自称元徴用工問題「チャーハン工程」は再開されるのか
自称元徴用工問題で日本が韓国に譲歩するのかどうかという点は、日本国の有権者である私たち日本国民にとっては非常に気になる論点のひとつですが、これについて著者自身は「2つの理由」で楽観的な見通しを持っています。こうしたなか、韓国では無限に細分化された「チャーハン工程」が再び始まりつつあるようです。
外務省という組織の問題点
本稿は、今朝の『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』の付属論点のひとつです。
というのも、「官僚・メディア・野党利権」の「腐敗トライアングル」の論点は、日本が抱えるさまざまな問題点の原因の多くを占めているからです。本稿でとくに取り上げておきたいのが、外務省という組織の問題点です。
日韓関係といえば「良好ではない」という点については、いまや多くの方々に賛同していただける論点のひとつではないかと思いますが、その「原因」についてはさまざまな主張があり得ます。
世の中は広いので、「日本が過去の歴史を反省も謝罪もしないのが問題だ」、などと考える人もいるかもしれませんし、「隣国同士は仲が悪いものなのだ」などと達観する人もいるかもしれません。ただ、ここで重要なのは、現在の日韓関係が「健全な関係である」とはいえない、という点でしょう。
その大きな理由のひとつが自称元徴用工問題であり、そのなかでもとりわけ中核を占めるのが、2018年10月と11月の判決で、日本企業が日韓請求権協定に反して損害賠償を命じられたという問題点です(※それだけではありませんが…)。
そして、昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』を含め、これまでに何度か議論してきたとおり、どうも外務省あたりを中心に、日本が譲歩するかたちで問題を「解決」しようとする動きが出ているフシがあるのです。
自称元慰安婦問題との違いは「第三者」の存在
ただ、「官僚・メディア・野党利権」という「腐敗トライアングル」が真ん中の「メディア」の部分で根腐れし、崩壊し始めているなかで、外務省はかつての「神通力」を働かせることができるのかどうか、という点については、ここできちんと議論しておく必要があります。
これに関して、改めて被害企業である新日鐵住金(現・日本製鉄)と三菱重工業の2社の報道発表を確認しておきます。
徴用工訴訟に関する韓国大法院の判決について
―――2018/10/30付 新日鐵住金株式会社HPより
本日の韓国大法院の判決(2件)について
―――2018-11-29付 三菱重工業株式会社HPより
これで見ると、両社とも、報道発表にはだいたい同じような内容が含まれています。
「本判決は、日韓両国及びその国民の間の請求権に関する問題は『完全かつ最終的に解決された』とする日韓請求権・経済協力協定(1965年6月)及びこれに関する日本政府の見解に反するものであり、極めて遺憾です」(新日鐵住金)。
「そもそも日韓両国及びその国民の間の請求権に関する問題は、日韓請求権協定(1965年6月)において、『完全かつ最終的に解決』され、いかなる主張もすることができないと定められております。<中略>日韓請求権協定及びこれに関する日本政府の見解並びに日本の確定判決に反するもので、極めて遺憾であります」。
そのうえで、両社ともに「日本政府と連携して対応する」旨を付記しています。
これはいったい何を意味しているのか――。
ネットにはメディアに対する偽装工作は通用しない
ネットの世界では、被害企業の言い分を含め、情報の「タテ検証」や「ヨコ検証」が簡単に実施できるという特徴があります。そして、両社の言い分を並べてみると、外務省が「韓国への譲歩」を主張したとしても、それが安易には実現できない要因の存在に気付くのです。
もしも外務省が自称元徴用工問題で、「財団方式」での問題解決で韓国側と合意しようとしたとすれば、それを阻むキーワードは、「第三者」です。
当ウェブサイトの読者の皆さまならご存じの通り、日本政府はかつて、自称元慰安婦問題で韓国に譲歩したという実例があります。「慰安婦の強制連行」という「ありもしない罪」を認め、国民の血税からおカネを支払ったという、2015年12月のアレです。
ただ、この自称元慰安婦問題のときには、自称元慰安婦らが訴えていたのは日本政府であり、逆にいえば、日本政府内で何とか意思統一を図ることができれば、「日本が譲歩する」式の問題解決ができたのです。
また、2015年の時点では、現在ほどインターネットの威力は強くなく、政府としても「メディア対策」さえしっかりとやっていれば、国民の世論についてはいくらでも誘導できたのかもしれません。
自称元徴用工問題には、この2つの要因がありません。
そもそも自称元徴用工問題では、訴えられているのは日本製鉄、三菱重工という2つの被害企業を中心とする複数の日本企業であり、政府がこれらの問題で韓国に譲歩しようと思えば、まずはこれらの被害企業を説得するだけのロジックが必要です。
現代社会では、上場企業の経営者も株主代表訴訟のリスクにさらされており、彼らには「密室での政治決断」を呑めるほどの余力はありません。もしも両社などが自称元徴用工問題で基金への資金拠出に合意すれば、一般株主から企業経営者が訴えられるからです。
さらには、官僚機構がお得意の「腐敗のトライアングル」を使ってメディア対策を万全に済ませようとしたところで、怪しげな会計士を自称する者が運営するウェブサイトを含め、世の中に無数に存在する独立系ウェブ評論サイトのすべてを黙らせることはできません。
こうした2つの理由から、日本政府が韓国に下手な譲歩をすることが極めて困難だ、というのが、現時点における当ウェブサイトの「希望的観測」、というわけです。
チャーハン工程、再始動…か?
こうしたなか、自称元徴用工問題で、もうひとつ、興味深い話題がありました。
韓国最高裁、徴用工担当判事の空席解消 審理再開へ
―――2022/11/24 21:58付 産経ニュースより
少し古くて恐縮ですが、これは木曜日に産経ニュースが報じたものです。これよると、韓国国会は24日、呉碩峻(ご・せきしゅん)大法院判事候補の任命同意案を賛成多数で可決したのだそうです。
ちなみにこれは、日本企業の資産売却手続の審理を担当し、9月上旬に退任した前任の判事の「空席」を埋めるものであり、今回の大法院判事就任にともない、大法院における資産売却審理が「再開される見通し」、というのが産経の指摘です。
またしてもあの「売却スルスル詐欺」がみられるのでしょうか。
もっとも、産経によると、呉碩峻氏は自称元徴用工問題を巡り、「『司法での解決だけが最善ではない』と述べ、外交協議を通じた解決を検討すべきだとの立場を示している」、などと報じています。
待てど暮らせど売却が実現しないという意味では、「チャーハン工程」は無限に細分化される(『やっぱり逃げた大法院:資産現金化問題もチャーハン化』等参照)のでしょうか?
いずれにせよ、自称元徴用工問題自体、日本としては「違法行為に対しては制裁する」とだけ宣言し、あとは放置するというのが現状で最も現実的な選択肢ですが、おそらく「チャーハン製作宣言」も無限に続くと考えておいて間違いないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
さてさて、誰がためのチャーハンなんでしょうね。
(チャーハンのエッセンス)
建前:年頭より”コチジャン臭い”・・辛いキムチなんだよ。
本音:年頭よりこっちジャンク債・・辛いキモチなんdani.
m(_ _)m
上手い!
進呈します ( ^o^)ノ◇ ザブトン10マイ
弱体化した岸田政権に韓国との歴史問題を解決する余力はないとおもいます。
次の内閣で
余力の有る無しはこの場合問題ではありません。
日本には動かぬ(動かしてはならない)ゴールポストがある。
ボールを持ってるのは韓国。全てはあちらの出方次第。
日本は安倍菅路線を維持すれば何ら問題はありません。酒井幕僚長も同じことを言った。
最終的に解決するのも決裂するのも全てはあちら次第。
私見を言わせてもらえばできれば完全に決裂して欲しいくらい。
どうせいずれは中国や北朝鮮に逆らえなくなって敵に回るのは火を見るより明らか。
司法が司法の体を為していないのがそもそも終わってる。
こういうのは法治国家とは言わない。
うーん、韓国としては、”現金化スルスル詐欺”しか手立てがなく、”チャーハン工程”を見せて、日本が引っかかってくれれば、儲けものという考えなんでしょうね。
韓国政府およびマスコミがやるべきことは、徴用工問題について(レーダー照射や、慰安婦もそうですが)、自国に都合の悪いものも含めて、米国や西欧諸国の識者の意見をきちんと紹介して、国際常識ではどう判断されるのか、韓国民にきちんと説明して、納得を得ることなんですけどね。まあ彼らには「日本が深く関わる問題について、日本に有利あるいは韓国に不利な記事を書いてはいけない」という不文律がありますからね。
他国の政府やマスコミに注文を付けることもできませんので、本件は無視で良いと思います。
政府にお願いしたいことは(こんな見え透いた手に引っかかるとは思っていませんが)、万が一本当に現金化に踏み切られた時の報復措置を、しっかりアップツーデイトしておいてください。中長期的には、①日米韓②安保(含む北朝鮮)③対中国(含むチップ4)以外は、段階的縮小で臨むと、方針を固めておいてください(公表はしなくて結構)。
本当に面倒くさい国だなあ。隣国ガチャは外れですよね。
自分たちが正しいのに、それ以外の意見に耳を傾けるなんて、自分の正しさへの毀損行為でしか無いですから。
検討工程や加速工程はもはやダメージワードに。
アヒル政権を見限ったカスミ官僚は一斉サボタージュへ。
日本が関わる話ではない
外交問題でもない
韓国内の内政問題
よって日本は関わると内政干渉になる