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    Categories: 外交

鈴置氏、韓国のホワイト国復帰が危険である理由を解説

自称元徴用工問題「解決」のバーターとして、日本政府が韓国を「(旧)ホワイト国」に復帰させるという与太話がありますが、この考え方はさまざまな点で誤っており、かつ不適切です。これに関し、韓国観察者の鈴置高史氏は10日、もし日本が韓国を「ホワイト国」に復帰させた場合むしろ日本が米国から韓国の共犯者と見られるというリスクを抱えることになると警告しました。まったくそのとおりでしょう。

外務省という腐敗した組織

輸出管理適正化措置は自称元徴用工問題と無関係

当ウェブサイトではこれまで、「日本政府が2019年に講じた韓国に対する輸出管理適正化措置は自称元徴用工問題などの日韓諸懸案とはそもそも無関係であり、この措置を自称元徴用工問題と絡めて議論することは不適切である」と説明してきました。

たとえば2020年10月の『対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった?』でも指摘したとおり、対韓輸出管理適正化措置自体は、「日本の韓国の制裁措置」ではなく、むしろ「日本自身が欧米などから輸出管理厳格化のペナルティを回避するうえで必要な措置だった」、という仮説を提示しました。

とある理由に基づき再開した『数字で読む日本経済』シリーズ、本稿で第8回目となりました。今回は「中韓がなくても大丈夫な日本経済」をテーマに、おもに数字を使いながら日中関係、日韓関係について議論しているのですが、日韓関係に言及した際に欠かせない論点のひとつが、安全保障上の措置に基づく輸出管理の強化・適正化措置です。追記:本文中で数ヵ所表現などを修正しています(詳細はコメント欄などをご参照下さい)。韓国との関係をどう見るか両国関係を数字で読むことの重要性『数字で読む日本経済』シリーズとして、現在展...
対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった? - 新宿会計士の政治経済評論

この件、事案が事案だけに、著者自身が把握しているすべての情報を当ウェブサイトに記載するのは適切ではありませんが、ひとつだけ証拠を挙げておくならば、輸出管理適正化措置で対韓輸出が個別許可性に切り替わったフッ化水素(HSコード「2811.11-000」)の対韓輸出データが参考になるかもしれません。

というのも、この「HS2811.11-000」の日本から韓国への輸出が、数量、金額ともに急増していて、一時期はフッ化水素の輸出の9割が韓国向けだったこともあるほどです(図表1図表2)。

図表1 フッ化水素(HS2811.11-000)の対韓輸出(数量)

(【出所】財務省『普通貿易統計』データを参考に著者作成)

図表2 フッ化水素(HS2811.11-000)の対韓輸出(金額)

(【出所】財務省『普通貿易統計』データを参考に著者作成)

フッ化水素の対韓輸出が数量、金額ともに異常に膨れ上がっていることを踏まえると、そこに何らかの不自然さの存在を感知せざるを得ません。

産経のリーク記事「韓国のホワイト国復帰検討」

ところで、今年に入ってから、「日本政府が韓国を輸出管理上の『(旧)ホワイト国』に戻すことを検討している」とする報道が相次いだこともあり、これについて久しぶりに、「なぜ韓国をホワイト国に戻してはならないのか」を、1月28日付の『韓国をホワイト国に戻してはならない輸出管理上の理由』で論じました。

韓国政府が日本政府に対し、輸出「規制」の撤回と「ホワイト国リスト」への韓国の編入を強く要求しているようであることは、ここ数日の韓国メディアの報道でも明らかです。しかし、そもそも日本政府が対韓輸出管理適正化措置を発動した原因――日韓の信頼が損なわれた状況で、韓国が輸出管理を巡って不適切な事例を発生させたうえ、WTO提訴をしたことなど――が除去されていない以上、日本政府は韓国側の要求に応じることはできませんし、応じてはなりません。無名の専門家がウェブ評論をする時代社会のインターネット化に伴い、興味深...
韓国をホワイト国に戻してはならない輸出管理上の理由 - 新宿会計士の政治経済評論

すると、奇しくもこの当ウェブサイトの記事とまったく同日・同時刻付で、産経ニュースが「独自」と銘打って、こんな内容を報じました。

<独自>韓国の「ホワイト国」復帰検討、徴用工見極め判断

―――2023/1/28 05:00付 産経ニュースより

この産経の記事については『産経「ホワイト国復帰」記事、ロジックは「穴だらけ」』でも指摘したとおり、輸出管理に関する基本的な理解を欠いているだけでなく、「輸出管理適正化措置は自称元徴用工問題とは別物である」とする従来の日本政府の立場とも整合しません。

「韓国をホワイト国に戻してはならない」とする当ウェブサイトの昨日の記事とまったく同時刻に、産経ニュースは「独自」と銘打って、『韓国の「ホワイト国」復帰検討、徴用工見極め判断』と題した記事を配信しました。まさに真逆の内容です。ただ、産経の記事自体、事実誤認も多く、ロジックもかなりお粗末です。これはおそらく「産経記者の不勉強」ではなく、情報源である日本政府関係者あたりが考えている内容を、産経が「確信犯」的に報じたのではないでしょうか。ホワイト国にふさわしくない韓国なぜ韓国をホワイト国に戻してはな...
産経「ホワイト国復帰」記事、ロジックは「穴だらけ」 - 新宿会計士の政治経済評論

産経ともあろうメディアがこんな杜撰な記事を掲載したこと自体、一見すると極めて不自然ですが、冷静に考えてみれば、こんな仮説が成り立つかもしれません。

  • 【仮説①】外務省としては、「うるさがたの保守メディア」である産経新聞社に対し「特ダネ」を提供することで恩を売り、現在、外務省内で検討している「自称元徴用工問題解決と輸出管理適正化措置のバーター」という案に横槍を入れないように牽制した
  • 【仮説②】産経新聞社としては、外務省のリークをありがたく受け取るふりをしてこの記事をそれっぽく配信しつつも、普段の論説では韓国のホワイト国復帰に反対する立場を変えず、結果的に外務省が検討しているこの案を潰そうとしている

…。

韓国の「共犯者」となる外務省

この①、②はどちらも「山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士」が勝手に考えた仮説ですが、案外正鵠を射ているのではないかという気がしてなりません。

実際、対韓輸出管理適正化措置以降の韓国メディア報道を眺めていると、「日本が強制徴用問題の報復として輸出規制を発動した」、といったストーリーは、韓国国内では少なくとも事実として凝り固まっていることがわかります。

ここでいう「強制徴用問題」とは自称元徴用工問題の、「輸出規制」とは対韓輸出管理適正化措置の誤りですが、こうした基礎的な用語をわざと誤って使うのは、韓国政府、韓国メディアの特徴です(ほかにも、福島第一原発のALPS処理水のことを、わざと「汚染水」と呼ぶなどの事例があります)。

ただ、このこと自体、韓国政府が日本の対韓輸出管理適正化措置を何としてでも「撤回」させたがっているという証拠であり、外務省としても、こうした韓国政府の意向に忖度(そんたく)し、自称元徴用工問題の「解決」の「褒美」として対韓輸出管理適正化措置の撤回を実現させようとしているのかもしれません。

もしそれが事実だとすれば、外務省という組織自体、本当に腐敗し切っていると言わざるを得ません。

「外務省≒中央青山監査法人」説

外務省と韓国政府の関係で真っ先に思い出すのは、昨年10月の『カネボウ粉飾決算事件に見る「外務省と相手国の癒着」』でも触れた、著名な粉飾決算犯罪に関するエピソードです。

かつて、カネボウ粉飾決算事件というものがありました。この事件の異例さは、なんといっても、会計監査を担当していた公認会計士自身が粉飾決算に加担していたとされる点にあります。本来、会計処理を考える責任は被監査会社の側にあるはずなのに、そして監査を担当する公認会計士は独立していなければならないはずなのに、こうした原理が突き崩された事例が、まさにこのカネボウ事件だったのです。そして、このカネボウ事件の教訓を真っ先に当てはめなければならない組織は、外務省です。監査論と会計士公認会計士は税理士ではない自...
カネボウ粉飾決算事件に見る「外務省と相手国の癒着」 - 新宿会計士の政治経済評論

カネボウ粉飾決算事件では、カネボウを監査する立場にあったはずの中央青山監査法人(※廃業・解散済み)が、会計監査上の「監査人は被監査会社から独立の立場にある」とする原則を大きく逸脱し、監査される会社であるはずのカネボウと結託して共犯者として粉飾決算に手を染めていました。

当たり前の話ですが、粉飾決算は犯罪であり、投資家と市場を欺く行為です。そして、会計の番人であるはずの監査法人が犯罪の片棒を担いでいたという事件は、中央青山監査法人だけでなく、公認会計士業界全体の信頼を失墜させたのです。

現在でも世間が公認会計士・監査業界を見る際、どこか「うさん臭い」という印象を持っているように思えますが(著者私見)、これも当時の中央青山監査法人がカネボウ粉飾決算事件のような異常な犯罪を発生させたことに原因のひとつがあるように思えてなりません。

外務省と韓国政府の関係も、まさにこの「中央青山監査法人とカネボウの関係」とソックリです。

本来ならば外務省は日本の国益を最大化するためにこそ動かねばならず、相手国の国益のために動くというのは「とんでもない思い違い」ですが、どうも外務省の省内では、相手国に譲歩してでも相手国との関係を「改善」(?)することが省益の拡大につながる、といった発想でもあるようです。

このあたり、別に著者自身は日韓両国が今すぐ「完全断交」(『台湾型と北朝鮮型=断交の2類型』等参照)すべきだ、とまで申し上げるつもりはありません。

ツイッターで昨日、「完全断交」というトレンドが発生していました。さて、ここでいう「完全断交」とは、いったい何でしょうか。国交断絶のことを意味しているのだとしたら、その「断交」には少なくとも「台湾型」と「北朝鮮型」の2つの類型が存在するからです。この点、経済的に密接な関係にある国と、今すぐ「北朝鮮型の断交」ができるわけではありません。しかし、今からその「準備をする」ことは可能でしょう。「完全断交」とは?「イーロン・マスク改革」(?)以降のツイッターでは、それ以前ではなかなか考えられなかったよう...
台湾型と北朝鮮型=断交の2類型 - 新宿会計士の政治経済評論

ただ、外務省やその関係者が唱える「日本が韓国と関係『改善』しなければならない理由」については、その9割方はインチキです(『松川るい氏のツイートに見る「日韓関係改善論」の詭弁』、『仏像判決に見る日韓関係「ゼロ対100」詭弁の典型例』等参照)。

彼らの多くは客観的事実にうまく混ぜ込む形で、「日韓両国が関係を『改善』しなければならない」、などと唱えるのですが、冒頭で取り上げた「ホワイト国復帰」云々の与太話も、「日本の安全保障環境に照らして日韓関係を改善すること」の一環として出て来るものです。

鈴置氏の最新論考の警告

半導体包囲網から見た輸出管理

こうしたなか、昨日はウェブ評論サイト『デイリー新潮』に、再び「ホワイト国」を巡る警告が掲載されていました。

どうする韓国、中国が怖くて半導体封鎖に加われないのか 「ホワイト国」に再指定すれば日本も同罪

米国が主導する半導体の中国封鎖網。日本とオランダの参加が決まり、残すは韓国だけとなった。米中どちらと手を組むのか――。韓国観察者の鈴置高史氏が二股外交の先行きを読む。<<…続きを読む>>
―――2023年02月10日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より

執筆したのは日本でも最も信頼のおける韓国観察者のひとりである鈴置高史氏です。

リンク先の記事は7000文字を超える長文ですが、日韓問題に関心がある方であれば、おそらくあっという間に読めてしまうことは間違いありません。それだけタイムリーかつ説得力のある論考だからです。

ここで思い出しておきたいのが、鈴置氏がかなり早い段階から、「韓国は米中二股外交を繰り広げている」と警告を発してきたという事実です。著者自身の記憶で恐縮ですが、遅くとも朴槿恵(ぼく・きんけい)政権時代には、鈴置氏はこの「米中二股外交」なる概念を提唱していました。

対中包囲網に加わらない韓国

今回のデイリー新潮の寄稿記事も、この「米中二股外交」に、米国の「対中半導体戦争」を絡めて論じたものですが、読んでいて2つの点に対して、不安になります。

ひとつは米中半導体戦争の行く末という点に対して、であり、もうひとつはこんな大切なことを新聞、テレビなどのメディアがほとんど取り上げないという日本のオールドメディアの取材力・論説力の弱さに対して、です。

米国の対中半導体包囲網に日蘭両国が参加したなかで、台湾、韓国がそれぞれどのような立場を取っているのかの詳細については、鈴置論考で直接ご確認ください。ここで引用しておきたいのは、もし韓国が対中封鎖に参加しない場合、米国がどういう対処をするかに関する鈴置氏の予想です。

一方、韓国はそんな自主規制の制度(※)は持ちませんし、中国の顔色を見る国です。米国は脅し上げてでも韓国の先端半導体の対中輸出を止めるでしょう」(※引用者注:「そんな自主規制の制度」とは、台湾の対中半導体輸出に関する自主規制のこと)。

鈴置氏によると、米国は半導体包囲網に加わらない韓国に対し、不審の目を向けているのだそうです。というのも、韓国は対露制裁でも米国を裏切った実績があるからです。

おとなしく頼んでいては、韓国は言うことを聞きません。2022年2月のウクライナ侵攻に伴う対ロシア制裁の時もそうでした。米国は金融制裁に加え、半導体など7分野の対ロ輸出中断を西側の国に要請しました。日本や欧州など西側の32カ国は直ちに応じましたが、韓国だけが色よい返事をしませんでした。対ロ封鎖網に世界最大のメモリー生産国の韓国が加わらなければ意味がありません」。

韓国には要請ではなく恫喝しかない

では、具体的に米国は何をやったのでしょうか。

そこで米国は7分野に関し、韓国の対ロ輸出を全てチェックすると宣言。それらの製品は米国の技術によって生産されているとの理屈です。輸出1件ごとに米国にお伺いをする羽目に陥った韓国は困り果てました」。

米国の怒りに驚いた韓国は3月になって要求を受け入れました。が、米国は『肝心な時に裏切る韓国』に改めて気付きました。韓国には要請ではなく恫喝しかない、との思いを増したことでしょう」(※下線部は引用者による加工)。

「韓国には要請ではなく恫喝しかない」。

これは、大変に重要な視点です。というのも、韓国は制度を整えたとしても、そのとおりに運用するという保証はないからです。鈴置氏はこう説きます。

韓国には奥の手があります。米国の命令通りに、先端半導体の対中輸出は止める。しかし、先端半導体を製造するための装置と素材は中国の半導体メーカーに横流しする――です。こうすれば中国に『封鎖』の実害は及ばず、韓国も中国の怒りを買うこともなく『封鎖』参加に対する報復を受けなくて済みます

…。

さすがにこれは韓国をあまりにも「性悪説」で捉えすぎているのではないか――?

こんな疑問を読者も持つかもしれませんが、すかさず鈴置氏が出してくるのが、こんな事実です。

韓国の横流しには実績があります。日本が対韓輸出管理強化に動くきっかけとなった事件です。韓国の貿易統計によると韓国は例年、半導体製造用のフッ化水素(HSコード2811111000)を年間4万トン強輸入していました。ほぼ日本製です。ところが2018年には輸入量が2倍の8万3300トンに跳ね上がったのです」。

危険な国家への横流しを疑った日本政府が韓国政府に問いただしたのですが、答は一切ありませんでした。そこで2019年7月にフッ化水素など3品目の対韓輸出を1件ごとにチェックする仕組みに変更。翌8月には輸出に制限を設けないホワイト国(現・Aグループ)から韓国を外しました」。

このあたり、具体的な証拠を突き付けたうえで理詰めで議論を進める鈴置氏の力量には、いつもながら驚かされるばかりです。

「外務省のピンぼけも極まれり」

しかも、韓国をホワイト国に再度追加するとした外務省の言い分が、次の通り、噴飯物です。

  • 韓国政府は輸出の仕向け先をチェックする体制を整えた。それを受け、日本も一度は厳格化した韓国向け輸出管理を緩めようとした。
  • しかるに韓国がWTOに日本を提訴したのでそのままになっている。今後、韓国が提訴を取り下げれば、日本も対韓輸出の管理を緩めるのが筋だ。

これについて鈴置氏は、こう反論します。

米国が韓国の横流しに疑惑を持ち、その輸出先の監視を強化する時に日本が監視を緩めるというのですから『ピンボケも極まれり』です。まず、『韓国がチェック体制を整えた』は理由になりません。韓国政府が横流しする意図があれば、制度などいくら整えても関係ないのです」。

まったくそのとおりでしょう。

この点、日本でもよく「日韓関係を改善するために韓国に譲歩してはどうか」などと寝言を述べる者がいますが、韓国に譲歩したところで、それは結局「食い逃げ」されるのが関の山でしょう。しかももし日本が韓国を「ホワイト国」に復帰させた場合には、今度は日本が「共犯」の立場にされます。

ちょうど粉飾決算の犯人はカネボウでしたが、中央青山監査法人がその「共犯」として摘発されたという事例を思い浮かべます。

それに、鈴置氏によれば、輸出管理の強化は「横流しを防ぐ」のだけが目的ではありません。

半導体封鎖網が典型ですが、韓国は今、米中どちらの陣営に入るか、あるいは中立を維持するか、で岐路に立っています」。

これこそ、鈴置氏が以前から指摘している、「輸出管理は日韓二国間の問題ではない」の意味でしょう。

対韓譲歩は無意味であるだけでなく有害

そのうえで、中国に対する牽制としての日米韓3ヵ国協力については、いま一度、鈴置氏のこんな警告を確認しておく必要があります。

一方、中国向けの3国軍事協力。日本の対韓譲歩に関係なく、韓国は消極的です。政権が保守だろうと左派であろうと、韓国の国民に中国に立ち向かう覚悟がないからです」。

言い換えれば、「日本が韓国に譲歩しても意味がない」、です。いや、対韓譲歩は「無意味であるだけでなく有害」、と言えば良いでしょうか。

この点、「優しくすれば韓国はこちら側に来る」、「厳しくすれば中国側に行く」、「韓国が保守政権のうちに関係を改善しておかないと永遠にそのチャンスを失う」などとと主張する人がいるのも事実ですが、これらに対しても鈴置氏は完全に否定します。

外務省の人がよくそう言いますが、完全な間違いです。現実は逆なのです。韓国は米中の間で『より激しくビンタをして来る国』の言うことを聞きます。<中略>もし、中国に立ち向かおうとしない韓国に日本が譲歩すれば、韓国は『米日側につかなくても報復されない』と考え、ますます中国側に行ってしまいます」。

韓国人は相手が譲歩してくれば、それを相手の弱みと見なし、さらなる譲歩を要求します。日本人は相手が譲歩すれば、こちらも応じないとまずいと考えがちです。日本人同士なら、それもいいのでしょうが、韓国人は韓国人であって日本人ではないのです」。

「(保守政権のうちに関係改善すべきとする言説については)外務省関係者があちこちで、そう言っています。岸田首相が『韓国との関係改善待ったなし』、『早急な関係改善』としきりに言うのも、外務省の『洗脳』の結果でしょう。本当は第2次朝鮮戦争に怯える韓国こそが『待ったなし』なのですが」。

このくだり、外務省の関係者は100回くらい音読した方が良いと思います。

とくに最後の「保守政権のうちに関係改善すべき」については、著者自身が自民党内で最も信頼ができない政治家のひとりとみなしている松川るい参議院議員が述べている内容がそのものずばりでしょう(『松川るい氏のツイートに見る「日韓関係改善論」の詭弁』)。

自民党参議院議員である松川るい氏の日韓関係を巡るインチキ議論に続きが出てきたようです。松川氏が「作家」のツイートに反論する形で、日韓関係を「改善」する必要性を滔々と力説しているのですが、これが日韓関係に関する典型的な詭弁の塊のようなものなのです。松川氏の詭弁に騙されそうになっている人は、是非とも韓国観察者である鈴置高史氏の論考を読んでみてください。松川議員の「対韓譲歩」論の詭弁昨日の『自称徴用工で対韓譲歩促す松川るい議員のインチキ理論』では、自民党の松川るい参議院議員がフジテレビの番組に出演...
松川るい氏のツイートに見る「日韓関係改善論」の詭弁 - 新宿会計士の政治経済評論

とりあえず、「日韓関係の早急な改善」という寝言を述べる者は信頼に値しません。

私たち国民の外務省に対する監視の目が、今以上に重要な時はないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (35)

  • フッ化水素の輸入管理をわかりやすく例えると、

    日本でも猟銃を売ってます。
    が、誰でも買えるわけではありません。
    免許がいりますし、また弾の管理も必要です。
    で、あなたが猟銃生産者だとして

    ある販売店の購入量が倍になった。
    売上が倍になったと喜んだ貴方、次の説明を聞いてよく考えてください。

    オカシイと思った貴方は販売店に誰に売ったかデータが欲しいとお願いしたが無視をされました。
    ので、独自調査によるとどうもヤクザに横流ししてるらしいと確信が持てました。
    このまま見過ごしていると、国から制裁をくらいそうなので しかし長年の付き合いもあり 販売店の購入者の予約と その購入者が本当に予約したかの確信があれば売る事にしました。

    4年経って、その販売店は制度を作ったから昔みたいに無条件で売ってくれと言ってきました。
    しかし、横流しの事実は認めないし、横流しした従業員もそのままいます。
    しかもその販売店はこれまで嘘しか言ってきませんでした。

    もし、また無条件で納品した場合 貴方は国から制裁を受ける確率はほぼ100%です。
    それでも、猟銃を売りますか?

    と、ここの人には釈迦に説法です。
    が、何故か外務省の人々は理解出来ないのです。

    もしかしたら、これは想像ですが
    韓国人との交渉が本当に煩く面倒くさく辛いので、相手の言う事をきいてその煩さから逃げようとしてるだけなのかも知れません。

    • 外務省「韓国は重要な国でお互い解りあえるまで話し合う事が外交なのです。譲り合いの精神、思いやりの心が日本人の美徳なのです。どんなに疑わしくても相手を信じるところから始めましょう(笑顔)」
      と打っていたらイライラしてスマホ投げ捨てそうになった。

      • 役人には役人の理論があるようですね。トラップにでも引っかかてんじゃないですか。

    • ロシア、インド中国や中東諸国のリーダーの言動を見ていても
      世界全体で考えれば、非常識な国の方が多い気がします。
      世界中の国を相手にしている外務省から見れば
      韓国は むしろマシな方だと思っているのかもしれません。

  • 鈴置さんの記事、いつも素晴らしいですが、今回、最後の食い逃げの表現が、特に秀逸でした。

  • 何の落ち度もないのに因縁をつけて要求・譲歩を迫ってくる。これは反社団体の手口と同じだ。
    警視庁の反社対策パンフの記載。
    (目的達成・再攻撃)
      一度要求をのんだ相手には、幾度でも脅しをかけて
      要求を繰り返す。
    これまでの経緯を見れば明らかだ。
    岸田さん、外務省の皆さんにこのパンフ見せたい。

  •  米国が、対中国の半導体包囲網の一環として、我が国の韓国向け”輸出規制”に、それほどの役割を期待しているかは、疑問ですね。米国はあくまで、チップ4や半導体製造装置の日米蘭態勢で中国締め上げを図っているのではないでしょうか。
     現時点で、日本の外務省は、「徴用工問題は一方的に問題を起こした韓国が自国の責任で解決してくれ」と、韓国からの”呼応措置”要請に一切言質を与えず、かといって何もしないというわけではないと、報道各社にリークさせての憶測記事は許容するという”高等戦略”を取っていると見られます。報道された「ホワイト国への復帰」だの「過去の謝罪談話の確認」だの「広島サミットへのゲスト国としての招待」だの「求償権が放棄された場合の被告企業以外による財団への寄付容認」などは、いずれも日本が一方的かつ恩恵的に行うもので、韓国との交渉事項では断じてない、との考えでしょう。従って、仮に米国が「韓国のホワイト国復帰」を歓迎しないならば、その段階でそんな恩恵を与えなければ良いだけのことです。
     大国が中小国との交渉で、北風政策を採るか、太陽政策を採るかは、永遠のテーマです。中国は、属国扱いなのか、外交が洗練されていないのか、判りませんが、対韓国では北風対応が伝統のように映ります。米国は、基本は太陽政策ですが、半導体のような戦略資材における対中包囲網については、従わなければ北風政策を採るでしょう(鈴置氏が以前予測していたようにサムソンの引き抜きまでやるかもしれません)。
     徴用工問題の行方はまだまだ見えませんが、2月末:韓国政府が財団による第三者弁済案を発表(但し求償権の放棄は明言せず)→5月:日本政府が広島サミットへ韓国を招待あたりで、とりあえずの落着となるのではないでしょうか(昨年10月の韓国による観艦式参加と11月のカンボジアにおける日韓首脳会談開催のバーターのように)。その他は持ち越し案件となります。
     まだまだ長期化するものと、期待します(早急な解決は中長期的にみて好ましくない)。

  • 韓国にウェハー製造子会社を持っている台湾の環球晶圓が態度を硬化させれば、どうなるのでしょうか。当方はそれが楽心配でしょうがありません。

  • 当然確信犯でしょう
    硬性症や濃淋症の許認可の陰に利権があるのと同様
    慨夢症も特定の国に便宜を施せば
    厚い見返りが期待できるというものです
    あ、ルフィ事件からの妄想です

  • 「韓国には恫喝しか無い」・・・言い得て妙です。それを行動に移した米国、しかし日本は相変わらず、岸田首相はじめ林外務大臣、その他、オブラートに包んだ言い方をして、相手に安堵感を与え、舐められている。

    輸出規制適正化と韓国のホワイト国復帰という産経新聞社のリーク(与太話)が有りましたが、外務省としては、うるさ方の保守メディア産経新聞社にわざと流したんでしょう。で、記事にしたが、産経新聞の購読者を考えれば、反対に火を注ぐ事を産経新聞は狙ったのでしょう。知恵と悪知恵の闘い(笑)。

  • 横流しと密輸をするなと言えば言うほどそれを行うのでコントのようですね。

    ところで外務省の戦後最大のトラウマは湾岸戦争時に1.7兆円ほどの財政支援を行ったにも関わらずクウェートから感謝をされなかったことみたいですが日韓の外交に関してはトラウマどころか裏切られるのがご褒美みたいに考えていそうで、ズレた考えのお役所です。経産省と防衛省に権限を移管した方がよっぽど良い仕事をすると思います。

    • ホワイト国に戻す際には当然パブコメを行うのでしょうか?
       ホワイト国を外す時には行ったので、同じ手続きを踏まないとおかしいですよね。

      • すいません。上のコメントはまんさくさんへの返信です。

  • これ、騒いでるのは外務省関係者で、権限を持っているのは経産省でしょう。ホワイト国とか現実的にはありえんでしょう。

    • 言われてみればそうですね。
      経産省が韓国に妥協する意味は全くなく、むしろ妥協すると米国との問題の火種になるので省益から見ても受け入れられるわけがない。
      自分は徴用工問題は解決に向かう可能性があるとは思っていますが、ホワイト国問題での妥協を受け入れることは日本も米国も無理でしょう。交渉の余地は無い。

  • >韓国は米中の間で『より激しくビンタをして来る国』の言うことを聞きます。

    d(´l∀l`)ナットク
    思えば、全然ダメダメだけど韓国の尹大統領が日本との関係改善を模索してる(ふりしてる?)のも、前の文大統領が冷たくあしらわれてたからなのかもですね♪

    • >韓国は米中の間で『より激しくビンタをして来る国』の言うことを聞きます。

      韓国てマゾなの?

      キツイ鞭をうたれて
      「女王様!ありがとうございます!」と言う事をきく。

      そんなマゾからすると、日本の優しさは「わかってないなー」となりそうです。
      だから、日本から鞭を貰うためワザと日本を怒らせるような事をしてる疑いが。
      慰安婦も徴用工もレーダー照射も日本からの鞭をもらうためのマゾのおねだりともいえます。

      そういえば、李氏朝鮮の民衆の暮らしも鞭をうたれるような厳しさでした。
      実際金持ちは両班にさらわれ金を払うまで鞭でうたれたとあります。
      あれは、金持ちが満足したから金を払ったともみえるかも。

      • 中国様のことを忘れられないご様子を見るにつけ、本当にドの付くMかもしれないなと思う。

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