X

沈静化しないColabo問題への社会的関心:次は?

「Colaboと『連帯』するならば責任も取るんでしょうか?」

いわゆる「Colabo問題」は、単独の問題というよりも、隠れているさまざまな問題が表に出て来る端緒となるのかもしれません。ツイッター上では「#Colaboと連帯します」などとするハッシュタグがトレンド入りするなど、この話題が途切れることがないからです。こうしたなか、いわゆる「赤い羽根基金」から「Colabo」や「ぱっぷす」に対し、それぞれ3年間で約2700万円の助成が行われたとする話題も出てきました。

「Colabo問題」の特徴はオールドメディアの問題

いわゆる「Colabo問題」とは、「暇空茜」氏と名乗るツイート主が告発した、仁藤夢乃氏が代表を務める一般社団法人「Colabo」による経費の不正使用疑惑のことです。

「Colabo問題」で気付くオールドメディアの問題』でも取り上げましたが、この問題を巡って最も異常な点があるとしたら、新聞、テレビを中心とする「オールドメディア」がほとんどこれについて取り上げようとしないという点にあります。

大手メディアが無視した事件を読者は深く理解していた例の「Colabo問題」を巡っては、昨日東京都から公表された報告書の内容もさることながら、著者自身としては単なる一団体の乱脈経費疑惑ではなく、もっと根が深い、「報じるべきニューズを報じないオールドメディアの問題」の存在をも、誰にもわかるかたちで照らし出したものだと考えています。というのも、この問題を報じたメディアの記事についた読者コメントの多くが、メディアが報じてこなかったはずのこの問題を深く理解したうえで書き込まれているからです。請求人の主張の多...
「Colabo問題」で気付くオールドメディアの問題 - 新宿会計士の政治経済評論

著者自身が確認したところ、オールドメディアのなかでもとくに「全国紙」に関しては、日経新聞以外はこの問題を少しくらいは報じているものの、続報はほぼありません。自称「公共放送」のNHKに至っては、この問題はほぼ完全に無視されています。

ただ、ひと昔前だと、メディアが「報道しない自由」を使って黙殺すれば、1週間から2週間も経てば話題が沈静化し、人々の記憶から消えていったのではないかと思います。

東京都の監査請求に暇空氏は住民訴訟で対抗か

しかし、今回の「Colabo問題」を巡っては、少なくともツイッターなどのネット空間を眺めている限り、話題が沈静化する気配がありません。

その理由のひとつは、この「Colabo問題」自体、じつは「氷山の一角」ではないか、といった疑念が、次々と提起されているからです。

そもそも暇空氏が住民監査請求において申し立てた、Colaboによる経費の不正使用疑惑を巡っては、東京都の監査委員からは監査報告書において、その多くが却下されています。

しかし、『「住民監査請求結果」を東京都監査事務局が正式に公表』でも報告したとおり、その監査報告書自体は暇空氏の申し立ての多くを却下していながら、東京都福祉保健局に対し、「本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なもの」にすることを勧告。

あわせて「調査の結果、本事業として不適切と認められるものがある場合や委託料の過払いが認められる場合には、過去の事業年度についても精査を行うとともに、返還請求等の適切な措置を講じること」などを求めるなど、正直、監査報告書としては支離滅裂な内容と言わざるを得ません。

例の「報告書」が、東京都監査事務局のウェブサイトにアップロードされたようです。これによると都の監査委員は暇空氏の請求の多くを「妥当ではない」として否定しつつも、架空経費の計上などを事実上認めたほか、委託事業における会計処理にいくつかの問題があったとしています。ただ、やはりこの報告書自体、どうも全体的に「奥歯にモノが挟まったような言い方」に終始しているのは気になるところです。先ほど、東京都監査事務局のウェブサイト『住民監査請求結果(令和4年受付分)』のページに、「暇空」氏が昨年末からツイートし...
「住民監査請求結果」を東京都監査事務局が正式に公表 - 新宿会計士の政治経済評論

東京都の監査委員としてはとりあえず暇空氏側の主張を否定しつつ、明らかな不正使用については部分的に再調査を要求するなどしてお茶を濁すつもりなのかもしれません。

しかし、「お茶を濁す」にしては、少々事態が複雑すぎるようです。

まず、暇空氏自身がウェブ評論サイト『デイリー新潮』編集部の取材に対し、「1ヵ月以内に住民訴訟を起こす」などの考えを明らかにした、という論点があります。(『暇空氏「法廷で決着をつける」=1ヵ月以内に住民訴訟』等参照)。

「Colabo問題」を追及してきた暇空茜氏が、東京都の住民監査結果には「まったく納得していない」としたうえで、「1ヵ月以内に住民訴訟を起こす」と述べたそうです。ウェブ評論サイト『デイリー新潮』に昨日掲載された記事によれば、この発言はデイリー新潮編集部がzoomで行ったインタビューでなされたもので、暇空氏は「会計不正があったとの確信に変わりはない」とも述べたそうです。なぜか大手メディアが報じない「Colabo問題」暇空茜氏の一連のツイートに端を発する「Colabo問題」を巡っては、大手メディアがこれまでほとんど報じ...
暇空氏「法廷で決着をつける」=1ヵ月内に住民訴訟か - 新宿会計士の政治経済評論

少なくない議員がこの問題に関心を示す

また、本件を巡って、当ウェブサイトでは現時点において、「Colabo側が不正を行っていたに違いない」、「暇空氏の主張が100%正しいに違いない」と断言することは控えたいと思いますが、ただ、司法の場でさまざまな論点が明るみにされることは、決して悪い話ではありません。

これに加えて少なくない政治家が本件に関心を持ち始めているようであり、ツイッターなどをやっている政治家(国会議員や地方議会議員など)のなかには、それぞれの立場でこの「Colabo問題」に関して情報発信をする人も散見されます。

「#Colaboと連帯します」は「連帯責任を取る」という表明ですか?

このあたり、考え様によっては大変に興味深い展開です。

オールドメディア各社がこの問題を決して報じようとしなくても、議員がこの問題について直接、自身のツイッターないしYouTubeアカウントなどを通じてこの問題を調査する旨を表明すれば、また新たな疑惑追及の流れが生じてくる可能性があるからです。

ただ、この問題でツイッター上でもうひとつ見つけたのが、「#Colaboと連帯します」というハッシュタグです。

著者自身が確認した限り、出現し始めたのは1月10日夕方ごろからであり、本日午前11時時点で2万件近い関連ツイートが確認できるのですが、それと同時にこのハッシュタグには非常に不自然な点があります。「Colabo」を擁護する立場からのものが、ほとんど見当たらないのです。

このあたり、昨年の『ツイッターで特定アカウントの「いいね」が減少した?』でも取り上げたとおり、「ツイッター社のキュレーション・チームが解雇された結果、左派メディア、左派活動家らを中心とするメディアのツイートの閲覧数や『いいね』が減少した」とする話題ともかかわっているのでしょうか。

11月3日ないし4日を境に、いくつかのツイッターのアカウントで「いいね」の数が激減したのではないか、といった噂がネット上で話題になっています。これについて著者自身がとあるアカウントを「目視」で確認したところ、たしかに「いいね」の数が減っているような疑念を持つには至ったのですが、現時点においてこれを数量的に裏付けることはできていません。本稿は、ちょっとした「ネットの噂話」の報告です。すでにネット上で話題になっているのでご存じの方も多いかもしれませんが、ツイッター上のいくつかのアカウントで、11月4...
ツイッターで特定アカウントの「いいね」が減少した? - 新宿会計士の政治経済評論

以前であれば、日本共産党系の活動家あたりがこの手の「連帯」などとするハッシュタグを多用し、それをツイッター社のキュレーションチームなどが人為的に拡散していたフシがあるのですが…。

こうしたなか、こんなツイートを発見しました。

「連帯」という単語を逆手に取った、見事なツイートです。

このツイート主の方が指摘する、日本共産党系の議員たちが「いっせいにツイートを削除した」という事実については、確認することは難しいのですが、少なくとも現時点においてこのハッシュタグを使っているのは、Colabo側に猜疑の目を向けている立場のツイート主が目立つことは間違いありません。

赤い羽根基金が助成、「ご理解ください」

さて、こうしたなかでもうひとつ、個人的に気になる話題があるとしたら、いわゆる「赤い羽根共同募金」の関係団体から「Colaboや「ぱっぷす」に対しても助成がなされていたというものです。これに関しては中央共同募金会のウェブサイトに、こんな記事が掲載されていました。

中央共同募金会による一般社団法人Colabo等への助成について

―――2023年01月10日付 中央共同募金会HPより

中央共同募金会の説明によると、両団体に対する助成は同会が独自に寄付募集を実施している「赤い羽根福祉基金」によるものであり、いわゆる「赤い羽根募金」による助成ではない、などとしています。

  • Colaboに対しては、2018年~20年度までの3年度にわたって計2680万円の助成が実施された
  • ぱっぷすに対しては、2020年~22年度までの3年度にわたって計2700万円の助成が実施された

そのうえで同会は、「赤い羽根福祉基金」は「生きづらさを抱える若者の支援活動などに取り組むNPO等の事業を応援するために設けた寄付・助成プログラム」であるなどとしつつ、次のように結んでいます。

趣旨にご理解をいただきますようお願いいたします」。

(※どうでも良い論点かもしれませんが、もし「理解したくない」といったら、どうなるのでしょうか?)

それに、この説明だと、何かと不十分です。そもそも「赤い羽根募金」と「赤い羽根基金」が別物だという説明も抜けているからです。

いずれにせよ、「Colabo問題」自体はやはり単なる「氷山の一角」問題の単なる端緒に過ぎず、これを端緒に、隠れていたさまざまな問題が芋づる的に出て来るのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (37)

  • 赤い羽根共同募金HPより

    「赤い羽根福祉基金」は、(中略)これらの事業や活動に賛同・共感いただく企業・団体や個人の皆さまからの寄付により、運営を行います。

    共同募金と何が違うのかな…?

    • 赤い羽根共同募金のHPにを見てみました。
      私も疑問に思ったので意見・質問のページから赤い羽根福祉基金との違いや資金の調達先について質問しておきました。
      回答があるようならまた投稿します。

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    東京新聞:「もし、このColabo問題で、小池東京都知事が辞任することになったら、それは暇空氏に代表される闇のネット権力の弾圧によるものだ。だから、東京新聞は、この問題を報道しないのだ」
    毎日新聞:「必殺、手のひら返し」
    朝日新聞:「朝日新聞は、初めから、この疑惑を追及してきた」
    これって、笑い話ですよね。

    • すみません。ふと、思ったのですが、
      今、Colabo側を応援している人で、(もちろん、金額にもよるでしょうが)Colabo支援のためのカンパを求められたとき、これに応じる人がどれだけいるでしょうか。また、そのなかに匿名の一般人は、どれだけいるでしょうか。

    • 素朴な疑問ですけど、もし、いよいよヤバくなって、ワイドショーがColaboを批判しだしたら、立憲は国会で(Colaboに税金を投入したとして)岸田総理の責任を追及するのでしょうか。

    • 匿名さま
      >全貌が明らかにならないと
      究極的には、全貌を明らかにするためには、家宅捜索で帳簿を押収するしかないのではないでしょうか。

  • 「趣旨にご理解を〜」と言うのであれば、ご理解(笑)のために
    助成が実施された経緯や実施内容の確認がされているか(されてないならその旨を)くらいは
    明らかにして頂きたいものです。

    そうでなきゃ「ぐだぐだ言わずに黙っとけ!」としか聞こえない、、

  •  colabo側は「女性保護を敵視する勢力との戦い」とかいう論調なのですが……常識的に考えて女性保護を敵視する人間なんて存在するんですかね?ま論点のすり替え詭弁でしょうけど。
     この理屈、左派にあまりにも多く見受けられます。「戦争賛美と戦う」「差別主義者と戦う」「弱い者いじめと戦う」枚挙に暇なし。敵を設定したいのでしょうが、そんな人間が現代日本にどれだけ居るのかと。
     ……あと連帯だの粉砕だのってお決まりの表現もね。私が運営者なら、誤解を受けたくないから連帯とか使いませんね。協力とか支援で良い。

    • 赤い勢力(世界共通)は、敵を創出して不満や不安を煽らないと存在意義を維持できないと思っているのでしょうね。

      •  colabo支持者が「仁藤氏の活動は法を侵さないと無理なのを理解していない方が悪い。監査側の能力が悪い」(意訳である上に出典は第三者Tweetにすぎませんが。)とか言い出し、「不正がないのか」と糺されているのにやはり話が通じていないようです。うっかり違法を認めるとか援護射撃が背中に命中ってのも伝統芸ですが。
         ましてや法が悪いのが真であったとしても、法を破るのではなく法改正を活動にすべきです。少女の保護ができないというのは想像つきませんが、できる範囲ですれば良いだけの話。ゼロか100かではなく、本当に支援をしたいのであれば50でも3でしかなくてもやれば良い。
         こういう理屈を説くと「わかってない」だの「女性差別主義者だ」だの「敵だ」だの。悪意から詭弁を弄しているのか、純粋に知能に問題があるのか判断が付きません。

         赤い羽根に疑義を呈しても同じ反応が来るでしょうね。

        • 農民 さん

          連合赤軍とかと一緒ですね。
          「多様な価値観」を掲げている連中の中身が「世界を一様な価値観で染め上げる」事を目指しているのは多いですし。

          相手の価値観を論理ではなく自身の信じる権威で否定するところは、旧統一教会などと一緒と言えるのでは?と。

          •  「多様性が嫌いな人」の存在をどう認めるのでしょうねぇ。まず認めようとせず改宗を強要してくるでしょう。
             でも解決策あるのですよね。「全員一緒の価値観で一緒に暮らす」を諦めれば良いだけ。分断社会とか隣国と仲良くといった権威的な魔法の言葉で行動を縛られていますが、棲み分けてお互いに干渉をやめれば良いだけ。現代の戦争は利権争いよりも「思想をあわせろ」「宗教をあわせろ」「領土を統一しろ」という無理に合わせようとしてのものばかり。
             中・左だったのに右に傾いた人はここ数年多いと思いますが、左のカルト的な押しつけがましさと頑迷さ、仰るような代表ヅラやデカい主語、教育してやるぞみたいなエラそうな態度に嫌気がさしたからという人は多そう。

    • 農民 さん

      >colabo側は「女性保護を敵視する勢力との戦い」とかいう論調なのですが……常識的に考えて女性保護を敵視する人間なんて存在するんですかね?ま論点のすり替え詭弁でしょうけど。

      「女性保護」の代行者気取りって事ですね。
      特定メディアも「日本?国民」の代弁者を気取るし、結局のところ「あんな人達」は「絶対的存在」の「代弁者・代行者」である事が自らの正当性の担保。
      薄っぺらいものです笑

  • いままで赤い羽根募金と思っていましたが、勘違いでしたね。
    赤の羽根募金だったんですね。
    もう止めます。

  • 日共の自治体議員らが【一斉に手を引いた】のはそう言うお達しが党中央からあったのでしょうね。昔はチラホラと訪韓する日共の自治体議員が居て、ホイホイと慰安婦像前集会に「連帯」して参加して集合写真を軽率に撮って、あまつさえ党の地方紙や自分の議会ニュース、HPなどに飾る議員も散見したものですが。日共には国外での党員の行動にルールがあり、党大会で決められた全党の方針として、党を代表して居なければ国外の政治「集会」など出る事は御法度だったりしますので、個人的にお調子者の議員がしでかしては注意されて不承不承に証拠隠滅、みたいな経過だった様に思います。コラボ問題でのハッシュタグ同調も、これは既に国会議員の数人がコラボ側に立つ様な発言に足を踏み込んで居るのでもはや証拠隠滅は難しいと思いますが、志位和夫氏含め常任幹部会レベルでは「逃げ」に入って居るのでは無いか? と。ナニカの本体が日共なのか、韓国左派の内政干渉なのか、ツイフェミ界隈なのか、仁藤氏らの弱者ビジネスゴロなのか。そこはもっと調べる必要があると思います。

  • サイトで寄付募ってましたが大口の寄付金もありましたか。
    指摘されてやっと公開した貸借対照表とやらをさっそく見てきましたが
    20220331期末残の現預金が119,940,470円!!
    (投資その他の資産)にシェルター居場所増設職員雇用積立金 100,000,000円
    とありますから差引約2000万円ですか。

    周回遅れの指摘でしょうが「100円ショップ等で涙ぐましい節約して」本当に支援すべき孤立女性へはカツカツに絞っておきながらため込みましたねえ。

    • 「"寄付"っつー体裁でゲンナマ洗濯してたんちゃいますのん?」
      とか、B-C級エンタメ台本にアリソーナセリフを空耳したような…

  • 「赤い羽根」はとてもわかりづらいですね。
    「中央共同募金会」が運営しているのが「赤い羽根福祉基金」で、そこからcolabo等に助成していた。
    「各都道府県共同募金会」が年末にやってる「赤い羽根共同募金」から助成しているわけじゃない、と。

    中央募金会「colaboに助成したのは私たちで、各都道府県の募金会は悪くありませんから!」(意訳)

    責任感溢れる声明なのかも知れません。(棒)

    • いまさらですが、赤い羽根とSDGバッジが同じようなものに見えてきました。

    • 赤い羽根が「共同募金からの助成じゃない」とアピールする理由として、

      社会福祉法第122条

      共同募金の配分を受けた者は、その配分を受けた後一年間は、その事業の経営に必要な資金を得る為に寄付金を募集してはならない。

      を指摘している方がいらっしゃいました。この条文だと、Colaboだけでなく幾つものNPOが引っ掛かりそうな感じです。

      • なるほど、ちょっと深そうですね。
        ありがとうございます。

        多少ググってみましたが、よく気づくもんですね。
        ネットによる衆知の結集を感じます。

  • ついでに。
    昼食時にたまたまみたyoutubeが、住民監査の件を報じた各社の記事比較でした。暇空氏謹製です。

    都民ファーストの動きを検証①メディア編
    https://youtu.be/LCDdTFiABHM

    ATMで多少傾向が割れてるようです。世間の空気を読む努力をしている社と、そうでないところが分かれたような。
    単に担当記者の当たり外れかもしれませんが。
    (社運がかかってるかもしれないのにねw)

1 2 3