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通貨・金融危機に直面する韓国を日本が支援しない理由

どうも韓国で通貨危機と金融危機が同時に発生しかねない状況が生じてきました。昨日、韓国ウォンは夜間セッションで1ドル=1380ウォン直前の水準にまで下落したようであり、また、韓国銀行が家計債務・資産バブル問題で利上げに踏み込み辛いなか、米韓金利差はさらに拡大しかねません。こんなときに韓国を支援してくれていた国が日本ですが、その日本は自称元徴用工問題などで韓国に対し通貨支援ができない状況にあります。

韓国ヘイトは許しません

当ウェブサイトでは「将来的には日韓関係が疎遠になっても仕方がない」、などとする議論をよく展開しています。こうしたなか、こんなウェブサイトを運営していると、当ウェブサイトが「嫌韓サイト」かなにかではないか、といった誤解を受けることがよくあります。

しかし、当ウェブサイトの「日韓関係の将来図」については、あくまでも客観的な情勢分析、法の原理原則や経済合理性に従って判断した結果の話であり、著者自身が「韓国人が嫌い」だからそういう結論になっている、というわけではないことについては、くれぐれもご理解をいただきたいと思う次第です。

そういえば、著者自身、個人的に韓流スターにはほとんど興味がありませんが、キムチは大好きであり、また、何でも話し合えるほど信頼している友人のなかには在日韓国人もいます(※余談ですが、興味深いことに、その在日韓国人の友人は常々「韓国のことが嫌い」とぼやいています)。

いずれにせよ、当ウェブサイトの議論や結論は、基本的には「好き」「嫌い」ではなく、客観的事実関係を積み上げた結果、出てくるものであり、特定の民族を過度に貶めることは極力控えているつもりですし、また、読者コメント欄でもそのようなコメントを打たないようにご注意ください。

(※なお、当ウェブサイトでは最近、過度に攻撃的なコメントを発見した場合、警告せずにいきなり削除するとともに、状況に応じて「追加措置」を講じていますので、くれぐれも特定民族などに対するヘイト表現は控えてください。)

無期限棚上げの徴用工

国際合意破りは韓国自身のためになっていない

さて、どうしてこんな話を申し上げるのかといえば、百にひとつ、千にひとつ、いや、万にひとつの割合であっても、韓国が国際法や国際合意を尊重し、ありもしない歴史問題を捏造することを止めるならば、日本と未来志向の関係を築き上げることができる(かもしれない)からです。

身も蓋もない言い方をすれば、現在の韓国の態度は、韓国自身のためになっていないのです。

当ウェブサイトでも連日のように取り上げている自称元徴用工問題がその典型例ですが、韓国の日本に対する不法行為には、基本的には「①ウソをついて」、「②違法な請求をする」、という共通点があります。これが当ウェブサイトでいう「二重の不法行為」です。

これをもう少し厳密に定義しておきましょう。

日韓諸懸案を巡る韓国の「二重の不法行為」とは:
  • ①韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである
  • ②韓国側が日本に対して要求している「謝罪」「賠償」などには、多くの場合、法的根拠がなく、たいていの場合は何らかの国際法違反・条約違反・合意違反を伴っている

(【出所】著者作成)

そもそも自称元徴用工問題も、この「二重の不法行為」そのものです。

というのも、これは「戦時中強制徴用された」などと自称する者たちが日本企業を続々と訴えている問題のことですが、こうやって「日本の戦犯企業によって強制徴用された」などとウソを述べること自体が、日本企業と日本国に対する名誉棄損という不法行為に該当しているからです。

自称元徴用工の5類型

ちなみに著者自身の見立てですが、自称元徴用工には次の①~⑤の類型があると考えています。

自称元徴用工の構成
  • ①国民徴用令などに基づき合法的に徴用された労務者=245人以上?
  • ②日本企業の人材募集に自発的に応じた応募工=30万人?
  • ③個別に職を求めて日本にやってきた者=70万人?
  • ④実際に違法な強制徴用により強制労働させられた被害者=ゼロ人?
  • ⑤上記①~④のいずれにも該当しないにも関わらず、「強制労働させられた」と騙っている者=多数

(【出所】著者作成)

それぞれの人数の積算根拠については、現在は経済安保担当大臣などを務める高市早苗氏が2010年4月2日に公表したコラム記事『「在日朝鮮人の渡来および引揚げに関する経緯、とくに戦時中の徴用労務者について」という外務省資料』などの資料を参考にしています。

もちろん、とくに戦時中、日本企業などで働いていたにも関わらず、給与や貯金を受け取ることができなかった方々がいたことは事実であり、彼らに関しては本当に気の毒としか言い様がありません。

ただ、日韓間の請求権の問題を「完全かつ最終的に解決した」とする日韓請求権協定を、1965年に韓国自身が批准しているわけですから、残念ながら、日本としては対応することはできません。「請求するなら韓国政府に対してどうぞ」、という話です。

スタートラインは違法状態の解消から

なにより、2018年10月と11月の自称元徴用工判決自体、韓国の最高裁に相当する「大法院」がみずから国際法を蹂躙するような判決を出したという意味では、非常に「画期的な」判決でした。韓国の司法府自身が無法行為を働いたからです。

しかも、これを是正する義務があったはずの韓国政府は、日本からの外交的協議や国際仲裁手続の付託を一切合切無視し、2019年7月19日には、「韓国政府による手続法違反」という違法行為も確定してしまいました。

ちなみに2019年7月19日付・外務省ウェブサイト『大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について』などの資料でも明らかであるとおり、そもそも日本政府が自称元徴用工問題を巡り、第一義的に要求しているのは、「韓国による度重なる国際法違反の是正」です。

これは、単純に「日本企業に不当な不利益を生じさせないこと」だけではありません。そもそも日本企業に賠償義務を負わせることはおろか、その前提として、2018年10月と11月の大法院判決自体を、事実上無効にする措置が含まれなければなりません。

(※ただし、どうやって「無効にする」のかについては存じ上げませんし、当ウェブサイトとして議論するつもりもありません。特別立法措置によるのか、それとも国会や裁判所の強制解散などの「超法規的措置」によるのかは知りませんが、いずれにせよ、韓国が自らの判断と責任において考えるべき話です。)

これに加えて「戦時中の強制徴用」というウソをついて日本企業の名誉と尊厳を貶める行為をすべて停止させなければなりませんし、韓国はこれまでに「強制徴用」というウソをついてきたことを、日本に対し真摯に謝罪し、許しを請わなければなりません。

そのくらいのことをして初めて「スタートライン」に立てるのです。

というのも、自称元徴用工問題を「解決」したとしても、自称元慰安婦問題を巡る日韓慰安婦合意を韓国があっけなく破ってしまった問題や、2018年12月に発生した火器管制レーダー照射事件を巡り、韓国がいまだに事実を認めず、関係者も処分せず、再発防止策も講じていない問題なども控えているからです。

やはり無期限先送りへ

しかも、韓国が「スタートライン」にすら立てないことが、徐々に明らかになり始めています。

たとえば自称元徴用工問題を巡っては、昨日の『徴用工巡る「代位弁済案」の問題点と日本の今後の選択』でも詳しく論じたとおり、正直、日本にとっては「てんでお話にならない」ような「解決策」が、韓国側ではまことしやかに議論されているほどです。

自称元徴用工問題を巡り、韓国政府が官民協議会を全4回で終わらせ、今後は「代位弁済案」を推進するのではないか、などとする観測が、韓国紙『中央日報』(日本語版)に掲載されていました。端的にいえばお話になりません。この「代位弁済」案、日本が求めている「国際法違反の状態の是正」からは程遠いからです。そうなると日本としては結局、「あの選択肢」を講じるしかなくなります。2022/09/06 12:45追記記事タイトルを修正しています。異例づくめの自称元徴用工問題当ウェブサイトでいうところの「自称元徴用工問題」、すなわち...
徴用工巡る「代位弁済案」の問題点と日本の今後の選択 - 新宿会計士の政治経済評論

しかも、これを巡っては、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に昨日、こんな「続報」がありました。

徴用問題の解決策 「特定の期限設けず」=韓国外交部

―――2022.09.06 17:01付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースによると、韓国政府・外交部の任洙奭(にん・しゅしゃく)報道官は6日の定例会見で、「日本による植民地時代の徴用被害者への賠償問題」(※原文ママ。自称元徴用工問題の誤り)について、「解決策について特定の期限を設けていない」と述べたのだそうです。

事実上の「棚上げ宣言」のようなものですね。

自称元徴用工問題を巡っては、先月、「日本企業の資産現金化決定が間近である」、「審理不続行を発表する期日である8月19日までに結論が出る」、といった報道もまことしやかに流れていたのですが、これについては当ウェブサイトの見立て通り、事実上、結論が無期限延期されています。

日韓両国すれ違いは徴用工「問題解決」定義が違うから』などを含め、これまでに当ウェブサイトで繰り返ししてきたとおり、自称元徴用工側の目的が「新たな謝罪利権の確立」にある以上、資産現金化決定など行われるはずなどありません。

韓国政府・外交部の当局者が、大法院の資産売却命令とは無関係に「解決」を模索し、自称元徴用工との対話を続ける、という方針を示したそうです。正直、「解決」の定義が異なっているため、ボタンを掛け違えたまま議論しても、解決策は出てきません。個人的な主観も交えて申し上げるなら、自称元徴用工問題はこのまま資産売却命令がズルズルと先送りされる、というのが、最も実現可能性が高いシナリオではないかと思う次第です。資産売却命令もなにも…そもそも売却不可能な資産ばかり8月19日以降、韓国メディアではしばしば、自称元徴...
日韓両国すれ違いは徴用工「問題解決」定義が違うから - 新宿会計士の政治経済評論

というよりも、『やっぱり逃げた大法院:資産現金化問題もチャーハン化』でも触れたとおり、韓国の「資産現金化チャーハン」についても、工程を無限に細分化し、ひとつひとつをゆっっっっっっっっっっっっくりと処理することで時間を稼ぐ、という行動に出ているのでしょう。

やはり彼らは、「チャーハンの工程を無制限に細分化すること」を選んだようです。韓国メディアの報道によれば、三菱重工の知的財産権の売却命令に対する再抗告を審理している大法院の判事が、判決を出さないまま退任するのだそうです。チャーハンは、待てど暮らせど出てきません。いい加減、客も店から出る時間ではないでしょうか。予想通り?「大法院判事は判決出さずに退任」=韓国紙ある意味では、まったく予想通りの結果となりました。自称元徴用工問題の一角を占める「資産現金化問題」を巡り、判断が先送りされたと報じられてい...
やっぱり逃げた大法院:資産現金化問題もチャーハン化 - 新宿会計士の政治経済評論

放置一択です。

通貨・金融危機に直面する韓国

通貨安で火が付き始めた韓国経済

ただ、こうした問題を放置し続けることが、じつは韓国自身にとっても良くないことでもあります。というのも、韓国の足元に「火」がつき始めているからです。

そのひとつが、通貨安です。

韓国の通貨・ウォンは昨日の韓国取引時間の引け値ベースで1ドル=1371.7ウォンと、前日比で0.3ウォン安の小幅な値下がりとなっていますが、WSJのマーケット欄などで確認すると、夜間のセッションで1ドル=1380ウォン直前の水準にまで達する局面も見られたようです。

実際、韓国ウォンは2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻(いわゆる「リーマン・ショック」)直後から対ドルで下落し始め、最安値で1ドル=1600ウォン近くにまで下落するとともに、外貨準備も数ヵ月で600億ドル近く流出しました。

結局のところ、日本や米国が韓国とのスワップラインを拡充することで、韓国はこの危機を何とか乗り切った形です。

ただ、現在の局面では、残念ながら、日韓通貨スワップも米韓為替スワップも存在しませんが、これについて再開の可能性はあるのでしょうか。

現下の米韓為替スワップ再開は「あり得ない」

著者自身の私見ですが、米国が韓国と為替スワップないし通貨スワップを締結していない理由の最たるものは、韓国とスワップを結んだところで、現在の米国には何らメリットがないからです。

コロナ禍直後の2020年3月に、米FRBが韓国銀行を含めた9つの中央銀行・通貨当局と為替スワップを結んだ理由は、なにより、米国自身が金融緩和を行っていたからであり、市場に米ドルというマネーを供給するという重要な意味があったからです。

現在の米国がポストコロナのインフレ期にあることを踏まえるならば、米国が現時点において、韓国と再び為替スワップを締結する可能性は、さほど高いものではありません(※「皆無だ」、などと申し上げるつもりもありませんんが…)。

また、日本の場合は、かつてはチェンマイ・イニシアティブ(CMI)に基づくドル建ての日韓通貨スワップに加え、日銀が提供する円建ての通貨スワップも存在していたのですが、これらのスワップは2015年までにすべて失効しています。

この点、2016年8月にソウルで開かれた『日韓財相対話』で、韓国の当時の柳一鎬(りゅう・いちこう)副首相兼企画財政部長官が、当時は故・安倍晋三総理の下で副総理兼財相を務めていた麻生総理に対し、日韓通貨スワップの再開を懇願しました。当時の報道発表は次の通りです。

韓国政府は、二国間の経済協力を強化すること、及び、その証として双方同額の新しい通貨スワップ取極を締結することを提案した。本通貨スワップ取極は、地域金融市場の安定を高めるものである。両国政府は、本通貨スワップ取極の詳細について議論を開始することに合意した」。

このポイントは、「議論を開始することで合意した」のであって、「新たな日韓通貨スワップを再開することで合意した」わけではない、という点でしょう。しかし、韓国側では日韓通貨スワップに関する報道が過熱し、「新たなスワップの規模は500億ドルになる」、といった一方的観測記事も多々見られました。

韓国の合意違反で流れた日韓通貨スワップ

しかし、結局のところ、日韓通貨スワップ協定は、再開されることはありませんでした。2015年12月28日に日韓両政府が取り交わした「慰安婦合意」にも関わらず、翌・2016年末には、釜山の日本総領事館前に新たな慰安婦像が設置されたからです。

激怒した日本政府は、日韓ハイレベル経済対話の中止などとともに、日韓通貨スワップ再開交渉の無期限中断を発表し、それ以来、今日に至るまでスワップは再開されていません。

この点、『危機感募らせる韓国教授「日韓通貨スワップ締結せよ」』でも取り上げたとおり、韓国国内では最近、とみに「米韓通貨スワップが必要だ」、「日韓通貨スワップが必要だ」、といった主張が出てきます。

米国が利上げのペースを速めていることに加え、ウクライナ戦争や資源価格上昇、中国のコロナ封鎖といった要因が重なったためか、韓国の通貨・ウォンの動きが、とくに怪しくなってきています。こうしたなか、韓国で再び「韓日通貨スワップで危機に備えよ」という、まことに勝手な主張が出てきたようです。本稿では改めて日韓通貨スワップの経緯や日本にとっての意味を振り返るとともに、日本の「対策」についても選択肢を示しておきたいと思います。日韓通貨スワップの経緯改めて振り返っておく日韓通貨スワップさて、早いもので、もう...
危機感募らせる韓国教授「日韓通貨スワップ締結せよ」 - 新宿会計士の政治経済評論

しかし、非常に残念なことに、少なくとも日本が韓国と通貨スワップを再開する可能性は皆無でしょう。自称元徴用工問題のような国際法違反の問題を作り出し、慰安婦合意を含めた国際合意を堂々と反故にするような国に、私たち日本国の大事な外貨準備を貸し付けるなど、おかしな話だからです。

資産バブルと外貨流出リスクの韓国

このあたり、韓国が日韓通貨スワップなどの「安全弁」を必要としている理由は、『韓国不動産バブル「山高ければ谷深し」と鈴置氏が警告』などでも触れたとおり、韓国の国内事情にあります。

実際のところ、韓国の不動産バブルの状況はどうなのか――。これについて、韓国観察者である鈴置高史氏が昨日、ウェブ評論サイト『デイリー新潮』に、非常に興味深い論考を寄稿しました。グラフ化してみれば明らかなのですが、マンション取引価格がくっきりと下落に転じているのです。「山高ければ谷深し」、とでもいえば良いのでしょうか、今回の鈴置論考も読みごたえは十分すぎます。日本経済の課題国の借金論のウソ当ウェブサイトを今から約6年前に開始したときには、「金融・通貨論」などを詳しく論じたところで、世の中からはほと...
韓国不動産バブル「山高ければ谷深し」と鈴置氏が警告 - 新宿会計士の政治経済評論

韓国の家計の債務が膨張しているなかで、不動産バブルが崩壊の兆しを示している状態は、韓国が金融危機の一歩手前にあることを意味しています。韓国銀行が利上げをすれば、韓国の多重債務者が破産してしまう可能性が高まるのです。

しかも、韓国の場合は世界10位圏内をうかがうほどのGDPを誇っている国でありながら、G-SIBs(グローバルな金融システム上重要な金融機関)が1社も存在せず、通貨・ウォン自体が国際的に通用しないローカル・カレンシーでもあります。

韓国企業にとっては、米ドルや日本円などの「国際的なハード・カレンシー」を調達しなければ生産活動自体がおぼつかないのですが、その韓国企業にとって、内外金利差の拡大は資金調達が困難になることを意味しています。

そして、韓国銀行が利上げを見送れば、米韓金利差はますます開き、韓国からの資金流出が続き、今度は通貨危機をもたらしかねません。実際、韓国メディア『中央日報』(日本語版)には昨日、この「通貨危機」について懸念する記事も掲載されていたようです。

【噴水台】通貨危機=韓国

―――2022.09.06 15:21付 中央日報日本語版より

こうした状況で、韓国銀行としては可能な限り利上げを見送るとともに、外貨準備の安全弁としての日韓通貨スワップ米韓為替スワップを準備することで、金融危機も通貨危機も回避したい、というのが本音ではないかと思います。

日本の対応

ただ、日韓通貨スワップ、米韓為替スワップがいずれも期待できないなかで、韓国としては利上げを続けざるを得ず、家計債務の破綻がこれからも続いて金融危機に発展する、というシナリオが十分にあります。それどころか、韓国銀行の利上げの速度が米FRBに追い付かず、結局は通貨危機につながってしまうかもしれません。

つまり、現在の韓国は通貨危機、金融危機が同時に襲い掛かってくるかもしれない、という状況にあるのです。

正直、こうなってしまった以上、日韓通貨スワップや米韓為替スワップごときで韓国が流動性危機を乗り切ることができるとも思えませんが(よっぽど金額が大きければ話は別ですが)、結局のところ、韓国経済にとっては大なり小なり、何らかの調整は必要です。

結局のところ、日本の金融機関にとっての選択肢は、次のどちらかです。

  • ①最後まで韓国におカネを貸し続ける。
  • ②回収できる資金は回収し、韓国とは距離を置く。

どちらが正解であるかは、敢えて本稿ではお伝えしません。

ただし、最後まで貸したとしても、1997年のときのように、25年経過して「通貨危機の原因は日本が作った」などと言われるようになってしまったという実例があること(『25年前の通貨危機の原因は「日本が作った」=韓国紙』等参照)を踏まえると、最後まで韓国にカネを貸しても感謝される可能性は非常に低いでしょう。

ちょっとしたメモです。韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に本日、1997年の韓国の通貨危機を「日系の短期対外債務で資金が急速に速度で流出したことが引き金となった」、などとする記述が掲載されていたようです。通貨危機で最後まで資金を貸そうとしていた日系金融機関も、まさか25年後にこんなことを書かれるとは思っていなかったのかもしれません。以前の『韓国の対外債務は過去最大:外貨準備高との関係は…?』では、韓国の対外債務が2008年のリーマン時と比べて1.8倍に膨張するなど、過去最高水準にある、などとする話題を取...
25年前の通貨危機の原因は「日本が作った」=韓国紙 - 新宿会計士の政治経済評論

なにより、自称元徴用工問題や火器管制レーダー照射事件などの日韓諸懸案が解決しないうちは、日本も日韓通貨スワップの提供に国民の理解は得られません。

このように考えていくと、今回の韓国の「通貨・金融危機」は、純粋に韓国が自力で乗り切らなければならない初めての危機である、という言い方をしても良いのかもしれない、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (48)

  • 大丈夫 韓国は自力で乗り越える!
    どんな乗り越え方か、その結果が韓国の望む結果になるのかまでは
    知りませんがw

  • 何でもかんでも他人のせいにして、自分自身の問題に目を向けないから、同じ失敗を繰り返すしか無い。IMF事態の原因が日本の資金の引き上げだと避難したところで、そもそもそこに至った原因から目を背けるから改善につながらない。

  • 韓国と言う国家がここからでも助かるルートがあるとすれば、
    今回またIMF危機の様な事になって、連日連夜日米に土下座を繰り返し、
    今までついてきた嘘を全部謝罪すればあるいは……って所でしょうね。

    しかしもし韓国人がこれを受け入れず、「ロウソクだ!」「内乱だ!」「革命だ!」などと
    盛り上がったらこの生存ルートすら危うい。いわゆる失敗国家の様に
    何時まで経っても内紛が終わらず、国際社会から見捨てられる運命があるかも知れません。

    逆に韓国人がこれを受け入れた場合、世界初の「無文化民族」が誕生するかも知れない?と
    言う予感があります。韓国の民族性に韓国人自身が嫌気をさしてしまい、
    ただただ外国の価値観と文化ばかり追い求め、自分達は何も作り出そうとしない……
    ひたすら別の国の国籍を取る事を人生の目標とし、外貨と外国製品以外は信じない。
    そんな奇妙な国家が誕生する可能性があるかも?

    まあ、一番あり得そうなルートは政府も国民も「どうしてこうなったぁあああ!?」と
    叫びながら国がまともに機能しなくなるルートでしょうけど。

  • 規模の割には、旨味も無いし、リスペクトも無い。
    まあ、そういう話ですね。

    ここを自力で乗り切ることが、先進国の役目だと思います。

  • いままで禁治産国家・南朝鮮の後見人として日米がいました、
    それだけでなく兄貴・北朝鮮までもが南に関わろうとしないのは資産バブルの崩壊だと思います。
    正確な数字ではなくて申し訳ありません、概算で簡単に書き込みします。
    南朝鮮経済の実態を考える上での参考程度で読んでいただければ幸いです。

    日本のバブル崩壊でGDPの2倍、おおよそ1,100兆円の損失があったと言われています。
    人口がソウル近郊や釜山に集中するため南の土地不動産バブルは凄まじいものです。
    日本のバブルのピークと比較して少なく見積もっても、
    土地で1.5倍、不動産で2倍程度の対GDP比となると思います。
    バブル崩壊で日本と同じ状況に収縮すると仮定すると、
    南朝鮮のGDPは約210兆円ですから 210×2×1.75≒735兆円
    これは日本経済に換算すると1,900兆円以上の莫大な損失に発展します。
    単純計算ですが猛烈な損失が発生し、南にとっては国家存亡レベルの危機になると推測します。

    避けようがない積弊・土地不動産バブルの崩壊に伴って、通貨危機は時間差はあっても
    必ず発生するものだと思います、日米IMFでもこの規模は助けれません、
    チョンセなどの貸金・借金でバブルを維持してる南は崩壊のスピードが速いと思います。
    巻き込まれないように断固として拒否、非韓三原則ですね。

  • 徳政令で家計負債をチャラにして、金融機関が回収できなかった分のお金を増刷すれば解決!
    とか言い出す可能性もありそうですが。
    増刷、まではしなくても徳政令で”「1人最大15億ウォン」自営業者40万人の債務を一部免除”するようですし。(参照:https://news.yahoo.co.jp/articles/5018418e785adb19a68b67719f9534a35b08c88b)
    でも、おそらくは全然解決してないにもかかわらず、「自称元徴用工問題を解決してやったんだから、日本は韓国を助けなければならない」と主張するんでしょうね。
    個人的には現金化していただいて、日本がどのような制裁を科していくのか見てみたいのですけど。

  • いつも楽しみに拝読しております。
    冒頭の「韓国ヘイトは許しません」のところで、今現在韓国が日本国と日本人に対してやっていることの方が、日本ヘイトであり日本人への人種差別ではないかと感じてしまいました。
    通貨危機や自称徴用工問題とは関係ないところですみません。

    • 都市和尚 様

      いつもコメントありがとうございます。

      端的に言えば「相手と同じレベルに堕ちるな」、といったところだと思います。

      引き続きのご愛読ならびにお気軽なコメントをよろしくお願い申し上げます。

  • どこの、どんなサイトを覗いても韓国擁護のコメントは、只の一つもない。どれだけ嫌われているンだか。最近キシダ総理は、インドに4兆円、アフリカに5兆円の支援を連発しているんだが、これの原費は日本国民の血税だ。どんな目的があり、得られるリターンは何なのかの説明がない。為替の高騰、原油高によるガソリンの高騰、さらにはロシアのウクライナ侵略戦争による物価高、電気料金の漠上げ、国民の生活が逼迫しているのに外国に血税を投入するキシダ総理の考えは理解できぬ。反日に勤しむ韓国に国民の血税を使って支援するようなことがあれば、納税意欲の喪失をよびおこしかねない。それにしても税金が重い。どうにかならんかね?

    •  挙げられたインドやアフリカであれば、同盟深化や経済圏(商売相手)の拡大といったリターンがあると推測できますが…付加価値というものもあり、例えば(例であり根拠はありませんが)インドへの支援が4兆円で、日本への利益の戻りが1兆円に過ぎないとすれば、一見大損です。しかし対中包囲にインドを引き込めるとすればそれでもお釣りの出る、替えの効かないメリットになりえます。支援を無視してインドが中国についたりすれば失策となるでしょうが、それは未来の結果であり、今できる努力とは別問題です。
       岸田総理への不信は理解しますが、総理に内外政策の一から十まですべてを国民に自ら語りかける義務などありません。安倍総理も菅総理もそんなことはしていません。気がかりな政策はご自身で各該当省庁をお調べになり、意にそぐわなければ投票で意思表示すればよろしいかと思います。

    • 原資は税金でも運用益は政府のものになるのでは?貸付ではなく贈与だと思ってますか?それに日韓請求権資金と同じく、投資した資金は紐付きで日本企業に発注される分もあるので、ある種の公共投資でもあるわけで。

  • ヘイト許しません!
    には、感謝いたします。

    知人(カタギの一般人)に時事問題を説明するときに、ここのサイトはとても助かっているのですが、露骨な自己満足ヘイトコメントがあると、僕まで含めてドン引きされてしまいます。

    控え目なくらいの論調でも、知らない人たちには既に十分に衝撃的なので、マイルドな口当たりの維持で、よろしくお願いしたい次第です。

    • 完全同意です
      政治系の話題を扱うサイトでは右翼系・左翼系に関わらずコメント欄や、それに釣られて本文も先鋭化して感情的な「露骨な自己満足ヘイトコメント」をよく見かけますね
      中にいる人達は先鋭化するコメントに引きずられ馴れてしまって感覚が無くなるかとは思うのですが、自分たちの快感のための自己満足ヘイトコメントが、カタギの一般人のドン引きを招くという可能性は常に自戒すべきでは?と思っています。これはマスメディアなどの企業・団体も含めての話ですが。
      (メディア含めそういう場所はそういう場所なりの存在意義はあるのでしょうけどねw)

      当サイトは(おそらく)管理人さんがコメント欄にも目を配り、マメに草取りをして頂いてる結果として、長期に渡り極めて高い品質が維持されているものと大感謝しております

  • 新宿会計士殿、皆様、お早う御座います。

    > 何でも話し合えるほど信頼している友人のなかには在日韓国人もいます。

    私も以前は在日朝鮮人を含め、半島系の友人が結構居ました。

    > ※余談ですが、興味深いことに、その在日韓国人の友人は常々「韓国のことが
    > 嫌い」とぼやいています。

    日本生まれの在日の友人は、米国旅行中に普段食べ慣れてはいない食事に呻吟した挙句戻り、「やっぱり日本はいいな。」と率直に私に感想を云いました。

    今後、日韓関係が正常に戻り、日本に不法滞在している朝鮮人に半島に戻る施策が施されるべきだとの意見があります。もしそうなったら、私の知己は日本生まれなので、朝鮮語はしゃべれないし、ハングルも読めず、書けません。もし朝鮮半島に戻ったら彼らは困惑するだろうと推察していました。

    折よく、下記の記事を見つけました。ご参考迄にご紹介します。尚、当記事の最後にある、筆者が在韓日本国大使館の「韓国と北朝鮮の有事の際、我々、在日も日本人同様に引き上げてもらえますか?」との問に対して、日本国大使館が即答で「もちろんです!ご心配なさらずに」と返事をしたのが全てを語っていると私は考えます。

    「在日3世」の私が、「先進国の日本」から移住してわかった「韓国=後進国」という残酷な現実  豊 璋 在韓国コンサルタント
    https://gendai.media/articles/-/97761

    上記記事から内容を単純に転載をすると、新宿会計士殿が設定した基準を超えてしまいます。そこで記事から私なりに要点を抽出し、文章を整えた上でご紹介します。従いまして筆者の原文章は、上記記事でご確認下さい。

    1.韓国に住居を構えて、本格的に住み始めると日本とは比べようもない“後進国”だとわかった。日本で得ていた情報はまやかしだった。日本のように暮らすのは「100%無理」

    1)街並は遠目では立派で綺麗でも実際には歩道はガタガタ、ビルの階段段差の基準はなく均等ではない。路地の道路には穴があり、暗い夜道を歩くと落とし穴に堕ちる感覚を味わう。渡韓する日本人に「映画のセットのハリボテな国」と説明。

    2)筆者が在日分かると記者たちは「日本人は日韓問題(慰安婦、徴用、竹島)をどう思ってるのか?」と聞いて来る。65年基本条約から何度も日本は公式に謝罪をしている、徴用は原告が韓国の左派弁護士団体の民弁の誘導で起きている問題であるのを説明すると“日本大批判”となる。

    記者たちが語る日本批判は、反日教育で得た知識を前提でウンザリする。今の時代、スマホでググればどんな情報も出てきて事実確認が出来るのに、すぐに調べればわかるような事実さえ間違っている記者がいたのには閉口する。

    筆者に対して日韓問題を提起して話す韓国人の多くが、論破されそうになると他の話にすり替えるので一度も発展的な議論ができない。

    上記記事の続編をご紹介します。

    「在日3世」の私が、韓国で「差別」されて直面した“祖国・韓国”への「強烈すぎる違和感」
    豊 璋在韓国コンサルタント
    https://gendai.media/articles/-/97833

    1.裸一貫から事業を起こす場合、日本は元手が少額でも金融公庫、銀行、信金など多くの金融機関で差別なく一定の金額の融資を受けられる。融資の審査でも、借り手の夢を聞き、事業内容の可能性を見てくれる場合がある。筆者も日本で会社を興し、付き合いがある金融機関から借入を何度かしている。

    1)韓国では現金、証券、不動産等の担保がなければ一切の融資は受けられない。韓国の若者が夢を実現するには、その家庭が中流であっても無理。

    2)現在、住んでいる近所の小型スーパーに生鮮の魚は売っていない。大型スーパーでは生鮮魚が手に入る。

    3)ハイオクガソリンを売るスタンドが殆どなく、ソウルの街中でも探し回ることになる。

    3.私が韓国で暮らせないと思った、その圧倒的な理由は不動産

    1)筆者が済む江南区でも80平米の中古マンションが2億円か、それ以上。

    2)チョンセと言う高額な保証金を入れ家賃無しでも1億2000万円以上する。故郷の慶尚道の田舎でも、購入となると4000万円もする。

    3)医療も高額:MRIを撮ったら約5万円。日本では同じ条件で4000~5000円だった筈。3割負担の健康保険に入っているが保険適用外。韓国では実費保険という少額掛け捨て保険に入れば60%ほどの返金を受ける。

    4.筆者は、韓国に住んでから、こんな露骨に差別を感じた。

    1)在日は韓国で「パン・チョッパリ(半分日本人)」と言われる。祖国であるはずの韓国でのこの雰囲気には違和感と矛盾しかない。韓国では在日を韓国人と認めてないのか、と愕然とした。

    2)言葉の壁も変にある。片言の韓国語を話す欧米、欧州人に韓国人は優しく対応するが、在日である私はハッキリと馬鹿にされた。日本では片言を話す外国人の話を聞く場合、何とか理解しようとするが、韓国ではそれが在日とわかると態度が豹変する。

    3)筆者は高校時代まで北朝鮮籍を保有し、その後、韓国籍になった在日3世だが、日本での暮らしに何の不満もなかった。

    筆者は中学高校時代、事ある毎にデモに強制参加させられていた。デモ参加時に子供とわからない様、大人びた服装で来るようにとも指示を受ける。デモに参加しなければ翌日、学校で吊し上げられた。それは全て従北思想の大人からの指示であった。

    90年以降日本に渡り不満を叫んでいる韓国人を見かける。文句を言うのであれば、韓国へ帰れば良いのではないかと思う。韓国に帰れば親兄弟も友人、知人も居るだろうに、何故日本にずっといて、海外生活の不満を叫ぶのかが理解に苦しむ。日本は韓国、北朝鮮以上の暮らしができるから日本に居るのではないだろうか。

    4)筆者は韓国の日本大使館で1度、自分の立場の確認をしたことがある。

    「韓国と北朝鮮の有事の際、我々、在日も日本人同様に引き上げてもらえますか?」すると、即答で「もちろんです!ご心配なさらずに」と返事が返ってきた。この時、年甲斐もなく涙目になっていた自分を思い出すのだ。

    • 駝鳥様、
      おはようございます。

      韓国で在日コリアンが差別される問題。
      日本統治前、朝鮮半島では少数の貴族(両班)が大多数の奴隷(白丁)をこき使う世の中だった。
      それが日本統治によって貴族も奴隷も皆が平等な世の中に変えられた。
      それでも朝鮮半島で差別される白丁だった人達は、「ジャパニーズ•ドリーム」を求めて合法、違法(密入国)を含めて日本に渡った。
      日本統治により、両班達はいままで労働しなくてよかったのに、急に労働しなくてはならなくなり日本に対し「恨む」ようになった。
      なんせ韓国のアンケート調査で、「先祖が両班だったか?」の問いに9割の国民が両班だったと答えている。
      だから、韓国人は在日コリアンを「奴隷の子孫め」と差別するから上記の様な事が起きたと考えます。

      • 白丁は日本で言う穢多に近い最下層の賤民階級で、厳しい差別に
        さらされる半面、納税の義務は無かった。
        基本的にかなり少数だよ。

      • のりさん様、コメント有難う御座います。参考になりました。

        日本統治により平等化が進み、両班が特権をはく奪され、日本に対し両班が「恨む」のは分かります。

        しかし「先祖が両班だったか?」の問いに9割の韓国人が両班だったと答えるのは、出自を偽ってでも世が世ならば両班だったと思いたいからでしょう。自分だけではなく先祖の代から嘘ばかりの社会なのがこの一例でもよく分かります。

        ここ迄来ると、何が真実なのかとの考え方が、朝鮮半島の皆さんには無いのだなぁ、と慨嘆します。国としての民主主義を始めとする価値観の共有以前の問題で、カトリック教会の法皇様が指摘した魂の問題です。

        • 余談です(風土の違い)

          カトリックの教えで育まれる・・”たましい”
          K-トリックの教えで育まれる・・”だましい”
          ・・。

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