X
    Categories: 外交

自称元徴用工での対韓譲歩案を日本国民の力で葬り去る

「韓国の強制徴用解決策に対し、日本が輸出規制解除やホワイトリスト編入、シャトル外交再開などで呼応しようとしている」。この韓国メディアの報道自体、本当に単なる虚報と見て良いのでしょうか。やはり、不安を完全に払拭することはできません。報道から数日が経過するなかで、日本政府が報道に腹を立てて交渉を打ち切ったという事実はないからです。こうしたなかでひとつの希望があるとしたら、「聡明な日本国民の存在」ではないでしょうか。

日本の呼応措置巡る嫌な予感

韓国紙「日本政府の呼応措置」報道、本当に単なる「虚報」なのか?

先日の『韓国紙「強制徴用解決策に日本政府が呼応措置発表へ」』では、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された記事をもとに、日本政府が▼輸出規制解除、▼ホワイトリスト編入、▼シャトル外交再開――、といった「呼応措置」を発表する、とした話題を取り上げました。

またしても、韓国メディアがなかなかに強烈な話題を報じました。自称元徴用工問題を巡る「財団方式による解決案」に関連し、日本政府が▼輸出規制の解除、▼ホワイトリストへの編入、▼シャトル外交の再開、▼日本企業に対する財団への寄付金の募集――、といった「呼応措置」を発表する、というのです。基本的な事実関係にも齟齬があるなど、ツッコミどころ満載です。強烈な報道自称元徴用工問題を巡り、韓国政府・外交部が先週公表した「財団方式による解決案」に関連し、なんだか強烈な報道がありました。韓国発徴用対応策に合わせて日本...
韓国紙「強制徴用解決策に日本政府が呼応措置発表へ」 - 新宿会計士の政治経済評論

これについては先日も指摘したとおり、そもそも記事の中で出て来る専門用語が間違いだらけである(たとえば対韓輸出管理適正化措置を輸出「規制」と誤記している、など)、自称元徴用工問題と輸出管理適正化措置は管轄の官庁が異なる、といった不自然さがあることは事実でしょう。

したがって、先日の時点では、当ウェブサイトとしては「虚報に近いのではないか」、などと考えた次第です。

ただ、その後の韓国メディアの報道を眺めていると、これと似たような情報がいくつか出て来ていることもまた事実です。

たとえば、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)には17日、こんな記事が掲載されました。

韓国外交部高官「徴用賠償の解決策が出れば韓国への輸出規制も解除されるだろう」

―――2023/01/17 11:19付 朝鮮日報日本語版より

朝鮮日報によれば、外務省の船越健裕アジア大洋州局長と韓国外交部の徐旻廷(じょ・みんてい)アジア太平洋局長が16日、東京で協議を行ったことに関連し、韓国外交部のある幹部が会談後のブリーフィングで、「徴用問題の解決が発表されれば、日本による韓国への輸出規制も解除されるだろう」と述べたというのです。

ただ、この幹部は「現時点で両国には認識の差がある」などとしたうえで、「日本側の誠意ある対応が保証された後に韓国が最終的な解決策を発表する」との方針を示し、あわせて「現時点では(政府による公式的な解決策の)発表時期を予測することはできない」とも述べたそうです。

韓国側の発表だけをもとに憶測めいたことを述べるのは若干先走り過ぎかもしれませんが、こうした発言からは、15日付の中央日報の報道が必ずしも「虚報」とは言い切れず、それどころか、実際に日韓両国政府間でそのような協議が行われている可能性は非常に高い、ということを示唆しています。

クギを刺すこともしない日本政府:首脳会談と観艦式という「前兆」

もちろん、韓国のことですから、日本政府担当者が言ってもいないことを勝手にベラベラ喋っている、という可能性もなきにしもあらずですが、もしそうであるならば、やはりどこかの段階で日本政府側から「勝手なことを言うな」とクギを刺されるはずです。

というよりも、これがもしも安倍晋三政権、あるいは菅義偉政権であれば、韓国側が「財団方式での強制徴用問題解決」だの、「輸出規制解除」だの、「ホワイト国リストへの韓国の再追加」だのと言い出した時点で、協議を打ち切っているのではないでしょうか。

それをやらないということは、現在の宏池会政権が「外交事なかれ主義」に陥っているのか、「外交事なかれ主義」の外務省の言うがままに動いているのか、あるいはその両方である、という状況を強く示唆しているように思えてならないのです。

そのように警戒するには、ほかにも理由はいくつかあります。

たとえば、岸田文雄・現首相は、尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領との首脳会談に、あっけなく応じました。韓国が「財団方式」という、安倍晋三総理大臣の時代にキッパリ拒否した案を再び持ち出すなど、自称元徴用工問題で目に見えた進展が何もなかったにも関わらず、です。

また、昨年11月に海上自衛隊が相模湾で開催した国際観艦式に、日本は韓国を招待しました。2018年12月の火器管制(FC)レーダー照射事件を巡って、韓国がその非を一切認めていないなど、何ひとつ解決していないにも関わらず、です。

これらの事象は、日韓外交において、外務省が相当に力を盛り返していることを強く示唆しています。

(※なお、当ウェブサイトでは、国際観艦式に韓国を招いたこと自体、韓国にとっては厳しい選択を迫られることになったという見方も示しているのですが、これについては『観艦式への参加打診は「韓国に選択させる」という妙手』あたりもご参照ください。)

ロシア軍用機の防空識別圏侵入事案に対し、FCレーダーを照射しなかったこと。「韓日関係改善」と言いながら、竹島近海での調査を止めようとしないこと。これらの行動はすべて、根っこではつながっています。本当に脅威を与える国には抵抗せず、絶対に脅威を与えない国を苛立たせようとするものだからです。「旭日旗はためく国際観艦式への招待」も、じつはこうした韓国の習性を逆手に取り、韓国自身に「選ばせる」ことを通じて相手に踏み絵を突き付けるという戦術なのかもしれません。2022/08/24 11:22追記本文中に誤植がありました...
観艦式への参加打診は「韓国に選択させる」という妙手 - 新宿会計士の政治経済評論

余談:韓国の観艦式参加でも日韓防衛協力は進まない

ちなみに少しだけ横道にそれておきます。

国際観艦式に韓国が参加したことで、世間的には「日韓関係がまたひとつ改善された」と見る向きもあったのですが、これについては、当ウェブサイトとしては同意しません。

観艦式後に海上自衛隊の酒井良幕僚長がFCレーダー照射や旭日旗問題などを巡り、「問題が韓国側から明確に説明されない限り、交流を推進する状況にない」と断言したからです(『酒井海上幕僚長「韓国側にボール」発言こそ正しい認識』等参照)。

「問題が韓国側から明確に説明されない限り、交流を推進する状況にない」。こんな発言が、海上自衛隊のトップである酒井良・海上幕僚長から出てきました。この酒井氏の爪の垢を煎じて、「両国の協議加速」などと寝言を言っている岸田首相や外務省関係者に飲ませてやりたいと思ったのは、著者だけではないのかもしれません。外務省の姿勢がおかしい日韓諸懸案の正体は韓国による日本に対する「二重の不法行為」日韓諸懸案はたいていの場合、韓国が問題を発生させていること――、つまり、韓国側がありもしない問題を捏造し、日本に対して...
酒井海上幕僚長「韓国側にボール」発言こそ正しい認識 - 新宿会計士の政治経済評論

この酒井氏の発言自体、個人的には「外務省が防衛省や自衛隊の反発を押し切って、韓国に対し、勝手に観艦式への招待状を出した」ことに対する意趣返しのようにも見えるのですが、いかがでしょうか。

この見立てが正しければ、酒井氏(というか防衛省)は、韓国に対してのみならず、外務省に対しても深い怒りを抱いている、という仮説は成り立つような気がします(当ウェブサイトの読者の方に防衛省の関係者がいらっしゃれば、このあたりの内情をこっそり教えていただきたいと思います)。

外務省さん、すでに相手のペースに乗せられていませんか?

余談はこのあたりにして、本論に戻りましょう。

先週、韓国政府が自称元徴用工問題に対する「併存的債務引受」方式による財団弁済案を出してきたあたりから、韓国メディアの報道は「韓日関係は改善しつつある」、といったものに論調が転換していることについては、やはりなんだか「嫌な予感」がしてなりません。

菅義偉総理大臣やその前任者である故・安倍晋三総理大臣あたりであれば、絶対に引っかからなかったはずの「財団方式」に、岸田文雄・現首相や林芳正外相、あるいは少なくない自民党議員らは、いとも簡単に騙されてしまいそうでならないからです。

ちなみに先ほどの朝鮮日報の記事で紹介した「ある外交当局者」の発言には、こんなくだりもあります。

日本側に韓国国内の世論がいかに厳しいものかを伝え、日本側による『誠意ある対応』がなければ簡単ではないことを強調した」。

何とも呆れる話です。

しかも、朝鮮日報の記事には日本側のこんな反応も記されています。

日本側は韓国政府が進める解決策について、被告の企業が賠償する形ではなく徴用被害者と韓国社会への寄付の形で資金を拠出する方策を検討しているという」。

ある消息筋は『日本側は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が文在寅(ムン・ジェイン)前大統領とは違って反日感情を利用せず、韓日関係改善に向け努力していることを高く評価している』『日本政府と自民党、被告企業の一部からは未来の世代のため奨学金の形で寄付する方策も検討しているようだ』と伝えた」。

このあたり、「何をバカな与太話を!」と一笑に付すことは簡単です。ですが、現在の日本政府が「自称元徴用工問題に対する賠償金」というかたちではなく、「韓国社会に何らかの利益をもたらす寄付金」で「丸く収めよう」という発想を持っていても不思議ではありません。

昔から「愚か者は歴史に学ばない」と言いますが、もし本当にこんなことを考え、実行しようとしているのであれば、やはり政治の力でそれを強制的に止めなければなりません。

というよりも、「韓国側の世論の厳しさ」云々に関しては、話は真逆であり、「日本側の韓国に対する世論がいかに厳しいか」を認識しなければならないのは韓国の方だからです。本来ならば、韓国政府担当者がこんなふざけた発言をしている時点で、日本の外務省は韓国外交部関係者を出入り禁止にすべきところなのです。

それをやらない時点で、すでに外務省が相手のペースに乗せられ、韓国に対し、相当に歩み寄っているという証拠ではないでしょうか。

韓国の詭弁にどう立ち向かうか

ゼロ対100で見れば構造はシンプル

ここで大事な話なので繰り返しておきますが、韓国や北朝鮮、中国やロシアなどが好む詭弁を、当ウェブサイトでは「ゼロ対100」理論と表現しています。

これは『「ゼロ対100」が大手メディアに掲載される時代に!』でも取り上げたとおり、「自分たちに100%の過失がある場合であっても、屁理屈を駆使し、過失割合を50対50、あわよくば100対ゼロに持っていく手法」のことです。

ゼロ対100理論とは?

自分たちの側に100%の過失がある場合でも、屁理屈を駆使し、過失割合を「50対50」、あるいは「ゼロ対100」だと言い募るなど、まるで相手側にも落ち度があるかのように持っていく態度のこと。

(【出所】著者作成)

自称元慰安婦問題は、日韓歴史問題のなかでも、韓国にとっては「最も成功した謝罪利権」であることは間違いありません。なにせ、もともと存在しなかった問題を捏造し、それにより日本をひれ伏させ、延々謝罪させることに成功したのですから、気持ち良くてたまらなかったのではないでしょうか。こうしたなか、「ゼロ対100」という、どこかの怪しげな自称会計士が唱えている用語が、新聞に掲載されたようです。単なる偶然でしょうか?それとも…。ゼロ対100理論おもに無法国家が好む「ゼロ対100」理論当ウェブサイトではこれまでしばしば...
「ゼロ対100」が大手メディアに掲載される時代に! - 新宿会計士の政治経済評論

そして、このゼロ対100の枠組みを使えば、自称元徴用工問題も極めてシンプルになります。

そもそも自称元徴用工問題は、「植民地時代の朝鮮人を強制徴用し、強制労働させた」という、根も葉もない与太話をもとに、韓国の司法システムが日韓請求権協定の規定に反し、日本企業に不当な損害を負わせている問題のことです。

ここで韓国の違法な行為は、少なくとも2つあります。それは「①ウソに基づいて日本の名誉と尊厳を傷つけていること」と、「②法的な根拠がないことを日本に対して要求していること」です。

この点、「日韓請求権協定で問題は解決済みだ」とする主張はたしかに正論ですが、この主張は上記違法行為のうちの②にしか対応しておらず、そもそも「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている犯罪行為」に対しては、別途処罰が必要でしょう。

(※余談ですが、著者自身の頭の中では、自称元徴用工問題に加え、自称元慰安婦問題、竹島不法占拠問題、その他韓国によるさまざまな対日不法行為に対し、具体的にどうやって罰するかのイメージは出来上がっています。残念ながら、当ウェブサイトでは現時点ではまだそれを開示することはできませんが…)。

それなのに、韓国政府や韓国メディアの言い分を見ていると、この「自称元徴用工問題自体が自分たちのウソである」という事実からも、「2018年の判決が日韓請求権協定に違反している」という事実からも目を背け、ひたすら「日本の誠意ある対応」を要求しているのです。

まさに、自分たちに100%の落ち度があることを無視し、日本に対しても数パーセントの「譲歩」を求めているという意味において、まったく話にならないのです。

日本社会の大きな変化:きっかけのひとつは民主党政権

ただ、それと同時に、韓国側が見誤っている論点がひとつあるとすれば、この10年間における日本社会の大きな変化でしょう。

昨年の『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などを含め、当ウェブサイトではこれまでさんざん繰り返してきた論点が、「官僚機構、オールドメディア、特定野党議員」という、「自由経済競争・民主的手続から逸脱する存在」の社会的影響力の低下です。

社会のネット化が進展して、一番困る人たちは新聞・テレビを中心とするオールドメディア産業関係者であることは間違いありませんが、それだけではありません。官僚・役人や野党議員なども、かなりの割を食うことが予想されます。いったいどういうロジックでしょうか。ここで考えておきたいのが「腐敗トライアングル」という重要な論点です。腐敗トライアングル昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』では、自称元徴用工問題に見せかけて、当ウェブサイトなりのちょっとした「問題意識」を展開しました。それが...
【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」 - 新宿会計士の政治経済評論

それを加速させた要因はいくつかあるのですが、大きなものを3つ挙げるとしたら、民主党政権、インターネットの発達、そして日本国民の力です。

このうち「民主党政権」とは、新聞・テレビを中心とするオールドメディアの力により2009年8月の総選挙をきっかけに発足し、2012年12月の総選挙で惨敗して崩壊した、鳩山由紀夫・菅直人・野田佳彦の3元首相の政権のことです。

民主党政権によってもたらされた災厄にはさまざまなものがありますが、民主党政権時代に法制化され、年間数兆円という負担を国民に強いておきながら、エネルギーの安定供給にまったく寄与していないFIT賦課金制度などはその典型例でしょう。

いずれにせよ、民主党政権が日本国民に対し、「首相なんて誰がやっても同じ」という発想が大間違いであることを気付かせる直接的なきっかけだったことは間違いなく、その証拠に2012年12月の総選挙以来、自民党は8回連続、大型国政選挙を制し続けています。

ネット社会で隠しおおせなくなった

ただ、日本社会を変えたのは、単純に民主党政権が大失敗に終わったからではありません。やはり見過ごせないのは、「インターネットの発達」でしょう。事実、インターネットは新聞、テレビを中心とするオールドメディアの情報支配構造を、現在進行形で見事に破壊し始めているからです。

外務省が韓国に対し、妙な譲歩を続けることができたのも、結局のところ、新聞、テレビを中心としたオールドメディアを、官僚機構が「記者クラブ制度」という「紙」を記者という「ヤギ」に喰わせることで飼いならしてきたという側面があります。

しかし、新聞、テレビが「報道しない自由」を駆使し、官庁のおかしな行動を黙殺しようとしても、ネット上の有象無象のサイトが取り上げるため、これを黙殺することはできません(山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士のウェブ評論サイトもその一角を構成しているのでしょうか?怪しいところですが…)。

最近の例だと、「Colabo」という団体の経費不正疑惑が「赤い羽根募金」などにも「飛び火」している、といった事例がありますが(『今度は「ひとり42万円の化粧品配布」疑惑=赤い羽根』等参照)、これも既存のオールドメディアが黙殺しようとして失敗している事例のひとつでしょう。

今度は「ひとりあたり423,613円」という疑惑です。「Colabo問題」に端を発する疑惑は現在、「赤い羽根募金」を燃やし始めたようですが、募金の使い道をしめした『はねっと』というウェブサイトから判明する情報から、今度は「BONDプロジェクト」の不自然な活動にネットの注目が集まっているようなのです。あちこちから「一角」が突き出始めた巨大な氷山の全容はまだよくわかりませんが、相当に興味深い問題であることは間違いなさそうです。Colabo問題が延焼Colabo問題の発端のひとつは給食費ツイッター上で「暇空茜」氏と名乗る人...
今度は「ひとり42万円の化粧品配布」疑惑=赤い羽根 - 新宿会計士の政治経済評論

やはり聡明な日本国民

そのうえで最も重要なのは、「日本国民」です。

じつは、私たち日本国民は、もともと知的水準も非常に高く、正しい理論を学べば、高度な思考を展開する能力を持っています。

そして、インターネットの力を借りて、それまではオールドメディアに黙殺されてきた専門家らの意見が社会に広まるにつれて、官僚、メディア、野党などが唱えてきたインチキ理論の数々が「ウソ」だと論破され始めてきたのです。

財務省が好む「増税しなければ財政破綻する」という「国の借金」論を筆頭に、特定野党が好む「憲法9条を守れば外国が攻めてこない」とする「ケンポーキュージョー教」、反原発、反米軍基地、プライマリ・バランス論、「悪い円安」論などが数珠つなぎですべて表に出て来ているのです。

このように考えていくならば、「インターネット」という武器を手にした聡明な日本国民を相手に、外務省ごとき官庁に、自称元徴用工問題などの日韓諸懸案で日本国民が納得できないような「解決策」をゴリ押しする力はありません。

2015年12月の日韓慰安婦合意の際には、官邸に抗議の声が殺到したとする報道もありましたが(『慰安婦合意で振り返る「岩盤支持層を敵に回すリスク」』等参照)、現在のネットの力は、当時とは比べ物にならないほど強まっているのです。

「慰安婦合意の当時、官邸には抗議が殺到していた」=朝日新聞当ウェブサイトで数日前、姜昌一(きょう・しょういち)氏の駐日韓国大使としての信任状捧呈式を話題として取り上げました。この問題点は、日本の国民感情に照らし、この人物を天皇陛下の御前に立たせることの是非にあったわけであり、こんなことを続けていれば、菅義偉政権に対する岩盤支持層が離反していく事態も懸念されます。ただし、似たような事例は安倍政権下でもありました。それが、2015年の日韓慰安婦合意です。総合的な見方こそが大事安倍政権の2822日をどう見...
慰安婦合意で振り返る「岩盤支持層を敵に回すリスク」 - 新宿会計士の政治経済評論

自称元徴用工問題の今後

利権は貪欲さのあまり自壊する

もっとも、自称元徴用工問題を巡っては、案外、過度に心配する必要もないのかもしれません。

というのも、韓国側の姿勢があまりにも強硬であれば、「解決策」自体が自壊してしまうかもしれないからです。

そのことを予感させる記事が、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に掲載されていました。

徴用問題 「日本の呼応なければ協議の必要ない」=韓国次官

―――2023.01.17 21:01付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースによると、韓国外交部の趙賢東(ちょう・けんとう)第1次官は17日、国会外交統一委員会で「日本からの呼応措置が何もなければ(両国間で)協議する必要がない」とし、日本の謝罪など「誠意ある呼応」が必要との認識を改めて示したのだそうです。

いったい何様のつもりなのでしょうか。

自分たちが加害者でありながら、被害者である日本に対し「誠意を示せ」とは、強烈過ぎて開いた口が塞がりません。

ただ、逆に言えば、こうした韓国政府関係者の発言も、現在の日本政府がハッキリとものを言わないがために、韓国側が調子に乗って増長している証拠なのかもしれません。

実際、聯合ニュースの記事の続きには、こんな記述もあります。

韓日は16日、徴用訴訟問題の解決策を模索するため東京で局長級協議を行ったものの、日本側の誠意ある呼応を巡る見解に隔たりがあったようだ」。

韓国の外交部当局者によると、韓国側は日本側の誠意ある呼応を巡り、『謝罪と寄与』を強調したという」。

こういうメチャクチャな主張が出てくれば、逆に、「何とか丸く収めよう」式の、旧来型の悪い発想が破綻します。

むかしから、「利権を持っている者は得てして強欲により身を持ち崩す」と指摘されますが、自称元徴用工問題自体、まだ利権として確立すらしていないのに、かくも強気で攻めてくれば、利権が確立するまでもなく、敢えなく破綻してくれそうです。

新たなルートを確立しよう!

いずれにせよ、自称元徴用工問題を巡り、おかしな報道が韓国メディアから乱れ飛んできている昨今は、私たち日本国民にとっても「正念場」でもあります。このインターネット時代、私たち一般国民は政治家に対し、ツイッターなどを使って気軽に情報を送ることができます。

もちろん、保守界隈では「口だけ達者な髭の隊長」あたりが有名ですが、それだけではありません。なかには真面目に一般国民の意見を拾い上げてくれる議員もいます。『自称元徴用工問題で確立すべき「新たな圧力のルート」』などでも指摘したとおり、私たち一般国民から政治家に声を出すべきなのです。

国民→政治家→外務省、という「圧力の新ルート」早ければ韓国政府が考える自称元徴用工問題の「解決策」とやらも今週出て来るかもしれません。当ウェブサイトの見立てだと、その最も可能性が高いものは、「日本企業が財団と債務引受契約を締結するかたちでの併存的債務引受」、つまりいわゆる「パターン④」なのですが、もしそれが出てきたならば、私たち一般の有権者は、政治家に対し、SNSなどを通じて「それは解決策とは言わないのだよ」と教えてあげるべきです。徴用工と外務省、岸田首相自称元徴用工問題巡る「公開討論会」自称元...
自称元徴用工問題で確立すべき「新たな圧力のルート」 - 新宿会計士の政治経済評論

そういえば、すでに日本国民の平均的なネット利用時間は、テレビ視聴時間を上回りました。総務省『令和4年版情報通信白書』などによれば、近年、インターネットの利用時間が徐々に増える一方で、テレビの利用時間については、どの年代でも一様に減っていることが確認できるのです(図表)。

図表 全世代・メディアの平均利用時間(平日、単位:分)

(【出所】総務省『令和4年版情報通信白書』図表3-8-1-3のデータを著者が加工)

裏を返して言えば、2015年当時だと安倍総理の政治力に加え、官僚機構がガッチリ抑え込んでいる新聞、テレビに世論支配力があったことで辛うじて国民の反発を免れることができたのですが、現在では新聞、テレビの世論に対する支配力は、急速に失われていると考えて良いでしょう。

それを実証するうえで、まずは「外務省(?)による対韓譲歩」という試みを失敗に終わらせ、葬り去ることができるかどうか、試してみても良いかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (45)

  • 害務省もさることながら、対韓外交において最も害悪なのは日韓議連のような気がします。連盟に所属の議員には冷や飯を食わさないとならないな、そう思います。

  • このあたりの世論は、Yahooニュースなどへのコメントが一次ソースたり得ると思いますが、
    「譲歩するな」
    が圧倒的な多数になっていますね。

    こういうの珍しい。
    コメント工作部隊が遅い正月休みなのかな。

    大阪八尾の警官発砲事件も同様。
    警官擁護のコメントが圧倒的多数。

    普段なら「投書大好きな良識派」(笑)ぽいコメントが多く見られるものですが。

    草の根で不特定多数の書き込みなのであれば、コンスタントな傾向がみえるはずなのに、面白いですね。

    • ヤフコメのアンチ自民勢力は、自分達が勝ち目がない記事には
      近づかない……そんなイメージがあります。

      記事によってコメント欄で「アンチ自民が暴れている」場合と
      「アンチ自民が全然見当たらない」場合にくっきり分かれていて……

      • 似たような現象?で、
        こちらのような韓国や中国考察サイトでは
        知識経験豊富な論客の方々には
        かなわないと見た
        工作員が、
        アニメや声優などのオタク専門サイトに逃げ込んで、

        ジャップや中国父さん、韓国兄さんなどを
        定着させようとしています、
        しかし、
        日本のアニメ漫画はオワコン、
        これからは中国韓国の時代だ、
        という
        謎の主張には
        日本のオタク達も疑問に感じ
        反論しているのを見かけます。

  • 口だけ達者でもはや外交部会長でもない髭の隊長の発言自体はへのつっぱりもならないが、若き現役防衛政務官がリツイートしていることには意義があると思っています。
    小野田紀美【参議院議員/岡山】 Retweeted
    佐藤正久
    @SatoMasahisa
    【大きな勘違い、韓国国内向けの韓国政府のパフォーマンス。以下略。 】
    財務省解体論・税金アップ無用論の(安倍さん菅さんの懐刀であった)高橋洋一先生が、共産党書記長の「集団的自衛や防衛力強化は戦争発生確立を高める」とのアホ丸出しのツイートに対して「ウソをつくな」と即一刀両断していますが、それも彼女はリツイートしています。

    • 小野田先生も頼もしいですが、一番期待できるのは日本の国益と尊厳を守る会の会長を務める青山繁晴先生かな。

      • 青山議員ーーなるほど、思い切り同意します
        確かにあの方の発言を、聞いていると納得

    • 理系初老様
      口だけ達者でもはや外交部会長でもない髭の隊長は全く役立たずであったことは、外交部会長時代に、頻繁に「明日の外交部会で議論する」「外交部会で糾する」とドヤ顔しておいて、その議論した結果については、全くその後コメントなく、糾する相手も反論できない役人であったことからも明白かと思います。それでも「隊長頑張ってください!」とか「隊長のおっしゃるとおり!」とかコメントする方が少なからずいらっしゃるのが大変残念です。
      私は彼は単なる自民党保守派のガス抜き隊長で、時間稼ぎしている間に、岸田政権の売国政策が着々と進んでいるような気がしてなりません。実は、岸田・林コンビからすると役立つ存在なのかも知れません。

  • 韓国は、日本が譲歩→解決策(笑)を発表って言ってるそうですね♪

    でも、自称さんたちは「韓国の金は受け取らない」とか言ってるそうだから、その後に卓袱台返しが確定だと思うのです♪

    案の良し悪し以前に、韓国が卓袱台返ししない確証なしに、日本が先に行動するのはバカを見るだけだと思うのです♪

    ただそれ以上に、韓国は中国から弱い環と見られてて実際に中国の圧力に簡単に屈しそうだから、関係改善とやらをして、そんなのと関係深めるのはマイナスだと思うのです♪

    だから、あたしは放置か、ちょい殴りつけるくらいの対応が良いとしか思うのです♪

  • 韓国でこんなのが通るということは韓国野党も口では批判してるけど日本政府が責任を認めた形にできるって事でトーン控えめ。韓国民もそれを知ってか尹大統領上手いことやってという感じ。
    明確に反対してるのって徴用工側だけという状況。
    0:100は無理でも10:90にはできそうなら韓国全体としてはありですよね。
    文の時の方が白黒ハッキリしてて良かったのに。変に狡賢い。

  • ふと思ったのですが、菅前総理のここ数日の発言は、この件にリンクしてたりしないんでしょうか。
    「何勝手にやってやんだよ。このうすらトンカチ」ってな感じに。

  • こういう「対韓譲歩論」的な事を、財務省や日韓議連、そして傀儡に見える岸田首相は、それで日本国民が納得するとでも思っているのでしょうか?
    15年前の「情報一方通行」の時代ならともかく(その当時もネット環境はありましたが)、今や嘘、謀、捏造報道、悪巧みがスグバレる時代です。
    こんな戯言を言う韓国には、強烈な反論をするべきなのに、黙ってたんじゃ思う壺です。また、元の韓国を思いやる外交へUターンですか?国民は許しません。

    • "傀儡"なら糸を辿れば人形師の意図も見えてくるんでしょうケド…
      キシダ氏にはソレ以上にタチの悪いヨーキを感じてしまっとりますです、ハイ

  • 選挙もないから支持率気にしてる様子もないし
    そもそもこの件程度の話、どの方向性を選んでも自民党選ぶしかないし…

    円高路線に舵をきったんだから株安は起こるだろうし
    そうなると自民党一強体制は崩れるだろうし
    これからどんどん媚中韓路線に戻ると思うと残念でならない

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    韓国&朝日新聞:「日本の愚民が、対韓譲歩案に反対するのはポピリズムである。ついでにColabo問題で騒ぐのもポピリズムである」
    これって、笑い話ですよね。

  •  今朝のNHKニュースは「日本政府は(韓国政府の解決案について)被告日本企業に対する求償権が放棄される『担保』を求めている。」と報道していましたが、これはどう考えても不可能でしょう。
     これまで、政権交代するたびに「ちゃぶ台返し」を繰り返してきた韓国政府に対して、約束を破らない『担保』を要求するのは、クジラに空を飛ぶことを要求するのと同じで、韓国政府も心の中では「日本政府が、韓国政府には出来ないと分かっていながら『担保』を要求し、後で韓国政府が『ちゃぶ台返し』をしたとしても、それは、韓国政府に不可能なことを求めた日本政府に責任がある。」と考えていると思います。 『泥棒にも三分の理』という訳です。
     外務省の役人さんにも、いい加減に目を覚ましてほしいと思います。

    • >求償権が放棄される『担保』を求めている

      「請求権を放棄すると言ったな。あれはウソだ」
      とかぬかすヤツから求償権放棄と言われてもねw
      外務省がまともなことを言うだけでほめたくなってしまうが、すぐヘタれて譲歩しそうなのよねー。

1 2 3