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円安が進行する一方、これだけある「原発稼働の利点」

円安の進行にともない、気が付いたら1ドル=149円を突破していました。149円の大台を超えるのは、1ドル=149.93円となった1990年8月14日以来、じつに32年ぶりのことです。こうしたなか、西村康稔経産相は昨日、興味深いツイートを発信しました。原発を1基再稼働ですれば、LNGの年間輸入量が100万トン減少する、というのです。

気が付いたら、円安がジリジリと進んでいるようです。

日本時間の午前9時過ぎ時点でWSJのマーケット欄をチェックすると、1ドル=149.20円前後で取引されているようですが、国際決済銀行(BIS)の統計によれば、1ドル=149円台となるのは1990年8月14日の149.93円以来、32年ぶりのことです。

このあたり、先日の『円安の本当の意味:たった3ヵ月で30兆円超す利益か』などでも触れたとおり、円安は日本経済にとって輸入物価を押し上げるというマイナス効果がある一方で、輸出競争力の上昇、輸入代替の促進など、大変に大きなプラス効果が期待できます。

1ドル=150円台をうかがう円安水準となっています。ただ、この状態は、日本経済にとっては間違いなく良い影響を与えます。外国人観光客の「爆買い」が期待できるほか、輸出競争力が大きく伸び、輸入品物価が上昇することで「輸入代替効果」も期待できます。さらには日本は対外債権国でもあるため、円安でこれらの海外資産の円換算額が押し上げられる効果も生じます。実際、対外証券投資ではたった3ヵ月で30兆円を超す利益が生じた可能性があります。唯一の懸念事項はエネルギー価格の上昇ですが、原発再稼働・新増設を急ぎ、エネルギ...
円安の本当の意味:たった3ヵ月で30兆円超す利益か - 新宿会計士の政治経済評論

ただし、それと同時に、現在の日本では大多数の原発が事実上稼働を停止しているという状況にあり、エネルギーの輸入額が日本経済の圧迫要因になっています。

これに関して、西村康稔経産相は昨日、こんなツイートを発信しています。

西村大臣、もしかして当ウェブサイトをご愛読になられているのでしょうか?(笑)

この短いツイートに、原発再稼働・新増設の意義が凝縮されています。

円安は日本に製造拠点や雇用が戻ってくる好機ですが、その際の最大のネックが電力の安定供給です。太陽光発電などの再生可能エネルギーの多くは、その性質上、電力の安定供給が難しいため、どうしてもLNGなどの輸入に依存せざるを得ません。

西村氏のツイートにある「原発1基の再稼働でLNGの(年間の)輸入が100万トン削減される」とする試算が事実なら、これにより貿易収支が改善されるとともに、電力の安定供給にも資するというメリットがありますし、物価対策としては非常に優れています。

さらには、日本がLNGの輸入を削減すれば、その浮いた分を欧州に廻すことが可能となります。

現在、欧州はエネルギーをロシアに深く依存していますが、ロシア依存を減らすことでロシアの外貨収入を制限し、ロシアの戦争遂行能力を削り取ることに貢献するならば、ウクライナ侵略戦争でウクライナ側を支援することにもつながります。

その意味では、やはり現在の日本にとって、原発再稼働と新増設は最大の課題のひとつであることは間違いないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 休止中の原発を稼働させるか否か、という議論で、「安全性がぁ~」という声が大きいのですが、休止中の原発でも新しい燃料や使用済み燃料が、原子炉、原子炉建屋内、共用プールなどに保管されています。
    よって地震の際に緊急停止出来るのであれば、稼働させてもさせなくても、実は安全性はほとんど変わらないのです。あの福島第一ですら地震の際は緊急停止しています。
    寧ろ燃料は、最も強度のある原子炉に置いておいた方が、ミサイルなどの攻撃に対しては強いので、その方が安全なのかもしれません。
    よって、原発を即座に廃炉にして、全ての燃料をどこかは知りませんが安全な場所に移送するか否か、の議論は分かるのですが、稼働させるか否か、という議論は不毛だと思っています。

    • > 寧ろ燃料は、最も強度のある原子炉に置いておいた方が、ミサイルなどの攻撃に対しては強いので、その方が安全なのかもしれません。

      かなりの確率でそうだろうと思います。

      しかし、日本の反原発運動家達は、

      1)原発がなくなれば、反原発活動も終わらざるを得ない。
      2)中国からジェノサイドネパルを大量購入して、中国経済を支援したい。
      3)日本の原子力技術者枯渇を待って、廃炉作業を韓国に全面外注したい。

      といった理由からか、当面の廃炉には非常に消極的です。廃炉反対と言わないだけ。
      「休止」は大声で叫んでも、「廃炉」となると、急に声が小さくなる。
      原発はトイレが無いマンションの様なものだから、「廃炉」より先にトイレを用意しろといった、廃炉先送り論も強い。

      御花畑は、日本がプルトニウムを保有していると、核兵器保有欲を疑われるので、金かけてでも処分せよと要求してますが、戦争抑止力として、国内にプルトニウム47トン位保有しておいた方が良いのでは?

      「日本は核兵器を持つ気なんぞ毛頭ありません。」は良いのですが、「だから、日本にミサイル撃ち込み放題・上空自由通過。」になってしまっているのは全く良くありません、「但し、日本が核攻撃されたり、核恫喝されたりする迄は。」に変えなければなりません。

      日独は化石燃料価格吊り上げ犯として、世界から認識されつつあります。物価高要因の2/3は化石燃料関連だとか。ならば、原発をフル稼働させて、化石燃料の消費量を激減させるべきでしょう。

      • >3)日本の原子力技術者枯渇を待って、廃炉作業を韓国に全面外注したい。

        これ本当にやばいのですよ。私、某「超有名」コンサルタント会社の方々と一緒に仕事をしたことがあるのですが、東大から原研東海を経てコンサルタント、京大から某企業を経てコンサルタントって感じで、原子力関係の技術者が大量に流出しているのですよ。もう、ポイントオブノーリターンを超えてしまった、と感じますね。

        • 日本の大学の原子力工学科は、学生の人気が大幅に低下してしまいました。
          日本は、原発を休止しただけでなく、原子力の船・潜水艦・衛星等もやってませんので、卒業して就職しても、原子力関係の仕事は廃炉しか期待できない、それすらも反原発活動家達が廃炉先延ばしを画策している。
          そんな訳で、他学科に行けなかった様な、モチベーションの超低い学生しか来ない。
          稼働している原発がなくなれば、机上の空論というか、疊水練しかできなくなるので、教える事すら難しくなる。
          従って、教員がヤル気なくして流出するのは当然。
          日本の原子力技術者が枯渇するのは時間の問題で、廃炉業務は殆ど韓国に盗られた様なものです。

          非核三原則の3番目は「持ち込ませず」ですが、廃炉作業で韓国の工作員を原発構内に入れるという事は、核兵器そのものを持ち込まなくても、持ち込んだのと同等の核恫喝が可能になる為、心配です。

      • >廃炉作業を韓国に全面外注したい。

        で日本海は核廃棄物の不法投棄の場になるのですね(笑)。

  • 円安で発生した含み益は速やかに具現化し、喫緊に社会還元して欲しいですね。
    原発の再稼働は、家計も企業も潤い国際貢献もできる「三方よし」の政策ですね。

  •  反原発派って、意図するせずに関わらず結果的にロシアシンパですね。

    • むしろ環境過激派のグレタまでが
      すでに原発稼働しているのであれば、それを石炭に変えるのは間違い
      とか言い出すのは意外でした

  • エネルギー基本計画でも何でも、見直したらいいんですよね。
    せっかく、「ロシアのせいで」と言える環境があるのですから。

  • 原発の問題点
    ①安全性(天災・サイバー攻撃を含むテロ・海外からの侵略 等)
    ②継続性(新設・施設の使用期限延長・将来的人材の確保 等)
    ③経済性(最終処分場問題・設備利用率 等)
    ※"太陽光発電の設備利用率と稼働率 " https://standard-project.net/solar/words/operation-rate.html
     
     設備利用率 世界平均で85%と言われているのに70%代ではお話にならない

  • 「原発は安全なんだから東京湾沿岸に作った方が送電ロスも小さくていいんじゃないんですか」
    と言われたらどう反応します?

    私は原発反対派ではないけど、福島の事故を見てあの人たちに任せておいていいのだろうかと思います。福島第一は地震にも津波にも耐えたのに非常電源装置が2台とも地下にあって水をかぶって機能せず、非常冷却装置は職員の中に稼働状態を見たことのある人がいない。結果メルトダウン。フェイルセーフが機能していないということ。 地元説得に「安全だ安全だ」と言いすぎて危険性を忘れていたのではないか。

    • 電力も地産地消を基本にすべきと考えます
      安全なら東京都はお台場にでも造るべきでしょう
      …という"べき"論は一旦置いて、現在開発中といわれる小型炉は"地産地消"方向ではないかと思われます
      三菱重工の小型は災害対応用とも?
      大阪府も現在稼働中の実験炉は2ヶ所在るし地産地消なら実用炉を夢舞咲洲なり臨海工業地帯なりに、兵庫県も六甲アイランドなり明石なりに置けばよろしかろう、です
      ネックは対テロ等保安対策と運営事業体への信頼性信頼感、前者は気合い入れてガンガレでも後者は如何ともし難いっすナ

  • 昨日のNHKニュースで小型原子炉を放送してましたが、課題は発電コストが高いこととか。
    墺を見倣え様の投稿通り、原子力技術者の育成目的でアメリカ企業の開発に乗っかっている徒か。
    個人的には、あれだけの原発設備は遊ばせずに使うべき、です。
    原発がある地域は、莫大な固定資産税と地方交付金があるらしいけど、個人的にはふるさと納税での寄付も考えてます。返礼品は原発産の電気がいいですね。

  • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

    核分裂発電ってメリットが〜って皆様主張されますが、「責任取れるのでしょうか?」
    原発建設の設計開始、鍬入れから高レベル放射性廃棄物の管理完了迄をプロジェクトのサイクルと考えるとプロジェクトの期間をどう取るかですが、

    当方が想定する自然核爆発のリスクが有るプルトニウム239を1トンを1グラム未満に減らせる半減期20倍の48万年か

    政府系が主張するよくわからない根拠不明の10万年か

    このサイトでアドバイス頂いた大多数の高レベル放射性廃棄物の放射線レベルだけが落ち着く1000年か

    原発の電気というメリットを受ける人間がほぼ死に絶える原発終了後100年か(笑)

    ぐらいがプロジェクト終了条件と思えますが、世界中の人間がプロジェクトをキープすることは「最後の超々甘々条件でも無理ゲー」と思いませんか(笑)。

    みんな大好き韓国人様が「核廃棄物の管理」という「ノーメリット・オンリーリスク」なプロセスをキープできると思いますか(笑)。

    日本人でも100年も「ノーメリット・オンリーリスク」のプロセスキープできますかね(笑)。現場での核廃棄物管理業務は無限大に危険だらけの職業ですよ(笑)。

    原発を推進されるならば当方は以下を確約されることを賛成条件としたいですね(笑)。

    ・皇居、国会議事堂、霞ヶ関の隣に「高レベル放射性廃棄物の処理施設及び廃棄物最終保管施設」を建設する。
    ・上記設備に世界中の高レベル放射性廃棄物を状態問わず無償で受け入れて日本が責任を持って放射能が安全レベルになる迄管理する。

    思考実験で良いので、これをできて子供と一緒に新宿で生活できてはじめて原発推進する議論を主張する資格が出来るのではないでしょうか(笑)。

    無理でしょう(笑)。人の親として。

    以上です。駄文失礼しました。

    • 訂正です。

      プロセスキープ⇒規則遵守を伴うプロセスのキープ

      の方が表現が妥当かと思います。

    • 結局は、古舘伊知郎氏と同様の「トイレの無いマンション問題」を提起される訳ですよね。

      反対派の方には、今回のロシアのウクライナ侵攻で明らかになったエネルギーの価格の上昇や供給不安に対しての、安定的な電力供給に対しての妙案を示して欲しいです。
      再生可能エネルギーの利用と現状は安定供給されているから大丈夫は無しで。

    • 日本は既に放射性廃棄物保有国なので、今からゲームを降りる選択は無いんですよね。