ばれるでしょうに。コレ、考えた側近は考えが浅いわ。ま、広島民じゃろうのう〜（笑）。
さて、中露会談と対決姿勢になった事は喜ばしいです。また隣国が「自民党より韓国政界は先に動いていた」と悔しさ満点のコメントしてます。オタクはウクライナに行ったら中露から報復受けるで！