日韓首脳懇談を英語版ウェブサイトに掲載せず=外務省
韓国メディアから意外な事実の指摘がありました。先月のニューヨークでの日韓首脳「懇談」を巡り、日本の外務省の英語版ウェブサイトでは、その情報自体が掲載されていない、というのです。単なるうっかりミスなのか、それとも何らかの意図があって外務省がその情報を抜いたのかはわかりません。ただ、韓国国内では左派勢力などから尹錫悦氏の対日外交への批判も強まっているのだとか。
韓国メディアもさまざま
長年、コリア・ウォッチングを行っていると、何となく見えてくるのが、韓国メディア内でも「保守派」と「左派」の違いがあり、そのときどきの政権への論調が異なる、という点です。
たとえば日本語版ウェブサイトを開設しているメディアのうち、『中央日報』、『朝鮮日報』、『東亜日報』などは「保守派」とされ、とくに左派政権だった文在寅(ぶん・ざいいん)前大統領に対しては批判的である一方、尹錫悦(いん・しゃくえつ)現政権には比較的擁護するような見解が目立ちます。
といっても、これら3紙については同じくらいに保守的というわけではなく、朝鮮日報がおそらく「最も保守的なメディア」であるように見受けられ、また、これら3紙の論調はときとして足並みが揃わないこともあるようです。
その一方、同じく日本語版を開設している『ハンギョレ新聞』の場合だと、文在寅政権時代には比較的政権寄りの記事が多かったのに対し、現在の尹錫悦政権に対しては、やたらと批判的な論調が目に付きます。
また、ハンギョレ新聞の記者のなかには、キル・ユンヒョン氏のように綿密な取材をもとに記事を書く人物もいるなど、私たち日本人が読んで参考になる記事がたまに掲載されることもありますので、個人的には常にチェックしておくメディアのひとつと考えている次第です。
ハンギョレ新聞の興味深い記事
こうしたなか、そのハンギョレ新聞には今朝、こんな記事が掲載されていました。
日本、岸田首相のニューヨーク日程の英文広報から「韓日首脳略式会談」除外
―――2022-10-03 07:18付 ハンギョレ新聞日本語版より
ハンギョレ新聞によると、先月21日に米ニューヨークで行われた岸田文雄首相と尹錫悦大統領との「略式会談」(※日本政府によると「懇談」)の記録が、首相官邸ウェブサイトの英語版の「外交関係」のページに掲載されていないことが判明した、と報じています。
ハンギョレ新聞はこれについて、こう指摘します。
「ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相との『非公式会談(日本語ホームページには『懇談』)』など21日のニューヨーク訪問当時の日程7件を記載している一方、尹大統領と会った事実は記録すらしなかったのだ」。
「一方、大統領室は『就任後初めての韓日首脳間略式会談』だとし、21日に尹大統領と岸田首相が握手を交わしている写真を公式ホームページに掲載した」。
実際にチェックしてみた
これは、なかなかに興味深い指摘です。
試しに外務省の日本語版ウェブサイト『岸田総理大臣及び林外務大臣の米国訪問』と英語版ウェブサイト “Prime Minister Kishida and Foreign Minister Hayashi Visit the United States of America” のページを見比べてみると、面白いことが判明します。
日本語版ウェブサイトに掲載されている『日韓首脳間の懇談(令和4年9月21日)』に相当するページが、英語版には現時点でなぜか存在が確認できないのです。
ちなみにハンギョレ新聞によると、この指摘は国会議員からなされたものなのだそうであり、あわせてその国会議員のこんな発言が紹介されています。
「韓国政府の一方的な求愛にもかかわらず、日本は連日、首脳間の対面の評価を下げている。韓日関係の改善も良いが、大韓民国の品格と国民の自尊心を投げ捨ててまで懇願する低姿勢の屈辱外交を、国民はこれ以上容認しないだろう」。
このあたり、当ウェブサイトとしては、岸田首相が安易な日韓会談に応じてしまったこと自体、非常に軽率で危なっかしいことだとは考えているものの、『日本は首脳会談で韓国に「貸し」を作った=政府関係者』などでも報告したとおり、韓国国内では「失敗だった」と批判する意見があるというのも興味深いところでしょう。
尹錫悦政権自体がいつまでもつのか
いずれにせよ、日本国内では(自称「保守論客」も含めた)ごく一部の論者から、「日韓関係改善に向けて日本も韓国に手を差し出すべきだ」、などとする主張が提起されていることは事実ですが、韓国の左派大手『ハンギョレ新聞』などの受け止めを見ると、尹錫悦氏に対する批判も渦巻いていることも無視できません。
こうしたなか、個人的には「尹錫悦政権がいつまでもつのか」という点については、じつはひそかに注意が必要ではないか、などと考えている次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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一応、つっこんでおきます。
>韓国政府の一方的な求愛にもかかわらず、日本は連日、首脳間の対面の評価を下げている。
前政権・文在寅前大統領の卑屈な笑顔も忘れられません。
https://www.asahi.com/articles/ASMC456JGMC4UTFK00D.html
外務省公式サイトの「岸田総理大臣及び林外務大臣の米国訪問(日本語)」の「二国間会談等」に項目があって英語版にはないものは、
・岸田総理大臣とシュミハリ・ウクライナ首相の会談(令和4年9月22日)
・日米首脳間の懇談(令和4年9月21日)
・日韓首脳間の懇談(令和4年9月21日)
・岸田総理大臣とゼレンスカ・ウクライナ大統領夫人の立ち話(令和4年9月21日)
の4項目。ハンギョレは7項目としているが現時点で“Bilateral Meeting”の項目は10あるので、今後も日本語版に対応して増えるのかこれで打ち止めなのかは不明。
調べようかなと思ったら 即刻の情報ありがとうございます。これはこうしたブログの良いところです。
何らかの事情があって英語版の情報アップデートがたまたま遅延していたということでもない限り、外務省というお役所の性格を考えると、「ついうっかり」というのは考えにくいでしょうね。
確か、日米首脳の「懇談」というのも、立ち話に毛が生えた程度のものだったと記憶してますので、日韓首脳の「懇談」も同程度の意味合いと位置づけでしかないと、外務省ですら判断していると考えても良いと思います。要するに、時候の挨拶+α程度であると。
まあ、両国国旗すら用意しなかったあたり、日本側外交ラインのやる気のなさが目立った「懇談」でしたが、結局、懸命に熱弁を振るう尹大統領の話を聞いただけ以上ではなかったのでしょう。韓国の従北左派が憤激するのも無理はないですね。
少なくとも「呼びつけて」会ったようですから記録はしてるでしょう。内容が無かったから、懇談内容について書くのは難しいとしても。
現時点で表に出していない理由はあるのでしょうが、そんなに深い意味は無いと思います。あるいは世間や韓国の反応を見てると言う面があるのかも知れません。
以前も駐日大使の信任状奉呈が「予定されていない、ざまあ」とか騒いでいたら、シレっと挙行されたなんてことがあって、単なる事務手続きの問題みたいに、有耶無耶にされた事がありました。
今回もいつの間にか書かれていた、なんてことになるんじゃありませんかね。
外務省の考えてることは判りません。
ん-、韓国政府から「『会談』の記録が掲載されてないのは何故だ?」という問い合わせ(という名の詰問)でもあれば、改めて「『懇談』があった」くらいの記述は追加されるかもしれませんね。むしろ、今後記載がなされるようなら、韓国政府に泣きつかれたからと考えていいと思いますよ。なにしろ慇懃無礼の総本山であり、底意地の悪さでは定評のある外務省のことなので、わざと記載してないという可能性のほうが高いと思います。
少なくとも、これで韓国側がいかに「首脳会談で成果があった!」と喧伝しようが、「『会談』なんてなかったのだから、成果などあるはずがない」と突き放せますから。
中央日報は、確かに保守寄りなのかもしれませんが、「中道・軽薄系」に見えます。韓国紙の面白いところは、政権末期になってぼろが出てき始めるまで、右派・左派両方とも大統領批判をあまり積極的にはやらないことです。
この点、亡くなった安倍氏に対して執拗に「アベの国葬がー」とやっている日本の新聞社の方がおかしい。特に朝日新聞とか。
サムライアベンジャー(『匿名』というHNを使うのは在日コリアンの通名と同じ行為)様。
いつもサムライ様のHNを見ながら、ワタシは気分がホッコリします。本文でも楽しく拝見していますが、ワタシはサムライ様のHNがナンダか楽しくなって、大好きですね……以下省略。
蛇足です。
HNを省略したトコが2箇所有りますが、正直言って長くって省略してしまいました。謝罪を致します。
>>タナカ珈琲さま
レスありがとうございます。長いHNにいつかツッコミが来るかなと思っていたら、ほっこりして(謎)いただき、ありがとうございます。ははははは・・・
eiei…(タイ語で「えへへ」という意味)
韓国メディアの右派左派共通なのは対日だけは一致しますよ。
面白い記事ありがとうございます。
外務省はわざとでしょうね。取り上げるまでもない、ただの懇談。
韓国がわざわざ取り上げるって、よっぽど軽く扱われてるのが悔しかったんでしょうね。
予定に無かった者は書けません。割り込み行為で同じ様に書いてたら、予定に有った国々に失礼にあたります。常識の有る国ではスケジュールが分刻みで調整されてるのですよ。アポ無し訪問はお辞め下さい。と言う事では。