米ワシントンで現地時間13日夕方、日韓外務次官協議が行われましたが、予定を大幅に超過する2時間半の協議にもかかわらず、少なくとも現時点において自称元徴用工問題で日本政府が「折れた」との報道はありません。これについて依然として油断は禁物ですが、現時点の情報で判断する限りは、韓国政府の欲が強すぎるがために、まとまるものもまとまらない、という可能性がありそうです。
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日韓次官級協議
ワシントンで現地時間の13日夕方(=日本時間14日早朝)、外務省の森健良事務次官と韓国外交部の趙賢東(ちょう・けんとう)第1次官が自称元徴用工問題などを巡り、「協議」を行ったそうです。
森外務事務次官と趙韓国外交部第1次官との協議
2月14日、午前6時(現地時間13日、午後4時)から約2時間半、日米韓次官協議に出席するためワシントンD.C.訪問中の森健良外務事務次官は、趙賢東(チョ・ヒョンドン)韓国外交部第1次官との間で協議を行いました。
- 両次官は、北朝鮮による核・ミサイル活動の活発化は、地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、且つ、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとの認識を改めて共有しました。森次官からは、拉致問題について、韓国側の引き続きの支持に謝意を表明しました。
- 両次官は、地域の安全保障環境が一段と厳しさを増す中、日韓・日韓米協力の進展が重要であるとの認識で一致しました。また、包摂的で、強靱で、安全な、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、取組を連携させていくことで改めて一致しました。
- 昨年11月の日韓首脳会談において、両首脳が日韓間の懸案の早期解決を図ることで改めて一致したことを受け、両次官は、旧朝鮮半島出身労働者問題を含め日韓関係全般について率直な意見交換を行いました。両次官は、懸案を解決して日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させるべく、外交当局間の意思疎通を継続していくことで改めて一致しました。
―――2023/02/14付 外務省HPより
文中の「旧朝鮮半島出身労働者問題」は、自称元徴用工問題のことです。
この外務省の公式発表だと、議論の進捗状況に関しては、正直何もわかりません。外務省は自称元徴用工問題を巡る韓国との「協議」について、よっぽど日本国民から隠したいのでしょう。
本件を巡る日韓メディアの報道は?
ただ、今回の「協議」に関していえば、不自然なことに、現時点において韓国側の外交部には公式な発表がなにもありません。一般に、この手の次官級協議の際は、日韓外務当局がほぼ同じタイミングでプレス・リリースを出すことが多いのですが、なんだか不自然です。
これに関連し、日韓のメディアの報道が出ていました。ここでは日経と韓国『聯合ニュース』(日本語版)の記事を紹介します。
日韓外務次官、元徴用工解決へ意思疎通を継続
―――2023年2月14日 12:00付 日本経済新聞電子版より
韓日外務次官 徴用問題巡り2時間半の集中協議
―――2023.02.14 11:42付 聯合ニュース日本語版より
このうち日経新聞の方の記事によれば、両次官は「2時間30分ほど協議」したそうであり、また、両者の対面協議は韓国政府が今年1月に「財団肩代わり方式」を公表して以降初めてだ、などとしています。
日経はまた、今回の次官級協議は、18日にドイツで予定されている林芳正外相と朴振(ぼく・しん)韓国外交部長官の会談を前に、「解決への前提条件をすり合わせる」というものだったと報じています。
ただ、日経によると趙賢東氏は会談後、記者団に対し、「まだ接点を見つけようと努力しているところだ」、「私たちは協議をもっとしなければならない」などと述べたのだそうです。日経はこれについて、「韓国政府が日本側に求める『誠意ある呼応』の在り方を巡り議論が続いている」、などとしています。
この報道が事実ならば、少なくとも18日の日韓外相会談には両国の協議は間に合わなかった、という可能性が出てきます。
「会議が長引いたということは結論に至らなかったということ」
その一方、聯合ニュースの記事も、両者が「日本による植民地時代の徴用被害者への賠償問題を巡って集中的に協議した」と報じています。「植民地時代の徴用被害者への賠償問題」という時点で虚偽ですが、この点はとりあえず脇に置きましょう。
聯合ニュースは2時間半という今回の協議が「当初の予定を1時間半以上上回った」などとしており、「徴用被害者への賠償問題を巡る交渉の争点である第三者からの弁済や日本の『誠意ある呼応』について踏み込んだ議論が行われた」と報じました。
また、会議が長引いた理由について、趙賢東氏は「会議が長引いたのは悪いことではないが、議論が長引いたということは結論に至らなかったという話にもなる」とも指摘し、「引き続き協議を行う必要がある」と説明。
そのうえで趙賢東氏は記者団からのそのほかの質問に対し、「われわれだけでなく日本側も現在の動向に非常に敏感であり、特に韓国メディアの報道を非常に敏感に見ている」とも述べたのだそうです。
「日本に非を認めさせる努力」は難航?
この点、私たち日本国民の立場としては、日韓メディアの報道を眺めていると、たしかに不安になることは間違いありません。そもそも自称元徴用工問題自体、韓国が捏造した虚構であり、こんな虚構に対して「交渉する」と応じている時点で、日本の外務省は半分、相手に負けているからです。
ただ、それと同時に、趙賢東氏の「議論が長引いたということは結論に至らなかったという話にもなる」、のくだりに関していえば、自称元徴用工問題を巡る韓国政府による「日本に非を認めさせるための努力」が難航している証拠かもしれません。
当ウェブサイトに優れたコメントを残してくださる「カズ」様という読者の方が、またしても重要なことを指摘しました。自称元徴用工問題を巡って、韓国政府は「日本に非を認めさせる」ための努力しかしていない、というのです。まったく言い得て妙と言わざるを得ません。もっとも、こうした韓国政府の努力も徒労に終わる可能性が出てきました。福島第一原発ALPS処理水、佐渡金山世界遺産登録という、韓国自身の強欲が作り出した問題がその原因です歴史問題とその対応日韓諸懸案を象徴する「自称元慰安婦問題」日韓諸懸案の象徴であ... 「日本に非を認めさせる努力」しかしていない韓国政府 - 新宿会計士の政治経済評論 |
先日の『自称元徴用工「焦る」韓国政府の内情と冷徹な日本国民』でも取り上げましたが、朝日新聞の牧野愛博記者のレポートでは、日本政府の「呼応措置」を巡り、「依然として日韓双方の認識の相違が残っている」と記載されています。
朝日新聞の牧野愛博記者の記事といえば、後から振り返ると、「韓国政府の意向を正確にくみ取ったもの」であることが多いように思えます。そんな牧野氏が8日、現代ビジネスに対して寄稿した論考からは、日本政府に非を認めさせるための努力しかしてこなかった現在の韓国政府の「焦り」のようなものが浮かび上がるようです。ただ、それ以上に興味深いのは、『Yahoo!ニュース』に掲載されている読者コメントの冷徹さにあります。日本に非を認めさせる努力しかしていない韓国政府自称元徴用工問題を巡る最近の状況といえば、「日本に非を... 自称元徴用工「焦る」韓国政府の内情と冷徹な日本国民 - 新宿会計士の政治経済評論 |
牧野氏によれば、韓国政府は現在、「①過去の引用で構わないので、改めて過去の問題に対する日本政府の謝罪表明をお願いしたい」、「②被告になった日本企業による何らかの形での韓国側財団への献金をお願いしたい」、という2点を日本に対して要求しているのだそうです。
どちらも正直、応じてはならない「見え透いた罠」ではあります。
ただ、逆にいえば、もしも日本政府が「①韓国への謝罪表明に応じず」、「②日本企業が1銭たりとも財団に資金を拠出しない」という状況では、韓国政府が考えている「日本に非を認めさせるための努力」は成功しない、ということでもあります。
あくまでも「牧野レポート」を信頼するならば、という前提ではありますが、正直、韓国の政府の努力は現在、相当に難航しているという可能性が出てきます。
もしかすると、日本の外務省はどこかで「落としどころ」を探っているにも関わらず、韓国側の「強欲」のために、その「落としどころ」に至ることすらできていない、というのが実情なのかもしれません。
楽観視は禁物!対韓譲歩を許さない国民の意志が大事
とはいえ、過去に何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も韓国に騙されてきた外務省のことですから、あまり楽観視するわけにはいきません。
実際、今回も日韓外交当局が「何らかの合意」に達しているにも関わらず、趙賢東氏らが敢えて「まだ努力が続いている」と述べたにすぎない、という可能性は排除できないからです。
なにより、せっかく安倍晋三、菅義偉両総理の時代に日韓関係が正常化したのに、宏池会政権の岸田文雄・現首相、林芳正外相の下で、日本の対韓外交が大きく後退していること自体、すでに日本が韓国の土俵に上がってしまっていることを意味しています。このことは返す返すも残念といわざるをえません。
いずれにせよ、自称元徴用工問題を巡っては、日本が譲歩するかたちでの問題解決を、日本国民は絶対に許してはなりません。
それどころか、韓国が自称元徴用工問題だけでなく、火器管制レーダー照射、竹島不法占拠、仏像窃盗、慰安婦合意破り、政治家らによる天皇陛下・上皇陛下侮辱などのさまざまな不法行為を重ねていることを思い出しておく必要があります。
日本にとっての「落としどころ」がどこにあるのかについては、いまさら指摘するまでもないでしょう。
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林外務大臣は、記者会見で「去年11月の日韓首脳会談で懸案の早期解決を図ることで一致したことを受けて外交当局間の協議は加速している。1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づいて、日韓関係を健全な形に戻しさらに発展させていくため、韓国政府と緊密に意思疎通をしていく」と述べました。
NHKはこう言ってますね
林外務大臣の発言をチラ見しましたが、案の定フラフラと危ないコメントをしてたので、思わず仕事中なのに、足を止めてしまいました。「日韓・日米韓協力の進展が重要であるとの認識で一致した」しかし「自由で開かれたインド太平洋の実現(FOIP)」のコメントは聞けず(聞き漏らしたかも)、「日韓間の懸案の早期解決を図るため、外交当局間の意思疎通を継続していく」と語ってます。
な〜んの進展もない次官級会談だったようです。いや、変に進展して貰っても困るので、ただし韓国側が相当粘り、日本に謝罪と賠償に参加するよう求めたが、日本側が断ったか、そこまで話が行かなかったか。どちらにしても日本は譲歩しなかった。このまま外務大臣級会談でも歩み寄るな、と言いたいです。
韓国側はことあるごとに決まり文句のように誠意誠意と言うが、先ずは韓国側が一度でも誠意を見せたことがあるのか?と自国に問いかけてみてはどうかと常々思う。
いや、きっと韓国側は、ワケ分からん・意味不明・論理破綻してることを並べて、「これが韓国の誠意だった」なーんて平気で言うぜ。きっと。
だって、韓国人だぜ。
>両首脳が日韓間の懸案の早期解決を図ることで改めて一致した
のなら、韓国は日本の誠意ある対応なんか求めてないで、被害企業の救済に当たれば良いのにと思うのです♪
自称元徴用工とか韓国国民をどう説得するなんかは、韓国内で適当に処理しちゃえば良いのです♪
それで晴れて関係改善なのです♪
次の政権まで僅かな間のことなんだろうけど・・・・・まぁ、それは仕方ないのです♪
日本側の呼応措置がどうなるか、という問題の前に、日本側がどこまで譲歩するのかは分かりませんが、呼応措置をいつ発表するのか、の方がよっぽど重要、交渉の核心だと思います。
日本側が慰安婦合意が履行されなかった経験から、、韓国側が解決案を発表し原告団が法的に解決策に合意した後でなければ呼応策を発表しない線で交渉している限り、韓国側は解決案を発表出来ないでしょうし、一方、日本側が先に呼応措置を発表すれば原告団が合意せず、その呼応措置を前提として更なる要求をしてくることは目に見えています。
こんなもの初めから纏まる話ではないのですよ。
韓国が絶対にやらないことは、
日韓合同での歴史検証
国際司法裁判所での争い(そのくせ日本の事案について韓国国内での裁判大好き)
他国への謝罪(レーダー宣戦布告、瀬取り不法取引、ライダイハン)
控えめに言っても付き合いきれませんね。
岸田君、林君は無駄な努力はやめて放置しておけばいいのに。何か弱みでもあるんですか?
少しの労力でたくさんおべっかを使ってくれるからでは無いでしょうか。
それが「功績を作った」ように見えちゃうのでしょうね。テストのスコアの取り方と似ていて、合格点を取るために難しい問題は避けて簡単な問題を集中的に取るのと同じような印象を覚えます。
岸田さんは林さんにスコアをたくさん取らせて次の総理にしたい腹積もりがあると看做されていますが、そのスコアの取り方が中韓への譲歩という形なのかも知れませんね。
日本のお偉いさんはよっぽど暇なんですね。無駄話しに2時間半も付き合ってあげるなんて。また説明会を開いて見せたら。
韓国側との交渉は話が通じないので、かなりしんどいと思います。
もしも、日本が交渉を投げ出して
「韓国の法律通り、日本企業の資産を売ればいい。こっちはこっちで制裁発動する。」としたら、韓国はどう動くのてしょう。
だいたい、約束破りをしてるのは韓国で日本がどうもこうも出来ない。
約束を守れるのは韓国しか出来ないのだから。
日本がなんかしたら約束を守るというのは、約束を守らないにんげんの典型的な言い訳ですわ。
約束を破る。ウソをつく。
こんな相手と交渉が成立する訳が無い
日本側は言質を取られないよう時間潰ししていただけ、と信じたいですね。
ほんと 現場は気の毒だと思いますよ
韓国側がウソを公表して 日本側が反応しない事に叩く人も多いけれど
これに日本側が「 yes /No 」言ったら交渉の答え合わせになっちゃうじゃないですか
現場の人は「no」だって言える訳ないんです。
oinko様
確かにYES NOを言うと外交交渉の中身を言ってしまう事になるので、真面目に考えたらできません。
しかし、それをしなかったせいで日本国民が騙され外交の手足を縛られたのも事実です。
例えば 尖閣諸島棚上げ論です。
これも、棚上げに同意したと言われてますが 日本からは同意したとかなんも言ってません。
でも、なにも言ってないからこそ 同意したという噂が流布されてます。
嘘つきとの外交を真面目にする必要てあるのかなと疑問があります。
やはり、相手が嘘をついてるときは明確に否定する必要はあると思います。
韓国人原告の訴え、時効で棄却 西松建設相手取る徴用工裁判 ソウル
2/14(火) 16:57配信
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時事通信
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